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研究対象地域

ドキュメント内 福島第一原発敷地とその周辺地域における (ページ 41-44)

第 3 章 福島第一原発の地下地質

3.2 研究対象地域

3.2.1 敷地の地形および地盤改変の概要

福島第一原発は,福島県東部の太平洋岸の福島県双葉郡双葉町と大熊町にまたがって位 置する.福島第一原発の周辺地域は,双葉断層より東側で丘陵地となっており,海岸付近に は海成の中位Ⅰ段丘が分布する(久保ほか,1994).過去の空中写真や地形図から,福島第 一原発敷地となっている段丘は海岸近くまで標高30~40 mで分布し,北から長者原,夫澤 原と呼ばれる台地となっていた(Fig. 3-1).長者原と夫澤原の間には,葉木澤という細い谷 が敷地を横切って東西に存在していた.大熊町史編纂委員会編(1985)や双葉町史編さん委 員会編(1995)によると,現在の福島第一原発敷地となっている場所は,戦前は日本陸軍の 磐城飛行場(1941年に完成)として利用されていた.戦後(1948年~1959年)には,一部 が農地として開拓され,北側は塩田として利用されていた.1962 年には,東電がこの場所 を原子力発電所の建設候補地として開発後,現在の福島第一原発となった.塩野ほか(2021b)

では,1~4 号機建屋の東側に位置する大芋澤の上流部が飛行場建設時に埋め立てられた可 能性を指摘している.

Fig. 3-1 福島第一原発建設前の敷地の様子

左:建設用地全景(福島県生活環境部原子力安全対策課,2010),右:国土地理院1952年発行5万分の1 地形図「磐城富岡」

Condition of the FDNPS site before the construction

Left: Full view of the construction site (Nuclear Power Safety Division, Social Affairs and Environment Department, Fukushima Prefectural Government 2010), Right: Topographic map cited from Geographical Survey Institute “Iwaki

Tomioka” with a scale of 1:50,000 published in 1952.

福島第一原発の敷地は,標高30~40 mの台地の一部を,標高約10,4 mに改変して作成 された.東電は2018年まで,この標高30~40 mの台地を,小名浜港工事基準面を使用した 標高(以下,O.P.)を使用して「35 m盤」と呼んでいた(Fig. 3-2).一方,1号機から6号

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機の原子炉建屋が立地している場所は,O.P.「10 m盤」と呼んでいた.「10 m盤」の西側部 分は台地を掘削し地盤改変された切り土地盤であるが,原子炉建屋の東側部分は埋め立て 地盤となっている.また,「10 m盤」と海岸線の間は「4 m盤」と呼ばれ,海岸部から海に かけて埋め立てて作成された(Fig. 3-2).2018年以降は,東電は原子力発電所内の標高表記

をO.P.から東京湾平均海面を基準とした標高表記(以下,T.P.)に変更した(東京電力,2018a).

O.P.からT.P.への換算は,O.P.からT.P.への読替値に震災後の地盤沈下量を加味し,T.P.=O.P.

1.436 mの換算式を使用して行っている.その後,「35 m盤」は「T.P. 33.5 m盤」に,「10

m盤」は「T.P. 8.5 m盤」に,「4 m盤」は「T.P. 2.5 m盤」に名称が変更されたが,ボーリン グ名や観測孔名がO.P.を使用した表現を使用していることから,本論で地盤名を呼称する場 合は統一性を図るため,O.P.を基準とした「35 m盤」「10 m盤」「4 m盤」の名称を使用して いる.

Fig. 3-2 福島第一原発敷地内の表層地質図(久保ほか(1994)を基に作成)【佐藤ほか,2021b】

Surface geological map on the site of FDNPS based on Kubo et al. (1994)【Sato et al., 2021b】

3.2.2 敷地の地下地質概要

仙台層群大年寺層の下位には,中新統の多賀層群と湯長谷層群,漸新統の白水層群,上部 白亜系の双葉層群,花崗岩類からなる基盤岩類が存在する(久保ほか,1994;東京電力,

2012b).深度100 m未満のボーリング柱状図に加えて,深度約300 mの大深度ボーリング

の柱状図を使用して対比した,敷地内の地下地質を Fig. 3-3に示す.敷地内の大年寺層は,

D1,D2およびD4が分布する.D1は,福島第一原発敷地を含む浜通り地域中部の「浪江及び 磐城富岡」図幅地域では,全体に細粒化し,D1a(砂岩および砂岩泥岩細互層),D1b(塊状細 粒砂岩),およびD1c(塊状砂質泥岩および泥質極細粒砂岩)に区分されている(久保ほか,

1994;柳沢ほか,2003).福島第一原発の地下には,久保ほか(1994)より,D1a~D1cが分

布していると考えられるが,柱状図やコア写真による解析だけでは区分できないため,本論

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ではD1として示す.D2は,D4堆積前に起きた大規模な海底地すべりによって大部分が削剥 されており,分布しないか層厚が薄くなっている可能性がある(久保ほか,1994).D4 は,

断続的な海底地すべりの発生によって,異なる海底地すべりを埋積した地層であるD4a,D4b

および D4cに細分されるが(柳沢ほか,2003),柳沢ほか(2003)に示された柱状対比図か ら,福島第一原発敷地にはD4bのみが分布すると考えられる.

Fig. 3-3 福島第一原発敷地内の深度300mまでの柱状対比.地層境界は東京電力(2010)をもとに記入.

柱状図の凡例は,Fig. 3-5に示す.【佐藤ほか,2021b】

Correlation of the columnar sections up to the depth of 300 m on the FDNPS site. The geological boundary is entered based on TEPCO (2010). Legend for columnar section is shown in Fig. 3-5. 【Sato et al., 2021b】

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