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地下地質解析による福島第一原発敷地内の地質層序

ドキュメント内 福島第一原発敷地とその周辺地域における (ページ 47-52)

第 3 章 福島第一原発の地下地質

3.4 結果

3.4.1 地下地質解析による福島第一原発敷地内の地質層序

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一方,敷地では深度300 mを超えるボーリング調査(例えば「10 m盤」B-9M孔,B-9孔,

B-8M孔,「35 m盤」CA-1孔など)が行われており,Fig. 3-3にはこれらの柱状図の対比結 果を示した.図中の地層境界は,東京電力(2010)の地質断面図をもとに引いた.これらの 柱状図の記載と東京電力(2010)をもとにD1以深の新第三紀以降の地層について下位より 述べる.T.P. −200~−300 m以深には,泥岩主体で砂岩を挟在する湯長谷層群が分布する.

湯長谷層群の上位には,砂質泥岩から泥質砂岩を主体とする多賀層群が不整合に重なる.さ らに,多賀層群は大年寺層D1に不整合で覆われる.多賀層群と大年寺層D1の不整合面の標 高はT.P. −180 m~−190 mで,その直上には層厚0.4~1.2 mの礫層が分布する.D1は,層厚 165 m~175 mの泥質砂岩や砂質泥岩からなる.T.P. −160 m付近には層厚10 mを超える砂 岩層が挟在する.D1には複数の火山灰層の挟在が記載されており,Fig. 3-3には,東電の火 山灰層(To+数字)と柳沢ほか(2003)の火山灰層(SF+数字)の関係を示した.この東電 の火山灰層の位置は,柱状図DG-1のコア写真に記載されていた.To表記とSF表記の対応 は東京電力(2008)の記載に従った.D1に挟在する火山灰層は,軽石質粗粒凝灰岩および軽 石を含む層が15層,灰白色細粒凝灰岩が5層である.

② SF11火山灰層

本研究では,東電の区分の「粗粒砂岩層」全体またはその一部に相当すると考えた(Fig.

3-7).柱状図の記事では,多くが軽石質粗粒凝灰岩層と記載されている.コア写真からは,

下部と上部が中粒~粗粒砂サイズの軽石質火山灰層,中部にシルト~細粒砂サイズの火山 灰層と,3~4ユニットから成る火山灰層であることが推察できる.層厚は30~60 cmであ る.

Fig. 3-7 D1,D2D4bの境界付近の柱状図対比【佐藤ほか,2021b】

柱状図は東京電力(2016)をもとに作成.各柱状図の位置はFig.3-4参照.

Correlation of columnar sections near the boundary of D1, D2 and D4b【Sato et al., 2021b】

Columnar sections were made based on TEPCO (2016b). Location of each columnar section was shown in Fig. 3-4.

③ 泥質層Ⅱ

泥岩や砂質泥岩を主体とし,生物擾乱がよく確認できる.泥質層Ⅱより上位の海底地すべ り堆積物に削剥されている地点が多いが,確認できる地点での層厚は1.5~2 mである.

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④ 海底地すべり堆積物

本研究の解析により,本層は,東電による区分の「粗粒砂岩層」の上部から「細粒砂岩層」

にかけての地層におおよそ相当すると考えた(Fig. 3-7).詳細は,考察『3.5.2「細粒砂岩層」

と海底地すべり堆積物』で述べている.「35 m盤」では,A-1,B-1孔の柱状図で,傾きをも つ葉理(ラミナ)やレンズ状のシルト岩を確認した.「10 m盤」では,Fz5孔において貝化 石の破片,Fz6 孔では貝化石の破片に加えて円礫や亜円~亜角礫の混入,H25J 孔では亜角 礫の混入に加え細礫分の多い層が挟在する.このように,ボーリング柱状図の記載を詳細に 検討すると,粗粒砂岩や細粒砂岩だけでない,乱れた層相を示すことが明らかとなった.

⑤ 泥質層Ⅲ

砂質泥岩から泥岩を主体とし,砂質シルト層や細粒砂層の薄層が挟在する.多くの地点で

火山灰層SFα(To23)の挟在が確認できる.全体の層厚は3~5 mである.

⑥ 砂泥互層

砂泥互層は,軟質な砂岩と硬質な砂質泥岩とが交互に重なる層相からなる.砂岩と砂質泥 岩の層厚は,数cm~2 m程度で,砂岩と砂質泥岩の割合は半々かやや砂質泥岩が多い.砂 泥互層中には,炭質物片の混入や炭質物層の挟在が他の層と比較して多く確認できる.さら に径数 mm の軽石が点在または散在するといった特徴を持つ.敷地の南側に隣接する夫沢 川河口で確認した砂泥互層の露頭でも炭質物片が散在していた.層厚は4~10 mである.

⑦ 泥質層Ⅳ

細~中粒砂層の薄層が複数挟在する,泥岩や砂質泥岩主体の地層である.炭質物の混入が みられ,層厚は5~15 mである.

⑧ 中粒砂層Ⅰ

砂層および砂質泥岩やシルト岩から構成される.上位の中粒砂層Ⅱと比較して,砂質泥岩 やシルト岩などの泥質層の挟在が多く記載される.砂層は主に中粒砂であるが,細粒砂や粗 粒砂が混入し,さらに礫混じりになる場合もある.東電の区分では,「砂岩」を用いている が,ボーリング柱状図では“軟質”や“軟弱”という記載が多く,コア写真からも「岩」と 呼ぶには固結度が低いことが推測される.砂質泥岩やシルト岩の挟在する深度は不規則で あり,砂質泥岩中には砂層をブロック状に混在するなどの乱堆積の層相を示すところがあ る.炭化物の混入や生物擾乱が目立ち、砂層の葉理(ラミナ)の傾斜は5°や10°になる場合 があり,これは大年寺層の一般的な傾斜(1~5°以下)(久保ほか,1990;久保ほか,1994)

からすると大きい.上部は泥質層の割合が大きく,層厚は5~13 mである.

⑨ 中粒砂層Ⅱ

主に中粒砂で構成されるが,下位の中粒砂層Ⅰと同様に粗粒~細粒まで粒度はさまざま である.また,礫が混入する場合もある.中粒砂層Ⅰと同様に,中粒砂層Ⅱの砂層は“軟質”

や“軟弱”という記載が多く,固結度は低いと考えられる.また,N値は11~24程度にな るところ(東京電力,2013d)があり,「砂岩」としては軟弱である.下位の中粒砂層Ⅰより

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も泥質層の挟在は少なく,砂層以外には,砂質泥岩やシルト岩が砂層と互層を成して挟在す る地点もある.層厚は5~10 mである.

⑩ 段丘堆積物

段丘堆積物は,久保ほか(1994)によると海成の中位Ⅰ段丘に属し,下部は主に砂礫およ び礫混じり砂で上部は砂質粘土や砂質シルトの細粒堆積物から構成される.また,最上部に 火山灰質粘性土が重なる地点がある.層厚は4~10 mである.

⑪ 沖積層・盛土・埋戻土

原子炉建屋は「10 m盤」を掘り込んで建設され,付随する各種構造物は「10 m盤」や「4 m盤」に埋設されているものが多い.「10 m盤」や「4 m盤」の表層は,これらの工事によ る埋戻土または盛土で構成されている.埋戻土または盛土は,段丘掘削時の切土を使用して おり,砂主体で,コンクリートブロック等の人工物や亜角~角礫が混入する.また,「35 m 盤」には,谷すじを人工的に埋めた,主に礫混じり砂や砂礫からなる谷埋め盛り土が分布し ている.敷地内で沖積層に相当する地層は,5,6 号機の北西部に旧河床堆積物として分布 する.この旧河床堆積物は有機質粘土層や砂礫層から成り,層厚は2.93 mであった.

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Table 3-1 福島第一原発の地質層序【佐藤ほか,2021b】

左は,久保ほか(1990;1994),柳沢ほか(2003)による層序区分と鍵層,中央は本研究で再検討した地 層区分,右は東京電力(2013c)による地層区分.

Stratigraphy at FDNPS【Sato et al., 2021b】

The left shows the stratigraphic classification and key layers of volcanic ash based on Kubo et al. (1990; 1994) and Yanagisawa et al. (2003), the center shows the stratigraphy revised in this study, and the right shows the stratigraphy

by TEPCO (2013c).

鍵層 Key bed

層序区分 Stratigraphic classification 沖積層・

埋戻土 Alluvium,

backfill 段丘堆積物

Terrace deposit

「泥質部」 "Muddy part" 「泥質部」 "Muddy part"

「粗粒砂岩層」 "Coarse- grained sandstone stratum"

SF11

粗粒砂岩層

"Coarse-grained sandstone

stratum"

To22 中粒砂

medium sand 粘土,砂,礫,火山灰質粘性土

clay, sand, gravel and volcanic cohesive soil 粘土,砂,礫 clay, sand and gravel

To23 沖積層・埋戻土

Alluvium, backfill

段丘堆積物 Terrace deposit

「中粒砂岩層 (I層)」

"Medium-grained sandstone stratum (stratum I)"

「泥質部 (II 層)」

"Muddy part (stratum II)"

「互層部 (III 層)」

"Alternative layer part (stratum III)"

「泥質部 (IV層)」

"Muddy part (stratum IV)"

軽石質粗粒凝灰岩 pumiceous coarse tuff

泥岩,砂質泥岩 mudstone and sandy mudstone

(細礫混じり)砂岩 sandstone (with granule)

砂質泥岩 sandy mudstone

大年寺層 Dainenji Formation

段丘堆積物 Terrace deposit

泥質層 I Muddy layer I 沖積層・盛土・埋戻土 Alluvium, embankment and

backfill 段丘堆積物 Terrace deposit

中粒砂層Ⅱ Medium sand layer II

中粒砂層Ⅰ Medium sand layer I

泥質層 IV Muddy layer IV

泥質層Ⅲ Muddy layer III

泥岩,砂質泥岩 mudstone and sandy mudstone

中粒砂,泥質層挟在 medium sand intercalated with

muddy layers

「泥質部」

"Muddy part"

砂泥互層 Interbedded sand and

mudstone

海底地すべり堆積物 Submarine sliding

sediment 泥質層Ⅱ Muddy layer II SF11火山灰層 Volcanic ash layer SF11

砂岩・泥岩の互層 interbedded sand and mudstone

地層区分 Geological classification

泥岩,砂質泥岩 mudstone and sandy mudstone 久保ほか(1990, 1994),

柳沢ほか(2003), Kubo et al. (1990, 1994), Yanagisawa et al. (2003)

層序区分 Stratigraphic classification

岩相 Lithofacies 福島第一原発敷地の

地層区分 Geological classification

at FDNPS

本研究(原発団研)

This study(RGGHI-FDNPS) 東京電力(2013c)

TEPCO (2013c)

鍵層 Key bed

富岡層T3部層 T3 member of Tomioka Formation

「粗粒砂岩層」

"Coarse-grained sandstone stratum"

D4b

D2

D1

SFα

「細粒砂岩層 "Fine-grained sandstone stratum"」

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ドキュメント内 福島第一原発敷地とその周辺地域における (ページ 47-52)