• 検索結果がありません。

第 5 章 詳細な水文地質状況と汚染水対策を考慮した三次元地下水流動解析

5.4 公表資料に基づく各種汚染水対策のモデルへの入力

5.4.1 揚水

敷地内で実施されている汚染水対策のうち,地下水バイパス,サブドレン,地下水ドレン,

ウェルポイント,このほかに臨時で稼働した観測孔からの揚水量を公表資料から推定し,モ デルに入力した.各揚水井の位置をFig. 5-7に示す.本来ならば,集計した井戸別の揚水量 をモデルに入力するべきであるが,井戸別の揚水量は公表されていない.したがって,本研 究では公表された排水量や中継タンクへの汲み上げ量から揚水量を推定した.揚水量推定 に使用した資料は,Table 5-3に示すサイトからダウンロードした.

103

Fig. 5-7 揚水井位置図【佐藤ほか,2021d】

Location map of pumping wells【Sato et al., 2021d】

Table 5-3 揚水量データを収集したWeb サイトとそのURL【佐藤ほか,2021d】

Web sites and their URLs where pumpage data were collected【Sato et al., 2021d】

揚水井種類 Type of pumping wells

揚水量データを収集したWebサイト

Web site where pumpage data collected URL

地下水バイパス Groundwater

bypass

揚水量(pumpage):東電Webサイト 「地下水バイパ ス一時貯留タンクの運用状況」

TEPCO Web site “Operation status of the temporary storage tank for the groundwater bypass”

揚水量(pumpage):

https://www.tepco.co.jp/decom mission/progress/watermanage ment/groundwater_bypass/calen

dar/index-j.html 揚水比率(pumping ratio):東電Webサイト

「地下水バイパス揚水井のくみ上げにおける一時貯留 タンクに対する評価結果」

Web site of TEPCO “Evaluation results of the water in temporary storage tank pumped from groundwater

bypass”

揚水比率(pumping ratio):

https://www.tepco.co.jp/nu/fuk ushima-np/handouts/indexold-

j.html

サブドレン Sub-drain

原子力規制委員会Webサイト「被規制者等との面談 概要・資料」

“Outline and materials of interviews with regulated persons etc.” posted on the web site of NRA

https://www2.nsr.go.jp/disclos ure/meeting/FAM/index.html 地下水ドレン

Groundwater drain ウェルポイント

Well point

104 (1) 地下水バイパス

建屋の地下水位を減少させるために「35 m盤」の東側に設置された計12本の揚水井で,

本格運用は2014年5 月21日からである.地下水バイパスは,建屋地下に連続する帯水層 である中粒砂層Ⅰを対象として設置されている.地下水バイパスのストレーナは標高T.P. 1

3~3 m に設置され,東京電力(2014f)によればストレーナ長は 6~10 mである.ストレ

ーナの周囲は珪砂が充填されている.しかし,ストレーナ上位のケーシングパイプの周囲は シーリングではなく砂利が充填されている.このため,一部上部の地下水も引き込んでいる 可能性がある.地下水バイパスは,それぞれの揚水井で地下水をくみ上げ,一時貯留タンク へ移送し,水質分析を行った後異常値が認められなければ海へ排水している(Fig. 5-8).上 述したが,地下水バイパスの揚水量は公表されていないため,地下水バイパスの排水量から 推定した.排水量は一時タンクへ移送して水質分析で異常がなかったものを排水している 量のため,実際の汲み上げ量とは異なると考えられるが,地下水バイパスは建屋よりも西側 に設置されており,水質に異常値が出ることが少ないことから(東京電力,2019f),本研究 では揚水量≒排水量と仮定した(Fig. 5-8).3つのグループに割り当てられた揚水井から汲 み上げた地下水は一時貯留タンクへ移送される.それぞれのグループでのタンクからの排 出量を,汲み上げ日数で単純に割った値を日別に算出し,これを地下水バイパスの揚水量と している.グループごとに算出された日ごとの揚水量を集計し,さらに公表された各地下水 バイパス揚水井のくみ上げ比率(東京電力HP https://www.tepco.co.jp/decommission/informa tion/newsrelease/から収集)によって各観測井の揚水量を推定した.

Fig. 5-8 地下水バイパス揚水量の推定【佐藤ほか,2021d】

東電Webサイト(https://www.tepco.co.jp/decommission/information/newsrelease/)を参考に作成.排水量は 汲み上げ期間に揚水された地下水バイパス揚水量に等しいと仮定.

Estimation of pumpage from groundwater bypass【Sato et al., 2021d】

The diagram was based on TEPCO’s Web site (https://www.tepco.co.jp/decommission/information/

newsrelease/). The drainage was assumed to beequal to the groundwater pumpage during the pumping period.

(2)サブドレン・地下水ドレン

サブドレンは,建屋内の水位を管理するために「10 m 盤」の建屋周辺を囲むように設置 された複数の揚水井からなる(Fig. 5-7).サブドレンからの揚水によって地下水位を下げ,

建屋に働く浮力を防止するために,事故前から恒常的に運転されていた(東京電力,2013c).

105

事故後,損傷または電源喪失によって稼働していなかった揚水井を復旧または新設して,

2015 年 9 月に約 40 本の揚水井によって地下水の揚水が再開された.ストレーナは,標高

T.P. 5~-5 mの中粒砂層Ⅰに設置されており,ストレーナ長は6~8 mである.

地下水ドレンは,「4 m 盤」の地下水位低下を目的に「4 m盤」に設置され,2015年11月 から揚水が開始された.地下水ドレンのストレーナは,標高T.P. 0.1~-2.4 mの中粒砂層Ⅰ を対象に設置され,ストレーナ長は2.5 mである.

サブドレンや地下水ドレンから汲み上げられた地下水は,それぞれ中継タンク1~5およ び中継タンクA~Cへと運ばれる.中継タンクに運ばれた地下水は集水タンクに運ばれ,浄 化装置により放射能濃度が低くなるまで浄化した後,一時貯留タンクに運ばれ水質検査が 行われ,排水基準を満たしたものは海へ排出される(東京電力,2015c).この中継タンク汲 み上げ量と各揚水井の稼働状況から各揚水井の揚水量を推定した.サブドレンと地下水ド レンの井戸番号と中継タンクの関係をTable 5-4に,中継タンクの系統図をFig. 5-9に示す.

Table 5-4 サブドレン・地下水ドレンの井戸番号と中継タンクの振り分け

東京電力(2015c)を参考に作成.【佐藤ほか,2021d】

Well numbers of sub-drains and groundwater drains with relay tanks assignment【Sato et al., 2021d】

Based on TEPCO (2015c).

中継タンク

No.1 中継タンク

No.2 中継タンク

No.3 中継タンク

No.4 中継タンク

No.5 中継タンク

A 中継タンク

B 中継タンク C Relay tank

No.1 Relay tank

No.2 Relay tank

No.3 Relay tank

No.4 Relay tank

No.5 Relay tank

A Relay tank

B Relay tank C

1 8 18 40 30 A C E

2 9 20 45 52 B D

23 201 21 51 53

24 202 22 210 55

25 203 37 211 56

26 204 207 212 57

27 205 208 213 58

31 206 209 214 59

32 215

3433 サブドレン・

地下水ドレンの Well number井戸番号 of sub-drains groundwaterand

drains

106

Fig. 5-9 サブドレン・地下水ドレンの中継タンク系統図 (東京電力 2014iを基に作成)【佐藤ほか,

2021d】

System diagram of relay tanks for sub-drains and groundwater drain (Based on TEPCO 2014i) 【Sato et al., 2021d】

(3) ウェルポイント・「4 m盤」観測井

ウェルポイントは,1~2,2~3,3~4号機間の東側における「4 m盤」の3か所に設置さ れ,ウェルポイントプラントと呼ばれるシステムによって,汚染された地下水が海側へ排出 しないように強制的に地下水を汲み上げる(東京電力,2013b;東京電力,2016g).また,

2015年10月からは,改修ウェル3基(A~C)が追設され,1~2号機は改修ウェルA,2~

3号機は改修ウェルB,3~4号機は改修ウェルCにより地下水の汲み上げおよび移送が実 施された(福島県,2020).ウェルポイントから汲み上げられる地下水は,原発事故後に流 出した汚染水の影響により,現在も汚染レベルの高い地下水となっている(東京電力,2016e; 東京電力,2020a).ウェルポイントの揚水量は,Table 5-3に示した資料で集計されているタ ービン建屋への移送量から推定した.

「4 m盤」観測孔AとCでは,2016年9月の豪雨時に「4 m盤」の地下水位が地表面よ りも上昇したため,緊急的に観測孔からバキュームにより地下水を揚水した(東京電力,

107

2016g).排水期間は,9月20~27日の8日間で,総揚水量は2,309 m3であった.この期間,

ほかの揚水井と合わせると日量約 2,000 m3と膨大な量の地下水が汲み上げられていたこと になる.

ドキュメント内 福島第一原発敷地とその周辺地域における (ページ 106-111)