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三次元帯水層係数分布

ドキュメント内 福島第一原発敷地とその周辺地域における (ページ 90-95)

第 4 章 福島第一原発の水文地質

4.5 考察

4.5.2 三次元帯水層係数分布

セル毎の透水係数や有効間隙率を推定するにあたって使用した各層相ごとの透水係数や 有効間隙率をTable 4-3に示す.先に述べた「4.2.2 東電等の公表資料にもとづく帯水層係 数の評価」では,東電等の透水試験によって得られた透水係数や間隙率および貯留係数を,

地層区分ごとに整理した.しかしながら,既述したように,公表された間隙率や貯留係数は

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モデルに入力する有効間隙率や比貯留量の推定には使用できないため,有効間隙率の推定

にはTodd and Mays(2005)の参考値や砂(砂岩)やシルト(泥岩)の混入率等を考慮して

推定した値(Table 4-3)を,比貯留量の推定にはDomenico and Mifflin(1965)による参考値 を使用した.一方,水平方向の透水係数については,層相解析で使用した層相区分に合わせ て,東京電力(2013c)で測定された値や文献による一般値などを併用した.

層相解析では柱状図のある場所でしか水平方向透水係数や有効間隙率が算出できないた め,透水係数に関しては推定したセル当たりの透水係数を一度常用対数に変換したのち(有 効間隙率は値幅が小さいためこの必要はない),同じ帯水層(半透水層)や難透水層のレイ

ヤー内でKriging法による内挿法により平面分布を推定した.その後再び自然数に戻し,こ

れらを深度方向に組み合わせて三次元分布を推定した.

原発敷地内の柱状図の整理・解析と福島第一原発周辺の地質調査結果から敷地内の地層 区分や帯水層区分を再検討し,その結果をもとに帯水層(半帯水層)/難透水層ごとに層相 解析を行い,帯水層係数の三次元分布を推定した.断面図 B-B’付近を通る南北断面に沿っ た水平方向透水係数分布をFig. 4-15 に,水平方向透水係数の敷地南東からみた三次元分布

をFig. 4-16に示す.第3章に示した断面図(Fig.3-9,10)に分布する中粒砂層Ⅰ中の不連続

な泥質層が,層相解析によって求めた透水係数分布でも同様の深度で値が小さく設定され るなど,帯水層の不均質性を適切に再現できた.層相解析の結果を使用して推定した帯水層 別の帯水層係数(水平方向透水係数,有効間隙率,比貯留量)の初期値の結果を,Table 4-4 に示す.沖積層の透水係数は,敷地内における分布範囲が少なく,透水係数を推定できるよ うなデータが取得できなかったことから,一律の帯水層係数を使用し,最終値はシミュレー ション解析で試行的に決定した.本研究では,泥質層を含めた不均質性を考慮しているため,

帯水層でも透水係数の最大値と最小値の幅は大きくなっている.本研究で推定された水平 方向透水係数の対数平均値は,段丘堆積物がもっとも高く,2.8 m/day となった.中粒砂層

ⅡおよびⅠ(「中粒砂岩層」)の透水係数の対数平均値は 4.7×10-1,7.4×10-1なり,東電等

(汚染水処理対策委員会,2013a;東京電力,2014a;東京電力,2014c;東京電力,2014d)

による透水試験結果(3.4 m/day)や東京電力(2013c)の値(2.6 m/day)と比較して小さく なった.これは,本研究では不均質な泥質層を考慮しているためである.海底地すべり堆積 物の透水係数の対数平均値は1.5 m/dayと,「細粒砂岩層」の透水試験の結果(1.0 m/day)と 同様の値になったが,海底地すべり堆積物の泥質層を考慮したにも関わらず値が大きくな ってしまった.挟在する泥質層の厚さが 2 m 以下と小さい場合が多く,層相解析で考慮し ても影響が小さくなってしまった可能性がある.帯水層(半透水層)の有効間隙率の対数平 均値は沖積層を除いて18~22%である.東京電力(2013c)では,間隙率(30~54%)を用 いているが,本研究では間隙率ではなく,一般的な有効間隙率の値(Todd and Mays,2005)

を推定しているため値は間隙率よりも小さくなる結果となった.泥質層は 17%とやや高い 推定値となった.また,比貯留量の対数平均値は,全体で104~105 1/mなった.「中粒砂 岩層」における比貯留量は2.0×105となり,東電等の透水試験によって求められた貯留係

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数は1.54×102であるため中粒砂層の層厚は最大約20 m(東京電力,2013c)であることを

考慮しても,約1~2オーダー低い値となった.

帯水層係数の三次元分布の推定では,砂層や泥質層などの層相の分布を比較的良好に再 現できたと考えられるが,一方で,半透水層とした海底地すべり堆積物の透水係数が他の帯 水層と比較して高くなってしまった.したがって,三次元地下水流動解析を用いて,実測値 と計算値の検証計算により,透水係数の妥当性を検討する必要があると考えられる.

Table 4-3 セル毎の水平方向透水係数や有効間隙率を推定するにあたり使用した,各層相ごとの透水係数

や有効間隙率【佐藤ほか,2021c】

Horizontal hydraulic conductivity and effective porosity values by facies used to estimate horizontal hydraulic conductivity and effective porosity of each cell【Sato et al., 2021c】

層相 参考値

Facies Reference 参考値

有効間隙率 Effective

porosity (%)

Reference

表土 Top soil

東京電力(2013c)の透水係

数のモデル入力値 28

東北農政局計画部 (1979) 砂礫

Sandy gravel

TEPCO (2013c) value of hydraulic conductivity input in their model

24 TRAAO (1979)*

東北農政局計画部 (1979)

Gravel TRAAO (1979)* 23

28

23 中粒砂, 粗粒砂

Medium sand and coarse sand

細粒砂 Fine sand

シルト 8 Silt 粘土

Clay 3

砂質シルト Sandy silt

細粒砂(30%)

シルト(70%) Fine sand 30% and silt 70% 11 細粒砂(30%)

シルト(70%)

Fine sand 30% and silt 70%

細粒砂岩 Fine sandstone

汚染水処理対策委員会

(2013a)「35 m盤」観測井で 行われた透水試験の「細粒 砂岩層」の値

21

MsII MsI Sss SF11

CCCWT (2013a) value of

"fine-grained sandstone stratum" from permeability test

1.2×100 2.6×100 1.0×1007.8×10-1

砂質シルト岩 Sandy siltstone

汚染水処理対策委員会

(2013a)「35 m盤」観測井で 行われた透水試験の砂質シ ルト岩の値

14 細粒砂岩(30%)泥岩(70%)

CCCWT (2013a) value of sandy siltstone from permeability test

Fine sand 30% and mudstone 70%

汚染水処理対策委員会

(2013a)「35 m盤」観測井で 行われた透水試験の泥岩

(シルト岩)の値 泥岩 (シルト岩)

Muddstone (siltstone) CCCWT (2013a) value of 12

siltstone from permeability test

汚染水処理対策委員会

(2013a)「35 m盤」観測井で 行われた透水試験の砂泥互 層の値

砂泥互層 Interbedded sand and

mudstone 16 細粒砂岩(50%)泥岩(50%)

21

Fine sandstone 50% and mudstone 50%

軽石層 Pumice

CCCWT (2013a) value of

"alternative layer part" from permeability test of wells at

"35 m ground"

東京電力(2013c)の透水係 数のモデル入力値 コンクリート

Concrete 3

凝灰岩 Tuff

汚染水処理対策委員会

(2013a)「35 m盤」観測井で 行われた透水試験の砂質シ ルト岩の値

TEPCO (2013c) value of hydraulic conductivity input in their model

14 細粒砂岩(30%)泥岩(70%)

CCCWT (2013a) value of

"sandy siltstone" from permeability test

Fine sandstone 30% and mudstone 70%

汚染水処理対策委員会

(2013a)「35 m盤」観測井で 行われた透水試験の砂質シ ルト岩の値

貝化石を含む泥質層 Muddy layer

with shell fossils CCCWT (2013a) value of 14 細粒砂岩(30%)泥岩(70%)

"sandy siltstone" from permeability test

20

Fine sandstone 30% and mudstone 70%

*

その他 Others

Todd and Mays (2005)

TRAAO: Tohoku Regional Agricultural Administration Office

Todd and Mays (2005)

Todd and Mays (2005)

Todd and Mays (2005) Todd and Mays (2005)

Todd and Mays (2005)

Todd and Mays (2005) 汚染水処理対策委員会

(2013a)「透水層」ごとの「35 m盤」観測井で行われた透水 試験の「中粒砂岩層」の値 2.5×100

Todd and Mays (2005) Todd and Mays (2005) Todd and Mays (2005)

Todd and Mays (2005)

Todd and Mays (2005) Todd and Mays (2005)

Todd and Mays (2005) 2.4×100

2.5×101 水平方向透水係数 Horizontal hydraulic conductivity

(m/day)

6.0×10-1

1.2×101

8.0×10-2

2.0×10-4

2.2×10-1

1.0×100

2.6×10-3

1.0×100 3.0×10-3

6.6×10-1

2.0×10-1

8.6×10-4

2.6×10-3

2.6×10-3

Todd and Mays (2005) 粘土(clay) 27

中粒砂岩, 粗粒砂岩 Medium sandstone and

coarse sandstone

Todd and Mays (2005) Todd and Mays (2005) CCCWT (2013a) value of

"medium-grained sandstone stratum" at each

"permeable layer" from permeability test

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Fig. 4-15 B-B’断面付近の南北断面における水平方向透水係数の分布(UTM-E(m)=502590)【佐藤ほ

か,2021c】

Distribution map of horizontal hydraulic conductivity along north-south profile (UTM-E(m)=502590) near B-B’

cross section【Sato et al., 2021c】

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Fig. 4-16 水平方向透水係数の三次元分布図【佐藤ほか,2021c】

帯水層区分:①段丘堆積物,②中粒砂層Ⅱ,③中粒砂層Ⅰ,④砂泥互層,⑤海底地すべり堆積物,⑥ SF11火山灰層.(1)原子炉・タービン建屋,その他建屋下部から建屋流入量を揚水するための揚水井

(赤い箱状)

3D distribution map of horizontal hydraulic conductivity【Sato et al., 2021c】

Aquifer classification: ① Terrace deposit, ② Medium sand layer II, ③ Medium sand layer I, ④ Interbedded sand and mud, ⑤ Submarine sliding sediment, ⑥ Volcanic ash layer SF11. (1) Wells (red boxes) for pumping the

inflow to the buildings from the bottom of the reactor, turbine and other buildings.

Table 4-4 層相解析により推定された帯水層および半透水層の帯水層係数

Aquifer parameters of each aquifer and aquitard estimated by facies analysis

砂泥互層

29,075

沖積層 2.0×100 2.5×10-1 1.9×10-3

Alluvium

Max Min Max Min

帯水層(半透水層)/

難透水層 Aquifer (Aquitard)/

Aquiclude

データ の個数 No. of

data

水平方向透水係数 有効間隙率 比貯留量

Horizontal hydraulic

conductivity (m/day) Effective Porosity(%) Specific storage (1/m)

2.5×101 3.8×100 Terrace deposit,

embankment, backfill 中粒砂層II

12,136

1.8×101 1.7×101 9.3×10-4 段丘堆積物,

盛土,埋戻土

26,167 1.1×102 1.7×10-4 2.8×100

Medium sand layer II 1.0×10

1 1.7×10-3 4.7×10-1

3.9×101 3.0×100

3.2×101 5.4×100 2.0×101

9.3×10-4 1.2×10-4

1.9×10-5 9.3×10-5

Max Min

中粒砂層I

34,977 3.2×101 2.7×10-3 7.4×10-1 1.9×10-5 2.0×10-5 2.0×10-5 3.8×101 5.4×100 2.1×101 1.2×10-4 1.9×10-5

6.1×100 1.0×10-3 4.3×10-1 Interbedded sand and

mudstone Medium sand layer I

1.9×10-5 1.9×10-5 Submarine sliding

sediment SF11火山灰層

7,776 4.4×101 8.5×10-4 2.8×10-1

2.7×101 1.1×101 2.0×101 1.9×10-5 海底地すべり堆積物

15,320 1.0×101 2.9×10-3 1.5×100

9.4×10-5 9.3×10-4

Muddy layers

Log Ave

Log Ave

Log Ave

2.8×101 6.3×100 1.7×101 1.2×10-4 1.9×10-5 5.7×10-5 1.9×10-5 Volcanic ash layer SF11

泥質層 579,209 1.9×101 3.5×10-4 1.1×10-1

2.7×101 1.6×101 2.2×101 9.4×10-5 1.9×10-5

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ドキュメント内 福島第一原発敷地とその周辺地域における (ページ 90-95)