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敷地内の帯水層

ドキュメント内 福島第一原発敷地とその周辺地域における (ページ 71-74)

第 4 章 福島第一原発の水文地質

4.2 福島第一原発敷地内の水文地質概要

4.2.1 敷地内の帯水層

本章では,汚染水対策の対象となっている標高T.P. −30 mまでの帯水層とT.P. −130~−190 mに分布する帯水層を区別するために,ここで説明する浅層帯水層を,「汚染水対策が行わ れている段丘堆積物と標高約−30 mまでの鮮新統大年寺層上部の砂層(砂岩層)」と定義し た.浅層帯水層は,第3章で説明した地層区分を使用して,鮮新統大年寺層のD2~D4の中 粒砂層Ⅱと中粒砂層Ⅰ(東電の「中粒砂岩層」),砂泥互層(「互層部」),海底地すべり堆積 物(「細粒砂岩層」,一部「粗粒砂岩層を含む」),SF11火山灰層(「粗粒砂岩層」またはその 一部)からなる.

福島第一原発建設当時の資料(佐伯,1967a)によると,標高O.P. 約32 mの台地で,標

高26.5 mから湧水が生じていた.地下水面は,海岸付近で14.5 mと高かった.この湧水が

発生していた地層は,東京電力(2013c)で「中粒砂岩層」と呼称されている最大層厚20 m の軟質な砂層主体の帯水層である.この地下水の排水には,構内進入路の北側187 mの区

間に158本,南側193 mの区間に145本ものウェルポイントを使用して対処したと述べら

れており,地下水が豊富だったことが推察できる.

浅層帯水層を構成する段丘堆積物より下位の2 層の主要な帯水層は,東電によってそれ ぞれ「中粒砂岩層」(本研究の地層区分の中粒砂層Ⅱと中粒砂層Ⅰ)と「互層部」(砂泥互 層)とよばれる地層からなり(東京電力,2013c),これらは汚染水処理対策委員会(2013b)

によって「上部透水層」と「下部透水層」と呼称されている(Fig. 4-2).とくに,「中粒砂 岩層」は原子炉建屋の地下に分布し,重層的な汚染水対策の対象となっている重要な帯水 層である.もう一つの主要な被圧帯水層である「互層部」(砂泥互層)は「35 m 盤」から連 続している.また,「互層部」の下位にも,「細粒砂岩層」(海底地すべり堆積物,一部「粗 粒砂岩層」を含む)と「粗粒砂岩層」(SF11火山灰層,上部に一部海底地すべり堆積物を含 む)が透水性の高い地層として存在する(汚染水処理対策委員会,2013b).「細粒砂岩層」

と「粗粒砂岩層」は建物の基礎と接していないが,「中粒砂岩層」,「互層部」とその間の泥 質層は建屋建設時に掘削し,埋土している.1号機と2号機の原子炉建屋の基礎は「泥質部

(泥質層Ⅳ)」の上にあり,3号機の原子炉建屋の基礎は南側で「互層部」(砂泥互層)に接 し,4号機の原子炉建屋の基礎は「互層部」を全て削り「泥質部」(泥質層Ⅱ)にある(汚 染水処理対策委員会,2013a).原子炉建屋の損傷部位からの汚染水流入経路を考える際に は,建設工事の掘削範囲,基礎深度なども考慮する必要がある.

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Fig. 4-2 福島第一原発の地下地質と「透水層」【佐藤ほか,2021c】

「中粒砂岩層」と「互層部」は,それぞれ不圧帯水層と被圧帯水層である.図は汚染水処理対策委員会

(2013b)の図4-4をもとに作成.火山灰層であるTo23は,①-①’~⑭-⑭’断面(汚染水処理対策委員 会,2013b)をもとに加筆した.

Subsurface geology and aquifers at the FDNPS. 【Sato et al., 2021c】

“Medium-grained sandstone stratum” and “alternative layer part” are unconfined aquifer and confined aquifer, respectively. The figure was made based on Fig. 4-4 in Committee on Countermeasures for Contaminated Water Treatment (CCCWT) (2013b). The volcanic ash layer To23 was added to this figure based onthe cross-sections ①-①

' to ⑭-⑭' (CCCWT 2013b).

(2) 深層帯水層

深層帯水層は,「建設時に深層地下水開発が行われた鮮新統大年寺層のD1(東電の区分で は富岡層T1)の砂岩層と軽石密集層で構成され,原発敷地内では標高T.P. −130~−190 m(Fig.

4-4)に分布する帯水層」と定義する.東電は,福島第一原発建設前に淡水源としての地下 水揚水可能量の調査のため,原発敷地中央部で深度300 mの揚水井を掘削し,電気検層,揚 水試験を行った(東京電力,1976a;東京電力,1976b).Fig. 4-3には,深層帯水層を対象に した上記の調査が行われた柱状図の位置図を示す.また,Fig. 4-4には,東京電力(1976a;

1976b)に記載されている深度約250 mおよび300 mの電気検層結果(比抵抗・自然電位)を 示した柱状図(No.3,B-5)を使用して作成した東西断面図I-I’を示す.多賀層群と大年寺層 の不整合面より上位の標高T.P. −130~−190 m間は,大年寺層D1下部には砂岩層や軽石層が 多数挟在している.東京電力(1976a;1976b)が実施した5井の揚水試験結果によると,深 層地下水の透水係数は対数平均で約1.0×101 m/dayとなり,貯留係数は対数平均で約1.0×10

3である.これは,東北農政局計画部(1979)および中馬(1983)に記載されている南相馬 市原町区(旧原町市)の上部鮮新統の透水係数および貯留係数と同様の値を示す.

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Fig. 4-3 深層帯水層に設置された井戸(No.1~No.5,B-5)(東京電力,1976a;東京電力,1976b)と断面

線I-I’,B-B’,G-G’の位置【佐藤ほか,2021c】

東西地質断面I-I’’はFig. 4-4 に,南北地質断面B-B’と東西地質断面G-G’はFig. 4-8, 4-13 に示す.

Location of wells installed at deep aquifer (No.1-No.5, B-5) (TEPCO, 1976a; TEPCO, 1976b) and cross section lines I-I’, B-B’ and G-G’【Sato et al., 2021c】

The east-west geological cross section I-I’ is shown in Fig. 4-4, and the north-south and east-west geological cross sections B-B’ and G-G’ are shown in Figs. 4-8 and 4-13.

Fig. 4-4福島第一原発敷地内の深層帯水層の分布標高【佐藤ほか,2021c】

Distribution elevation of deep aquifer at FDNPS【Sato et al., 2021c】

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