• 検索結果がありません。

地下水バイパスの想定効果と観測孔における実測水位

ドキュメント内 福島第一原発敷地とその周辺地域における (ページ 134-137)

第 6 章 水文地質と地下水流動にもとづく汚染水対策効果の検討

6.2 地下水バイパスの効果の検討

6.2.1 地下水バイパスの想定効果と観測孔における実測水位

地下水バイパスは,「35 m盤」に設置された12本の揚水井からなり(Fig. 6-2),建屋周辺 への地下水流入量の抑制を目的として2014年5月 21日から本格運用が開始された.地下 水バイパス揚水井の仕様は設置地点により異なり,深度は20~34 m,ストレーナは揚水井

基底の2 mより上に6~10 mの長さで設置されている(東京電力,2014f).地下水バイパス

設置前の計画時点では,揚水量は約1,000 m3/day,観測孔の水位低下は約1~3 m現れると していた(東京電力,2012a;東京電力,2012c,Table 6-1).また,建屋への地下水流入量は

約 50%減少するとしていた.地下水バイパスの効果の指標は建屋周辺の地下水位低下量で

ある.東京電力は,地下水バイパスの効果を検討するために,地下水バイパス東側の「10 m 盤」に,3本の観測井(10 m-A~C)を設置した.この「10 m盤」で測定した水位や,その 効果検討に関する情報は,地下水バイパスの本格稼働後の約1年間のみ公開されており(東

京電力,2015f),2015年9月以降にサブドレンや海側遮水壁が実施された以降は,地下水バ

イパス以外の影響が水位に現れてしまったためか観測孔の水位を使用した検討は行われて いない.2012年10月~2015年12月の10 m-A~Cにおける地下水位をFig. 6-3に示す.地 下水バイパスの本格運用が開始された2014年5月以降観測孔の水位変動からは,地下水バ イパスからの揚水による顕著な水位低下は確認できない.しかしながら,東京電力(2014g)

は,30日間累計雨量を使用した実測水位との相関において,10 m-A~C孔で20~30 cmの 地下水位低下量が確認されたと述べている.地下水バイパス運用後の揚水井の水位低下は 想定時の15 mに近い最大13 mであったものの,1,000 m3/day想定されていた実際の揚水量 は約1/4の273 m3/day(2015年9月の平均値)であり,観測井の水位低下量は,約20~30 cm と小さい結果となった.建屋への地下水流入量は,東京電力(2015f)では約 80 m3/day であったと推定されているが,これも想定の1/2以下の量であった.末永(2015)で示され た2014年9月~2015年2月の汚染水の平均増加貯蔵量は482 m3/dayであり,地下水バイパ ス運用前の2011~2014年までの平均増加量と比較して減少は認められず,2012年の量と比 較すると約100 m3/day増えているという結果となった.

131

Fig. 6-2 地下水バイパス・「10 m盤」観測孔・断面線の位置図と柱状図・断面図の凡例【塩野ほか,

2021a】

a:地下水バイパスと「10 m 盤」観測孔および断面線の位置図,F-F’とG-G’は,Fig. 6-4の地質断面図の

断面線である.地下水バイパスの東側には,「10 m盤」に設置された観測孔10 m-A,10 m-B,10 m-C ある.また,(a)~(c)は,Fig. 6-8に示す断面図の位置である.南北の青線(UTM-E(m):502890)

は,建屋付近での地下水バイパスによる地下水位低下量を説明するために使用した.b:柱状図の凡例.

c:地質断面図の凡例.

Location map of groundwater bypass, observation wells at“ 10 m ground” and cross section lines, and legends for columnar sections and geological cross sections【Shiono et al., 2021a】

a: Location map of groundwater bypass and cross section lines. F-F’ and G-G’ are cross section lines for geological cross sections shown in Fig. 6-4. On the east side of the groundwater bypass, there are observation boreholes 10 m-A,

10 m-B, and 10 m-C installed on the“ 10 m ground”. (a), (b) and (c) show locations of the cross sections shown in Fig. 6-8. The north-south blue line (at UTM-E (m): 502890) was used to explain the amount of groundwater level decline near the buildings caused by groundwater bypass operation. b: Legend for columnar sections. c: Legend for

geological cross sections.

132

Table 6-1 地下水バイパス計画時点の想定効果と対策実施1 年後の観測地による効果の比較【塩野ほか,

2021a】

東京電力(2012a;2012c,2015f)をもとに作成

Comparison of presumed effects at planning time of groundwater bypass and effects based on the observed data after 1 year from implementation 【Shiono et al., 2021a】

Based on TEPCO (2012a; 2012c; 2015f).

揚水量 Pumping

volume

地下水位低下 Drawdown 建屋への 地下水流入量

Groundwater inflow to the buildings 揚水井

Pumping wells

観測井 Observation

wells

計画時の想定値 Presumed value at

planning time

約1,000 m3/日 about 1,000

m3/day

約15 m

about 15 m 1~3 m

約50%減少 about 50%

reduction 対策実施後の観測値

Observed value after implementation

273 m3/日*

273 m3/day*

最大13 m 13 m at maximum

変化なし No change

不明 Unknown

* 2015年9月の平均値.* Average value in September 2015.

Fig. 6-3 地下水バイパス観測孔の地下水位変動と地下水バイパスの揚水量【塩野ほか,2021a

地下水バイパスの本格運用は,2015521日に開始された.地下水バイパス観測孔の地下水位のデー タ公開期間は,201211810:00~20151250:00である.

Groundwater level fluctuations at observation wells and discharge from groundwater bypass【Shiono et al., 2021a】

Full operation of groundwater bypass started on 21 May 2014. Disclosed data period of observation wells for groundwater bypass is from 10:00 on 8 November 2012 to 0:00 on 5 December 2015.

133

ドキュメント内 福島第一原発敷地とその周辺地域における (ページ 134-137)