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博士(獣医学)堀内基広 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(獣医学)堀内基広 学位論文題名

Molecular genetic studies on the host specificity   of the feline parvovlrus host range variants.

(猫パルボウイルス宿主域変異群の宿主特異性に関する分子遺伝学的研究)

学位論文内容の要旨

    犬 パ ル ボ ウ イ ル ス(CPV)、 猫 汎 自 血 球 減 少 症 ウ イ ルス(FPLV)、 お よび ミ ン ク 腸 炎 ウ イ ル ス(MEV)は パ ル ボ ウ イ ル ス 科 パ ル ボ ウ イ ル ス 属 に 属 し 、 猫 パ ル ボ ウ イ ル ス の 宿 主 域 変 異 群 と し て 位 置 づ け ら れ て い る 。 こ れ ら は 互 い に 98% 以 上 のDNA塩 基 配 列 の 相 同 性 を 有 す る が 、 宿 主 域 等 の 生 物 学 的 性 状 に 違 い が あ る 。 ま たCPVは1970年 代 後 半 に 突 然 出 現 し た ウ イ ル ス で あ り 、FPLVあ る い はMEVに 変 異 が 生 じ た た め に 犬 へ の 感 染 性 を 獲 得 し た ウ イ ル ス と 考 え ら れ て い る 。 従 っ て 、CPV、FPLV、 お よ びMEVの 宿 主 特 異 性 の 機 構 を 解 明 す る こ と は 、 こ れ ら ウ イ ル ス の 相 互 関 係 とCPVの 出 現 機 構 を 理 解 す る 上 で 非 常 に 重 要 で あ る 。 FPLVお よ びMEVは 犬 お よ び 犬 由 来 の 培 養 細 胞 で 殆 ど 増 殖 し な ぃ こ と か ら 、 本 研 究 で は 犬 由 来 の 株 化 細 胞 を 用 い てin vitroに お ける 宿 主 細胞 特 異性 の 機構 を 解明 す るこ と を目 的 とし て 、 1) CPVの 感 染 性 DNAク ロ ー ン の 作 製 、 2) FPLVお よ びMEVの 犬 由 来 の 培 養 細 胞 で の 増 殖 態 度 の 解 析 、 な ら び に3)MEVに 犬 の 細 胞 で の 増 殖 能 を 付 与 す る CPVゲ ノ ム の 領 域 の 同 定 を 行 い 、 以 下 の 成 績 を 得 た 。     1) パ ル ボ ウ イ ル ス は 一 本 鎖DNAを ゲ ノ ム と し て 持 っ が 、 細 胞 内 で 複 製 す る 際 に は 二 本 鎖 の 複 製 型DNA(RFDNA)と な る 。CPV‑Y1株 (CPV‑Y1) 感 染 細 胞 よ りRFDNAを 抽 出 し こ れ を プ ラ ス ミ ド ベ ク タ ー に ク ロ ー ン 化 し た 。 CPV‑Y1ゲ ノ ム 全 長 を 合 む プ ラ ス ミ ドpCPVYlを 猫 腎 株 化 細 胞 に ト ラ ン ス フ ェ ク ト す る と 培 養 上 清 に 感 染 性 ウ イ ル ス が 産 生 さ れ た 。pCPVYl由

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来 の ウ イ ル ス の 生 物 学 的 性 状 を 親 株 で あ るCPVーY1の そ れ と 比 較 し た と こ ろ 、 ウ イ ル ス 抗 原 の 発 現 と 分 子 量 、 ウ イ ル スDNAの 複 製 、 赤 血 球 凝 集 能 、 お よ び ウ イ ル ス 増 殖 能 など 調 べた 全 ての 性 状で 差 が認 め ら れな か った 。 従つ てpCPVY1由 来 の ウ イ ル ス は 親 株 と 同 一 の 性 状 を 有 し て お り 、pCPVY1は CPVお よ びCPVに 関 連 し た ウ イ ル ス 遺 伝 子 の 機 能 を 調 べ る 道 具 と し て 有 用 であることが明らかとなった。

    2) 宿 主 細 胞 特 異 性 の 機 構 を 調 べ る た め に 、A72犬 線 維 腫 細 胞 に お け る FPLVお よ びMEVの 感 染 が ウ イ ル ス 増 殖 の ど の 段 階 で 停 止 し て い る か を 検 討 し た 。A72細 胞 にFPLVあ る い はMEVを 感 染 さ せ た 場 合 は ウ イ ル ス の 増 殖 は 殆 ど 起 こ ら な か っ た 。 ウ イ ル ス 吸 着 試 験 に よ りMEVはCPVと 同 程 度 の 効 率 でA72細 胞 に 吸 着 し た が 、 ウ イ ル スDNAの 転 写 は 検 出 限 界 以 下 で あ っ た 。 一 方 、pMEVを ト ラ ン ス フ ウ ク ト し たA72細 胞 で は 明 ら か に ウ イ ル ス DNAの 転 写 が 起 こ り 、 あ る 程 度 の カ 価 の ウ イ ル ス が 産 生 さ れ た が 、 産 生 さ れ た ウ イ ル ス はA72細 胞 で 増 殖 し な か っ た 。 以 上 の 結 果 か ら 、FPLVお よ び MEVの 宿 主 細 胞 特 異 性 は ウ イ ル ス が 細 胞 に 吸 着 し た 以 降 か ら ウ イ ル ス DNA転 写 開 始 の 間 の ウ イ ル ス 感 染 初 期 の 過 程 で 制 御 さ れ て い る こ と が 明 ら かになった。

    3) 種 々 のCPV/MEVキ メ ラ ウ イ ル ス を 作 製 し 、 こ れ ら のA72細 胞 へ の 感 染 性 を 指 標 に 、MEVに 犬 の 細 胞 で の 増 殖 能 を 付 与 す るCPVゲ ノ ム の 領 域 、 即 ち 、CPVの 宿 主 細 胞 域 を 規 定 す る 領 域 を 同 定 し た 。 そ の 結 果 、CPVゲ ノ ム の60か ら91 map units(m.u. ) の 領 域 がMEVにA72細 胞 で の 増 殖 能 を 付 与 す る た め に 必 要 で あ る こ と が 明 ら か に な っ た 。 こ の 領 域 は ウ イ ル ス 構 造 蛋 白 (VP)遺 伝 子 の 一 部 、VP2蛋 白 の91ア ミ ノ 酸(aa91)か らC端 ま で の 領 域 を コ ー ド す る 部 分 お よび そ れに 続 く112塩基 か ら成 る5 非 翻訳 領 域を 合 ん で い た 。60−91 m.u.の 領 域 の 塩 基 配 列 を キ メ ラ ウ イ ル ス 作 製 に 使 用 し たCPV‑Y1とMEV‑Abashiri株 間 で 比 較 し た と こ ろ 、 ア ミ ノ 酸 の 変 化 を 伴 う 塩基 の違Vヽカミ9個存在した[nt3103(aa93),nt3132(aa103),nt3723(aa300), nt3737(aa305),nt3791(aa323),nt4056(aa562),nt4515(aa564),nt4527(aa568)]。 こ の う ち5個 は 系 統 発 生 的 にCPV特 異 的 で あ る こ と が 示 唆 さ れ た(aa93,

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aa103 , aa323 ,aa564 ,aa568) 。CPV/FPLV キメラウイルスを用いた実験では aa93 とaa323 をCPV 型に置換した組換えFPLV は CPV の宿主細胞域を示すこ と が報告されている。本研究で使用した CPV/MEV キメラウイルスの系で は CPV 特異的な5 アミノ酸全てを有するウイルスでも CPV の宿主細胞域を 示 さなかったことから、 60 ― 91 m.u. の領域に存在するウイルス間で異 なる9 アミノ酸が協調的に CPV の宿主細胞域を規定することが示唆された。

また、非構造蛋白(NS) 遺伝子の一部が A72 細胞におけるウイルス増殖の効 率に影響することが明らかになった。

   以上の結果を総括すると、猫パルボウイルスの宿主域変異群に位置づ

け られて いる CPV 、 FPLV 、およ び MEV の宿 主細胞特異性は、ウイルス吸

着以降からウイルス DNA の転写開始までのウイルス増殖初期の過程で規定

されていること、およびウイルス構造蛋白遺伝子の一部が宿主細胞特異性

を規定していることが明らかになった。従って、この宿主細胞特異性には

細胞に侵入したウイルス粒子のウイルス構造蛋白が関与していることが示

唆された。

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学位論文審査の要旨

主 査   教 授   小 沼    副 査   教 授   清 水 悠 紀 臣 副 査   助 教 授   高 島 郁 夫

副査    助教授    林    正信      学 位 論 文 題 名

lVIolecular genetic studies on the host specificity   of the feline parvovlrus host range variants.

( 猫 パ ルボ ウ イ ルス宿主域 変異群の 宿主特異 性に関す る分子遺 伝学的研 究)

  犬バルボ ウイルス (CPV)、猫 汎白血球減 少症ウイ ルス(FPLV) 、および ミ,ンク 腸炎ウイ ルス(MEV) はバルボ ウイルス属 に属し、互いに98%以上のDNA塩基配歹fJ 相同 性 を 有す る が、 宿 主 域等 の 生物 学 的 性状 に 違い があり 、FPLVおよびMEVは犬お よび 犬 由 来の 培 養細 胞 で 殆ど 増 殖し な い 。本 論 文は 犬 由 来の 株 化 細胞 を 用い てin vitroに おけ る 宿主 細 胞 特異 性 の機 序 を 解析 し 、 得られ た新知見 にっいて 述べたも のである 。

  ま ずCPVの 感 染性DNAク ロー ン を作 製 し た。 こ のDNAク口ーン 由来のウ イルスと 親 CPVと の ウイ ル ス性 状 を 比較 し たと こ ろ 、両 者 に差 は認めら れなかっ たことか ら DNAク ロ ーン は ウイ ル ス 遺伝 子 の機 能 を 調べ る のに 有用であ ることが 明らかと な った 。FPLVMEVは 犬 由来A72細 胞で ウ イル ス の 増殖 は 殆ど 起 こ らな か った 。 ま た MEVCPVと 同程 度 の効 率でA72細 胞に吸着 したが、 ウイルスDNAの 転写は検 出限界以 下で あ っ た。FPLVお よびMEVの 宿主 細 胞特 異 性 はウ イルス が細胞に 吸着した 以降か らウ イ ル スDNA転 写開 始 の 間の ウ イル ス 感 染初 期 の過 程で制御 されてい ることが 明 らかにな った。

  次 に 種々 のCPV/MEVキ メラウイ ルスを作 製し、こ れらのA72細胞 への感染 性を指標 に、CPVの 宿主 細 胞域 を 規 定す る 領域 を 同 定し た 。そ の 結 果、CPVゲ ノム の60か ら 91map unitsmu.)の領域がMEVA72細胞での増殖能を付与するために必要である ことが明 らかにな った。 6091m.u.領域の塩基 配列をCPVMEVで比較し たところア ミノ 酸 の 変化 を 伴う 塩 基 の違 い が9ケ所 認 め られ た 。CPV/MEVキ メ ラウ イ ルス で は CPV特 異 的 な5ア ミ ノ 酸全 て を 有す る ウイ ル ス でもCPVの宿 主細胞域 を示さな かった ことから 、6091mu. の領域に 存在するウ イルス間 で異なる9アミノ酸 が協調的に CPVの宿主細 胞域を規 定するこ とが示唆さ れた。

  この研究 はCPVFPLV,お よびMEVの宿 主特異性の機序を分子レベルで解明したもの であ り 、 これ ら ウイ ル スの相互 関係を理 解するのに 重要な知 見を提供 するもの であ る。 よ っ て審 査 員一 同 は堀内基 広氏が博 士(獣医学 )の学位 を受ける のに十分 な資 格を有す るものと 認めた。

ー205 ‑

参照

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