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博士(医学)王 冰燕 学位論文題名

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Academic year: 2021

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(1)

     博士(医学)王   冰燕 学位論文題名

Characteristics of Intrathymic B Cells in Normal and Chimera Mice

(正常,及びキメラマウス胸腺内B 細胞の特徴)

     学位論文内容の要旨

I.はじめに

  胸腺内には一定数のB細胞が存在し,これらは末梢のB細胞とは異なる亜群に属すると考えら れてぃる。また,B細胞がMls―1°抗原を発現していることも証明されている。胸腺内Mlsー 1 抗原発現とMls−1 反応性のVロ6TCR陽性のT細胞の月匈腺「勺消去の関係が判明しており,

従って胸腺内B細胞の役割に興味が持たれる。本研究では,胸月東内B細胞の分布と表現型が,マ ウス系統によって異なること,さらにこれらの違いは胸腺を構築する基質細胞によることを明ら かにした。

n.材料と方法

  1) マ ウ ス :AKR/J(AKR) , SJL/J( SJL),DBA/1,SWR/J(SWR) , BALB/c,C57BL/10(Bl0) ,B10. BR,C57BL/6(B6) ,C3H/He(C3H) ,B 10.D2,CBA/N,B10. AQR,Bl0.A(4R) , ま た はB10.A(3R) を 用 い た 。   2)骨髄キ メラ作製:llGy全身照射したレシピェン卜マウスに,8一12週齢のドナーマウス のT細胞除去 骨髄細胞を2 x10 ̄個移植し ,作製した。Bl0の骨髄細胞 をAKRマウスに移入し た場合には, [BlO→ AKR]と表し,以下 他の組合せも同様の命名法を用いた。GVHRキメラ は ,ナイ口ンウ―ル で精製したB6マウスの末梢T細胞1xi0 個をB6マウスの骨 髄細胞と共 にAKRに移植 し,作製した。

  3)免疫組織化学解析:マウスの胸H泉を取り,凍結切片作製後,Vectastain Kit(ABC法)

にて免疫組織 染色を行った。また,FITC標識した抗マウスIgを用いて,螢光顕微鏡で解析し た。

  4)フ口ーサイトメトリーによる細胞表面抗原の解析:正常マウスと骨髄再建後5週の骨髄キ メ ラ マ ウ ス の 胸 腺 細 胞 を 螢 光 抗 体 で 染 色 後 , FACScanで 解 析 し た 。

(2)

m結  果

  1)胸 腺 内B 220陽 性 細胞 の分 布:AKRとSJLマ ウス では ,B細胞マーカー であるB220陽 性 細胞 は, 胸腺髄 質内にクラス夕一を形成した が,Bl0,BALB/cなど他の大 部分のマウス では,B 220陽性細胞は散在性に認められた。しかし,胸腺皮質においては,全てのマウス系統 で,B 220陽性細胞は散在性に分布していた。また,B220陽性細胞の実数も胸腺髄質と較べ少な かった。膜型イ ムノグ口ブリン(sIg)陽性細胞の分布型も,B220陽性細胞とほば同じであっ た。

  2)胸 腺 内B細 胞の 比 率: クラ ス夕 一が認め られたAKRとSJLマウスでは, 他の大部分の 系統のマウスより,胸腺内B細胞の比率が高かった。

  3)胸 腺 内B細 胞の 表 現型 : AKRとSJL成熟 マウ ス では ,sIg陽性細胞は 大部分がLy―1 陰性であった。 しかしBl0,BALB/cなど他の 大部分のマウスでは,sIg陽 性の細胞の70−80

%が,Ly1陽性だった。

  4)加 齢 の影響: AKRとSJLマウスでは,週齢 によって胸腺内B細胞の分布 と表現型が異 なった。即ち,AKR, SJLの胸腺内B細胞教は,加齢と共に増加した。さらに,生後5週では,

胸腺内B細胞の分布は散在性で, 10週から,クラスター形成が認められるようになった。また生 後5週目 で は,AKR,SJL胸腺 内B細胞 はLyl陽 性が 多 かっ たが ,上記のごと く10週以後,

Ly―1陰 性B細胞 が多 く なフ た。Bl0, BALB/cなど 他 の大 部分 の、マウスで は,このよう な変化は認められなかヮた。

  5)一 代 雑種 (F,)マ ウス の 胸腺 内B細胞:AKRまたはSJLマウスと他の系 統のマウス間 のF,で は,AKRとSJLと 同じ 分布 と表 現型か認 められた。っまり,クラスタ ー形成と,Ly

‑1陰性B細胞の増加は,遺伝的に優性な形質と考えられた。

  6)骨 髄 キメ ラの 胸腺 内B細胞 :[B 10‑*AKR] と [AKR→B10]キメラの 場合は,胸腺 内 のB細 胞 の分 布型 と表 現型 は ,そ れぞれAKR型とBl0型を示した。即ち, 胸腺内B細胞の 分 布 様 式 と 表 現 型 は , ド ナ ー で は な く , レ シ ピ ェ ン ト の も の と 相 関 し た 。   7) GVHRキメ ラの 胸腺 内B細胞 :GVHRキメ ラの 場合 は, 胸 腺内B細胞教が 減少したが,

Ly―1陽 性B細胞 の比 率 は,GVHRを示 さ ない コン ト口 ール キ メラ より 高か った 。 また , GVHRと コン ト口ー ルキメラの差は,免疫l.制剤 サイク口スポリンA(CsA)投 与によって減 少 した 。従 って ,胸 腺 内のLy−1陽 性B細胞比 率の増加は,GVHRの直接影響 によると考え られた。

(3)

IV.考  察

  マウス胸腺内B細胞の分布型はクラス夕一形成型と散在型のニっに分類された。クラス夕一型 はAKR,SJL, また これ ら と他 のマ ウス 間 のFlマウ スのみに認められた。さら にAKRまた はSJLマウスでは,週齢によって胸腺内B細胞の分布,数,表現型が異なった。従って,胸腺 内B細胞のクラス夕一形成fま, そのマウス遺伝形質と加齢 とに関連することが判明した。

  骨髄キメラの場合,胸腺内B細胞の分布,表現型はドナー系統に関係なく,レシピェントマウ スによって決められた。っまり,レシピェントマウスの胸腺微小環境は,胸腺内B細胞のマイグ レーションと分化パタ―ンに重要な影響を与えると考えられた。

  Ly―1陽性B細胞は,自己反応 性T細胞のクローン消去に関与していると報告されている。

ま た,[B lO‑‑ AKR]  GVHRキ メラの場合では,レシピェン 卜抗原(Mls−1 )反応性Vロ 6陽性T細胞の胸腺内消去が起こらないことが,当教室の福士らによって報告されている。従つ て , [BlO→ AKR] GVHRキ メラ で ,Ly―1陽性B細 胞の比率が高かったのは予想 外であっ た 。この結果から,Ly―1陽性B細胞が存在しても,Mlsー1 抗原を発現するレシピェント

(AKR)細胞 が傷 害 され たた め,GVHRキ メラ ではVロ6陽 性T細 胞 のク 口ー ン消 去が 起 こ らないと考えられた。

V.結  語

  マウス系統によって胸腺内B細胞の分布と表現型が異なること,これらの差は胸腺スト口一マ によって決められることが判明した。

学位論文審査の要旨

  胸腺内には一定数のB細胞が存在し,これらは末梢のB細胞とは異なる亜群に属すると考えら れている。最近,胸腺内における自己抗原反応性T細胞クローンの消去に,これら胸腺内B細胞 が関与しているという報告が提出されたが,これらB細胞の役割にっいては,依然として不明な

則 年

小 武

授 授

教 教

査 査

主 副

(4)

点が多い。本研究においては,胸腺内B細胞の分布と表現型にっいて,種々のマウス,骨髄キメ ラマウスを用いて比較,解析した。

  調べた大部分(16系統)のマウスにおいて,胸腺内B細胞は散在性に認められ,その教も全胸 腺リンパ球中の0.5%を越えることはなかった。また,これら胸腺内B細胞の70〜  80%はLy―・

1陽 性細 胞で あっ た。 し かし ,AKRとSJLマウス,及びこれらと他の 系統間の1代雑種マウ スにおいては,胸腺内B細胞数は加齢と共に増加し,生後25週では全胸腺リンパ球の2%を越え た。また,これらのマウスでは,髄質内のB細胞は,生後10週以後にはクラス夕一を形成し,こ れらのクラスター形成 細胞の大部分は,Ly一,1陰性であった。したがって,AKR,SJLマウ ス及びこれらと他の系 統間の一代雑種においては,Lyl陰性B細胞が加齢と共に胸腺内に増 加し,これはクラスターを形成することが判明した。

  次にこのような胸腺内B細胞の分布と表現型が,リンパ球そのものの性質によって規定される のか,または胸腺骨格 を構成する基質細胞によるのかを調べるために,致死線量放射線照射 AKRまた はBl0マ ウス に, それ ぞれBl0またはAKRの骨髄移植を行い ,異系骨髄キメラにお ける 胸腺内B細胞の性状を解析した。そ の結果,ドナーがBl0,レシ ピェン卜がAKRの場合 には,胸腺内B細胞はすべてBl0由来のものと置換しているに関わらず,B細胞の比率は高く,

また これら の大部分はクラス夕一形成 性のLy−1陰性B細胞であった 。逆にAKRがドナ一,

Bl0マウスがレシピェン トの場合には,AKR由来の胸腺内B細胞の比率は低く,また胸腺髄質 内のクラスター形成も認められなかった。っまり,胸腺内B細胞の分布と表現型は,放射線抵抗 性 の レ シ ピ ェ ン ト 胸 腺 基 質 細 胞 に よ っ て 決 定 さ れ る こ と が 判 明 し た 。   また骨髄移植時に成 熟型T細胞を加えて,移植細胞対宿主反応(GVHR)を誘導した骨髄キ メラにおいては,GVHRを生じないキメラと較べて胸 腺細胞数は著明に低下していたが,Ly

‑1陽性B細胞の比率は高 かった。このような変化は,免疫抑制剤のサイク口スポリンA投与に よ っ てGVHRを 抑 え る と認 めら れな く なる こと から ,Ly―1陽性B細 胞の 増加 はGVFIRの 直接影響によると考えられた。

  論文発表に際し,武市,上出,細川,柿沼,宮崎各教授より,胸腺内B細胞の生理的役割,

lineageの違い,胸腺内B細胞と内在性ウィルスとの関連,骨髄キメラレシピェントマウスの加 齢による影響,異なる組み合わせのキメラマウスの場合にっいて,マウスの飼育条件,胸腺内基 質細胞の種類にっいて,サイク口スポリンAの量と影響にっいて,T細胞のB細胞に対する影響 などにっいて質問があったが,申請者は,おおむね適切な解答をなし得た。また,武市,上出両 教授には,個別にご審査いただき合格と判定された。

(5)

  以上,本研究は胸腺内Ly一1陰性B細胞の加齢に伴う増加とクラスター形成が,胸腺基質に よって規定されること,これらは遺伝的に優性な形質であることを示した。また,本研究は胸腺 内のLy―1陽 性B細胞がGVHRな どのストレスに比較的抵抗性 であることを示し,これら は い ず れ も 新 知 見 と 考 え ら れ , 博 士 ( 医 学 ) の 学 位 に 相 当 す る と 判 断 さ れ た 。

参照

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