• 検索結果がありません。

博士(獣医学)古林与志安 学位論文題名

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "博士(獣医学)古林与志安 学位論文題名"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

     博士(獣医学)古林与志安 学位論文題名

鶏における 高度病原性トリインフルエンザ    ウ イ ル ス 感 染 症 の 病 理 形 態 学 的 研 究

学位論文内容の要旨

   トリインフルェンザウイルスはA 型インフルェンザウイルスに属し,エンベ口ープ に埋め込まれた2 種の異なる糖蛋白,すなわち,赤血球凝集素(HA) およびノイラミ ニ ダ ー ゼ (NA) の 抗 原 特 異 性 に 基 づ い て, それぞ れHl 〜14 および Nl 〜 9 の亜型 に分類される.これまでに発生のみられた高度病原性トリインフルェンザウイルス感 染症の原因ウイルスは,H5 あるいはH7 亜型に限られている,高度病原性トリインフ ルェンザウイルスの病原性については,ウイルス学的あるいは分子生物学的に良く研 究されいる.辿 vitro ではトリプシン無添加条件下におけるウイルスHA のHA1 と HA 2 への開裂能がその病原性と関連する.すなわち,開裂部位のアミノ酸配列とその近 傍の構造に病原性は依存している.しかしながら,高度病原性卜リインフルエンザウ イルス感染症の宿主体内での病理発生は明確にされていない.また,高度病原性トリ インフルエンザウイルス感染症の病理発生を,免疫組織学的手法を用いて検討した少 数の報告では,すべて H5 亜型のウイルスのみが使用され,H7 亜型の高度病原性トリ インフルエンザウイルスを用いた検討はなされていない.

   高度病原性トリインフルエンザウイルス感染鶏および七面鳥では,中枢神経系の障 害が共通する組織病変の1 っとされている,この病変は巣状壊死,血管周囲リンパ球 浸潤,血管一グリア反応,および神経細胞の変性・壊死を特徴としている.レかしな がら,高度病原性卜リインフルエンザウイルス感染に起因する中枢神経障害の,病理 発生に関する研究は乏しい.

   本研究では,H5 およびH7 亜型の高度病原性卜リインフルエンザウイルスを鶏に接 種し,中枢神経系を含めた全身の病態と,その病理発生を形態学的に明らかにレた.

   第1 章では,高度病原性トリインフルエンザウイルスA/turkey/England/50‑92/91 (H5N1) 株を鶏に接種し,その病態を明らかにレた.実験はこのウイルスを6 週齢の SPF 鶏10 羽に経鼻・経ロ接種し,これらを病理学組織学的ならびに免疫組織学的に検 索した,

   実験鶏は,ウイルス接種後.25 および39 時間の甚急性の経過でそれぞれ1 羽が死亡

レた.これらの症例では,組織学的に肺の鬱血水腫,全身性鬱血,多発性出血,血栓

形成および核崩壊産物の血管壁への付着を伴う全身の血管,特に毛細血管および小血

管の内皮細胞の腫大が認められた.ウイルス抗原は,主に肺の呼吸毛細管上皮/毛細

血管内皮細胞,全身の血管の内皮細胞および心筋細胞に認められた,他の8 羽は,接

種後2 日ないレ5 日の間に急性経過で死亡した.これらの症例における病変は,ウイ

(2)

ル ス 抗 原 を 伴 う 内 臓 諸 臓 器 ・ 組 織 , 中 枢 神 経 系 , 骨 格 筋 お よ び肉 冠 ・ 肉 垂を 含 む 皮膚 に お け る 変 性 ・ 壊 死 性 変 化 お よ び 炎 症 性 変 化 で あ っ た . ま た ,こ れ ら の 症例 に お いて は , 甚 急 性 の 経 過 で 死 亡 し た 症 例 と 同 様 の 血 管 病 変 に 加 え , 血管 周 囲 組 織の 変 性 ・壊 死 性 変 化 お よ び 炎 症 性 変 化 が ウ イ ル ス 抗 原 の 血 管 周 囲 組 織 へ の波 及 に 伴 って 所 見 され た . さ ら に , ウ イ ル ス 抗 原 は 全 症 例 の 心 筋 細 胞 に 広 範 に 検 出 さ れ た . 以 上 の 結 果 か ら ,鶏 にお けるA/turkey/England/50・92/91(H5N1)株 感染症で は,心臓 血管系 の障害が 本 症 の 病 理 発 生 と し て 極 め て 重 要 で あ る こ と が 指 摘 さ れ た . また , 甚 急 性の 経 過 で死 亡 した 症 例 にお い て は ,心 臓 血 管系 の 障 害と ウ イ ルス に よ る直接 的なJ亅ゆ実質 障害の 結 果 と し て 誘 発 さ れ た 肺 の 鬱 血 水 腫 が , 致 死 要 因 と し て 注 目 さ れ た .

  第 2章 で は , 鶏 に お け るH7亜 型 の 高 度 病 原 性 ト リ イ ン フ ル ェ ン ザ ウ イ ル スA/

chickenルictoria/1/85(H7N7)株 感染症 の病態を 明らか にした. 実験は,このウイルスを 6週 齢 のSPF鶏10羽 に 経 鼻 ・ 経 ロ 接 種 し , こ れ ら を 病 理 学 組 織 学 的 な ら び に 免 疫 組 織学的 に検索 した.

  ウ イ ル ス 接 種 後2日 か ら5日 の 間 に 全 実 験 鶏 が 死 亡 し た . 病 変 は 血 管 病 変 と 内 臓 諸 臓 器 ・ 組 織 , リ ン パ 性 器 官 , 中 枢 神 経 系 , 骨 格 筋 , お よ び 肉 冠 ・ 肉 垂 を 含 む 皮 膚 の 様 々 な 程 度 の 変 性 ・ 壊 死 性 変 化 な ら び に 炎 症 性 変 化 か ら な って い た ,血 管 病 変 は毛 細 血 管 お よ び 小 血 管 で 特 に 顕 著 な 内 皮 細 胞 の 腫 大 , 全 身 性 鬱 血, 多 発 性出 血 お よ び血 栓 形 成 で 構 成 さ れ , こ れ ら は 全 症 例 の 全 身 諸 臓 器 ・ 組 織 で 様 々な 程 度 に所 見 さ れ た. 接 種 後2日 な い レ3日 に 死 亡 し た 症 例 で は , ウ イ ル ス 抗 原 が 血 管 内 皮 細 胞 の 核 内 お よ び 細 胞 質 内 に 認 め ら れ た が , 接 種 後4日 な い し5日 に 死 亡 レ た 症 例 で は , ウ イ ル ス 抗 原 が 血 管 周 囲 組 織 ヘ 波 及 レ , こ れ に 伴 っ て 血 管 内 皮 細 胞 の 陽 性反 応 は 著レ く 減 弱 して い た . ま た , ウ イ ル ス 抗 原 は 全 症 例 の 心 筋 細 胞 に 広 範 に 検 出 され た . その 他 の 諸 臓器 ・ 組 織 の 変 性 ・ 壊 死 性 お よ び 炎 症 性 変 化 は , ウ イ ル ス 抗 原 に 概ね 関 連 して 認 め ら れ, そ れ ら は 接 種 後 日 数 に 比 例 し て 強 く な る 傾 向 を 示 レ た . 以 上 の結 果 か ら,H7亜 型の ウ イ ル ス 感 染 症 に お い て も , ウ イ ル ス の 血 管 内 皮 細 胞 お よ び 心 筋細 胞 へ の感 染 に 起 因す る 直 接 的 な 心 臓 血 管 系 の 障 害 , お よ び 血 管 の ウ イ ル ス 感 染 に 引き 統 い て起 こ る ウ イル ス の 血 管 周 囲 組 織 へ の 波 及 が , 本 症 の 病 理 発 生 と し て 重 要 視 さ れ た .

  第3章 で は , 高 度 病 原 性 ト リ イ ン フ ル エ ン ザ ウ イ ル ス 感 染 症 に 共 通 し て 認 め ら れ る , 中 枢 神 経 系 障 害 の 病 理 発 生 を 検 討 し た . 実 験 は6週 齢 のSPF鶏 に 高 度 病 原 性 ト リ インフル′エンザウイノレスA/turkcy/England/50‐92/91(H5N1)株,A/chicken/Victori酊1/85

(H7N7) 株 , な ら び にA/tcn蠅0uth飴ica/61(H5N3) 株を 経 鼻 ・ 経ロ 接 種 し, こ れ らの 中 枢 神 経 系 病 変 を 病 理 組 織 学 的 な ら び に 免 疫 組 織 学 的 に 比 較 , 検 討 し た ,   3株 の ウ イ ル ス 接 種 鶏 群 す べ て に お い て , 接 種 後7日 以 内 に 大 部 分 の 症 例 が 死 亡 し た . 生 存 鶏 は 接 種 後2週 目 に 安 楽 殺 さ れ た . 組 織 病 変 お よ び ウ イ ル ス 抗 原 の 中 枢 神 経 系 内 発 現 様 式 は ,3種 類 の ウ イ ル ス 接 種 群 と も 類 似 レ て い た . す な わ ち , 組 織 学 的 に は , ウ イ ル ス 接 種 後3日 以 内 に 死 亡 し た 症 例 に お い て さ え , 多 発 性 ミ ク 口 グ リ ア 結 節 お よ び 巣 状 壊 死 が 認 め ら れ た . ウ イ ル ス 接 種 後4日 な い し7日 に 死 亡 し た 症 例 で は , こ れ ら の 病 変 に 加 え て 脳 室 炎 が 顕 著 で あ っ た . こ の 脳 室 炎 は脳 室 周 囲脳 実 質 の壊 死 性 お よ び 炎 症 性 変 化 を 伴 っ て 所 見 さ れ た . 多 発 性 ミ ク 口 グ リ ア結 節 お よび 巣 状 壊死 は , 中 枢 神 経 系 に ラ ン ダ ム に 分 布 し , と き に 血 管 に 近 接 レ て 認 めら れ た ,免 疫 組 織学 的 に は , ウ イ ル ス 接 種 後3日 以 内 、 に 死亡 し た 症例 の 血 管内 皮 細 胞, ミ ク 口グ リ ア 結節 お よ び 壊 死 巣 を 構 成 す る 細 胞 な ら び に 血 管 周 囲 の 脳 実 質 細 胞 に ウイ ル ス 抗原 が 発 現し て い

(3)

た.また,感染の比較的早期から脳室上衣細胞にウイルス抗原が発現し,これに後続

して脳室上衣下の神経細胞およびグリア細胞にウイルス抗原が認められた.以上の結

果より,血管内皮細胞へのウイルス感染と,これよりやや遅れて起こる脳室上衣細胞

へのウイルス侵襲が,高度病原性トリインフルエンザウイルス感染症の中枢神経系障

害の病理発生として重要であると解された.

(4)

学位論文審査の要旨 主 査    教 授    板 倉 智 敏 副 査    教 授    橋 本    晃 副 査    教 授    喜 田    宏 副 査    教 授    岩 永 敏 彦

学 位 論 文 題 名

鶏における高度病原性トリインフルエンザ    ウ イ ル ス 感 染 症 の 病 理 形 態 学的 研 究

  申 請 者 は ,H5およ びH7亜型 の高 度病 原性 トリイ ンフ ルエ ンザ ウイ ルス を鶏 に接 種 レ , 中 枢 神 経 系 を 含 め た 全 身 の 病 態 と , そ の 病 理 発 生 を 明 ら か に し ァ ニ .   H5亜型の高度病原性トリインフルエンザウイルスA/tlurkey/England/50.92/91(H5Nl) 接 種鶏の うち ,甚 急性 の経 過で 死亡 した 症例は,肺の鬱血水腫,全身性鬱血,多発性 出 血,血 栓形 成お よび ウイ ルス 抗原 を伴 った 血管 内皮 細胞 の腫大 を示 した.接種後2

〜5日の 間に 死亡 した 症例 では ,血管 周囲 組織 の変 性・ 壊死 性変 化お よび炎症性変化 が ウイル ス抗 原の 血管 周囲 組織 への 波及 に伴って所見された.また,ウイルス抗原は 全 例の心 筋細 胞に おい ても 検出 され た. 以上の結果から,心臓血管系の障害が本症の 病理発生として重要であることが指摘された.

  H7亜型の高度病原性トリインフルエンザウイルスA/chickenルictoria/1/85(H7N7)接 種 鶏 も , 前 述 のH5亜 型 ウ イ ル ス 接 種 鶏 と 基 本 的 に は 同 様 の 病 変 を 示 し た ,   以上の2株 およびA/tem/SouthA丘ica/61(H5N3)株のインフルエンザウイルスを接種 し た鶏の 中枢 神経 系に おけ る病 変と ウイ ルス抗原の発現様式は類似していた.すなわ ち,病変は多発性ミクログリア結節,巣状壊死,脳室炎を特徴としてしヽた.ウイルス 抗 原は, 接種 後3日以 内の 死亡 例では ,血 管内 皮細 胞, ミク 口グ リア 結節および壊死 巣 の構成 細胞 ,血 管周 囲の 脳実 質細 胞に 主座レて観察された.また,感染の比較的早 期 から脳 室上 衣細 胞に ウイ ルス 抗原 が発 現し,これに後続して脳室上衣下の実質細胞 に ウイル ス抗 原が 認め られ た. 以上 の結 果より,血管内皮細胞へのウイルス感染と,

こ れより やや 遅れ て起 こる 脳室 上衣 細胞 へのウイルス感染が,本症の中枢神経系障害 の病理発生として重要視された.

  以上の よう に, 申請 者は 本症 の病 態を 明らかにするとともに,その病理発生の一端 を 明らか にし た, この 成果 は, 本症 の本 態の究明に大きく貢献する,よって審査員一 同 は,古 林与 志安 氏が 博士 (獣 医学 )の 学位を受けるのに十分な資格を百するものと 認めた,

参照

関連したドキュメント

フイロウイルスのC 型レクチン介在性細胞侵入効率には、C 型レクチンとGP

その結果、褐色の卵細胞質を有する卵子のうち黒色領域が認められる卵子はATP

その結果、ワクチンを接種したCD8 ゛T 細胞欠損鶏における強毒MDV

   第 6 章 人の 0:8 菌 感染 症の 散 発流 行が みら れた青森県 津軽地方 において、 1992 年の 11 月、1993 年の6 月と8

上述のごとく、グッ歯目動物の GL は顆粒リンバ球と肥満細胞からなる

た標的物質であり、しかもこれらの中和関連エピトープのすべてがクラ

討 した 。 ABPC を感 染1 日後 から 1 日1 回,連続3 日間皮下投与して

   結 果と 考察: IMR‑32 細胞に同細胞で3 代継代したJCV Mad‑l 株を感染させ 17 代 継代 した とこ ろ, 多量 のウ イルス を比 較的 短期 間に 産生 する