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博士(獣医学)山下 匡 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(獣医学)山下   匡 学位論文題名

ア ル フ ァ ー フ ェ ト プ ロ テ イ ン ( AFP ) の      生物学的機能に関する研究

     ―卜ランスジェニックマウスを用いた検討一

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

   ヒト をはじ めマウ ス、ラ ット、プ夕等の哺乳動物において、妊娠 の 維 持 に AFP は重 要 な 役 割 を果 た す と考 えられ てい る。 AFP は 妊娠 の 後期 にその 血中濃 度が最 大とをり、多くの動物種で出生直後から 漸次低下し、やがてアルプミンに置換される。ー゛方、ヘパトーマや あ る種 の固形 癌にお いては AFP が再 度血中 に出現 する。 本論 文では 上 記の ように 生体に おいて 挙動 する AFP の 生物学 的機能 を遺 伝子導 入(トランスジェニック)動物を用いて明らかにすることを試みた。

  AFP を産 生する トラン スジェ ニッ クマウ ス作製 のため に発 現ベク タ ー を 作 製 を し た 。 プ ロ モ ー タ ー と し て ヒ ト p − actin enhancer/promoter 領域 あるい はSV40 promoter 領域を用いた。これ ら に ヒ ト AFP cDNA 、 ス プラ イ ス サ イ トお よ び ポ リ A シグ ナ ル を 連 結した融合遺伝子をそれぞれ p ‑act ‐hAFP およびSV‑hAFP と名付け、

マ ウス受精卵に導入した。これらの遺伝子を導入して作製されたト ランスジェニックマウスでは、導入遺伝子が安定に子孫に伝達した。

ま たコ ピー数 が複数 のマウ スにおいては、遺伝子の導入様式はすべ ての系統において head to tail であった。組織における発現は使用し た プロ モータ ーから 予想さ れたように、特定臓器にかたよることな く 多 く の 臓 器 にお い て AFP の発 現 が 確認 された 。発 現して いるAFP は ヒ ト ヘ バト ー マ 患 者 と同 一 の 約 65kDa で あ り 、 血 中AFP 量 は 1 〜 20yg/ml であった。

AFP の生物 学的機 能のー っと考 えら れてい る免疫 抑制能 につ いて、

(2)

.リステリア菌の実験的感染による臓器内の菌の増殖状態と、生体防 御反応として宿主の免疫担当細胞が産生するサイトカイン量により ね vivo で検討した。AFP 産生トランスジェニックマウスにおいては、

AFP による免疫抑制効果により、リステリア感染時において標的臓 器における顕著な細菌の増殖が見られた。それを裏づけるようにト ランスジェニックマウスにおいては、サイトカイン( IFN‑y および TNF) 産生量の低下 が観察された。 TNF の低下に比べ IFN‑y の低下が より顕著であったことから IFN‑y の主産生細胞であるNK 細胞が非特 異的防御ではより影響を受けることが示唆された。同様に TNF の主 産生細胞であるマクロファージにおいてもサイトカインの産生量が 抑制される結果が得られた。以上のことよりAFP の免疫抑制能をト ランスジェニックマウスを用いてjn vivo で証明することができた。

   自己免疫疾患におけるAFP の役割について、RA の誘導実験を行い、

その 症状の程度により検討した 。RA は実験的に mBSA の投与によっ て 容 易に誘導可能で あり、その発症の背景には 、宿主の MHC クラ ス II ハプロタイプ、ホルモンおよび環境などが関連していることが 示唆されている。免疫担当細胞に限定した場合、 T 細胞がその発症 には深く関与している。  AFP 産生トランスジェニックマウスにおい て RA の誘導 を行った場合、 AFP の免疫抑制能によってT 細胞の抗原 に対する反応性が抑制され、その結果として関節における炎症やそ れに伴う炎症性細胞の浸潤が低下する傾向が観察された。今回の結 果は 妊娠期には RA や MS などの自己免疫疾患の臨床的症状が軽減さ れることともよく一致する。以上の成績からAFP の免疫抑制能につ い て 臨床 的な 側面 から も 有用 な情 報が 得ら れたと 考えられる。

   本論文で は AFP の生 物学的機能を血vivo で検索するために、AFP

産生トランスジェニックマウスを作製した。さらに、 AFP の免疫抑

制能については、実験的細菌感染を行った場合の増殖細菌数とその

時に 産生されるサイトカインの 産生量およびRA の誘導実験により

証明できた。

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学位論文審査の要旨

副 査  教 授  林   正 信 ( 酪 農 学 園 大 学 )

     学 位 論 文 題 名

ア ル フ ァ ー フ ェ ト プロ テイ ン( AFP )の 生物学的機能に関する研究

― ト ラ ン ス ジ ェニ ック マウ スを 用い た検 討―

  ヒ ト を は じ め マ ウ ス 、 ラ ッ ト 、 ブ タ 等 の 哺 乳 動 物 に お い て 、 妊 娠 の 維 持 に AFPは 重 要 な 役 割 を 果 た す と 考 え ら れ て い る 。 し か し な が らAFPを 恒 常 的 に 産 生 す る モ デ ル 動 物 が 存 在 し な ぃ 。 そ こ で遺 伝 子 導 入 ( ト ラ ン ス ジ ェ ニ ッ ク ) 動 物 を 作 製 し 、AFPの 生 物 学 的 機 能 の 検 索 を 試 み た 。

  AFPを 産 生 す る ト ラ ン ス ジ ェ ニ ッ ク マ ウ ス 作 製 の た め に 発 現 ベ ク タ ー を 作 製 を し た 。 プ ロ モ ー 夕 一 と し て ヒ トp−actin enhancer/promoter領 域 お よ び SV40 promoter領 域 を 用 い た 。 こ れ ら に ヒ トAFP cDNA、 ス プ ラ イ ス サ イ ト お よ び ポ リAシ グ ナ ル を 連 結 し た 融 合 遺 伝 子 を そ れ ぞ れ マ ウ ス 受 精 卵 に 導 入 し た 。 こ れ ら の 遺 伝 子 を 導 入 し て 作 製 さ れた ト ラ ン ス シ ェ ニ ッ ク マ ウ ス で は 、 導 入 遺 伝 子 が 安 定 に 子 孫 に 伝 達 し 、 特 定 臓 器 に か た よ る こ と な く 多 く の 臓 器 に お い てAFPの 発 現 が 確 認 さ れ た 。 発 現 し て い るAFPは ヒ ト ヘ バ ト ー マ 患 者 と 同 一 の 約 65kDaで あ り 、 血 中 AFP量 は 1〜 20yg/mlで あ っ た 。   AFPの 生 物 学 的 機 能 の ー っ と 考 え ら れ て い る 免 疫 抑 制 能 に つ い て 、 リ ス テ リ ア 菌 の 実 験 的 感 染 に よ る 臓 器 内 の 菌 の 増 殖 状 態 と 、 生 体 防 御 反 応 と し て 宿 主 の 免 疫 担 当 細 胞 が 産 生 す る サ イ ト カ イ ン 量 に よ りin vivoで 検 討 し た 。 そ の 結 果 、 サ イ ト カ イ ン(Interf eron‑gammaおよ びTumor necrosis factor)産生 量の 低 下 が 観 察 さ れ た 。 同 時 に 、 増 殖 細 菌 数 の 有 意 な 増 加 が 観 察 さ れ 、AFPに よ る 免 疫 抑 制 能 が 観 察 さ れ た 。

  一 方 、 自 己 免 疫 疾 患 に お け るAFPの 役 割 に つ い て 、 リ ウ マ チ 様 関 節 炎 の 誘 導 実 験 を 行 い 、 そ の 症 状 の 程 度 に よ りAFPに よ る 免 疫 抑 制 能 を 検 討 し た 。 そ の 結 果 、 関 節 に お け る 炎 症 や そ れ に 伴 う 炎 症 性 細 胞 の 浸 潤 の 低 下 す る 傾 向 が

正 司

智 弘

邉 川

渡 金

授 授

教 教

査 査

主 副

(4)

.観察された。

    

この研究はトランスジェニックマウスを作製し、AFP の生物学的機能のー

  

っと考えられている免疫抑制能について明らかにしたものであり、AFP の生

  

物学的機能を解析するために重要な知見を提供するものである。よって審査

  

員一同は山下匡氏が博士(獣医学)の学位を受けるのに十分な資格を有する

  

ものと認めた。

参照

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