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博 士 ( 獣 医 学 ) 守 村 敏史 学 位 論 文 題 名

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Academic year: 2021

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     博 士 ( 獣 医 学 ) 守 村 敏史 学 位 論 文 題 名

      Mechanisms of Immuno‑Suppression Induced by Marek's Disease Virus and Involvement of T Lymphocytes in the Protective Effects of Marek's Disease Vaccine

    ( マ レ ッ ク 病 ウ イ ル ス に よ る 免 疫 抑 制 の 機 序

お よ び マ レ ッ ク 病 ワ ク チ ン の 作 用 機 序 に お け るTリ ン パ 球 の 役 割 に 関 す る 研 究 )

学位論文内容の要旨

   マレック病 (MD) はア ルファヘルペスウ イルス亜科に属するマレ ック病ウ イルス (MDV) の感染によって引き起こされるニワトりの伝 染性腫瘍性疾病である。本疾病は、潜伏感染期の細胞性免疫の低下、 T 細胞の悪性リンパ腫(多くはCD4+T 細胞)及び腫瘍細胞や反応性リン バ球の浸潤による末梢神経の腫大によって特徴づけられる。MD は孵 化直後の 弱毒MDV によるワクチネーションにより阻止される。ウイ ルス感染に伴う免疫抑制は日和見感染症や腫瘍性疾患の病態進行に重 要な役割を担う事がいくっかのウイルスにおいて報告されており、

MDV に よる腫瘍発現にも潜伏感染期の細胞性免疫の低下が重要な要 因のーつ であろうと考えられてきた。本研究ではMDV 感染に伴う宿 主の細胞性免疫抑制の機序並びに MD ワクチンの抗腫瘍作用における T 細胞サブセットの関与について検討を行った。

   はじめに、 MDV による細胞性免疫の低下の機序について検討を行

った。そ の結果、MDV が潜伏感染しているニワトりの末梢リンバ球

に お い て apoptosis に 特 徴 的 な 形 態 変 化 が 認 め ら れ 、 DNA ゛

fragmentation assay によ、り、apoptosis の標的細胞はCD4 ゛T 細胞で

あることが明らかとなった さらに、末梢で起こるapoptosis よりも

先行して胸腺皮質に存在するCD4 ゛ CD8 ゛細胞がapoptosis を介して消

失するこ とも明らかとなった。以上の結果より、MDV による免疫抑

制には末 梢 CD4 ゛T 細胞及び CD4 ゛ CD8 ゛胸腺細胞の apoptosis が関与

している 事が示唆された。 また、MDV 感染鶏 においては、末梢 T 細

胞 及び 胸 腺細 胞の CD8 分 子の 発現 が 抑制 され て いた 。 CD8 分 子 は

CD4 分 子同様T 細胞 の抗原認識にとっ て必須の分子であ ることが知

られてい るので、CD8 分 子の発現低下も MDV による免疫抑制に重要

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な役割を担っていることが示唆された。

  MDV 感染鶏における免疫抑制の機序をさらに明らかにする目的で、

脾 臓 OcpT 細 胞 の phorbol 12‑myristate . 13‑acetate (PMA )と ionomycin の刺激に対する応答を3H̲ チミジンの取り込みを指標に解 析 した。そ の結果、感染鶏のa[3T 細胞の PMA と ionomycin に対する 応答は対照鶏と比べ顕著に抑制されていた。さらに感染鶏由来 CD4+

及 び CD8+T 細 胞 は 共 に PMA と ionomycin の 刺 激 に 対 し 著し く 応答 が低下しており、この抑制は一部でapoptosis を介することが明らか と な っ た 。 以 上 の 結果 は MDV 感 染 鶏の CD4+ 及び CD8+T 細 胞の 一 部 はマイトージェン刺激に対しS 期に入らず.apoptosis を介し死滅する ということを示唆している。

   最近、ウイルス感染に伴う apoptosis に対する感受性の増加にBcl‑

2 の発現抑制が関与している事がいくっかのウイルスにおいて報告さ れている。そこで、培養T 細胞サブセットにおけるbcl‑2 遺伝子の発 現をNorthern blotting により解析した。その結果、各T 細胞サブセ ツ卜におけ るbcl‑2 遺伝子の発現 は、PMA 及びionomycin 刺激後対照 鶏のそれと比ベ顕著に低下していた。以上の結果から、血忻ぬりにおけ るT 細胞の apoptosis は少なくとも 一部で bcl‑2 の発現抑制が関与し ていることが示唆された。

  MD ワク チン に より 誘導 さ れる CD8+ 細胞 傷害性 T 細胞はりンバ腫 形成の阻止において重要な役割を担っていると考えられてきた。しか し、MD ワクチンによる抗腫瘍効果の機序については不明な点が多い。

そこでMD ワクチ ンの作用機序にお ける T 細胞の役割を明らかにする 目的で、ワクチネーション後T 細胞サブセットを欠損させたニワ卜り に強毒MDV の攻撃をおこない ワクチン効果について解析をおこなっ た。その結 果、 CD4+ 及び CD8+T 細胞のいずれを欠損させたニワトり においても強毒株感染後50 日目まで腫瘍の発生は観察されなかった。

こ の事実は 、 MD ワクチンの抗腫瘍効 果において CD4+ 及び CD 8+T 細 胞は関与していない事を示唆している。

   最後に、MD ワクチンによる強毒株に対する抗ウイルス作用につい

て CD8+T 細 胞の 役割 を 検討 した 。 その 結果 、ワクチンを接 種した

CD8+T 細 胞 欠 損 鶏に おけ る 強毒 MDV のウ イ ルス 価は 対 照の ワク チ

ン接種鶏よりも高い傾向を示した。これらの成績は、MD ワクチンに

よる抗ウイルス作用において、CD8+T 細胞が重要な役割を担っている

ことを示唆している。以上の結果を総括すると、 MD ワクチンによる

抗腫瘍作用 には CD8+T 細胞による 抗ウイルス作用とは異なる機序に

よることが強く示唆された。

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学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

       Mechanisms of Immuno‑Suppression Induced by Marek's Disease Virus and Involvement of T Lymphocytes in the Protective Effects of Marek's Disease Vaccine     ( マ レ ッ ク 病 ウ イ ル ス に よ る 免 疫 抑 制 の 機 序

お よ び マ レ ッ ク 病 ワ ク チ ン の 作 用 機 序 に お け るTリ ン パ 球 の 役 割 に 関 す る 研 究 )

  マ レ ッ ク 病(MD) は ア ル フ ァ ヘ ル ベ ス ウ イ ル ス 亜 科 に 属 す る マ レ ッ ク 病 ウ イ ル ス(MDV) の 感 染 に よ っ て 引 き 起 こ さ れ る ニ ワ ト り の 伝 染 性 腫 瘍 性 疾 病 で あ る 。 本 疾 病 は 、 潜 伏 感 染 期 の 細 胞 性 免 疫 の 低 下 、T細 胞 の 悪 性 リ ン バ 腫 ( 多 く はCD4゛T細 胞 ) 及 び 腫 瘍 細 胞 や 反 応 性 リ ン パ 球 の 浸 潤 に よ る 末 梢 神 経 の 腫 大 に よ っ て 特 徴 づ け ら れ る 。MDは 孵 化 直 後 の 弱 毒MDVに よ る ワ ク チ ネ ー シ ョ ン に よ り 阻 止 さ れ る 。 本 研 究 で はMDV感 染 に 伴 う 宿 主 の 細 胞 性 免 疫 抑 制 の 機 序 並 び に1VDワ ク チ ン の 抗 腫 瘍 作 用 に お け るT細 胞 サプ セッ トの 関与 に つい て検 討を 行 った 。

  は じ め に 、MDVに よ る 免 疫 低 下 の 機 序 に つ い て 検 討 を 行 っ た 。 そ の 結 果 、MDVが 潜 伏 感 染 し て い る ニ ワ ト り の 末 梢 リ ン パ 球 に お い てapoptosisに 特 徴 的 な 形 態 変 化 が 認 め ら れ 、DNAfragmentation assayに よ り 、apoptosisの 標 的 細 胞 はCD4゛T細 胞 で あ る こ と が 明 ら か と な っ た 。 ま た 、 末 梢 で 起 こ るapoptosis よ り も 先 行 し て 胸 腺 皮 質 に 存 在 す るCD4+CD8十 細 胞 がapoptosisを 介 し て 消 失 し て い た 。 以 上 の 結 果 よ り 、MDVに よ る 免 疫 抑 制 に は 末 梢CD4゛T細 胞 及 びCD4+CD8゛ 胸 腺 細 胞 のapoptosisが 関 与 し て い る 事 が 示唆 され た。 さ らに 、脾 臓aロT細 胞 のphorbol 12―myristate 13―acetate (PMA)とionom}′cinの刺激に対す る 応 答 を3H・ チ ミ ジ ン の 取 り 込 み を 指 標 に 解 析 し た 結 果 、 感 染 鶏 のdロT細 胞 のPMAとionomycinに 対 す る 応 答 は 対 照 鶏 と 比 ベ 顕 著 に 抑 制 さ れ て い た 。 こ の 抑 制 の 一 部 はapoptosisを 介 し て い る こ と が 明 ら か と な っ た 。apoptosisとbcl‑2発現 の関 係をNorthen blottingによ り解 析し たと こ ろ感 染鶏 ではbcl‑2の 発 現 が 顕 著 に 抑 制 さ れ て い た 。 以 上 の 事 よ りin vitroに おけ るT細胞 のapoptosisは少 なく と も一 部でbcl―2 の 発 現 抑 制 が 関 与 し て い る こ と が 示 唆 さ れ た 。 ま た 、MDV感 染 鶏 に お い て は 、 末 梢T細 胞 及 び 胸 腺 細 胞のCD8分子 の発 現も 抑制 さ れて いた 。

  次 に へ の ワ ク チ ン の 作 用 機 序 に お け るT細 胞 の 役 割 を 明 ら か に す る 目 的 で 、 ワ ク チ ネ ー シ ョ ン 後T細 胞 サ ブ セ ッ ト を 欠 損 さ せ た ニ ワ ト り に 強 毒MDVの 攻 撃 を お こ な い ワ ク チ ン 効 果 に つ い て 解 析 を お こ な っ た 。 そ の 結 果 、CD4゛ 及 びCD8゛T細 胞 の い ず れ を 欠 損 さ せ た ニ ワ ト り に お い て も 強 毒 株 感 染 後50日 目 ま で 腫 瘍 の 発 生 は 観 察 さ れ な か っ た 。 こ の 事 実 は 、MDワ ク チ ン の 抗 腫 瘍 効 果 に お い てCD4゛ 及 びCD8゛T 細胞 は関 与し て いな い事 を示 唆し て いる 。

  最 後 に 、MDワ ク チ ン に よ る 強 毒 株 に 対 す る 抗 ウ イ ル ス 作 用 に つ い てCD8゛T細 胞 の 役 割 を 検 討 し た 。

操 敏

宏 夫

   

   

智  

  郁

沼 倉

田 島

小 板

喜 高

授 授

授 授

教 教

教 教

査 査

査 査

主 副

副 副

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その結果、ワクチンを接種したCD8 ゛T 細胞欠損鶏における強毒MDV のウイルス価は対照のワクチン接 種鶏よりも高い傾向を示した。これらの成績は、MD ワクチンによる抗ウイルス作用において、CD8 ゛T 細胞が重要な役割を担っていることを示唆している。

  

本研究はMD の免疫抑制の機序ならびにMD 生ワクチンの作用機序の理解に重要な知見を提供するも

のである。よって審査員一同は守村敏史氏が博士(獣医学)の学位を受けるのに十分な資格を有するも

のと認めた。

参照

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