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博 士 (地 球環 境科学)佐藤敦子

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博 士 (地 球環 境科学)佐藤敦子

     学位論文題名      ●

Molecular genetic studies on the noncanonlCal   4 勿Z /Z4 .4geneSOfArabidopSiSbymeanSOf

    OVereXpreSS10nStrategy

(過剰発現法を用いたシロイヌナズナ非典型的4z 絖/Z44 遺伝子の      分子遺伝学的研究)

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  Aux/M4遺 伝 子 族 は オ ー キ シ ン を 投 与 す る こ と に よ っ て 発 現 が 素 早 く 上 昇 す る 遺 伝 孑 群 で 、 オ ー キ シ ン の 一 次 反 応 を 担 っ て い る の で は な ぃ か と 古 く か ら 考 え ら れ て き た 。 本 年 、 オ ー キ シ ン 受 容 体 丁IR1に オ ー キ シ ン と 共 に 結 合 す る こ と が 分 か り (Tanetal. ,2007) 、 オ ー キ シ ン 信 号 伝 達 系 で 受 容 体 直 下 で 働 く 因 子で ある こ とが 確 定し た 。AuX/L亀Aタ ン パ ク 質 に は 保 存 さ れ てい る4つの ド メイ ン 、ド メ インIか らWがあ る 。ド フ ソンHま 転 写調 節因 子 の抑 制 ドメ イ ンで ある 。 ド メ イ リIIとNは オ ー キ シ ン 応 答 因 子 (ARF) も 共 通 し て 持 っ て い て 、 こ の ド フ ソ ン を 通 じ てAu〆IAAはARFに 結合 する こ と が で き る の で 、 通 常 、A耐nAはARFに 結 合 し てARFの 転 写 調 節 能 を 抑 制 し て い る 。 オ ー キ シ ン 受 容 体 丁IR1は ユ ビ キ チ ン リ ガ ー ゼSCF複 合 体 のFボ ッ ク ス ・ タ ン パ ク 質 で 、 基 質 結 合 部 位 を 提 供 し て い る 。TIR1の 基 質 結 合 部 位 は オ ー キ シ ン (1― イ ン ド ー ノ レ 酢 酸 ) に も 結 合 す る こ と が で き 、 オ ー キシ ン に結 合 する とAux/nAタ ン パク 質 のド メ インHに 対す る 親 和 性 が 増 加 す る 。 そ の 結 果 、 高 濃 度 の オ ー キ シ ン 存 在 下 で はAuX/nAタ ン パ ク 質 は プ ロ テ ア ソ ー ム で 積 極 的 に 分 解 さ れ 、Alx/IAAレ ベ ル が 低 下 す る の で 、ARFの 転 写 調 節 能 が 回 復 し て 、 さ ま ざ ま な 下 流 の 遺 伝 子 発 現 調 節 が 起 こ り 、 オ ー キ シ ン 応 答 が 起 こ る と 考 え ら れ て い る 。 一 方 、AuX/IAA自 身 も オ ー キ シ ン 誘 導 陸 な の で 、 し ば ら く す る とAuX/LへA レ ベ ル が 元 に 戻 り 、 オ ー キ シ ン 応 答 は 停 止 す る 。 こ の フ イ ー ド バ ッ ク 調 節 が オ ー キ シ ン の 一 過 的 応 答 現 象 の 分 子 的 原 因 と 考 え ら れ る 。 月 蝋 彪 弘 遺 伝 子 が 原 因 と な る 優 陸 突 然 変 異 体 が 、 シ ロ イ ヌ ナ ズ ナ の29個 の 月zとz/ 翻4の 内 、9個 に つ い て 報 告 さ れ て い る が 、 そ の す べ て が ド メ インHの ア ミノ 酸置 換 によ っ て起 こ って い る。 ドメ イ ンInこ アミ ノ 酸置 換が 起 こ る と 、TIR1に 結 合 で き な く な りAuX/L岨 が分 解 され な くな って 蓄 積さ れ るこ と によ り 生じ る優 陸 突然 変 異だ と 考え られ る 。   典 型 的 恤/L岨 タ ン く ク 質 に は ド メ イ り か らNが 存 笛 尹 る が 、 シ ロ イ ヌ ナ ズ ナ の29個 のA1】x/IAAの 中 に は ド メ イ ンII だ け が な い 非 典 型 的Au〆IAAが4個 存 在 す る 。 ま た も う ー つ のAuX/IAAは 、 ド メ イ ンInこ 優 陸 突 然 変 異 に 似 た ア ミ ノ 酸 配 列 を 持 っ て い る (IAA31) 。 本 研 究 で は 、 こ の 中 でIん セOに 構 造 が 似 て い る3個 の タン パ ク質LへA20とIAA30とL岨31(I

」 ん蛇0サ ブ ファ ミ リー )に 着 目し た 。Lん蛇Oと30はド メイ ンHを 持っ て いな い のに 対し 、IAA31は 優 陸突 然 変異 型ド メ インII を 持 っ て い る の で 、 そ の 機 能 を 互 い に 比 較 す る の に 適 し て い る か ら で あ る 。 こ れ ら 非 典 型 的AuX/IAAの 生 理 的 饑 能 を 推 測 す る た め に 、 こ れ ら 遺 伝 子 を カ リ フ ラ ワ ー モ ザ イ ク ウ ィ ル ス 甑Sプ ロ モ ー タ ー を利 用し て 過剰 発 現さ せ 、ど のよ う な 表 現 型 異 常 が 生 ず る か 観 察 し た 。 ま た 対 照 と し て 、 典 型 的4fziシ 翻4で あ る 閉4J9り 必Eと の 過 乗 暁 現 体 も 作 成 し て そ の 表 現型 を 比較 し た。

凪 他 伽 過 剰 発 現 体 ( 閉 彪 りOX) は 半 矮 性 で 、 芽 生 え の 胚 軸 も 短 く 、 そ の 成 長 方 向 は 胚 軸 も 根 も 完 全 に 乱 れ て い

‑ 1371 ‑

(2)

て 、 屈 地 性 が と も に 異 常 で あ る こ と が 示 唆 さ れ た 。 花 茎 は し だ れ て い て 、 屈 地 性異 常 を嗣 芟1,た ほ か、 稔 性も 低 下し て い た 。 種 子 の 発 芽 率 も 低 下 し て い た 。 主 根 の 成 長 は 発 芽 後 す ぐ に 停 止 し て し ま う が 、 そ れ は 根 端 分 裂 組 織(RAM)が 分 靈2能 を 失 っ て'イ ヒ して し まう こと(RAMの 崩 壊) に よる 。 しか し同 時 に、 主 根カ ゝ ら側 根が 生 じ、 側 根が 阻 害さ れ なが ら も 成 長 す る の で 、 植 物 は 半 矮 陸 な が ら 生 育 す る 。 子 葉 の 葉 脈 形 成 も 異 常 で 、 最 も 異 常 な 場 合 、 中 央 葉 脈 す ら 完 全 に で き な か っ た 。

  IAA30 0Xは 野 生 型 と ほ ぼ 同 じ 大 き さ だ っ た 。 芽 生 え 胚 軸 の 成 長 方 向 は や や 異 常 で 、 根 の 成 長 方 向 はIAA20 0X 同 様 完 全 に 異 常 だ っ た 。L4A30 0XもIAA20 0X同 様 、 . 根 の 成 長 異 常 が 起 こ る が 、 そ の 程 度 はIAA20 0Xよ り や や 軽 い 。 子 葉 の 葉 脈 形 成 は 比 較 的 正 常 で 、 こ の3種 のOXの 中 で 一 番 異 常 が 軽 う ゝ っ た 。

  IAA31 0XはIAA20 0Xほ ど で は な い が 野 生 型 よ り 小 さ く 、 最 も 異 常 な #2系 統 で は 主 茎 の 成 長 が 早 期 に 停 止 し て し ま う 異 常 が 起 こ っ た 。 芽 生 え 胚 軸 の 長 さ は 野 生 型 と 同 じ で 、B丕 軸 の 成 長 方 向 は や や 異 常 だ っ た が 、 根 の 成 長 方 向 は 相 当 程 度 異 常 だ っ た 。IAA31 0Xも 根 の 成 長 阻 害 が 起 こ る が 、 そ の 程 度 は か な り 軽 く 、 主 根 のRAMの 崩 壊 が 起 こ ら な い 個 体 も あ っ た 。 子 葉 の 葉 脈 形 成 は か な り 異 常 で 、 中 央 葉 脈 が や っ と 形 成 さ れ る 程 度 に 止 ま っ た 。   こ れ ら 遺 伝 子 の 発 現 をRT一PCRで 調 べ た と こ ろ 、L4A26cD発蔘 劼ミ ロ ゼッ ト 葉と 茎 で低 うゝ っ た他 は 、い ず れの 遺 伝子 も だ い た い ど の 組 織 で も 発 現 し て い た が 、IAA31は 特 に 果 実 で 発 現 が 高 か っ た 。L4A20Lエlatオ ー キ シ ン 投 与 後30分 後 に は 発 現 増 加 が 観 察 さ れ オ ー キ シ ン 誘 導 陸 で あ っ た が 、IAA3A1オ ー キ シ ン 誘 導 陸 で は な か っ た 。   以 上 を ま と め る と 、 こ れ ら3個 の 遺 伝 子 のOXは お お よ そ 類 似 し た 表 現 型 異 常 を 示 し た が 、L4A20 0Xの 異 常 が 最 も 強 く 、 そ の 次 がIAA. ヨ 卵 、IAA.?10Xの 異 常が 最 も軽 か った 。野 生 型のArn:/ 勿 4遺伝 子は 、 その 産 物が プ ロテ ア ソー ム に よ っ て 積 極 的 に 分 解 さ れ る た め 、355プ ロ モ ー タ ー で 過 剰 発 現 さ せ て も 表 現 型 異 常 は ほ と ん ど 生 じ な い と 考 え ら れ て い る 。 そ こ で 、JAA19 0Xの 表 現 型 を 調 べ た と こ ろ 、 や や 植 物 体 が 小 さ く な る 系 統 が 生 じ た こ と と 側 根 形 成 能 が 低 下 し た 他 は 、 表 現 型 異 常 は 見 ら れ ず 、 従 来 の 見 解 を 支 持 す る 結 果 と な っ た 。 以 上 の 結 果 は 、IAA20サ ブ フ ァ ミ リ ー タ ン パ ク 質 は ド 冫 リ ンIを 失 っ て い た り 、 そ の ア ミ ノ 酸 配 列 が 独 特 な こ と か ら 、 過 剰 発 現 させ ると 表 現型 異 常が 出 現し や すぃ こ と を 示 唆 し て い る 。

  IAA20rj‑ブ フ ァ ミ リ ー 遺 伝 子 のOXで は 主 根 のRAMが 崩 壊 す る と い う 表 現 型 が 見 ら れ た が 、 こ れ はpltl pIt2‑重 突 然 変 異 体 の 表 現 型 と よ く 似 て い る 。PL 71j.ARF5/Mf) とARF7/NPH4a)下 流 で 働 く 遺 伝 子 で 、RAMの 確 立 と 糸 隹 持 に 働 い て い る(Aida etal. ,2004)。355プ ロ モ ー タ ー はRAMで 潛 陸 が あ る こ と と 、IAA2(1 3a1PL7やARF5や 4鯛 様 、 根 端 の 静 止 中 心 と 根 冠 の コ ル メ ラ に 特 異 的 に 発 現 す る 遺 伝 子 で あ る こ と と を 考 え る と(Nawy et甜 . ,2005)、IAA20と30は 根 端 分 裂 組 織 の 確 立 と 維 持 に ARF5と 7の 活 陸 を 調 節 す る こ と に よ っ て 機 能 し て い る と 考 え ら れ る 。   ド メ イ ンIIを 持 た な いIAA20と30は オ ー キ シ ン 依 存 的 な 分 解 を 受 け な い と 考 え ら れ る の で 、 他 の 典 型 的Aux/IAAよ ル レ ベ ル の 変 動 が 少 な ぃ と 想 像 で き る が 、 ー 方 で こ れ ら タ ン パ ク 質 は オ ー キ シ ン の 一 次 反 応 を 担 う こ と は で き な ぃ 。 本 研 究 の 成 果 は 、 典 型 的Aux/IAAと 非 典 型Aux/IAAが ど の よ う に 協 調 し てRAMの 発 生 と 糸 隹 持 に 関 わ っ て い る の か を 詳 細 に 明 ら か に す る 道 を 開 い た と 言 え よ う 。

‑ 1372ー

(3)

学 位論文審査の要旨

主査    准教授    山崎健一 副査    教授    森川正章 副査    教授    大原    雅

副査    教授    山本興太朗(大学院理学研究院)

     学位論文題名

Molecular genetic studies on the noncanonical   Aux / . Z44geneSOfArabidopSiSbymeanSOf     OVereXpreSS10nStrategy

(過剰発現法を用いたシロイヌナズナ非典型的Aux /翻4 遺伝子の      分子遺伝学的研究)

Aux 翻 4 遺伝子族 はオーキ シンの一 次反応を 担ってい る遺伝子で,シ口イヌナズナには 2 9 個存在する。典型的 Aux 肛 AA 夕ンパク質にはドメインI からrv カ溶在するが,オーキシン 受容体結合 部位であ るドメイ ン H を欠い ている非 典型的 Au 姐 AA も存在する。また, MA31 のように,ドメインII に優性突然変異に似たアミノ酸配列を持っているAl 亅x 肛AA も存在する。

本研究では,シ口イヌナズナAl 亅x 肛AA の中でドメインH を持たないI ん地O と強AL30 ,そして 前述の瓰 A31 に着目し,これら互いにアミノ酸配列がよく似ている四4 勿サブファミリー遺 伝子をカリフラワーモザイクウィルス謝 i5 プ口モーターを用しゝて過剰発現させた形質転換体 を作成した。そして,この過剰発現体でどのような表現型異常が生ずるか観察することによ って,非典型的 HIz 彪 44 の生理的機能を推測することを試みた。また対照として,典型的 4zz 彪 4 岔 で あ る 以 4E 班 2 鰡 2 の 過 剰 発 現 体 も 作 成 し て そ の 表 現 型 を 比 較 し た 。    四 A2 の過剰発現体(以イ 2 口 0X )は半矮性で,芽生えの胚軸も短く,その成長方向は胚 軸も根も完全に乱れていて,屈地性がともに異常であることが示唆された。花茎はしだれて いて,屈地性異常を示唆したほか,稔性も低下していた。種子の発芽率も低下していた。主 根の成長は発芽後すぐに停止してしまうが,それは根端分裂組織が分裂能を失って分化して しまうこと(根端分裂組織の崩壊)による。しかし同時に,主根から側根が生じ,側根が阻 害されながらも成長するので,植物は半矮I 生ながら生育する。子葉の葉脈形成も異常で,最 も異常な場合,中央葉脈すら完全にできなかった。

   皿 43DOX と 仇 4 卯 OX も 以 イ 勿 0X と 類 似 し た 表 現 型 異 常 を 示 し た が ,朋 A 勿 0X ほど 異常は強くなかった。野生型の4zz 船翻4 遺伝子は,その産物がプ口テアソームによって積極 的に分解されるため,錨 i5 プ口モ一夕ーで過剰発現させても表現型異常はほとんど生じない と考えられている。実際皿 4J ウ 0X では,やや植物体が小さくなり側根形成能が低下した系

― 1373 ‑

(4)

統が少数生じた他は,表現型異常は見られず,従来の見解を支持する結果となった。以上の 結果は,工AA20 サブファミリータンパク質はドヌインII を失っていたり,そのアミノ酸配列 が独特なことから,過剰発現させると表現型異常が出現しやすいことを示唆している。

   これら遺伝子の発現を定量的RT‑PCR で調べたところ,いずれの遺伝子も調べたすべての 組織で発現していたが,L4A20}‑ 黄f ヒ芽生えで, IAA30r JtR で発現が高かった。また,IAA3 J は果実で発現が特に高かった。tAA20 とL4A30vi オーキシン添加後1 時間以内に発現が誘 導 され るオ ーキ シン 早期 誘導 性で あっ たが ,L4A31 は オー キシ ンに応答しなかった。

  TAA20}1' ブファミリー遺伝子のOX では主根の根端分裂組織が崩壊するという表現型が見ら れ たが ,これは〆釘plt2 二重突然変異体の表現型とよく似ている。PLTrlARF5/MP とARF 7/NPH4 の下流で働く遺伝子で,根端分裂組織の確立と維持に働いている(Aida et al., 200 4 )。35^5 プ口モーターは根端分裂組織で活性があることと,L4A20 とIAA30rv ま」PLTよ4RF5 ゃARF オ司様,根端分裂組織に特異的に発現する遺伝子であることとを考えると(Nawy et al. , 2005) ,工AA20 とIAA30 は根端分裂組織の確立と維持にARF5 とARF7 の活性を調節す ることによって機能していると考えられる。

   ドメインn を持たない工AA20 とIAA30 はオーキシン依存的な分解を受けないと考えられる ので,他の典型的Aux 肛AA よルレベルの変動が少ないと想像できるが,一方でこれらタンパ ク質はドメインu を欠失しているので,オーキシンの一次反応を担うことはできない。本研 究の成果は,典型的Au 妍AA と非典型AuX 肛AA がどのように協調して根端分裂組織の発生と 維持に関わっているのかを詳細に明らかにする道を開いたと言えよう。根端分裂組織の発生 と維持は,植物の環境適応に重大な意義を持つ根系構築の基礎となる現象であるので,本研 究の成果は環境科学に大きく貢献すると評価できる。

   審査委員一同は,これらの成果を高く評価し,また研究者として誠実かつ熱心であり,大

学院博士課程における研鑽や修得単位などもあわせ,申請者が博士(地球環境科学)の学位

を受けるのに充分な資格を有するものと判定した。

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