• 検索結果がありません。

博 士 (地 球環境 科学 )佐藤 暖

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "博 士 (地 球環境 科学 )佐藤 暖"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

博 士 (地 球環境 科学 )佐藤    暖

学 位 論 文 題 名

家蚕外皮のフェノール酸化酵素前駆体活性化酵素に関する研究 学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  昆虫 の体内にカ ビや細菌 などの異 物が侵入 すると、 自分のからだを守ろうとする反応が おこ る。これは 生体防御 反応と呼 ばれ、ニ つに大別 すること ができる。一つは被嚢形成や 貪食 などの細胞 性生体防 御反応で あり、も うーっは 抗菌ペブ チドの合成やフウノール酸化 酵 素前 駆 体 活性 化 系(proP〇活 性 化 系) な どの 液 性 生体 防 御反 応てある。 体内に侵 入し た異 物を観察す ると、そ の周囲が メラニン などから つくられ た黒色の層で包まれ、異物が 物理 的に隔離されていることが多い。このメラニンの生成に関オ)っているのがフェノール 酸 化酵素であ る。通常 、フェノ ール酸化 酵素は前 駆体(I)roP〇 )として存 在し、異 物の 侵 入が 引 き 金と な っ て初 め て活 性化する 。異物の 侵入が認 識され、proP〇 が活性化 され る まで の し くみ は フ ェノ ー ル酸 化 酵 素前 駆 体活 性 化 系(proP〇 活性化系) と呼ばれ てい る。i)roPO活性化系は 昆虫の血 液と外皮 に存在す る。現在 わかっているI)roP〇活性化系 の概 略は次の通 りである 。昆虫の 体内にカ ビや細菌 が侵入す ると、認識夕ンバク質がこれ らの 細胞壁成分(ペブチドグリカンやロ−1,3―グルカン)を認識して結合する。この結合 が引 き金となっ て何段階 かのカス ケード反 応が起こ る。この カスケード反応については、

いく つかのブ口 テアーゼ 前駆体を 含み、カ ルシウム イオンを 必要とする反応段階があると いう 以外よくわ かってい ない。こ のカスケ ードのは たらきで 活性化されたプ口テアーゼに よりI)rc,P○がフウノール酸化酵素に変換される。最近、i)roP○活性化系が昆虫のいくつ かの 生体防御反 応を有機 的に関連 づける役 割を担っ ている可 能性や、初期発生時に背腹軸 を決 定するカス ケード系 とその構 成要素の 一部を共 有してい る可能性が指摘されており、

この カスケードに対して注目が集まっている。I〕 roPO活性化系のうち、認識夕ンノヾク質 やI)r(JPOに関して は研究が 進んでいるが、その間を支えるブ□テアーゼ前駆体などにつ い ては、分子 レベルで の研究は ほとんど 行われて いない。I)roPO活性化系 の役割を 明ら かに するために はこれら のフ口テ アーゼ前 駆体など の機能や 構造を研究する必要がある。

その 研究の一環 として、I) roPOを活性 化するブ 口テアー ゼであるフェノール酸化酵素前 駆 体活 性 化 酵素 (PPAE)とPPAEの前 駆 体 (I)roPPAE)に つい て研究 を行った 。その報告 が本論文であり、以下の4項目に要約できる。

  1)家蚕の外皮を破砕し高塩濃度の緩衝液を用いてタンノヾク質を抽出した。その抽出物を 塩 析し た の ち5回の カ ラム ク 口マ トグラフ ィーによ りPP:YEを精製 した。さら に、家蚕 の 外皮 から酸性の 緩衝液を 用いてタ ンノヾク質を抽出し、3回のカラムク口マトグラフイーに よりI)rc,I)P.YEを精製した。SDSノボリアクリルアミドゲル電気泳動のにおいて、PP.‑¥Eは 非 還元 状 態 でla.()kD(1の タン バク質に 相当する 移動度を 示し、還 元状態では それぞれ 38.okDaと21.OkDaを 与 え た 。 一 方 、proPPAEは非 還 元状 態 ・ 還元 状 態で い ず れも 一 本 の ボ リ ペ プ チ ド ( そ れ ぞ れ45.OkDaと54.OkDa)と し て 泳 動 さ れ た 。 こ の こ と か ら proPPAEは 少 な く と も 一 力 所 で 限 定加 水 分解 を 受 けてPPAEに なる こ と がわ か っ た。 さ ら にproPPAEの 精 製 標 品 を 用 い てproPPAEをPPAEに 変 換 す る 因 子 を 検 出・ 定 量 する こ とが可能であることを示した。

  2) PPA̲EのcDNAク口一二 ングを行 った。得 られたク 口ーン(1447塩基対) の塩基配列 を 決 定 した 。 塩 基配 列 から 推 定 され るPPAEのア ミ ノ 酸配 列 と、PPAEの 消 化断 片 のア ミ

(2)

/酸 配 列分 析 の 結果 が 一致 し た こと か ら、 得 ら れた ク 口 ーン がPPAEのcDNAだと しゝうこ と を 確 認し た 。 さら に 、PPAEの ア ミ ノ酸 配 列分 析 の 結果 と 、得 ら れ たcDNAか ら 推定 さ れ たPPAEの 一次 構 造の 比 較 から 、 以 下の こ とが 明 ら かに な った 。 す なわ ち 、a)PPAEが 分泌型 のタンバ ク質であ る、b)成 熟型のタ ンバク質 のN末端がピ口グルタミル化されてい る 、c)proPPA̲Eが173残基 目 の りジ ン のC末端 側 で のみ 加 水 分解 を 受け てPPAEへ と活 性 化 され る 、 とい う 三点 で あ る。PPAEが合成さ れる組織 は、ノーザ ンブ口ッ ト解析の 結果 から、 主に外皮 を裏打ち している 表皮細胞 と血球で あることがわかった。ホモ口ジー検索 の 結 果 か ら 、PPAEの 二 本 鎖 の ポ リ ペ プ チド の う ち長 鎖(38.5kDa)が トリ プ シ ン型 セ リ ン ブ口 テ ア ーゼ の 構造 を も って いること が判明し た。短鎖も 含めたPPAE全 体のアミ ノ酸 配列と 他のプ口 テアーゼ のアミノ 酸配列と の相同性 を調べてみると、特に高かったのがカ ブトガ ニの血液 凝固系で はたらく ニつのプ ロテアー ゼ、ショウジョウバエの発生初期で背 腹 軸の 決 定 に関 与 する ブ 口 テア ーゼのー つであるeaster、夕バコス ズヌガと 鞘翅目昆 虫 H. clionpカ( 坩aで ごく 最 近 発見 さ れ たPPAEで あ った 。PPAEも含 め て これ ら の ブ口 テ アーゼは、短鎖にclip−likeドメインという共通した構造をもつと推定される。現在のとこ ろ、 ブ口テア ーゼに存 在するこ のドメイ ンの機能 は不明であ る。抗菌 活性をも つB―ディ フウンシンがcLip‑lil(eドメインをもつことから、PP.AEカゞ抗菌活性をもつかどうか調べた がその 活性は検 出できな かった。 しかし、 このドメ インをもっプ口テアーゼは無脊椎動物 にのみ 発見され ていて、 しかも、 いずれも カスケー ドを構成するブ口テアーゼであること は注目に値する。

  3)proP〇 活 性 化系 と 背腹 軸 を決定す るカスケ ード系に 関する前述 の可能性 やPR气Eが easterと 相同 性 が ある こ とか ら 、 卵に お けるproPR气Eの 有 無を 、PR虹 に 特 異的 な 抗体 を用い たウェス タンブ口 ット解析 を行って 検討した 。その結果、産卵直後の家蚕非休眠卵 にもproPPAEが存在することがわかった。

  4)PPAEが 生 体 防御 に 関わ っ ているな らば、PR气E遺伝子の 発現は転写 レベルで 異物の 侵 入の 影 響 を受 け るか も し れな いと考え 、家蚕の ゲノムライ ブラリー からPPAEのゲ ノム を スク リ ー ニン グ して プ 口 モー ター領域 (約1.9キ 口塩基対) の塩基配 列を決定 した。

PPAEの プ口 モ ー ター 領 域に は 、哺乳 類の免疫 系のタン バク質や抗 菌ベブチ ドのプ口 モー 夕 ←領 域 に よく 見 られ るNF―KB応答 配列は存 在しない ことが明ら かになっ た。しか し、

背 腹 軸 の決 定 の 鍵と な る転 写 因 子dorsa1の応 答 配 列と 大 変よ く 似 た配 列 が 存在 し た。

dorsaは背 腹軸を決 定する因 子として 発見され たが、最 近ショウジ ョウバエ の抗菌ペ プチ ドの転 写も制御 すること が明らか にされている。‐背腹軸を決定する因子がPR气Eの転写制 御に関わっている可能性が考えられる。

  本 研究 はI〕roPR岨の 活 性 化機 構 を 明ら か にし 、proPPAEをPPAEヘ 活 性化 す る 因子 の 精 製 に 道を 開 い た。 さ らにPPAEのcDNAク口 ー ニ ング に よ り、 背 腹軸 に 関 わっ て いる ブ 口 テア ー ゼ とproPO活性 化 系の プ ロ テア ー ゼの 異 同 を分 子 レベル で議論す ることを 初め て可能 にした。 これらの 成果は昆 虫の主要 な生体防 御機構のーっと認識されるようになっ たproPO活 性 化 系 の 今 後 の 研 究 の 進 展 に 寄 与 す る こ と が 大 き い と 期 待 さ れ る 。

(3)

学 位 論 文 審 査 の 要 旨 主 査    教 授    芦 田 正 明 副 査    教 授    木 村 正 人 副 査    助 教 授    早 川 洋 一

学 位 論 文 題 名

家蚕外皮のフェノール酸化酵素前駆体活性化酵素に関する研究

  昆虫 幼虫 や成 虫に おけ るカピやパクテリアなどに対する生体防御機構には貪食や被嚢形 成 、フ ェノ ール 酸化 酵素 前駆体活性化系(フェノール酸化酵素前駆体カスケード)、それ に 抗菌 夕ン パク の合 成な どが知られている。これらの生体防御機構が有機的に関連しあつ て 有効 な生 体防 御機 構が 構築されていると考えられているが、個々の生体防御機構がどの よ うに 相互 に関 連し てい るのかは明らかにされていない。昆虫の免疫(生体防御)研究の 最 近の 成果 の多 くが 、フ ェノール酸化酵素前駆体活性化系が昆虫の生体防御機構を相互に 連 関さ せる 中心 的な 役割 を担っている可能性を示すにいたり、この系にたいする昆虫の免 疫 (生 体防 御) 研究 者の 関心がたかまっている。また、昆虫の初期発生における背腹軸決 定 にべ りピ テリ ン間 隙で 働くプロテアーゼカスケードが関与する事が知られているが、こ の カス ケー ドの 一部 か、 あるいはこのカスケードのプロテアーゼによくにた基質特異性を 持 っプ 口テ アー ゼが フェ ノール酸化酵素前駆体活性化系を構成している可能性が指摘され て いる 。こ のた め、 昆虫 の生体防御機構のーっとして発見され、研究されてきたフウノー ル 酸化 酵素 前駆 体活 性化 系が初期発生にも関わっているかもしれないと考えられるように なり、この面からもこの系にたいする関心が高まっている。

  フウノ.ール酸化酵素前駆体活性化系はカピやパクテリアの細胞壁成分と特異的に結合す る 認識 夕ン バク 、プ ロテ ーアーゼの前駆体、フェノール酸化酵素前駆体から構成されるこ と が今 まで の研 究に より 判明 して いる。 プロ テー アー ゼの前駆体に関しては、家蚕から2 つ のプ ロテ アー ゼ( フェ ノー ル酸 化酵素 前駆 体活 性化 酵素と役割不明の酵素、BAEEaseと 命 名さ れて いる もの )が 精製されているが、詳細叔性質の究明や前駆体の活性化機構、ベ リ ピテ リン 間隙 で働 くプ ロテアーゼカスケードの構成要素との関係などは研究されずに残 さ れて いた 。本 研究 はフ ェノ ール 酸化酵 素前 駆体 活性 化系 を構 成す るプ ロテ アー ゼのー つ 、 フ ウ ノ ー ル 酸 化 酵 素 前 駆 体 活 性 化 酵 素 に つ い て の 研 究 で あ る 。   論文 のResultsは4章か らなっている。第一章はフェノール酸化酵素前駆体活性化酵素を 家 蚕幼 虫ク チク ラか ら精 製し、その酵素学的・物理化学的性質を明らかにしている。フェ ノ ール 酸化 酵素 前駆 体活 性化酵素についての研究は、四半世紀まえに、やはり家蚕幼虫ク チ クラ から 精製 され た標 品についての報告があるのみで、その後、研究は全く進展してい な かっ た。 その 理由 は微 量しか酵素が存在せず、性質の究明に充分な量の標品を得ること が 困難 であ った ため であ る。 本論 文では 抽出 法を 工夫 し、 今ま での 方法 に比 して20倍近 く の収 率で しか も比 活性 の高い抽出液を得ることに成功している。さらに、精製にアフイ ニ テイ ーク ロマ トグ ラフ イーの手法を導入するなどの工夫を加え、高度に精製されたフェ ノ ー ル 酸 化 酵 素 前 駆 体 活 性 化 酵 素 を 大 量 に 得 る 方 法 が 述 べ ら れ て い る 。   第 二 章 で は 、 フ ウ ノ ー ル 酸 化 酵 素 前 駆 体 活 性 化 酵 素 の 不 活 性 型 (proPPAE) の 精 製 と 不 活 性 型 を 活 性 型 に か え る 因 子 (proPPAE活 性 化 因 子 ) の 調 整 法 に つ い て 述 べ

(4)

てい る。proPPAE活 性化因子は 家蚕クチク ラの抽出液 から調製し た。第一章 で明ら かにされたようにフェノール酸化酵素前駆体活性化酵素はコンカナバリンAと結合する が、proPPAE活性化 因子は結合 しないとい う事実がこ の因子の調 製に利用さ れた。

こ のproPPAE活 性 化 因 子 と 精 製 さ れ たproPPAEが 調 製 出 来 た こ と に よ り 、 フェノール酸化酵素前駆体活性化系の研究がさらに上流部ヘ進むことが可能になった。

  第三章ではフェノール酸化酵素前駆体活性化酵素のcDNAクローニングを取り上げて いる 。cDNAの塩基配 列から推定 された一次 構造からめ触媒部位が典型的なセリンプ 口テアーゼの構造を示すこと、b)分泌型のタンバクとして合成されること、  c)活性化 の際に触媒部位から切断されるプロベプチドは連続するニつのシステインノットドメイ ン を 持 っ て い る こ と 、d)proPPAEは152番 目 の り ジ ン と153番 目 の イ ソ ロ イ シンの間のぺプチド結合がただーカ所加水分解を受けて活性化されること、e)フェノール 酸化酵素前駆体活性化酵素は、ショウジョウバェの背腹軸決定にべりビテリン間隙で働く プロテアーゼのーつ(イースターヽeaster)と相同性が高いことなどが明らかにされた。

さらに、フェノール酸化酵素前駆体活性化酵素遺伝子はグノム中に1コピーしか存在しな いらしいこと、この遺伝子は表皮細胞、血球細胞、唾液腺細胞で発現していることなどが 証明されている。

  第4章ではフェノール酸化酵素前駆体活性化酵素遺伝子の翻訳開始点より約2kb上流 部分までの塩基配列を解析したことが述べられている。インターロイキン応答配列(II 型)、インターフェ口ン応答配列、リポポリサヅカライド応答配列.ショウジョウバェ で発見さえているdorsal応答配列に似た配列などが見出されたことが報告されている。こ れらのシス因子が実際にフェノール酸化酵素前駆体活性化酵素遺伝子の転写制御にどのよ うに関わっているかは本論分では明らかにされていない。しかし、フェノール酸化酵素前 駆体活性化系を構成する他のプロテアーゼの遺伝子や、背腹軸決定に関与する遺伝子のプ ロモーター領域を含めた塩基配列がいずれ明らかにされると思われる。それらの知見と、

本研究で明らかにされたプロモーター領域の塩基配列は、昆虫のプ口テアーゼカスケード 構成要素の遺伝子発現がどのように制御されているかを明らかにする上で、貴重顔資料に なることが期待される。

  本研究で得られた以上の成果は、昆虫のフェノール酸化酵素前駆体活性化系の構成要素 のーつであるフェノール酸化酵素前駆体活性化酵素、その前駆体、前駆体を活性型にかえ る 酵 素 な ど に 関 す る 我 々 の 理 解 を 飛 躍 的 に 前 進 さ せ た と し て 評 価 に 値 す る 。   審査員一同は、これらの成果を高く評価し、また申請者が研究者として誠実勝つ熱心で あり、大学院における研鑽や取得単位数なども併せ、博士(地球環境科学)の学位を受け るに充分な資格を有すると判定した。

参照

関連したドキュメント

2017 年度に認定(2017 年度から 5 カ年が対象) 2020 年度、2021 年度に「○」. その4-⑤

上であることの確認書 1式 必須 ○ 中小企業等の所有が二分の一以上であることを確認 する様式です。. 所有等割合計算書

その 4-① その 4-② その 4-③ その 4-④

運搬 リユース 焼却 埋立 リサイクル.

るものの、およそ 1:1 の関係が得られた。冬季には TEOM の値はやや小さくなる傾 向にあった。これは SHARP

Martin Biller, Arbeitsmarktsegmentation und Ausldnderbeschdftigung Ein Beitrag zur Soziologie des Arbeitsmarktes mzt einer Fallstudie aus der Automobilindustrie, Campus

その 4-① その 4-② その 4-③ その 4-④

詳しくは東京都環境局のホームページまで 東京都地球温暖化対策総合サイト http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/climate/index.html. ⇒