• 検索結果がありません。

博 士 ( 地球 環境 科学) 川原裕 之

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "博 士 ( 地球 環境 科学) 川原裕 之"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

博 士 ( 地球 環境 科学) 川原裕 之

    学位 論文 題名

  Study on the BiogenlCAmineReCeptorSin     Barnacleづ々励 刀郷 ロ卿 カZケ¢ た

(夕 テジ マフ ジッボ にお ける生体アミンレセプターに関する研究)

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  夕テ ジマフ ジッ ボは幼生期から生体に変態する際に岸壁等への付着(接着)を行う動 物 であ る。従 来、 こうした付着生物は汚損生物とされ様々な産業活動に障害をもたらす た め、 付着の 防除 に関する研究・開発が行われている。こうした研究の中でセ口トニン

(5ーヒ ド口 キシ トリ プタ ミン ;5―HT)や ドー パミンといった生体アミンがフジッボ幼 生 の付 着を誘 引す る効果のあることが報告された。これらの生体アミンは神経伝達物質 と して 知られ 動物 の様々な行動などを制御している物質である。この生体アミンがフジ ッ ボに おいて どの ような生理的役割を担っているかを知ることは、付着行動のヌカニズ ム を分 子レベ ルで 知るためには必要不可欠なことである。しかしながらフジッポにおい て は分 子生物 学レ ベルでの研究がほとんどなされていないため、より多くの分子生物学 的 情報 が必要 とな る。そこで、本研究ではフジッポの生体アミン受容体(レセプター)

に関する研究を行った。

  ほ乳 類では 様々 なアミンレセプターに対するアゴニスト・アンタゴニストが知られ、

そ れら に対す る親 和性の違いからアミンレセプターは幾っかのファミリー・サブファミ ル ーに 分類さ れて いる。しかし、フジッポの付着に対してはこれらのアゴニスト・アン タ ゴニ ストが どの ように作用するかはあまり検討されていない。そこで、これらの試薬 を 用い てフジ ッポ の付着に対する影響を系統的に解析した。予想とは異なり、付着誘因 活 性を 示すセ 口ト ニン・ドーパミンのアゴニストはいずれも同様の付着誘因活性を示さ な か っ た 。 し か し 、 ドー パミ ン関 連試 薬の 中で1種の アゴ ニス ト(7一 ○H―DPAT)と1 種 の ア ン タ ゴ ニ ス ト(SCH―23390)が 非 常 に 強 い 付 着 阻害 活性 を示 した 。こ れら の付 着阻害活性は既に報告されている強カな阻害剤2,5,6―トリブロモ−1‑ヌチルグラミンと 同 程度 のもの であ った。さらに内在性のアゴニストのヒスタミンはフジッボの付着に対 し て 影 響 を 及 ぽ さ な い に も 関 ら ず1種 の ア ゴ ニ ス ト(Dimaprit)と1種の アン タゴ ニス ト(Chlorpheniramine)が セ ロ ト ニン ・ ド ー バ ミ ン と 同様 の付 着誘 因活 性を 示す こと を 見い だした 。こ れらの結果からフジッポの体内で付着行動に関係している生体アミン レ セプ ターは ほ乳 類のレセプターとは機能が相当異なっていることが推測され、レセプ タータンパク質の詳細な解析が必要となってきた。

(2)

  一般に、これまで知られている種々の生体アミンレセプターの構造には幾っかの共通 の特徴があり、これらの情報を頼りにフジッポの生体アミンレセプター遺伝子の解析を 行った。生体アミンレセプターの多くは7回の細胞膜貫通領域を有し、G夕ンバクと結 合している膜夕ンパク質である。この機能的に重要な膜貫通領域には非常に保存性の高 い配列が幾っかあり、無脊椎動物でもほ乳類のレセプター遺伝子とも非常に保存された 配列があることが知られている。これらの領域に合わせて幾っかのプライマーを合成し、

フジッボ遺伝子をテンプレートとしてPCR反応を行った。その結果、膜貫通領域の6番 目と7番目の間の遺伝子配列の増幅に成功した。

  完全長の遺伝子を得るためにフジッボのゲノム遺伝子ライブラリーを作成し、PCRで 得られた部分配列を用いてレセプター遺伝子のスクリーニングを行った。総数2xl05個 のプラークをスクリーニングし、最終的に12個の陽性ク口ーンを単離した。これらの陽 性ク口ーンは制限酵素の切断パターンやサザンハイプリダイゼーション、PCR等の手法 で解析し 、幾っかの 重複したク 口ーンと誤った選択をしたクローンを除き、No.9、 No.15、No.18、No.20の4つの ク口ーンを レセプター遺伝子の候補としてシークェン ス解析へ進めた。

  シークエンス解析の結果、ク口ーンNo.15は強いハイブリダイゼーションシグナルを 示すもののレセプタ一遺伝子ではないことが判明した。ク口ーンNo.9はG夕ンパク結合 型レセプターの持つ幾っかの特徴である7回の膜貫通領域、N端付近の糖鎖修飾部位、

細胞内ループ領域のりン酸化部位、G夕ンパク結合モチーフを有しており目的のG夕ン バク結合型レセプター遺伝子のーつであることが解った。データベースをホモ口ジーか ら検索したところQアドレナリンレセプターに最も近く、セロトニンレセプターとも高 い相同性を有することが示された。クローンNo.18もまたクローンNo.9とは異なるG夕 ンパク結合型レセプター遺伝子であることが解った。クローンNo.18のホモロジー検索 ではセ口トニンレセプター、アドレナリンレセプターが同様に高い相同性を示し、特に セ口トニ ンレセプタ ーの5HT1ファミ リーとの相同性が最も高く示された。ク口ーン No.20も別のG夕ンパク結合型レセプター遺伝子であることが解ったが、翻訳領域に遺

.伝子ライブラリー作成時に使用した制限酵素BamHIの切断部位を含んでいたため完全長 の遺伝子をこのクローン内には含んでいなかった。約半分長の部分遺伝子ではあるがホ モ口ジー検索からはやはルセ口トニン、アドレナリンレセプターとの相同性が示された。

  これらの遺伝子が生体アミンレセプター遺伝子であることはここまでの解析め結果、

間違いないと推定されるが、それぞれのレセプターの本来のりガンドが何であるかはレ セプタータンパク質とりガンドとのアフイニティーを解析する必要があり、今後の研究 において、これらの遺伝子を発現させた系を用いた解析を通して決定されることが望ま れる。

264

(3)

学位論文審査の要旨

主査   教授   戸倉清一 副査   教授   高木信夫 副査   教授   西   則雄

副査   教授    西村紳一郎(理学研究科)

    学位論 文題名

    Study on the BiogenlCAmineReCeptorSln     Barnacle,上を 励刀銘sロ 勿ゆカZケZ彪

(夕テ ジマフジ ッボにお ける生体 アミンレ セプターに 関する研究)

  夕 テジマフ ジツボは幼 生期から 生体に変 態する際 に岸壁等への付着(接着)を行う動 物 である。 従来、こう した付着 生物は汚 損生物と され様々な産業活動に障害をもたらす た め、付着 の防除に関 する研究 ・開発が 行われて いる。こうした研究の中でセロトニン (5‑ヒ ド口キシ トリプタミ ン;5―HT)やドーノヾミンといった生体アミンがフジッポ幼生 の 付着を誘 引する効果 のあるこ とが報告 された。  この生体アミンがフジツポにおいて ど のような 生理的役割 を担って いるかを 知ること は、付着行動のメカニズムを分子レベ ル で知るた めには必要 不可欠な ことであ る。しか しながらフジッボにおいては分子生物 学 レベルで の研究がほ とんどな されてい ないため 、より多くの分子生物学的情報が必要 となる。

  申 請者はフ ジツポで生 体アミン 生理作用 に及ぼす 影響を調べるため、生体アミン受容 体 (レセプ ター)に関 する研究 を行った 。ほ乳類 では様々なアミンレセプターに対する ア ゴニスト ・アンタゴ ニストが 知られ、 それらに 対する親和性の違いからアミンレセプ タ ーは幾っ かのファミ リー・サ ブフんミ リーに分 類されている。しかし、フジツポの付 着 に対して はこれらの アゴニス ト・アン タゴニス トがどのように作用するかはあまり検 討 されてい ない。そこ で、これ らの試薬 を用いて フジツポの付着に対する影響を系統的 に 解析した 。予想とは 異なり、 付着誘因 活性を示 すセロトニン・ドーバミンのアゴニス ト はいずれ も同様の付 着誘因活 性を示さ なかった 。しかし、ドーバミン関連試薬の中で 1種 の ア ゴ ニ ス ト (7‑OH‑DPAT)と1種 の ア ンタ ゴ ニス ト (SCH‑23390)が 非常 に 強 い 付 着 阻害 活 性 を示 し た 。こ れ らの 付 着 阻害 活 性は 既 に 報告 さ れて い る 強カ な 阻 害剤 2,5,6−トリブロモ‑1‑メチルグラミンと同程度のものであった。さらに内在性のアゴニス ト のヒスタ ミンはフジ ツボの付 着に対し て影響を 及ぼさな いにも関 らず1種のア ゴニス ト (Dimaprit)と1種の アンタゴニ スト(Chlorpheniramine)が セロトニ ン・ドー バミン

(4)

と 同様の 付着誘因活性を示すことを見いだした。これらの結果から、フジツポの体内で 付 着行動 に関係している生体アミンレセプターは、ほ乳類のレセプターとは機能が相当 異 な っ て い る こ と を 見 出 し 、 レ セ プ タ ー タ ン バ ク 質 の 詳 細 な 解 析 を 行 っ た 。   一般に 、これまで知られている種々の生体アミンレセプターの構造には幾っかの共通 の特徴があり、これらの情報を頼りにフジツボの生体アミンレセプ夕.ー遺伝子の解析を 行 った。 生体 アミ ンレ セプ ター の多 くは7回の 細胞 膜貫 通領 域を 有し、G夕ンバクと結 合 してい る膜夕ンバク質である。この機能的に重要な膜貫通領域には非常に保存性の高 い 配列が 幾っかあり、無脊椎動物でもほ乳類のレセプター遺伝子とも非常に保存された 酉己歹IJがあることが知られている。これらの領域に合わせて幾っかのプライマーを合成し、

フ ジツボ 遺伝 子を テン プレ ート とし てPCR反応 を行 った 。そ の結 果、膜貫通領域の6番 目 と7番 目の 間の 遺伝 子配 列の 増幅に 成功した。完全長の遺伝子を得るためにフジツボ の ゲノム 遺伝 子ラ イブ ラリ ーを 作成 し、PCRで得られた部分配列を用いてレセプター遺 伝 子のス クリ ーニ ング を行 った 。総 数2x105個のプラークをスクリーニングし、最終的 に12個の陽性ク口ーンを単離した。これらの陽性ク口ーンは制限酵素の切断/ヾ夕ーンや サ ザンハ イブ リダ イゼ ーシ ョン 、PCR等の手法で解析し、幾っかの重複したクローンと 誤 った選 択を した ク口 ーン を除 き、No.9、No.15、No.18、No.20の4つのク口ーンをレ セ プター 遺伝子の候補としてシークエンス解析ヘ進めた。シークエンス解析の結果、ク 口 一ンNo.15は強 いハ イブ リダ イゼー ションシグナルを示すもののレセプター遺伝子で は ないこ とを 明ら かに した 。ク ロー ンNo.9はG夕ンバク結合型レセプターの持つ幾っか の 特徴で ある7回 の膜 貫通 領域 、N端 付近 の糖 鎖修 飾部 位、 細胞内 ループ領域のりン酸 化 部位、G夕 ンバ ク結 合モ チー フを有 して おり 目的 のG夕ン バク結 合型レセプター遺伝 子 のーつ であることが解った。データベースをホモロジーから検索したところばアドレ ナ リンレ セプターに最も近く、セ口トニンレセプターとも高い相同性を有することが示 さ れた。 ク口 ーンNo.18も また クロー ンNo.9と は異 なるG夕 ンバク 結合型レセプター遺 伝子であることが解った。ク口ーンNo.18のホモ口ジー検索ではセロトニンレセプターヽ ア ド レ ナ リ ン レ セ プ タ ー が 同 様に 高 い 相 同 性 を示し 、特 にセ 口ト ニン レセ プタ ーの SHT1フん ミリ ーと の相 同性 が最 も高 く示 され た。 ク口 ーンNo.20も別のG夕ンバク結合 型 レセプ ター遺伝子であることが解ったが、翻訳領域に遺伝子ライブラリー作成時に使 用 した制 限酵 素BamHIの切 断部 位を含 んでいたため完全長の遺伝子をこのク口ーン内に は 含んで いなかった。約半分長の部分遺伝子ではあるがホモロジー検索から、やはルセ 口 ト ニ ン 、 ア ド レ ナ リ ン レ セ プ タ ー と の 相 同 性 の あ る こ と を 示 し た 。   これら の遺伝子が生体アミンレセプター遺伝子であることはここまでの解析の結果、

間 違いな いと推定されるが、それそれのレセプターの本来のりガンドが何であるかはレ セ プター タンパク質とりガンドとのアフイニテイーを解析する必要があり、今後の研究 に おいて 、これらの遺伝子を発現させた系を用いた解析を通して決定することが望まれ る。

  この様 に、申請者が提出した論文の内容及ぴ研究の将来性・展望が広いことから、審 査 員一同 は、申請者は博士(地球環境科学)の学位を受けるにふさわしい資格を有する ものと判定した。

    ―266−

参照

関連したドキュメント

  

よ びこれ まで の研 究の 問題 点と 本研 究の 目的が述べられている。第2 章では、氷コ ア に含ま れる

を行ったところ、RP23 ― 132M12 は転座点より近位に、RP23 ー 61E2 は遠位にあることが 明 らかに なっ た。 この BAC クロ ーン間

   海洋生態系モデルは、鉛直一次元物理‐生態系結合モデル(Yamanaka 釘畆,2002

リタ―の同位体比は広葉樹林では樹種ごとに針葉樹では1 種のみを測定した。3 地点ともに d15N

  

両方法の調査結果から、オジ口ワシはさまざまな水域に生息する魚類と鳥類を主食とし、哺乳類も少