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大豆の生育過程に関する研究(I)
著者 市島 紀郎
雑誌名 奈良学芸大学紀要
巻 3
号 2
ページ 205‑207
発行年 1953‑12‑25
その他のタイトル Sdies tuon the Process of Growth in Soybeans(
1)
URL http://hdl.handle.net/10105/5110
(205ノ
大豆の生育過程に関する研究(I)*
市 島 糸己 郎 (作物学教室)
(昭和28年9月30日受領)
Kazl10TcfIISJiIMA:Sdies t−10nthe Process of Growtllin Soybeans(1)
「 緒 音
大豆栽培技術確立のためにはますその植物体物質の形成を支配する要因を考えなければならな い。その要田の中でも最も大きいと思われるものは光合成による炭素同化産物と棍癖菌による窒 素同化産物であろう。而してこの2つの要因は植物体そのものの力により変化の患こるものであ ってこの力の強さの生育過程に怠ける消長を知ることは大豆の生理的性状を明らかにするために 大いに役立つことであろう。著者はこの点を調べたいと思い本年度は予備試験として次の如き実 験を施行したのでここに述べる次第である。
2・実験材料及方法
本実験は本学減場において一般方法により耕種した大豆雪転種について行った。方馴巴量は堆肥 坪当(約60株生育)1貰、過燐酸石灰1株当2瓦、草木灰同じく3・2瓦とし、播種3日前に基肥と
して全量を施与した。而して6月30日に播穐し7月12日ぐ単葉展開期)より11月9日(完熟期)
に到るまで約10日目毎に晴天の日を選び毎回正午を期して地上部を採取した。本実験に供した大 豆品種は秋大豆型に属し開花盛期は8月下旬落葉盛期は10月下旬成熟期は11月上旬であった。材 料採取回数は全部で13回であり採取した材料は直ちに700Cの空気乾燥器内にて5時間乾燥せし め風乾重の測定をなしその個体について化学分所により菓中の全糖分と全地上部の全窒素とを測 定した。
3.実験結果考察
以上の如く生育過程を追跡して測定した所の諸事項について表示すると次の如くである。
第1表 大豆の生育過程における体物質構成に関係の深い事項の測定結果
132
粗壁
93.10
品l晶l晶。l品。i晶。l指。日量吊笠。1 這蒜禦竺竺l晶!品l品。l品11
89.2711。4.2。l _]100.10
41.80】41.90i 29.40
7.59】10.781 9.46111.61 4.5013.96i 3.41 仝地上部
風乾塵!個体g 仝 葉
風乾重/個体g 風乾薬申 仝糖分含有量%
仝葉中仝糖分量!個体.
(A)
仝地上部申 仝窒素量/個体 g(B)
(ノり+(B)/個
発育上の特記事 項
0.22
0.07
4.50
(111g)
3.03
(mg)
18.60
(nlg)
21.63
単 葉 展 開
∴:
;:;:;一一ゴ1−品
葵生長盛期
25.25
8.15
2.06
4.801 5.70I −I .鈍
9.31】 9.66】 −
大容積に達す種子がその最
種子鴇形成期
種子形成始期葵最大生長期 落葉盛期 完 熟 期
*昭和2S年5月9日日本作物学会近淡地域談話会第8回講演会に於いて発表 栗丘学芸大学紀要 第3巻 第2号 昭和28年12月28日
(2(16) 市 島 紀 郎
ます1個体当会地上部風乾重は第1図に見られる如く開花前約10日ごろ(播種後40日目)から 英の生長が旺盛になる播種後80日日頃までは急速に増加をしその後の増加は比較的少く租子が半 分程生産した頃(播種浸100日目)から減少の傾向がある。この減少した理由はこの頃より種子 も重量を増すが落葉による損失の方が移しくなるためと考えられる。同時に光合成を司ると考え られる1個体あたりの重要乾物重を見るとやはり播種後40日日頃から80日日頃までは急激に増加 するがその後は落茸が次第に多くなり減少の一方を辿っている。
檎糠象81k
第1図 大豆の生育過程における1個体等 地上部風乾重と仝葉風乾重 勿論某中の膳分量そ・〇ものが光合 成の力の大小を示すものではなく同 化のはじめはごく簡単な構造の単騎 類であっても数時間後/こは第2第3 の物質に変化してゆき叉同化された
更にその巽中の光合成産物と考えられる金額分の含有量 を測定してみると第2図に見られる如く生育過程において 波状をなしつ⊥変化し開花期を中心に含有量は減少し叉恢 復して増加するが成熟(落葵)現に近づくにつれて叉減少
している。
∫0
権薗亀8薮
第2図 大豆の生育過程にわける菓中の仝糖分含有量/風乾垂 糖類はたえす呼吸作用によって消費されるであろう0しかし稜々の文献によれば葉の中の糖矧は 炭素同化産物が安定した貯蔵物質となった形と解釈されるのでこれ紺臆することによって同化 力の程度の傾向は伺われると思い全襲重から1個体あたり葉中に存在する全階分量を算出した結
樺漉後日敢
第3区l 大豆の生育過程に於ける1個体等仝葉中の 仝糖分絶対量(A)
発は第3図の如くであった。これを 第1図の金地上部の風乾重の変化と 比較すると次のことが考えられる。
即ち開花期までの双方の変化はほゞ 同様な傾向を示しているがその後風 乾重の増加のしかたと金牌分量の増 加のしかたはほゞ10日の差を以て同 様な傾向を示している。この事より 巽中に貯蔵された糖分は約10日後に 体物質として形成されるのではない かと考えた。そして本葉駁条件下に あいては全糖分の量が最大になると きは丁度英がその貴大の長さに達し 種子の形成が始まる境と考えられ、
大豆の生育過程に関する研究(I) (207)
この時を中心として光合成の最も旺んな時期が到来するのではないかと考えた。
0
部 畑 加 ノ 調 ル
会鞍上甲会堂先主互
古0
庸一痩灸8宙
第4図 大豆の生育過程における1個体当仝地上部の 仝窒素絶対量(玉)
体あたりの葉の中の仝糖分量(A)と全地上部の全容素量
次に大豆の体物質形成のもう1つ 主要な役割として窒素同化作用が考 えられるので仝地上部における全室 素量を測定した結巣は第4図の如く
であるe この全姿素量が減少の傾向 にあったところの第1回田試料採取 の頃は丁度肉眼で棍瘡の認められた 頃であった。根瘡は薪根の発生のあ る限り璃噂し窒素固定力を失わない が古根の崩壊と共に棍癖も崩壊する と考えられるが棍瘡か肉眼で認めら れる様になった頃から完熟に到るま で地上部の金宝素量は増加の一方を 辿っていた。
以上の如く大豆の体物質形成の上 から長も有力であると考えられる2 つの要因について測定結果をLらべ てきたが更に生育過程における1個
(B)との合計を算出しこれを1個休 当地上部風乾重の生育過程における変化と対照すると第5図の如くであった。
図に於いて地上部風乾重については(A)+(B)の10倍の目盛を 設けてあるがこの両者は殆ど同様な傾向で動いておりことに初期 の生育から英がその最大の長さに生長するまでは殆ど一致してい る。ただ開花期を中心として菓中の糖分含有量が激減するためこ の両者の問に一致を欠いている。この時期は呼吸の最も旺んなと きで糖分の消費も最も珍しい時期ではないかと考えられる。叉播 種後100日目頃は両者共夫々貴大に達しその後は両者共減少して いるがこの時期は体物質の形成が質量的に完了した時期ではない かと思われる。
本実験に於いては地上部についてのみしか調べられなかったが 薬中の糖分と地上部の全窒素の絶対量を測定することにより地上 部の体物質構成の力の時期的な傾向を伺ったのでここに述べた次 第である。
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4韓亀召h
第5図 大豆の生育過程にわけ る1個体等地上部風乾 重と(A)+(B)