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雑誌名 奈良教育大学紀要. 自然科学

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Academic year: 2021

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奈良教育大学学術リポジトリNEAR

中間宿主体内における有輪条虫六鉤幼虫の発育形態  特に糖原質の分布について

著者 沢田 勇, 加藤 禎孝

雑誌名 奈良教育大学紀要. 自然科学

巻 17

号 2

ページ 49‑51

発行年 1969‑01‑31

その他のタイトル Developmental Morphology of the Onchosphere of the Fowl Tapeworm, Raillietina cesticillus On the Distribution of Glycogen

URL http://hdl.handle.net/10105/3156

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奈良教育大 第17巻第2号(自然)昭和44年

Bull. Nara U. EducリVol. 17, No. 2, (Nat.), 1969

中間宿主体内における有輪条虫六鈎幼虫の発育形態 特に糖原質の分布について

(付,図版2)

沢 田   勇・加 藤 禎 孝

(奈良教育大学生物学教室) ・ (奈良県立高田高等学校) (昭和43年6月6日受理)

Developmental Morphology of the Onchosphere of the Fowl Tapeworm, Raillietina cesticillus

On the Distribution of Glycogen

Isamu SAWADA and Teiko KATO

(Biological Laboratory, Nara University of Education and Takada High School, Nara, Japan>

(Received June 6, 1968)

(1) The distribution of glycogen in various developmental stages of Raillietina cesticillus onchosphere was investigated by the acid‑Schiff reaction method.

(2) The localization of glycogen was found in the outermost thin membrane of onchosphere just after beginning of growth and the positive glycogen reaction of thin membrane was observed until the onchosphere grew up to the plerocercoid form.

(3) In young cysticercoid in the process of investigation, glycogen was found in the mesenchymatous tissue which drew a larval scolex into the outer cyst and in the muscular layer oJ the suckers located at the larval scolex.

(4) In fully developed cysticercoid, the distribution of glycogen was found to be as follows: i) glycogen is present in the basal membrane directly under the outermost cuticular membrane of the outer cyst and in that which follows the larval scolex invaginated in the outer cyst : ii) a strong positive glycogen reaction is observed in the muscular layer of stickers and around them.

中間宿主体内における有輪条虫六鈎幼虫の擬嚢尾虫への発育形態に関する研究は Wetzet (1934), Wisseman (1945),沢田・岡田(1955)およびDutt et al (1960)などによってな されているが,これらの研究はいづれも六鈎幼虫の発育形態に主体をおいたもので,発育の各ス テージにおける虫体の組織化学的検討は全くなされていない.今回著者らは有輪条虫の中間宿主.

であるヨツボシコミズギワゴミムシTackys laetificus (第9図)の体腔円で六釣幼虫が擬藍 屋虫へ発育する期間中における糖原質の分布を調査したのでその結果を報告する。

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馬0 沢 田   勇・加 藤 禎 孝 材料および方法

有輪条虫六鈎幼虫の発育に使用したヨツボシコミズギワゴミムシは大和郡山市筒井町にある奈

̲且県養鶏試験場内から採集した.採築後約10日間空腹状態に放置し, 1頭ずつのゴミムシを2 , 3 片の新鮮な有輪条虫片節を入れた固定ぴん内に入れて片節を捕食させた。ゴミムシが片節を捕食

したことを確認した後,固定ぴん内のゴミムシを底に厚さ  6cmの砂をしいた径17cm,深さ 二20cm のポット内に移し, 9月28日から11月3日までの36日間実験室内(12.3‑23.2‑C)で飼育

した.飼育期間中ゴミムシには少量のカツオブシの粉および牛肉片などを与えた.片節を食べさ せてから6日ごとに4‑5頚ずつのゴミムシをとり出し,頭部ならびに背部の硬麹を除去した.

そしてゴミムシの腹部のみを1頭ずつAFA液で固定したo各ステージごとの虫体内における糖 原質の分布を調査するために発育虫体を宿したまゝのゴミムシの腹部のパラフィンセクションを つくり, Me Manus氏のPAS反応をおこなった.なおこの方法では,糖原質以外の多糖類も 同じように染ってくるので,同時に唾液によって糖原質を消失させた標本をつくり,同様な方法 で染色して対照とし,両者を比較観察して糖原質の存在を確認した.

結     果

六鈎幼虫人工感染後6日を経過した虫体は円形または楕円形を呈し,大きさは22.3‑78. lx 36.2‑111.1//?こ発育していた.虫体の表面はPAS反応陽性の薄膜によっておおわれ,その内部 に位置する細胞はやや粗雑に配列きれ,中央部にはかなり大きな空所が存在した(第3図).内 一部の細胞はいづれもPAS反応は陰性であった. 12日後には楕円形ないしはプレロケルコイド状

となり,その大きさは78.1‑89.2×139.4‑156.1〃.陽性部が認められた部位は前発育段階と同じ く最外部の薄膜のみであった.虫体の内部には末だ空所が残存し,それを囲んだ細胞群があり, これらはすべて陰性であった(第4図). 18日後になると虫体は長楕円形あるいは明了なプレロケ ルコイド状となり,その大ききは100.4‑133.8×189.6‑323.軸・陽性部は前段階と同じく最外部

・の薄膜のみで,その内側(特に後端部)には繊維状組織の形成が認められた.一方中央に位置し た大きな空所は前端部にのみ僅かに残存した(第5図). 24日後の虫体では将来の幼頭節を形成 する内裏体とそれを陥入させて糎裏尾虫を形成する外嚢体との区別が明らかになり,全体の大き きは156.1‑189.6×345.5‑412.6^であった.発育の進んだ虫体では内嚢体が外嚢体中‑陥入し 始めた虫体もあった.かゝる発育段階のものでは外嚢体の摸端部付近に層状構造があらわれ,さ らに頼粒状細胞が内外両嚢体にあらわれた.また,外重体の前端中央部には内側に向ってⅤ字形 の繊維状組織も認められるようになった.陽性部位は最外部の薄膜および突出した幼頚節の前側 二端付近の吸盤部にあった(第6図). 30日後には大部分の虫体において,劫頚節部が外嚢体内に

蘭人中または陥人が完了していた.外嚢体の周辺部には層状構造があらわれ,それに沿って内側 に顧粒状細胞が分布した.また陥人を開始したものでは幼頭節部の陥入部を基点として繊維性結 合組織が外嚢体の中央部にむかって放射状にのぴていた(第7図) .陽性部は幼体をとりまく最 外部のクテクラ様薄膜の直下にある基底膜および陥大した劫頭節部とくに吸盤部に錬著にみられ た(第8図). 36日後の成熟擬嚢尾虫では外嚢体の基底膜,外嚢体の前端部の基底膜と内裏体と

・の連絡部位ならびに劫頭部とくに吸盤部に陽性部が認められた(第10図および第12図) .なお, 対照とした各ステージごとのプレパラートでは上記陽性部はすべて陰性反応を示した(第11図お A:び第13図) .

(4)

中間宿主体内における有輸条虫六鈎幼虫の発育形態

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考     察

中間宿主の消化管内に侵入した六鈎幼虫は消化管壁を穿孔して体腔へ出ると初めて発育を開始 する.発育を始めた球形の幼虫では虫体をつつむ外側の薄膜のみがPAS反応腸性であることか

ら,先づ虫体の外側の薄膜に糖原質の沈着があらわれるようである.しかしてこの陽性薄膜は内 裏体の陥入直前であるプレロケルコイド状の虫体まで存在する.糖原質は中間宿主側から付加さ れたものと思われるが詳細については今後の研究に得たねばならない.外嚢体と内裏体の区別が 明瞭となり,外嚢体内への内嚢体の陪人が開始されると,外嚢体内へ引き込まれていく内裏体の 間充織部に腐性部が頗著にあらわれる.このことは間充織細胞の収縮運動に糖原質が関係してい るように思われる.さらに幼頭節部の先端部よりわずか後方両側端の吸盤部に陽性部があらわれ てくる.吸盤部は陥八が完了して擬嚢尾虫に発育した時に糖原質の分布が顕著である。条虫類の rz吸盤部に多くの糖原質が分布していることは己に山属(1951)が岳平条虫Moniezea expansa で証明している.条虫類の吸盤部になぜ多くの糖原質が存在するかについては不明であるが,撹 嚢尾虫が終宿主である鶏の小腸内に侵入して助頭節を外嚢体から転出した後,小腸壁に吸着する 贋の吸着運動と何か関係があるのではなかろうか.

摘     要

(1)有輪条虫の片節をヨツボシコミズギワゴミムシに食わせた後,一定期間飼育した.その い間6日ごとにゴミムシの体腔内に宿る六鈎幼虫から擬裏尾虫への種々の発育段階にある幼虫体を

採取してAFA液で固定した.そしてそれぞれのパラフィンセクションをつくってPAS反応を 孟荒み,糖原質の分布を調査した.

(2)糖原質の存在は六鈎幼虫の発育開始直後,最外部の薄膜に認められ,細長く伸びたプレ ロケルコイド状の虫体に発育するまで同様に外部の薄膜にみられた.さらに陥人が開始された個 体では内裏体である幼頭節を外菓体内へ引き込む間充織細胞ならびに幼頚節の先端に近い吸盤部 に糖原質が存在した.

( 3)成熟擬嚢属虫では嚢休部の最外部に位置するクテクラ様薄膜の直下にある基底膜付近, 陥大した地頭節部に続く基底膜,内裏体では幼頭節の吸盤部ならびにその周辺部にそれぞれ糖原 質の存在が確認された.

文     献

(1) Dutt,S.C, P.K. Sinha and K. N. Mehra 1961 Studies on the life history and biology of the fowl cestode, Raillietina cesticillus (Molin, 1858) Fuhrmann 1920. Indian J.

Vet. Sci. 31(2):108‑120

(2)沢田勇・岡田初子1955 有輪条虫六釣幼虫の擬嚢居虫への発育形態 動物学雑誌 64(ll):16‑20 (3) Wetzel,R. 1934 Untersuchungen iiber den Entwicklungskreis des Hlihner‑bandwurmes

Raillietina cesticillus (Molin, 1858.) Arch. Wiss. Prakt. Tierheilk. 68:221‑232 (4) Wisseman, C. L. Jr. 1945 Morphology of the cysticercoid of the tapeworm,

Raillietina cesticillus (Molin). Trans. Arm. Microscop. Soc. 64:145‑150

15)山鳥泰正1952 内部寄生虫類の組織化学的研究. Ⅸ 糖原質の分布について 動物学雑誌 61(ll):

317‑322

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参照

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