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光産業の将来ビジョン―ボーダレス化の中での進化と展開―(1BIZYON)

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2004FY-001-1

光産業の将来ビジョン

―ボーダレス化の中での進化と展開―

2004(平成 16)年 11 月

財団 法人

光産業技術振興協会

(2)

この事業は,競輪の補助金を受けて実施したものです。

この事業は,競輪の補助金を受けて実施したものです。

この事業は,競輪の補助金を受けて実施したものです。

(3)

序 文

財団法人光産業技術振興協会は,1980(昭和 55)年 7 月に創設され,以来 20 有余年に亘り我が国の光産 業の発展のために活動してきた。当協会が発足した年の光産業の国内生産額はおよそ 800 億円程度であった。 それが 20 年後の 2000(平成 12)年度には国内生産実績額が 7 兆円を超える規模となり,その後 IT バブルの 崩壊により,6 兆円にまで落ち込んだものの 2003 年度には再び大幅なプラス成長を記録し,7 兆円台に回復 した。光産業は産業全体の中で依然として成長を続ける潜在力を持った産業であり,今後も中長期的に拡大 成長路線を歩むものと期待される。 当協会は,創設以来光産業界の発展に資する様々な活動を行い,報告書等の形で世に送り出してきた。将 来ビジョンの策定もその主要な活動の一つであり,1981・82 年,1990 年および 1995 年と過去 3 次に亘って 光産業の将来ビジョン報告書を上梓してきた。今日の光産業の発展の姿を見るとき,将来ビジョン策定をは じめとするこれらの活動が光産業界に適切な指針を提供し得たものと考えている。 直近の第 3 次の将来ビジョン策定から約 10 年が経過したが,この間インターネットと携帯電話の爆発的な 普及があり, グローバル化が一層進展した。今回の将来ビジョンは,IT バブルが弾けた 2002 年に企画検討 が開始され,「光産業が日本の活路を拓く」という基調のもとに明るく元気の出る将来ビジョンを目指したも のであるが,以上のような状況を踏まえれば,今般第 4 次のビジョンとして 2010 年,2015 年のタイムスパ ンで光産業の展望を示す適切な時期であったと考えられる。 今回の将来ビジョンは,光テクノロジーロードマップ策定委員会(田中昭二委員長)の下に,将来ビジョ ン策定専門委員会(島田潤一委員長)を設置し,この専門委員会が中心となって,光産業動向調査委員会, 光技術動向調査委員会および光テクノロジーロードマップ策定専門委員会の 3 委員会の特段のご協力を得て とりまとめたものである。この将来ビジョンが光産業のみならず,今後の我が国の経済・産業・社会の発展 に広く役に立つものとなれば幸いである。 末筆ながら,田中昭二光テクノロジーロードマップ策定委員長,島田潤一将来ビジョン策定専門委員長を はじめ,関係各委員会委員長および委員,並びに本報告書作成のためにご尽力頂いた全ての関係者の方々に 深く感謝の意を表する次第である。 2004(平成 16)年 11 月 財団法人光産業技術振興協会 会 長 金 杉 明 信

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光テクノロジーロードマップ策定委員会名簿

(順不同,敬称略) 委員長 田中 昭二 財団法人国際超伝導産業技術研究センター 超電導工学研究所 所長 委 員 東 実 株式会社東芝 執行役上席常務(2004 年 3 月まで) 有信 睦弘 株式会社東芝 執行役常務 研究開発センター所長(2004 年 4 月から) 荒川 泰彦 東京大学 先端科学技術センター 教授 池上 徹彦 会津大学 学長 内山 隆 株式会社富士通研究所 取締役 ペリフェラルシステム研究所長, ストレージシステム研究所長 太田 賢司 シャープ株式会社 常務取締役 技術本部長 尾形 仁士 三菱電機株式会社 上席常務執行役 開発本部長(2004 年 4 月から) 神谷 武志 大学評価・学位授与機構 学位審査研究部長 古池 進 松下電器産業株式会社 代表取締役専務 島田 禎晉 株式会社 オプトウエーブ研究所 フェロー 島田 潤一 独立行政法人 産業技術総合研究所 研究顧問 中原 恒雄 住友電気工業株式会社 顧問 西野 壽一 株式会社 日立製作所 中央研究所 所長 西村 吉雄 東京工業大学 監事 矢嶋 弘義 超技術開発者集団株式会社 技術顧問 渡辺 久恒 日本電気株式会社 執行役員(2004 年 3 月まで) 國尾 武光 日本電気株式会社 執行役員(2004 年 4 月から) 事務局 山 清博 財団法人光産業技術振興協会開発部 主幹 田口 剣申 財団法人光産業技術振興協会開発部 主幹 中島 眞人 財団法人光産業技術振興協会総務部 次長(2004 年 3 月まで) 内海 邦昭 財団法人光産業技術振興協会開発部 主幹(2004 年 4 月より)

将来ビジョン策定専門委員会名簿

(順不同,敬称略) 委員長 島田 潤一 独立行政法人 産業技術総合研究所 研究顧問 委 員 荒川 泰彦 東京大学 先端科学技術研究センター 教授 池澤 直樹 株式会社 野村総合研究所 コンサルティングセクター チーフインダストリースペシャリスト

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金子 和夫 社団法人電子情報技術産業協会 専務理事 神谷 武志 大学評価・学位授与機構 学位審査研究部長 河田 聡 大阪大学 大学院工学研究科 応用物理学専攻 教授 菊田 隆 財団法人未来工学研究所 科学技術政策研究センター センター長 主席研究員 菊池 純一 青山学院女子短期大学 教授 児玉 皓雄 株式会社 KRI 専務取締役 コンサルティング本部長 西村 吉雄 東京工業大学 監事 町田 洋次 社団法人 ソフト化経済センター 理事長 松田 英三 読売新聞社 東京本社 論説委員 森川 滝太郎 東洋大学 工学部 電気電子工学科 教授 矢嶋 弘義 超技術開発者集団株式会社 技術顧問 山本 宏 社団法人日本電線工業会 常務理事 事務局 灘本 正博 財団法人光産業技術振興協会 専務理事 石原 聰 財団法人光産業技術振興協会 理事 中島 眞人 財団法人光産業技術振興協会 総務部 次長 山 清博 財団法人光産業技術振興協会 開発部 主幹 田口 剣申 財団法人光産業技術振興協会 開発部 主幹 野口 幸男 財団法人光産業技術振興協会 開発部 主幹 北山 賢一 財団法人光産業技術振興協会 開発部 主幹 佐々木 健一 株式会社野村総合研究所 コンサルティング・セクター 副主任コンサルタント 冨田 勝己 株式会社野村総合研究所 コンサルティング・セクター 副主任コンサルタント 向井 肇 株式会社野村総合研究所 コンサルティング・セクター コンサルタント

寄稿者名簿

( )内の数字は本報告書の掲載項目番号を示す。

<第 3 章>

佐藤 健一 (3.1.1) 名古屋大学大学院 工学研究科 電子情報システム専攻 教授 和田 尚也 (3.1.2) 独立行政法人 情報通信研究機構(NICT) 情報通信部門超高速フォトニックネットワークグループ 主任研究員 中沢 正隆 (3.1.3) 東北大学 電気通信研究所 超高速光通信研究分野 教授

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土田 英実 (3.1.4) 独立行政法人 産業技術総合研究所 光技術研究部門 情報通信フォトニクスグループ グループ長 石川 浩 (3.1.5) 技術研究組合 フェムト秒テクノロジー研究機構(FESTA) 光制御・分配技術グループ グループリーダー 清水 克宏 (3.1.6) 三菱電機株式会社 情報技術総合研究所 光通信技術部 チームリーダー 大場 光太郎(3.1.7) 独立行政法人 産業技術総合研究所 知能システム研究部門 空間機能研究グループ グループ長 佐藤 史郎 (3.2.1) NHK放送技術研究所 材料基盤技術 部長 陶山 史朗 (3.2.2) 日本電信電話株式会社 サイバースペース研究所 画像メディア通信プロジェクト 高臨場感技術グループ 主任研究員 平山 雄三 (3.2.3) 株式会社東芝 研究開発センター ヒューマンセントリックラボラトリー 主任研究員 小田 敦 (3.2.4) 財団法人山形県企業振興公社 有機エレクトロニクス研究所設立準備室 次長 山田 元量 (3.2.5) 日亜化学工業株式会社 第2部門 窒化物半導体研究所 主任研究員 辻岡 強 (3.2.6) 大阪教育大学 教育学部教養学科 教授 保立 和夫 (3.3.1) 東京大学大学院 工学系研究科 電子工学専攻 教授 小池 和英 (3.3.2) 独立行政法人 産業技術総合研究所 環境管理技術研究部門光利用研究グループ 主任研究員 濱川 圭弘 (3.3.3) 立命館大学 総長顧問 教授 荒川 裕則 (3.3.4) 東京理科大学 工学部工業化学科 教授 井澤 靖和 (3.3.5) 大阪大学 レーザーエネルギー学研究センター 教授・センター長 内田 成明 (3.3.6) 財団法人レーザー技術総合研究所 レーザービーム伝送研究チーム 主任研究員 高辻 正基 (3.3.7) 東海大学 開発工学部 教授 河田 聡 (3.3.8) 大阪大学 大学院工学研究科 応用物理学専攻 教授 喜多 紘一 (3.3.9) 東京工業大学 像情報工学研究施設 特任教授 佐藤 俊一 (3.3.10) 防衛医科大学校防衛医学研究センター情報システム研究部門 助教授 春名 正光 (3.3.11) 大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻 教授 荒川 泰彦 (3.4.1) 東京大学 先端科学技術研究センター 教授 野田 進 (3.4.2) 京都大学 大学院工学研究科電子工学専攻 教授 大津 元一 (3.4.3) 東京大学大学院 工学系研究科 電子工学専攻 教授 羽根 一博 (3.4.4) 東北大学 大学院工学研究科 ナノメカニクス専攻 教授 藤田 雅之 (3.4.5) 財団法人レーザー技術総合研究所 レーザー加工計測研究チーム 主任研究員 鳥塚 健二 (3.4.6) 独立行政法人 産業技術総合研究所 光技術研究部門 超短パルスレーザーグループ グループ長 股木 宏至 (3.4.7) 株式会社 KRI 光機能材料研究部 部長

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<第 4 章>

池澤 直樹 (4.2.1, 4.2.6, 4.2.7) 株式会社 野村総合研究所 コンサルティングセクター チーフインダストリースペシャリスト 松田 英三 (4.2.2) 読売新聞社 東京本社 論説委員 町田 洋次 (4.2.3) 社団法人 ソフト化経済センター 理事長 菊田 隆 (4.2.4) 財団法人未来工学研究所 科学技術政策研究センター センター長 主席研究員 矢嶋 弘義 (4.2.5, 4.2.17) 超技術開発者集団株式会社 技術顧問 児玉 皓雄 (4.2.8, 4.2.13) 株式会社 KRI 専務取締役 コンサルティング本部長 河田 聡 (4.2.9) 大阪大学 大学院工学研究科 応用物理学専攻 教授 菊池 純一 (4.2.10) 青山学院女子短期大学 教授 西村 吉雄 (4.2.11, 4.2.14) 東京工業大学 監事 荒川 泰彦 (4.2.12) 東京大学 先端科学技術研究センター 教授 神谷 武志 (4.2.15) 大学評価・学位授与機構 学位審査研究部長 森川 滝太郎(4.2.16) 東洋大学 工学部 電気電子工学科 教授

将来ビジョン策定専門委員会開催経緯

2003 年 7 月 8 日 2003 年度 第 1 回将来ビジョン策定専門委員会 10 月 2 日 2003 年度 第 2 回将来ビジョン策定専門委員会 11 月 28 日 2003 年度 第 3 回将来ビジョン策定専門委員会 2004 年 1 月 30 日 2003 年度 第 4 回将来ビジョン策定専門委員会 3 月 19 日 2003 年度 第 5 回将来ビジョン策定専門委員会 5 月 28 日 2004 年度 第 1 回将来ビジョン策定専門委員会 7 月 23 日 2004 年度 第 2 回将来ビジョン策定専門委員会 9 月 22 日 2004 年度 第 3 回将来ビジョン策定専門委員会

(8)

目 次

序 文・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ⅰ ··· ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 委員会名簿 ⅱ 寄稿者名簿 ⅲ 将来ビジョン策定専門委員会開催経緯 ⅴ まえがき 1 第1章 将来社会の展望 2 はじめに 2 1.1. 社会の変化の方向性 4 1.1.1. 将来社会の代表的な社会変化 4 (1) 将来社会の概況 4 (2) 社会の変化の方向性 4 1.1.2. 社会変化の具体例 8 (1) 少子高齢化社会 9 (2) 環境調和型社会 14 (3) ボーダレス社会 18 1.2. 活動主体の将来展望 23 1.2.1. 市民活動の展望 23 (1) 具体的な変化 23 (2) 総合的な特徴 24 1.2.2. 企業活動の展望 25 (1) 具体的な変化 25 (2) 総合的な特徴 30 1.2.3. 行政活動の展望 31 (1) 具体的な変化 31 (2) 総合的な特徴 34 1.3. 将来社会と技術とのシナリオ 35 1.3.1. 将来技術の方向性 35 1.3.2. サービス事例 36 (1) 少子高齢化社会におけるサービス事例 36 (2) 環境調和型社会におけるサービス事例 39 (3) ボーダレス社会におけるサービス事例 41 1.4. 将来社会と光産業 43 第2章 光製品と市場の展望 45 はじめに 45 2.1. 第2章の構成 45 2.2. 光産業市場の将来市場規模の算出方法 47

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2.2.1. 予測の方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・47 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2.2.2. 分野別予測の方法 48 2.2.3. 地域別市場予測の方法 49 2.3. 光製品と技術の将来像 50 2.3.1. 情報通信 50 (1) 分野の定義 50 (2) 求められる機能と代表的な製品及び技術 51 (3) 市場規模 57 2.3.2. 光メモリ 64 (1) 分野の定義 64 (2) 求められる機能と代表的な製品及び技術 64 (3) 市場規模 71 2.3.3. ディスプレイ・照明 76 (1) 分野の定義 76 (2) 求められる機能と代表的な製品及び技術 77 (3) 市場規模 81 2.3.4. 入出力 88 (1) 分野の定義 88 (2) 求められる機能と代表的な製品及び技術 90 (3) 市場規模 91 2.3.5. 加工 96 (1) 分野の定義 96 (2) 求められる機能と代表的な製品及び技術 97 (3) 市場規模 100 2.3.6. 光エネルギー 103 (1) 分野の定義 103 (2) 求められる機能と代表的な製品及び技術 103 (3) 市場規模 107 2.3.7. 環境・センシング 110 (1) 分野の定義 110 (2) 求められる機能と代表的な製品及び技術 111 (3) 市場規模 116 2.3.8. 医療福祉 121 (1) 分野の定義 121 (2) 求められる機能と代表的な製品及び技術 122 (3) 市場規模 126 2.4. 光産業市場の将来像 132 2.4.1. 分野別の市場予測 132 2.4.2. 地域別の市場予測 133 2.4.3. 市場全体の俯瞰 135 (1) 分野全体 135

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(2) 既存・新規別の市場規模 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・136 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (3) 全体を通じた特徴 138 2.4.4. 市場予測のまとめ 139 第3章 光技術トピックス―2010年代から花開く光技術― 140 はじめに 140 3.1. 情報通信分野 141 3.1.1. 将来ネットワークとサービス 141 3.1.2. フォトニックネットワーク 144 3.1.3. DWDMから超高速OTDMそして光位相の制御へ 147 3.1.4. 光信号処理 149 3.1.5. 超高速光デバイス 151 3.1.6. 光量子暗号通信 154 3.1.7. ロボット技術と光技術の融合 156 3.2. ディスプレイ・照明・光メモリ分野 158 3.2.1. デジタルTV放送と光技術 158 3.2.2. 高臨場感立体ディスプレイ 160 3.2.3. パーソナル3Dディスプレイ 162 3.2.4. 有機EL技術 164 3.2.5. 固体照明 166 3.2.6. 分子メモリ 169 3.3. 環境・エネルギー・生命分野 171 3.3.1. 光ファイバセンシング技術の新展開 171 3.3.2. 光触媒の環境への応用 174 3.3.3. 太陽光発電の将来展望 176 3.3.4. 光触媒とエネルギー 181 3.3.5. レーザ核融合とその波及効果 184 3.3.6. 宇宙開発におけるレーザ技術 188 3.3.7. 農業と光技術 191 3.3.8. ナノ・バイオ・フォトニクスの将来 194 3.3.9. 遠隔医療と光技術 196 3.3.10.低侵襲光治療 199 3.3.11.OCTが拓く新たな光診断 202 3.4. ナノフォトニクス・基盤技術分野 205 3.4.1. ナノフォトニクスデバイスの展望 205 3.4.2. フォトニック結晶 207 3.4.3. ナノフォトニクス 209 3.4.4. 光MEMS 212 3.4.5. フェムト秒レーザプロセシング 214 3.4.6. 光パルスの電界操作技術 218 3.4.7. 有機無機ナノコンポジット光学材料 221

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第4章 光産業のさらなる発展に向けて ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・224 はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・224 4.1. 国内生産額の展望・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・224 4.1.1. 光産業動向調査の分野と第2章の分野対比 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・224 4.1.2. 国内生産額の推計 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・225 4.2. 中長期的な発展要素と展開 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・229 4.2.1. 経済発展の核になる光産業 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・229 4.2.2. 光産業への期待・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・231 4.2.3. ポスト産業資本主義時代の基幹産業だと自覚せよ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・233 4.2.4. 技術予測調査からみた光技術の未来 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・235 4.2.5. 環境・セキュリティと光産業 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・237 4.2.6. 競争力強化に貢献する光産業 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・239 4.2.7. 空洞化対応としての光産業 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・241 4.2.8. テラヘルツ光の産業化への一提言 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・243 4.2.9. 構造転換時代の光産業の技術開発の戦略的視点・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・245 4.2.10.光産業の知財戦略 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・248 4.2.11.広帯域ネットワークが産学連携を促進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・250 4.2.12.光情報通信技術における国家的研究開発戦略への期待・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・252 4.2.13.光通信と光情報処理の融合化に向けた技術展開・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・255 4.2.14.「クローズドな摺り合わせ」か「オープンな組み合わせ」か・・・・・・・・・・・・・・・・・・258 4.2.15.光技術をコアとする総合化商品およびサービスの創成・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・259 4.2.16.海外生産と国際的な協業展開 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・261 4.2.17.光産業とベンチャービジネス ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・264 4.3. 光産業発展の方策・提言等 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・266 まとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・271

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まえがき

企業活動のグローバル化が一層進展し,またインターネットが社会の隅々にまで普及し,所謂ボーダレ ス化が顕著となっている。また,地球環境を保全していく環境調和型社会の構築,維持が求められている。 一方日本では少子高齢化が今後急速に進む。このような背景を踏まえ,我が国としては,産業の国際競争力 の強化,企業活動のグローバルな展開を図り,地球環境の保全に配慮しつつ高付加価値産業や新産業の創生 を通じて産業の活性化,雇用確保を図って「豊かでゆとりのある社会」の実現が求められている。 光産業について言えば,1980 年に光産業技術振興協会が発足し,第 1 次の将来ビジョンを上梓したときか ら光産業は大きく成長した。今では我が国の産業力強化の要の技術のひとつが光技術と言えよう。ある産業 分野の将来を予測するには,その表裏をなすニーズとシーズの両面から見るべきであることは言を俟たない が,本調査においては,まずニーズからの視点を先行させることとした。すなわち,まずボーダレスな社会 動向を光産業という立脚点に立って見定め,そこから光市場動向を演繹し,次にその市場動向と表裏をなす 光技術動向を見通し,それらを踏まえて,我が国の光産業の将来の姿を描き出す,という手法をとることと した。 本報告はこのような調査手法に沿って,次のように纏めてある。すなわち,第 1 章においては 2010 年代の グローバルな経済社会動向を光産業の立場から見定める。ここにおいては,光産業とは直接的な関係が見え ない事象をも必要に応じて視野に入れている。続く第 2 章においては,2010 年,2015 年のタイムレンジで分 野別(8 分野:情報通信,光メモリ,ディスプレイ・照明,入出力,加工,光エネルギー,環境・センシング, 医療福祉)に光製品動向を展望し,それに基づき国際的な視野に立って世界全体の,更に地域別,分野別の 光市場規模を展望している。 第 3 章においては,2010 年代半ば以降に花開く将来有望な光技術を取り上げ ている。最後の第 4 章においては,これからの 21 世紀の光産業のさらなる発展に向けて光産業の国内生産額 の展望,中長期的な発展要素とさらなる展開,最後に方策と提言等を示している。

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第 1 章 将来社会の展望

はじめに

分析の流れ 第 1 章では,2010 年及び 2015 年における光産業の市場規模予測(第 2 章にて実施)を行うために, 将来社会の姿を描き出し,現状との違いが与える光産業への影響をとりまとめる。本報告書では,「活 動主体の変化」「(用いられる)技術の変化」から将来社会像を決定すると考え,次のような流れで分析 にあたった。 第一に,将来社会における経済・産業・生活のマクロ的変化を描き出す。これを『社会の変化の方向 性』と呼び,より多くの人が影響を受ける変化の方向性を導出する。次に『社会の変化の方向性』を基 にして『将来社会の変化』を導出する。これは,将来社会で活動する『主体の変化』と,将来社会で利 用される『技術の変化』に影響を受ける。『将来社会の変化』の背景データとなる項目を主に 1.2 で示 す。『主体の変化』は定量的な人口予測や経済予測などで将来の変化を捉え,『技術の変化』も技術の将 来予測等によって設定する。こうして要素毎に変化をとらえることで,将来社会を描き出す上での骨格 を形付ける。 これらの要素で構成される将来社会像に関して,具体的な登場人物,利用される技術,行われる活動 を描いた事例を『将来社会と技術とのシナリオ』に示す。最後に,こうして導出された将来社会におい て光関連機器が用いられる姿について 1.4 に示す。 将来社会像 将来社会像 将来社会における 市民・企業・行政の行動 と 光関連機器との関わり 将来社会における 市民・企業・行政の行動 と 光関連機器との関わり

将来社会の変化

将来社会の変化

・活動主体の変化 ・技術の変化

社会の変化の方向性

社会の変化の方向性

図 1.1.1.1 社会の変化と将来シナリオ 国内と海外の捉え方 第 1 章が対象とする地域について説明する。本報告書は,第 2 章で光関連機器およびサービスの市場 規模推計を行う。その対象は全世界で,4 地域(日本,北米,欧州,その他の地域)に分類して推計す る。そこで第 1 章でも,海外も含めた各種文献・資料を参考として,世界各国の先端事例から社会像を 描く。ただし,日本は多くの分野で最先端のグループに属すると考えられるので,特に日本の動向を中 心として様々な将来の社会像を描き出す。

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光産業が与える周辺の産業への影響 将来の光産業 (第2章で市場規模算出) 光産業の存在により 新たな価値を生む産業群 (第2章で算出されないので、 第1章で言及する) 周辺産業 光産業 近年,消費者は製品単体に対して簡単には付加価値を認めない。そのため様々な機能や製品,仕組み の組み合わせによって顧客のニーズを満たし,対価を受け取るサービスが増加している。つまり,1 つ の製品には多くの産業が結びつく傾向が益々強まっていると言える。 そこで第 1 章では,様々なシーンにおいて光産業と他の産業が結びついてサービスが成立している様 子を 1.4 に記述する。こうして,将来社会における光産業の存在意義を,第 2 章の市場規模算出とは異 なる側面から見ることができる。 図 1.1.1.2 光産業が与える周辺の産業への影響 第 1 章で紹介するサービス事例の位置付け 第 2 章での市場規模算出との連携を求める場合,第 1 章で描くべき事例は,ごく少数の人しか関係し ないものではなく,ある程度多くの人が関係する事例である。そこで,現状の殻を打ち破る新規性を重 視しつつも,社会の主流をある程度占めると考えられるシーンを抽出して取り扱う。規模が見込めなく ても将来の光産業が与えうる夢としての事例は,第 3 章で取り扱う。 新規性 市場規模 「具体的な行動・現象の変化」 で取り上げる領域 ⇒目新しい社会変化 高 低 小 大 「社会の変化」で取り上げる事例 ⇒より一般化された社会変化 市場性は未知数だが 将来の有望技術 ⇒第3章で紹介 図 1.1.1.3 第 1 章で扱う将来社会の事例の範囲

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1.1 社会の変化の方向性

1.1.1. 将来社会の代表的な社会変化

(1) 将来社会の概況 まず,背景となる現在および将来の「生活」「経済」「産業」について整理する。以下の内容を示すにいた った詳細な説明や根拠となるデータなどは 1.2 と 1.3 に掲載する。 全世界で見ると人口は増大するが,一部の国では人口減少に転ずる。内訳を見ると高齢者層の比率が増加 する。GDP は先進諸国途上国とも堅調な伸びを見せ,世界銀行および OECD のデータから推算すると World-Wide で 2010 年には 2000 年度比 20%の増加,2015 年には同 37%の増加が見込まれる。 日常生活は一通りの消費財で満たされ,製品そのものよりも製品を使ってどのようなサービスが得られる のかを重視するようになる。ネットワーク社会が進展し,年齢や性別に関係なく,誰でも障害なしにその便 益を享受できるようになる。 経済はグローバル化し,世界中から選ばれた最適地で製品は生産され,それが世界中に販売される。自由 貿易圏が数多く誕生し,国家間の貿易は活発化する。 また,産業の発展形態も変わる。これまで各国の産業は,軽工業から始まり鉄鋼や非鉄金属などの重工業, 精密機械産業へと国内産業の基盤を整えながら一段ずつ発展する形態をとった。しかし今後は,必ずしも重 工業を国内に備えていなくても電子・電気機器産業,情報産業などが成立できる可能性が高いと考えられる。 これは,電気・電子機器製品等の生産の水平分業化が進むことで海外から素材を調達して,利益率の高い産 業のみを持つことができるからである。こうして今後は,各国が強みを持つ産業に特化した発展形態をとる。 (2) 社会の変化の方向性 次に,本章で将来を描く際に軸を選び出す。第 2 章の光関連機器市場推計にあたって,光関連機器が将来 社会でどのように使われているかを示す必要があり,それに最も大きな影響を与える「社会の変化」をとら える必要がある。そこで,影響を受ける主体数が多い「社会の変化」ほど光関連機器の使われ方に与える影 響も大きいと考え,全世界の市民や企業が影響を受ける社会の変化の方向性として「少子高齢化社会」と「環 境調和型社会」および「ボーダレス社会」の 3 つを将来社会の代表的な「社会の変化の方向性」として抽出 した。それぞれを取り上げた理由を以下に説明する。 3 つの方向性 少子高齢化社会 先進諸国では今後,少子高齢化が進む。詳細は 1.2 で示すが,国毎に現況は異なるが,一般的に経済成長 に伴って出産率は減少し,平均余命は増加する。この 2 つの要因により,世界的な傾向として経済成長に伴 って高齢化が進む。 少子高齢化は「高齢者」と「子供」に限らず,彼らを養う青年・壮年層にも大きな影響を与えるものであ る。このように全世代が影響を受け,先進国(日本,北米,欧州)を中心に世界的な傾向である「少子高齢 化」を代表的な社会の変化の方向性の一つとして位置付ける(図 1.1.1.4)。2015 年までの期間で考えると, 人口へのインパクトが大きい中国でも少子高齢化の傾向が見られる(一人子政策により少子化は計画的な側 面もある)。

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0 200 400 600 800 1,000 1,200 1,400 2000 2005 2010 2015 人口(百万人) 60-20-59 0-19 0 200 400 600 800 1,000 1,200 1,400 2000 2005 2010 2015 人口(百万人) 60-20-59 0-19 図 1.1.1.4 先進国(日本,北米,欧州)の人口構成予測 出所)国際連合 環境調和型社会 世界的な潮流として,環境問題への対応が重要視されるようになる。経済のグローバル化によって,廃棄 物の越境移動や生産地と消費地の乖離が,環境汚染に関して国際間の不公平性を生む。こうしたことから近 年は環境規制などの取組が国際化しており,どの国においても環境との調和を意識した生活・産業行動を行 わざるを得ないようになる。 欧州のSRIファンド数 0 50 100 150 200 250 300 1980-1984 1985-1989 1990-1994 1995-1999 200-2001 市民は2008年~2012年に渡る 京都議定書の遵守など 、環境への意識が高まっている 。 する と企業は環境への配慮を 促進せざるを えない。 そうしたことを 背景として、環境など に配慮した企業への投資(SRI)が盛んになっており、 今後も伸びつづける と考えられる 。 する と企業も環境配慮行動を 促進せざるを えず、結果として、社会全体が環境を 意識した 行動を とる 出所)SiRi Group このように環境問題の影響は世界中に及ぶものである。環境意識の高まりや規制強化は世界中の誰も無視 できない社会変化であることから,「環境調和型社会」を代表的な社会変化の方向性の一つとして位置付ける。 図 1.1.1.5 地球環境問題対策の隆盛

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ボーダレス社会 これまで人や企業の行動の制約となっていた様々な障壁が今後は取り除かれる。具体的には人に関する障 壁と地域に関する障壁の二つに大きく分類される。 「距離の壁がなくなる: ∼地域に関するボーダレス∼」 「年齢・性別・国籍に関する壁がなくなる:∼人に関するボーダレス∼」 地域に関しては,人やモノ,情報が国を問わず飛び交う社会となる。自由貿易の進展はモノの移動だけで なく,直接経済活動に関わる人や情報の移動を生む。さらには,政策として人やモノの移動を促す仕組みも 整うことが想定され,非経済活動の分野でも人や情報の交流を生むと考えられる。こうして,これまで障壁 となっていた国境や距離の隔たりに依存しない人や企業の活動が行われる。今後,世界中で人や情報が飛び 交い変動しつづける社会では,その人が持つ能力や価値観,信条が最重要視される。 以上 2 つのボーダレス化は世界中の人々に影響を与えるものであることから,「ボーダレス社会」を代表的 な社会変化の方向性の一つとして位置付ける。

ボーダレス社会

自由貿易体制が整う 人の移動の障壁が低くなる

これまでの社会

年齢を問わない 性別を問わない 貿易の障壁 人の移動の制限 年齢による差別 性別による差別 図 1.1.1.6 ボーダレス社会 このように「少子高齢化社会」「環境調和型社会」「ボーダレス社会」を代表的な 3 つの社会変化として捉 えた。また,「ユビキタス社会」は,「少子高齢化社会」「環境調和型社会」「ボーダレス社会」の 3 つの基盤 となる社会変化として位置付ける。なぜなら,ユビキタス・ネットワークは上記 3 つの代表的変化に応じて サービスが提供される際に,意図的であるかないかに関わらず,何らかの形で利用されると考えられるから である。ユビキタス・ネットワーク社会の展望を以下に述べる。

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ユビキタス・ネットワーク社会 急速に進むテータ通信の大容量化とブロードバンドサービスの低価格化,家電などのデジタル化・ネット ワーク化により,身の回りのあらゆる製品がネットワークを介して大容量データのやりとりを行うようにな る。こうして 2010 年ごろには映像や 3 次元画像・映像の伝送により現在の千倍程度の規模とも言われる情報 通信が行われ,市民生活や企業活動はどこかでユビキタス・ネットワークに繋がっているようになる。 これより,ユビキタス・ネットワーク社会は,先に示した 3 つの社会変化も取り込んだ形で成り立つ将来 社会であると言える。 データトラフィックの推移(1998年を100とした場合) 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 1998 1999 2000 2001 2002 2003 出所)メリルリンチ証券等 日本のデータトラフィックは、PC等を用いたテキストや画像データレベルでも1998年から1000 倍近い伸びが見られる。 今後は多様化した形(映像や3次元画像等)でデータが扱われることで、データトラフィック量は 更なる伸びで増大すると考えられる。 図 1.1.1.7 データトラフィックの動向 ネット ワークに 繋 がる機器 の増加 情報通信量 の増大 ネット ワークを 流 れる情報 の 大 容量化 ユビキタス社会では、ネットワーク上を 流れる 情報が大容量化する 。(高精彩動画等) ネットワークに繋がる 機器の数が増大する 。(ネットワーク家電等) 上記2つ により情 報通信 量が激 増し、201 0年ごろ には2000年 時の千倍以上に達 する とも言 われる。 2010年頃には 数千倍に データトラフィック (指数) 2003 201010 100 1000 図 1.1.1.8 ユビキタス・ネットワーク社会における情報通信量の増大

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以上のように膨大な情報が飛び交う社会の中で,先に挙げた 3 つの社会変化が起こると考えられる。そこ で,具体的なサービス事例を検討する際には,3 つの基軸に「ユビキタス」を加え,「ユビキタス」×「少子 高齢化」,「ユビキタス」×「環境調和」,「ユビキタス」×「ボーダレス」といった視点で検討にあたる。 図 1.1.1.9 代表的な 3 つの社会変化

1.1.2. 社会変化の具体例

概念としての「社会の変化の方向性」から「具体的な行動・現象の変化」を導く。「ユビキタス」×「少 子高齢化」といった概念レベルのものから,「具体的な行動・現象の変化」へとブレイクダウンすることで, 実際のシーンとそれに関わる光関連機器の関係を示すことができる。以下にはブレイクダウンした具体的な 行動の変化を,「生活」に関係深いものと「経済・産業」に関係深いものに分けて示す。 第1層 社会変化 第1層 社会変化 第2層 社会変化 第2層 社会変化 具体的な 行動・現象の変化 (生活) 具体的な 行動・現象の変化 (生活) 具体的な 行動・現象の変化 (産業・経済) 具体的な 行動・現象の変化 (産業・経済) 社会の変化のブレイクダウン 社会の変化のブレイクダウン 個別事例の抽出個別事例の抽出 図 1.1.2.1 マクロな社会変化とミクロなサービス事例

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(1) 少子高齢化社会 少子高齢化社会では,高齢者だけでなく各世代に変化が起こる。高齢者は増加し,その行動が活発になる。 青少年は減少し今まで以上に手厚い保護を受けるようになる。壮年は減少し,労働力の代替を欲するように なる。なお,本報告書では「高齢者」を 60 歳以上の男女,「青少年」を 0 歳∼19 歳の男女,その間の世代に 属する男女を「壮年」定義する。各年齢層で起こる変化を示す。 (a) 高齢者の行動の活発化 高齢者層では,「高齢者の行動範囲の拡大」と「可処分所得の多い高齢者の増大」が起こると考えられる。 社会変化 社会変化 具体的な行動・現象の変化 (生活) 具体的な行動・現象の変化 (経済・産業) 高齢者の行動範囲の拡大 【大学に通う高齢者の増加】 【高齢者の移動支援】 【高齢恋愛】 【若者から高齢者まで使い易い街の増加】 【健康アドバイスサービスの普及】 高齢者の行動の活発化 可処分所得の多い高齢者の増 大 【両親同居家庭の購買力増加】 図 1.1.2.2 高齢者の行動の活発化 高齢者の行動範囲の拡大 高齢者層が増加することで,世の中には高齢者を支援する機器やサービスが増加する。これにより,体力 が落ちている人でも障害なく外を動き回れるようになり,家に閉じこもっているのではなく,積極的に外出 して様々な活動を行うようになる。こうした変化の具体例として次のような事象が挙げられる。 『生活』に関連する『具体的な行動・現象の変化』 •大学に通う高齢者の増加 仕事を辞めてから「学ぶ」ことを始める人が増加し,学習や研究活動を行うようになる。大学は少子 化による若年入学者減少への対策として,高齢者向けの講座を充実させるようになる。高齢者を対象と した講義が行われるようになるほか,若者と一緒になった講座も開かれる。若者から高齢者までが歩き 回るキャンパス風景が登場する。 •高齢恋愛 平均寿命は伸びる。一方で,離婚率や非婚率は高い値をとるようになる。そうすると,高年齢時の恋 愛機会が増える。社会も高齢者の離婚や恋愛に対するタブー視を持たないようになり,それらが日常的 な出来事となる。 『経済・産業』に関連する『具体的な行動・現象の変化』 •高齢者の移動支援 外出する高齢者の移動を支援する需要が高まり,バス・タクシーなどの個人の家庭をカバーする交通 機関が発達する。タクシーやバスの連動により自宅と目的地を直結することで,歩く距離が極めて少な

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く済むようなサービスが提供される。また,自動車そのものにも変化が求められ,高齢者の運転を支援 する機能が整備される。 可処分所得の多い高齢者の増大 消費者全体に占める可処分所得の多い高齢者の割合が大きくなることで,消費財では安価なものを大量に 消費する社会から高品質なものを厳選して消費する社会に変わる。 『生活』に関連する『具体的な行動・現象の変化』 •若者から高齢者まで使い易い街の増加 これまでは繁華街は若者であふれていたが,商業施設が高齢者を主眼においた場の提供を始める。そ うして,繁華街などでも様々なところに高齢者の憩いの場が登場する。その結果,高齢者に特化した街, 若者から高齢者までが入り混じった街が台頭する。 •健康アドバイスサービスの普及 病気でない時,病院に行かない間の健康生活支援にニーズが集まる。高齢者の割合が増えることで, 健康サービスを受けようとする人口が増大する。従来は,病気になったときに病院に行くといった対処 療法的なかたちが一般的であったが,センシング技術の向上により,日常生活中で人の行動を邪魔しな いような生体情報の収集が可能になる。病気の未然防止を目的とした健康生活のアドバイスサービスが 提供される。若者も体型維持や病気予防のために,こうしたアドバイスを受けるサービスを利用する。 •両親同居家庭の購買力増加 65 歳を超えても働く人が増加する。彼らが息子の家庭と同居し,それが夫妻ともに職を持つ場合,一 家で収入を上げる者が幾人もおり,生活費を除いた自由に使える所得が非常に高くなる。こうした高い 購買力を持つ層が消費を支えるようになる。ネットワーク化の進展やリスクマネジメントの観点から, 企業の一極集中が弱まる分,都心でも郊外でも過度の集中が緩和されて住宅事情が改善し,広い家で嗜 好に合う様々なものに囲まれた豊かな生活が可能になる。 (b) 子供が大人から受ける影響の増大 子供の大人に接する機会が増加し,「子供 1 人あたりの投資額増大」と「子供の思考の早熟化」が起こると 考えられる。それぞれについて以下に詳しく述べる。 社会変化 社会変化 具体的な行動・現象の変化 (生活) 具体的な行動・現象の変化 (経済・産業) 【家族の自衛意識の向上】 【子供向け商品市場の活性化】 【躾の外注】 子供の思考の早熟化 【親子の友達化】 【ビジネスに参加する青少年の増加】 子供が大人から受ける影響の増大 子供1人当たりの投資額増大 図 1.1.2.3 子供が大人から受ける影響の増大 子供 1 人あたりの投資額増大 少子化に伴って,1 人の子供に対する期待や保護が増大する。購買力を持つ高齢者の人数が増加する一方

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で,子供の人数が減少し,1 人の子供への投資額が飛躍的に伸びる。こうした変化の具体例として次のよう な事象が挙げられる。 『生活』に関連する『具体的な行動・現象の変化』 •家族の自衛意識の向上 治安が悪化し,子供を狙った犯罪も増加する。従来は警察や学校に守ってもらうという意識であった ものが,自分の子供は自分の手で守ることを求められる。被害者の立場でなく加害者として,子供の犯 罪への加担を防ぐため,子供の日常生活の「監視・管理」も両親は行うようになる。 •躾の外注 女性の社会進出が目立ち,子育てや躾に十分な時間を取れなくなる。また,そもそも躾を行うにも両 親にその知識・能力が備わっていない状況が増える。そうして挨拶やマナーなどの基本的な事項につい ても,子供は専門家に教えてもらうようになる。 『経済・産業』に関連する『具体的な行動・現象の変化』 •子供向け商品市場の活性化 両親にとってますます子供が貴重な存在になる。健康面や衛生面などに過剰に注意を払うようになり, そうした分野への投資を惜しみなく行う。また,祖父母だけでなく曽祖父母が健在であることが多くな り,皆が惜しみなく子供に色々なものを買い与える。少子高齢化社会では,高齢者向け商品の市場だけ でなく,高齢者が購入する子供向けの商品の市場も活性化する。 子供の思考の早熟化 将来社会では,ユビキタス機器によって女性の働く環境が整えられて社会進出は進む。よって子供は小遣 いや与えられるモノは充実する一方で,両親と直接触れ合う機会は減少する。そこで子供の付き合う相手は 家族でなく友人達ということになるが,その形態は現在と異なる。従来は学校がコミュニケーションの中心 で,同年代同士中心の交友であった。今後はネットワーク社会の拡がりによって,子供達は興味のある分野 を基準に付き合う相手を決めるようになる。そうして年長の相手とも交流し,子供が早くから大人の考えを 持つ「早熟化」が進む。 『生活』に関連する『具体的な行動・現象の変化』 •親子の友達化 過保護に育ち大人になりきれないまま結婚して子供を産む両親が増える。一方で彼らの子供が早熟で あると,両親と子供の精神年齢差がはっきりせず,親子というより友達感覚でコミュニケーションをと る家庭が増える。 •ビジネスに参加する青少年の増加 「情報」が持つ社会への影響力が強まる将来社会では,情報機器に幼い頃から親しみ,自由に操る青 少年世代が持つ能力が,実ビジネス界でも価値を持つものと認識される。ソフト開発やサイト運営など のビジネスに参加する青少年が増加する。

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(c) 労働市場における壮年層比率の減少 労働市場において壮年層が占める比率も変わる。「少子高齢化社会」という言葉では見過ごされがちだが, 壮年層も減少する。労働人口が減少する中で経済成長を目指そうとする時,労働市場に「高付加価値の更な る追求」と「労働力の変化」次のような変化が起こると考えられる。 社会変化 社会変化 具体的な行動・現象の変化 (生活) 具体的な行動・現象の変化 (経済・産業) 【エンプロイアビリティの重視】 【先進国の産業の高付加価値化】 【医療・福祉サービスの競争激化】 【定年の概念の希薄化】 【各種機器による代替可能な仕事の拡 【アルバイトのSOHO(Small Office Home

Office)化】 労働市場における壮年層比率の 減少 高付加価値の更なる追求 労働力の変化 図 1.1.2.4 労働市場における壮年層比率の減少 高付加価値の更なる普及 これまでと同じ生活水準を維持するためには,より少ない人数で,福祉の必要の膨らんだ社会を支える必 要が出てくる。一人あたりが生み出す付加価値を大きくすることでしか対応しきれない。そこで壮年層の労 働形態や彼らが担う産業の姿も変わる。 『生活』に関連する『具体的な行動・現象の変化』 •エンプロイアビリティの重視 雇用の継続が保障されない時代では,どの企業に行っても雇用される高い専門性と,時代に変化に応 じた専門分野の柔軟な転換が求められる。勤労者は業務を通してこうしたエンプロイアビリティと呼ば れる能力を得ることを求め,研修等を利用して,あるいは業務の現場で,勤務先を転々としながら自分 の目的に沿って能力を獲得してゆく。 『経済・産業』に関連する『具体的な行動・現象の変化』 •医療・福祉サービスの競争激化 高付加価値の産出,生産性の向上を求める中で,高齢化社会においてニーズの大きい医療・福祉分 野に注目が集まる。公共性の高いこうした領域も,規制緩和も進み,需要増大を見込んで民間企業の 進出も盛んになる。また,消費者も質によって依頼する先を選択するようになる。そうしてこうした 分野に進出する営利企業が増え,公共サービスも含めてサービス提供者間の競争が激化する。 •先進国の産業の高付加価値化 付加価値の低い職業では高齢化社会の生活の負担に耐えることができない。先進国家では現在でも, 企業は,高付加価値を行わないと途上国の新興企業に太刀打ちできないと言われているが,同じこと が個人単位でも起こる。高い付加価値を生み出せる職業しか残らなくなる。こうした中で起こるのが, 職業ごとに世界分業体制である。高付加価値な職種が先進国に,そうでないものが途上国に集中する ようになる。一つの企業の中でも,高付加価値な職種とそうでない職種が世界中に分散しつつ,それ ぞれの役割を果たすことで企業として付加価値を生み出すようになる。

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このためには,高度なスキルを持った人間が世界の様々な地域において遠隔操作にて作業を行うなど の現象が起こりうる。ネットワークを活用した遠隔操作により,高付加価値な作業は先進国にいるス キルを持った人間が,効率よく実施することができるようになる。 高 品質高 価格な 製 品・サ ービスを 生 み出 す企 業 高 品質高 価格な 製 品・サ ービスを 生 み出 す企 業 【従来】 【従来】 低 品質低 価格な 製 品・サ ービスを 生 み出 す企 業 低 品質低 価格な 製 品・サ ービスを 生 み出 す企 業 先進国 先進国 途上国途上国 【将来】 【将来】 先進国 先進国 途上国途上国 企業 企業 高 付加価 値な 役 割を果 たす職業 高 付加価 値な 役 割を果 たす職業 労 働集約 的な 職 業 労 働集約 的な 職 業 ネットワーク ネットワーク 図 1.1.2.5 職種ごとに世界で分業がなされる 労働力の変化 壮年層が減少する分,その替わりを担う様々な労働力が台頭する。消費者嗜好の多様化に対応すべく女性 の進出が引き続き進み,社会保障問題への対応のためにも高齢者の雇用が促進される。また,各種機器によ る労働者の代替も進む。 『生活』に関連する『具体的な行動・現象の変化』 •定年の概念の希薄化 雇用の流動化が進み,企業は長期的な組織への帰属と成長よりも,即時的なその人の持つ能力のみを 求めるようになり,定年の概念が薄れる。そうした中で職業経験を積んできた高齢者が持つ能力にも注 目が集まり,企業も一部の人に対しては積極的に人材確保に走る。

•アルバイトの SOHO(Small Office Home Office)化

一部の簡単な情報処理の仕事を家庭で行うようになる。処理量に応じた歩合で給料が支払われ,能力 のある人であれば大量の仕事を処理して,高給を得るようになる。ネットワークセキュリティの向上と コミュニケーションツールの発達によって,オフィスで行うのと同等の効率が確保でき,家庭での業務 で十分に役割が果たせる。

表 2.1.1.1  分野別の主要製品  各分野の製品 対象分野  既存技術の延長/既存マーケット  新規技術を用いた製品/新規マーケット  情報通信  TDM(Time Division Multiplexing)装置(伝送速度 10Gbps 以 下 ), WDM ( Wavelength  Division  Multiplexing)装置(128 波以下),ADM(Add-Drop  Multiplexer),DXC(Digital Cross Connect),光 増幅器 (利得帯域 80nm 以下
表 2.3.1.1  情報通信分野での製品分類 
表 2.3.3.1  ディスプレイ分野の製品分類  分類  対象製品  CRT ディスプレイ  LCD ディスプレイ  PDP ディスプレイ  プロジェクタ  有機 EL ディスプレイ  FED ディスプレイ  上記以外の薄型ディスプレイ(電気泳動ディスプレイなど) ディスプレイ  LED ディスプレイ  照明用既存光源(白熱電球,蛍光灯,HID,非白色 LED 照明(赤, 黄,緑,青等) ,等)  照明  白色 LED 照明及び有機白色照明  (2) 求められる機能と代表的な製品及び技術  【ディスプレイ
表 2.3.3.7  ディスプレイ・照明分野の地域別市場規模(単位:兆円)  2002年 2010年 2015年 北米 3.3 6.0 9.3 欧州 2.6 4.8 7.3 日本 2.4 4.4 6.8 その他 2.2 4.3 6.9 合計 10.4 19.4 30.3     ディスプレイ・照明 0.05.0 10.015.020.025.030.035.0 2002 2010 2015北米欧州日本その他                               (その他地域とは日本を除くアジアを初めと
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