北 区 観 光 振 興 プ ラ ン 後 期 計 画 目 次
はじめに ··· 1
1. 後期計画の位置づけ ... 1
2. 後期計画の計画期間 ... 2
3. 北区観光の推進体制 ... 3
第 1 章 北区観光の現状と課題 ··· 4
1. 北区観光振興プラン策定以降の観光の動向 ... 4
2. 北区観光のこれまでの取組み状況 ... 7
3. 北区観光の現状 ... 13
4. 北区観光の課題整理 ... 18
第 2 章 後期計画の目標と重点戦略 ··· 19
1. 後期計画の目標・テーマ ... 19
2. 後期計画で取り組む重点戦略 ... 20
第 3 章 重点戦略の取組みの方向性 ··· 22
重点戦略1 北区ならではの観光コンテンツの充実 ... 22
重点戦略2 観光資源をつなぎ、めぐる観光の促進 ... 29
重点戦略3 公民連携によるオール北区での魅力発信 ... 33
第 4 章 北区観光の推進に向けて ··· 38
参考資料 ··· 40
1. 北区観光振興プラン概要版 ... 41
2. 観光振興プランと後期計画の施策体系の関係 ... 52
3. 来街者アンケート調査結果 ... 53
4. 観光マーケット調査結果 ... 67
1
はじめに
1. 後期計画の位置づけ
北区には、江戸時代からの桜の名所として名高い飛鳥山公園をはじめ、四季の変化を楽し める豊かな自然、日本の近代化を支えた渋沢栄一氏の偉業・功績や産業遺産、田端文士村等 に代表されるような文化・芸術に関わる資源、区民の生活を支えている地域の商店街など、
地域の歴史と暮らしに根ざした多様な観光資源が数多く点在しています。
これらの北区に点在する観光資源は、誰もが知っているような著名な観光資源ではありま せんが、地域の自然と歴史のなかで育まれてきた、北区ならではの個性豊かな観光資源であ るといえます。
平成 27 年(2015 年)3月に策定された北区観光振興プラン(以下、「観光振興プラン」
という。)では、北区内に点在する暮らしに根ざした観光資源に焦点をあて、「観光を切り口 として、地域の特性を活かした魅力づくりを行い、さまざまな世代が生きがいを持って長く 住み続けられるまち、訪れて楽しいまちをつくっていくこと」が北区における観光振興であ るとしています。また、北区観光の推進にあたり、行政だけでなく、区民や事業者、地域団 体など、観光に関わるさまざまな主体との連携なしには、大きな効果を期待できないことか ら、行政の取り組む施策のみを示した行政計画ではなく、区民や事業者などが必要に応じて 一緒に取り組む計画として策定しています。
北区観光振興プラン後期計画(以下、「後期計画」という。)は、観光振興プランを上位計 画として、観光振興を通じ、商業振興、工業振興、文化芸術振興、都市基盤整備を図る「観 光を核とした総合的な地域づくりの展開」という観光振興プランの基本的な考え方、施策体 系を継承しながら、後期計画期間で重点的に取り組むべき項目について示す「行動計画」と しての性格を持つ計画とするとともに、行政だけでなく、区民や事業者などが必要に応じて、
一緒に取り組む計画とします。
2
北区における「観光振興」のイメージ
2. 後期計画の計画期間
観光振興プランでは、訪日外国人旅行者を含め、多くの人が東京を訪れることになる東京 2020 オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、「東京 2020 大会」という。)を見据え、
計画期間を平成 27 年度(2015 年度)から平成 32 年度(2020 年度)の6か年度としてい ます。
後期計画は、計画期間を平成 30 年度(2018 年度)から平成 32 年度(2020 年度)の3 か年度とし、観光振興プランの前期計画期間(平成 27 年度~平成 29 年度(2015 年度~2017 年度))における社会的情勢の変化の把握や観光振興の取組み状況の評価・検証を行った上で、
今後、重点的に取り組んでいく項目について記載します。
北区観光振興プランの計画期間
平成27年度
(2015)
平成28年度
(2016)
平成29年度
(2017)
平成30年度
(2018)
平成31年度
(2019)
平成32年度
(2020)
後期 3 か年計画 前期 3 か年計画
「観光」を核とした総合的地域づくりの展開
区 民 の 地 域 に 対 す る 愛 着
・ 誇 り
北 区 の 地 域 活 力 の 向 上
、
定 住 人 口 の 増観光振興
加工場見学 ツアー等
北区ブラ ンド PR 等
美術・工芸 体験教室等 商店街
ツアー等
休憩所、
サイン等
文化芸術振興
(美術・工芸・音楽等)
商業振興
(商店街等)
工業振興
(ものづくり等)
都市基盤整備
(道路・公園等)
北区観光振興プラン
後期計画
※北区観光振興プランより抜粋
※北区観光振興プランより抜粋・加筆
3
3. 北区観光の推進体制
北区観光の推進にあたっては、区民、北区観光ボランティアガイドの会をはじめとする 区民団体、観光に関わりの深い交通や産業などの事業者、博物館や史料館等の文化・教育 施設、一般社団法人東京北区観光協会(以下、「観光協会」という。)及び行政が、相互に連 携・協力し、取り組んでいくことが重要です。
平成 29 年(2017 年)1月には、観光振興プランの基本戦略及び先導プロジェクトで掲 げた北区観光の推進を担う中核的推進組織として、観光協会が設立されました。
観光協会は、公民の強力な連携のもと、観光に関する戦略的、革新的、横断的な取組みを 行うことなどを目的としており、北区の観光振興を図る上での重要なパートナーであると同 時に、北区観光全体を牽引する役割が求められています。
後期計画の取組みの推進にあたっては、観光協会と区が密接な連携を図り、下図に示すそ れぞれの役割を担い、施策を展開していきます。また、観光協会の財政基盤の確立に向けて、
区有施設等の管理運営の委託など、観光協会の自主財源の確保に向けた方策について検討を 進めていきます。
北区 PR Station「東京北区観光協会」のオープニングセレモニーの様子
北区と東京北区観光協会の役割
北区の役割
○北区全体のプランの策定
○プラン(後期計画)の進行管理
○観光振興に関わる基盤整備
○他自治体と連携・協力した広域での 観光振興の推進
○観光ボランティアガイドの支援 等
観光協会の役割
○区内外に北区の魅力を伝えるプロモーション
(シティプロモーションを含む)
○観光振興に資するプログラムの企画、開発、実施
○観光振興に関する商品の研究・開発、販売
○観光振興に関する人材育成
○民間事業者等との連絡協議会の運営 等 相
互 に 連 携
北区と観光協会の両方が担う役割
○観光施策の企画・立案
○観光振興に関するマーケティング 等
平成 29 年7月 13 日開催
4
第 1 章 北区観光の現状と課題
1. 北区観光振興プラン策定以降の観光の動向
(1) 社会的情勢の変化
◆訪日外国人旅行者の増加
観光ビザ発給要件の緩和、LCC※の就航拡大などを背景に、近年、日本を訪れる外国人旅 行者は著しく増加しています。平成25年(2013年)には、年間訪日外国人旅行者数が初め て1,000万人を超え、平成26年(2014年)には1,341万人、さらに平成28年(2016年)
には過去最多の2,404万人に達しました。観光振興プランの策定時(平成26年度(2014年 度))と比較すると、その数は2倍近くまで増加しています。
また、国は平成28 年(2016年)に、東京2020大会が開催されるまでの目標値としてい た「年間訪日外国人旅行者数2,000万人」を新たに「年間4,000 万人」と倍増させており、
今後、外国人旅行者がますます増加することが予想されます。
訪日外国人旅行者数の推移
※Low Cost Carrier の頭文字を取った略称であり、低コストかつ高頻度の運航を行うことで、
低運賃の航空サービスを実現する新たなビジネスモデルを採用した航空会社のこと。
◆観光をめぐる地域間競争の激化
少子高齢化が進み、人口減少社会に突入した我が国においては、観光振興によって交流人 口の拡大を図り、地域を活性化させようとする動きが活発になってきています。さまざまな 地域において、観光振興を主要な政策と位置づけた取組みが始まっており、今後、交流人口 の獲得をめぐる地域間競争が、都市部においても、さらに激化していくことが予想されます。
そのため、今後の取組みにあたっては、地域固有の観光資源を再発見して磨き上げ、行政 と地域が一体となって他地域と差別化した魅力を高め、発信していくことが重要となります。
733 835 835 679
861 622
836 1,036
1,341 1,974
2,404
0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000
H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28
(万人)
※JNTO の統計データをもとに作成
5
(2) 国の観光振興の動向
◆観光ビジョンの策定と日本版 DMO の推進
平成15年(2003年)の観光立国宣言以降、平成18年(2006年)の観光立国推進基本法 の制定、平成20年(2008年)の観光庁の設置など、我が国では観光振興を重要な国家戦略 のひとつに据え、国をあげて取組みを進めています。
国では、平成28年(2016年)3月に観光先進国への新たな国づくりに向けた「明日の日本 を支える観光ビジョン」を策定し、3つの視点を柱とした 10 の改革方針と施策を掲げていま す。
また、地域における観光地域づくりを担う主体として、データ分析に基づいた戦略の策定 やプロモーション等を行う「日本版DMO※」及びその候補法人の形成・確立を推進しており、
平成29年(2017年)11月現在、日本版DMOに41法人、日本版DMO候補法人に133法 人が登録されている状況です。
「明日の日本を支える観光ビジョン」における3つの視点と 10 の戦略
※地域の「稼ぐ力」を引き出すとともに地域への誇りと愛着を醸成する「観光地経営」の視点に立った観 光地域づくりの舵取り役として、多様な関係者と協同しながら、明確なコンセプトに基づいた観光地域 づくりを実現するための戦略を策定するとともに、戦略を着実に実施するための調整機能を備えた法人
◆公共空間や公共施設の活用の促進
近年、都市公園等の公共空間や文化財等の公的施設を観光に活用しようとする動きが活発 になってきています。
都市公園や河川、道路等の公共空間においては、民間の資金やノウハウを活用した魅力あ る公共空間の創出を目指して、民間事業者の管理・運営や空間の使用をさせる規制緩和が進 んでおり(都市公園法運用指針の改正、道路占用許可の特例制度の創設、河川敷地占用許可 準則の一部改正)、各地で公共空間における飲食施設の整備や公共空間を活用したイベントの 実施等が行われています。また、文化財においても、文化財のリノベーション等により、こ れまでの保存優先の姿勢から観光活用へと変化してきています。
出典:観光庁ホームページ
6
(3) 東京都の観光振興の動向
◆世界最高の観光都市を目指した実行プランの提示
東京都では、観光産業を「多くの産業に経済波及効果をもたらし、飛躍的な成長が見込ま れる産業」として位置づけ、本格的な観光振興に取り組んでいます。
平成29年(2017年)1月には戦略性をもった総合的な観光産業振興の展開を目的とした
「PRIME 観光都市・東京 ~東京都観光産業振興実行プラン 2017~」を策定しています。
同プランでは、東京が旅行者にとって世界最高の観光都市となることを目指して、「消費拡大 に向けた観光経営」、「集客力が高く良質な観光資源の開発」、「観光プロモーションの新たな 展開」、「MICE※誘致の新たな展開」、「外国人旅行者の受入環境の向上」、「日本各地と連携し た観光振興」の6つの戦略に基づく施策を位置づけています。
※M: Meeting(企業系会議)、I: Incentive(報奨・研修旅行)、C: Convention(国際会議)、
E: Exhibition/Event(展示会、イベント等)を総称した造語
◆外国人旅行者の受入環境の向上
訪日外国人旅行者の増加に伴い、東京都を訪れる外国人旅行者数も増加し続けており、平 成28年(2016年)の訪都外国人旅行者数は、過去最高の1,310万人にものぼります。
東京都が平成26年(2014年)12月に策定した外国人旅行者の受入環境整備方針では、東 京2020大会までに「世界一のおもてなし都市・東京の実現」を目指して、「多言語対応の改 善・強化」や「情報通信技術の活用」などの5つの視点に基づき、都内全域で、「多言語によ る案内サインの充実や通訳アプリの活用」や「無料 Wi-Fi やデジタルサイネージの整備の推 進、緊急時・災害時での活用」などの外国人旅行者の受入環境整備に取り組んでいます。
訪日・訪都外国人旅行者数の推移 訪日外国人旅行者の訪問場所
※JNTO、東京都の統計データをもとに作成
733 835 835 679
861 622
836 1,036
1,341 1,974
2,404
481 533 534 476 594 410 556 681
887 1,189
1,310
0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000
H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 訪日外国人旅行者数
訪都外国人旅行者数
(万人)
※出典:PRIME 観光都市・東京
~東京都観光産業振興実行プラン 2017~
7
2. 北区観光のこれまでの取組み状況
(1) 北区観光振興プランの概要
◆北区観光の進め方・目標
観光振興プランでは、北区における観光振興の取組みが始動期にあったことから、3 つの ステップで段階的に観光振興に取り組んでいく方針を示しています。
具体的には、区民が地域の魅力を理解できるような取組みを進め(STEP1)、その上で、
各々の魅力を向上させて交流促進を図り(STEP2)、最終的に総合的な地域活力(商業、工 業、文化芸術など)の向上につなげていく(STEP3)ことを目標として掲げています。
3つのステップによる観光振興の進め方・目標
◆北区観光振興プランの全体構成
観光振興プランは全6章構成で、本編部分は次頁図に示すように4章構成となっています。
第2章「北区観光の特徴と進め方」、第3章「北区観光の基本的方向性」では、北区観光の特 徴を踏まえた、観光振興の基本的方向性等を示しています。
第4章「北区観光の基本戦略と施策の体系」では、具体的な取組みの方向性として、5つ の基本戦略それに基づく 28 の施策を設定しています。基本戦略は、観光振興の基盤となる 情報発信と体制づくりに関わる部分を基本戦略1と5に、観光振興のコンテンツに関わる部 分を基本戦略2、3、4に設定しています。さらに、第5章「北区観光を先導するプロジェ クト」では、北区観光を推進していくための5つの先導プロジェクトを設定しています。
定住人口増加をめざした総合的な地域活力の向上
【目標】北区の地域活力を高め、住む人を増やそう!
地域の観光的魅力の向上と観光交流の促進
【目標】地域の魅力を磨き、観光振興に活かそう!
愛着と誇り・こだわりの持てる舞台づくり、ふるさと意識づくり
【目標】観光振興を通じて、北区に対する愛着や誇りをさらに高めよう!
STEP3
STEP2
STEP1
※北区観光振興プランより抜粋
8
北区観光振興プランの全体構成
北区観光の特徴と進め方 〔2 章〕
【基本戦略2】
〔メリハリのある観光〕
北区観光の顔をつくる 2-1 北区観光のイメージをつく
り、ブランド力を上げる 2-2 北区観光の拠点をつくる
【基本戦略4】
〔ネットワーク型の観光〕
『つなぐ』観光を展開する 4-1 区内の資源をつなぐ 4-2 ゆかりのある地域と北区を
つなぐ
4-3 産業と観光をつなぐ
北区観光の基本戦略と施策の体系
【北区観光を推進するうえでの 3 つの基本的方向性】
①掛け算の観光・組み合わせる観光 ②さまざまな連携による観光 ③行動に着目する観光
【誘客マーケットの特性を考慮した観光振興】
北区観光の基本的方向性
【プロジェクト 1】 暮らしっくツアープロジェクト ~暮らしを旅するまち北区~
【プロジェクト 2】 鐵テツ分増量プロジェクト ~誰もが楽しみを見つけられる鉄道のまち~
【プロジェクト 3】 駅から観光プロジェクト ~鉄道駅を核とした観光の推進~
【プロジェクト 4】 オリンピック・パラリンピックに向けた国際観光化プロジェクト ~千客万来事業~
【プロジェクト 5】 北区観光サポート体制づくりプロジェクト ~北区観光の推進組織づくり~
北区観光を先導するプロジェクト
【北区観光への期待と北区観光振興の進め方・目標】
(1)北区観光に期待されること
○賑わい創出・地域経済への波及効果
○区民の郷土愛の創出と新たな生きがいづくり ・社会への貢献機会の創出
○2020 年のオリンピック・パラリンピック東京大会 に向けた効果享受
(2)北区観光振興の進め方・目標
【北区における観光とは】
○生活を豊かにする“観光”
○北区の暮らしをみせる
“観光”
○産業振興につなげる“観光”
○仲間づくりにつなげる
“観光”
【北区観光の特徴】
○地域に根ざした豊かな 歴史・文化・自然資源
○近代産業の発祥から現在に つながる産業集積
○交通利便性の高さ
○区民の郷土愛の高さ
【STEP①】 愛着と誇り・こだわりの持てる舞台づくり、ふるさと意識づくり ~観光振興を通じて、北区に対する愛着や誇りをさらに高めよう!~
【STEP②】 地域の観光的魅力の向上と観光交流の促進 ~地域の魅力を磨き、観光振興に活かそう!~
【STEP③】 定住人口増加をめざした総合的な地域活力の向上 ~北区の地域活力を高め、住む人を増やそう!~
〔3 章〕
〔4 章〕
〔5 章〕
【基本戦略3】
〔誘客力のある観光〕
北区観光の魅力を高める 3-1 「北区」ならではの資源を発
掘する
3-2 多様なテーマで地域の魅力を 編集する
【基本戦略1】 〔発信力のある観光〕 北区観光を有名にする 1-1 効果的なプロモーションを推進する
1-2 北区観光の情報発信力を強化する
【基本戦略5】 〔みんなで育て支える観光〕 北区の観光力を高める 5-1 ユニバーサルな観光を推進する
5-2 おもてなしの心を展開する
5-3 北区観光の推進機能・体制を整える
9
(2) 前期計画期間3か年の取組み状況
観光振興プランの前期計画期間(平成 27 年度~平成 29 年度(2015 年度~2017 年度))
の取組みとしては、観光協会の設立や、赤羽観光 PR コーナーの開設、観光ホームページの リニューアル、各種ガイドマップの発行など、観光振興の基盤となる部分である「基本戦略 1:発信力のある観光」、「基本戦略5:みんなで育て支える観光」に重点的に取り組み、民 間の調査による「本当に住みやすい街大賞 2017」で赤羽や浮間舟渡が上位に位置するなど、
北区の魅力がメディア等で話題となり、人口の増加傾向の要因となるなど、一定の成果を挙 げました。
後期計画期間では、前期計画期間で概ね整いつつある観光振興の基盤整備について継続し て取り組むとともに、北区観光のコンテンツの魅力向上に関連する事項「基本戦略2:メリ ハリのある観光」、「基本戦略3:誘客力のある観光」、「基本戦略4:ネットワーク型の観光」
について、戦略的かつ重点的に取り組んでいくことが望まれます。
北区観光の基本戦略の取組み状況
以降に、前期計画期間における基本戦略ごとの主な取組み状況をそれぞれ示します。
【基本戦略2】
〔メリハリのある観光〕
北区観光の顔をつくる 2-1 北区観光のイメージをつく
り、ブランド力を上げる 2-2 北区観光の拠点をつくる
【基本戦略4】
〔ネットワーク型の観光〕
『つなぐ』観光を展開する 4-1 区内の資源をつなぐ 4-2 ゆかりのある地域と北区を
つなぐ
4-3 産業と観光をつなぐ 北区観光の基本戦略と施策の体系
【基本戦略3】
〔誘客力のある観光〕
北区観光の魅力を高める 3-1 「北区」ならではの資源を発
掘する
3-2 多様なテーマで地域の魅力を 編集する
【基本戦略1】 〔発信力のある観光〕 北区観光を有名にする 1-1 効果的なプロモーションを推進する
1-2 北区観光の情報発信力を強化する
【基本戦略5】 〔みんなで育て支える観光〕 北区の観光力を高める 5-1 ユニバーサルな観光を推進する
5-2 おもてなしの心を展開する 5-3 北区観光の推進機能・体制を整える
前期 後期
【 北 区 観
光 の コ
ン テ ン ツ の 部 分
】 後 期 計 画 期 間 で 重 点 的 に 実 施 す べ き 事
【 項 観 光 振 興 の 基 盤 部 分
】 前 期 計 画 期 間 で 重 点 的 に 実 施 し 一
定 の 成 果
※北区観光振興プランより抜粋・加筆
10
◆基本戦略1の取組み状況
「基本戦略1【発信力のある観光】北区観光を有名にする」については、効果的なプロモ ーションや情報発信力の強化の視点から、赤羽観光 PR コーナーの開設や観光ホームページ のリニューアル、観光協会による facebook 開設などに取り組んできました。
◆基本戦略2の取組み状況
「基本戦略2【メリハリのある観光】北区観光の顔をつくる」については、北区観光のイ メージづくり、拠点づくりの視点から、鉄道をテーマとしたマップ作成や東京 2020 大会を アピールするためのアスリート手形モニュメントの設置などに取り組んできました。
観光協会 facebook の開設(観光協会)
赤羽観光 PR コーナーの開設(産業振興課) 観光ホームページのリニューアル(産業振興課)
親子おさんぽマップの作成・配布
(産業振興課)
アスリート手形モニュメントの設置
(東京オリンピック・パラリンピック担当課)
11
◆基本戦略3の取組み状況
「基本戦略3【誘客力のある観光】北区観光の魅力を高める」については、北区ならでは の資源の発掘、多様なテーマでの魅力の編集の視点から、北区花火会の支援や、桜ウォーク 等の各種イベント・ツアーの開催、来街者アンケート調査の実施などに取り組んできました。
◆基本戦略4の取組み状況
「基本戦略4【ネットワーク型の観光】『つなぐ』観光を展開する」については、区内の資 源をつなぐ、ゆかりのある地域とつなぐ、産業と観光をつなぐ、という3つの視点から、北 区観光ボランティアガイドと連携した伝統工芸体験ツアーの実施や、友好都市との交流協定 を締結した 20 周年記念イベントの開催などに取り組んできました。
北区花火会の支援
(産業振興課)
桜ウォークの実施
(健康推進課)
来街者アンケート調査の実施
(産業振興課)
友好都市交流協定 20 周年イベント の開催(地域振興課)
伝統工芸体験ツアーの実施
(産業振興課)
12
◆基本戦略5の取組み状況
「基本戦略5【みんなで育て支える観光】北区の観光力を高める」については、ユニバー サルな観光の推進、おもてなしの心の展開、観光の推進機能・体制の整備の視点から、観光 協会の設立、公衆無線 LAN の整備や、外国人旅行者向け観光ガイドマップの作成、飲食店等 で使用するコミュニケーションボードの作成などに取り組んできました。
外国人旅行者向け観光ガイド マップの作成(産業振興課)
コミュニケーションボード の作成・配付(産業振興課)
観光協会の設立
(観光協会)
公衆無線 LAN の整備
(産業振興課)
13
3. 北区観光の現状
平成 29 年度(2017 年度)に実施した北区への来訪者を対象とした来街者アンケート調査 と WEB を活用した観光マーケット調査(※)結果からみた北区観光の現状を示します。
2つの調査結果からは、以下に示す3つの現状が明らかになりました。後期計画において は、これらの現状に対応した施策に取り組んでいくことが望まれます。
※来街者アンケート調査、観光マーケット調査の詳細は巻末参考資料参照。
◆現状①:北区ならではの観光資源の認知度が低い
北区観光のイメージで印象に残るものとしては、「手頃な価格の飲食店等が多いまち」、「下 町風情が感じられるまち」、「にぎやかな商店街の多いまち」というイメージの回答割合が高 い一方で、「荒川や石神井川等の水辺が充実したまち」、「鉄道観光スポットが充実したまち」、
「産業遺産が充実したまち」などの北区の特徴的な観光資源については、認知度が低い結果 となりました。
北区観光のイメージで印象に残るもの(観光マーケット調査結果)
北区観光のイメージで 印象に残るものは 何で すか。( 当て はまるもの3つまで )
※北区に住んで いる方も、印象をお答え く ださい。
複数回答 N %
1 緑豊かなまち 68 8.2
2 荒川や石神井川等の水辺が充実したまち 143 17.2 3花(桜や紫陽花等)を楽しめるスポットが多い
まち 143 17.2
4 にぎやかな商店街の多いまち 272 32.8
5 手頃な価格の飲食店等が多いまち 367 44.2
6 老舗や名店の多いまち 139 16.7
7 歴史的名所や史跡が多いまち 98 11.8
8 博物館等の文化施設が充実したまち 50 6.0
9 産業遺産が充実したまち 23 2.8
10 お祭りや催事等のイベントが充実したまち 76 9.2
11 下町風情が感じられるまち 320 38.6
12 スポーツ施設が充実したまち 56 6.7
13 鉄道観光スポットが充実したまち 47 5.7
14 その他【 】 34 4.1
全体 830 100.0
Q5
現状①:北区ならではの観光資源の認知度が低い 現状②:区内における回遊行動があまり見られない
現状③:情報発信やマップ、パンフレットの充実を求める意見が多い
14
◆現状②:区内における回遊行動はあまり見られない
区内での来訪場所としては、「飛鳥山公園」、「赤羽一番街商店街、赤羽スズラン通り商店街」、
「旧古河庭園」が高くなっている一方、他のスポットへの回遊行動がほとんど見られない状 況が明らかとなりました。
区内の来訪場所(来街者アンケート調査結果)
10.4%
26.3%
13.1%
2.4%
1.2%
4.2%
6.0%
4.8%
5.1%
4.2%
4.5%
0.3%
16.1%
1.2%
0.0%
0.6%
2.1%
1.2%
1.5%
8.7%
52.5%
3.9%
2.4%
1.2%
7.5%
4.8%
0.3%
1.2%
0.6%
2.4%
6.3%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60%
北とぴあ 飛鳥山公園 飛鳥山博物館、渋沢史料館、紙の博物館 お札と切手の博物館 中央図書館(赤レンガ図書館)
十条銀座商店街 音無親水公園 名主の滝公園 王子神社、王子稲荷神社 王子エリアその他 旧岩淵水門(赤水門)、荒川岩淵関緑地 荒川知水資料館(a moa)
赤羽一番街商店街、赤羽スズラン通り商店街 赤羽自然観察公園 赤羽スポーツの森公園 都立浮間公園 赤羽八幡神社 小山酒造 味の素ナショナルトレーニングセンター、国立西が丘サッカー競技場 赤羽エリアその他 旧古河庭園 北区防災センター(地震の科学館)
田端文士村記念館 国立印刷局東京工場 霜降銀座商店街 滝野川公園 中里貝塚 尾久車両センター 上田端八幡神社、大龍寺、東覚寺 滝野川エリアその他 無回答 王
子 エ リア
滝 野 川 エ
リ ア 赤 羽 エリ ア
N=335
15
北区への主な来訪目的としては、「買い物」、「仕事・会議」の回答割合が高いため、今後の 取組みにより、観光目的以外の来訪者の回遊観光の可能性が期待できます。
また、北区で行ってみたい観光のタイプ(観光のニーズ)としては、「商店街めぐり」や「グ ルメ観光」、「お祭りや催事等のイベントへの参加」、「自然や花等の鑑賞」、「歴史的名所・史 跡の訪問」の回答割合が高く、これらの観光コンテンツとつなぎ合わせた観光ルート、プロ グラムづくりが有効と考えられます。
観光マーケット調査:北区来訪の目的(観光マーケット調査結果)
北区で行ってみたい観光のタイプ(複数回答)(観光マーケット調査結果)
北区で行ってみたい観光のタイプ(複数回答)(来街者アンケート調査結果)
北区への来訪の主な 目的は何で すか。
(当て はまるもの3つまで )
※北区に住んで いる方は、北区内に出掛 ける際の主な 目的をお選び下さい。
複数回答 N %
1 観光 134 16.1
2 買い物 468 56.4
3 イベント・お祭り 132 15.9
4 仕事・会議 166 20.0
5 通学 14 1.7
6 帰省・知人訪問 138 16.6
7 その他【 】 160 19.3
全体 830 100.0
Q3
北区で 行って みたいと思う 観光のタイプは どれで すか? ( 当て はまるもの3つまで )
複数回答 N %
1 商店街めぐり 492 59.3
2 グルメ観光 395 47.6
3 鉄道スポットめぐり 103 12.4
4 産業遺産めぐり 53 6.4
5 お祭りや催事等のイベントへの参加 219 26.4
6 自然や花等の鑑賞 216 26.0
7 歴史的名所・史跡の訪問 204 24.6
8 博物館等の文化施設への訪問 104 12.5
9 その他【 】 34 4.1
全体 830 100.0
Q8
N=93 N=74 N=168 N=335
回答数 割合 回答数 割合 回答数 割合 回答数 割合
1 商店街めぐり 26 28.0% 38 51.4% 38 22.6% 102 30.4%
2 グルメ観光 20 21.5% 32 43.2% 36 21.4% 88 26.3%
3 鉄道スポットめぐり 17 18.3% 12 16.2% 10 6.0% 39 11.6%
4 産業遺産めぐり 13 14.0% 8 10.8% 13 7.7% 34 10.1%
5 お祭りや催事等のイベントへの参加 36 38.7% 20 27.0% 25 14.9% 81 24.2%
6 自然や花等の鑑賞 21 22.6% 13 17.6% 86 51.2% 120 35.8%
7 歴史的名所・史跡の訪問 32 34.4% 25 33.8% 87 51.8% 144 43.0%
8 博物館等の文化施設への訪問 24 25.8% 18 24.3% 67 39.9% 109 32.5%
9 その他 3 3.2% 3 4.1% 1 0.6% 7 2.1%
無回答 15 16.1% 3 4.1% 11 6.5% 29 8.7%
観光行動 王子 赤羽 滝野川 合計
16
◆現状③:情報発信やマップ、パンフレットの充実を求める意見が多い
北区観光に必要なこととしては、「インターネットを活用した情報発信」、「観光マップやパ ンフレットの充実」の回答割合が特に高く、北区観光には、情報発信や観光マップ、パンフ レットの充実を求める意見が多いことが明らかになりました。
来街者アンケート調査:北区観光に必要なこと(複数回答)
N=93 N=74 N=168 N=335
回答数 割合 回答数 割合 回答数 割合 回答数 割合 1 インターネットを活用した情報発信 37 39.8% 31 41.9% 97 57.7% 165 49.3%
2 SNSを活用した情報発信 12 12.9% 10 13.5% 30 17.9% 52 15.5%
3 観光マップやパンフレットの充実 23 24.7% 31 41.9% 80 47.6% 134 40.0%
4 マスメディアを活用したPR 17 18.3% 27 36.5% 35 20.8% 79 23.6%
5 区内の埋もれた魅力・資源の発掘・活用 22 23.7% 21 28.4% 39 23.2% 82 24.5%
6 観光ボランティアガイドの充実 9 9.7% 7 9.5% 22 13.1% 38 11.3%
7 来街者をもてなす区民意識の醸成 9 9.7% 7 9.5% 10 6.0% 26 7.8%
8 お祭り等のイベントの充実 36 38.7% 26 35.1% 24 14.3% 86 25.7%
9 名産品・土産物等の充実 26 28.0% 19 25.7% 32 19.0% 77 23.0%
10 観光案内サイン等の充実 10 10.8% 12 16.2% 24 14.3% 46 13.7%
11 観光案内所・情報コーナーの充実 26 28.0% 19 25.7% 40 23.8% 85 25.4%
12 トイレやバリアフリーの充実 24 25.8% 18 24.3% 38 22.6% 80 23.9%
13 無料wi-fiスポットの整備 11 11.8% 8 10.8% 16 9.5% 35 10.4%
14 その他 7 7.5% 5 6.8% 3 1.8% 15 4.5%
無回答 15 16.1% 2 2.7% 8 4.8% 25 7.5%
北区観光に必要なこと 王子 赤羽 滝野川 合計
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【 観光情報サイト Trip Adviser の評価からみた北区観光の現状 】
外国人旅行者を中心に閲覧されている世界的な観光情報サイト Trip Adviser には、北区 内の観光スポットとして 82 のスポットが登録されており、そのなかでも旧古河庭園や飛 鳥山公園、音無親水公園等については、観光客のクチコミ数、評価がともに高い状況です。
後期計画における取組みにおいては、このような観光客によるクチコミサイトにおける 評価や評価ポイントについても詳細に把握し、観光プログラムづくりなどに活用していく ことが有効と考えられます。
Trip Adviser に掲載されている北区内の観光スポットランキング
Trip Adviser で評価の高い北区内の観光スポット
ランキング 観光スポット 観光カテゴリー 評価 クチコミ数
1 旧古河庭園 史跡 , 庭園 , 名所 & 観光スポット 4.0 246
2 ⾶⿃⼭公園 公園 4.0 189
3 ⾳無親⽔公園 公園 4.0 66
4 北とぴあ カンファレンス & コンベンション センター 4.0 45
5 王⼦神社 モニュメント&神社/寺院/教会など 4.0 37
6 紙の博物館 専⾨美術館 3.5 44
7 名主の滝公園 公園 4.0 35
8 渋沢史料館 専⾨美術館 4.0 27
9 平塚神社 モニュメント&神社/寺院/教会など 3.5 40
10 東京都北区⽴中央図書館 図書館 4.5 24
11 お札と切⼿の博物館 専⾨美術館 4.0 39
12 味の素フィールド⻄が丘 アリーナ & スタジアム 4.0 21
13 王⼦稲荷神社 モニュメント&神社/寺院/教会など 4.0 27
14 清⽔坂公園 公園 4.0 21
15 北区⾶⿃⼭博物館 歴史博物館 3.5 23
18
4. 北区観光の課題整理
北区観光のこれまでの取組みや来街者アンケート調査等による北区観光の現状から、今後の 取組みにあたっての主要な課題を以下のとおり、整理しました。
観光振興プランを策定した平成 27 年(2015 年)3月以降、訪日外国人旅行者は急激に増加 し、国をはじめ、東京都や各自治体においても積極的に観光振興に取り組んでいる状況です。
北区においては、観光ホームページや観光協会の facebook 等による情報発信媒体の整備や、
観光協会の設立など、観光振興の基盤となる部分について重点的に取り組んできました。
一方、来街者等を対象とした調査結果からは、北区ならではの観光資源の認知度が低く、
情報発信やマップ、パンフレットの充実を求める意見が多い状況にあり、その結果として、
区内における回遊行動があまり見られないという現状が明らかとなりました。
以上のことから、今後の北区の観光振興については、訪日外国人旅行者の増加や国・東京 都の取組みなど、北区観光を取り巻く状況の変化を踏まえつつ、北区ならではの観光資源の 認知度の向上や、北区観光における回遊行動を誘発する観光のコンテンツの魅力向上、関係 主体との連携によるさらなる魅力発信に重点的に取り組んでいくことが求められます。
北区観光の現状と課題 北区観光振興プラン
策定以降の観光の動向
・訪日外国人旅行者の増加
・観光をめぐる地域間競争の激化
・日本版 DMO の推進(国)
・公共空間や公共施設の観光活用の 促進(国)
・訪日外国人旅行者の対応等(東京都)
北区観光のこれまでの取組み状況
・観光振興の基盤となる部分(観光協会 の設立など)は概ね整いつつある
・今後は、北区観光のコンテンツの 魅力向上に重点的に取り組むこと が必要
北区観光の現状
①北区ならではの観光資源の認知度 が低い
②区内における回遊行動があまり見 られない
③情報発信やマップ、パンフレット の充実を求める意見が多い
北区観光の課題
訪日外国人旅行者の増加や国・東京都の取組み、
北区観光を取り巻く状況の変化などを 踏まえつつ
北 区 観 光 を 取
り 巻 く 状 況
北 区 観 光
の 状 況
北区観光の
コンテンツの魅力向上に関わる部分に 重点的に取り組むことが必要
具体的には
①北区ならではの観光資源の認知度を 向上させる「顔づくり」が必要
②観光資源をつなぎ、
「回遊観光」を促進させることが必要
③北区全体で
北区の「魅力発信」を行うことが必要
19
第 2 章 後期計画の目標と重点戦略
1. 後期計画の目標・テーマ
(1) 後期計画における観光振興の目標
観光振興プランでは、暮らしに根ざした観光資源に光をあて、観光を切り口とした総合的 な地域づくりを行うことが北区における「観光振興」であると定めており、観光振興の進め 方として、以下に示す3つのステップで段階的に取り組んでいくことが示されています。
前期計画期間(平成 27 年度~平成 29 年度(2015 年度~2017 年度))では、主に北区観 光の先導するプロジェクトの推進や観光協会の設立などの取組みを通じて、北区観光の推進 の基盤となる「STEP①:愛着と誇り・こだわりの持てる舞台づくり、ふるさと意識づくり」
について、重点的に取り組んできました。
北区観光振興プランにおける観光振興の進め方と進捗状況
後期計画では、北区観光の基盤のさらなる充実を図るとともに「STEP②:地域の観光的魅 力の向上と観光交流の促進」を目標として取組みを推進します。
後期計画の目標を達成するための取組みを推進することにより、観光振興プランの最終ス テップである「【STEP③】定住人口増加をめざした総合的な地域活力の向上」につなげてい きます。
【STEP①】愛着と誇り・こだわりの持てる舞台づくり、ふるさと意識づくり
【STEP②】地域の観光的魅力の向上と観光交流の促進
前 期
【STEP③】定住人口増加をめざした総合的な地域活力の向上 最終ステップ・最終目標
後 期
《後期計画の目標》
【STEP②】地域の観光的魅力の向上と観光交流の促進
20
(2) 後期計画におけるテーマ
後期計画の目標である「STEP②:地域の観光的魅力の向上と観光交流の促進」の推進にあ たっては、区民や事業者、観光協会、区などのさまざまな主体が連携を図り、効果的、戦略 的に取組みを推進する必要があることから、「オール北区※1」を合言葉に、北区ならではの 体験、感動を創出する北区観光を目指し、取組みを推進します。
産業遺産や鉄道、水辺などの北区の特徴的な観光資源を、誰に(ターゲット)、どのように 提供するかなど、という視点で再編集した観光コンテンツ※2を「北区ならではの体験、感動 の創出」として区内外に魅力発信し、北区観光の推進を図ります。
※1:「オール北区」には、2つの意味が込められています。これまで地域ごとに推進されてき た観光振興を北区全体で取り組んでいく「地域連携」の意味と、観光協会や地域の事業 者、活動団体と区がともに観光振興に取り組んでいく「公民連携」の意味です。
※2:例えば飲食、買物、景色、散策、宿泊など、観光において魅力となる中身・内容。
2. 後期計画で取り組む重点戦略
後期計画では、目標である「地域の観光的魅力の向上と観光交流の促進(STEP②)」の実 現を目指し、次に示す3つの重点戦略を柱として、戦略的、体系的に取組みを推進していき ます。
《後期計画のテーマ》
オール北区で取り組む
北区ならではの体験、感動の創出
21
■後期計画の目標・テーマと重点戦略
北区内には、魅力的な観光資源が点在していますが、集客力やマーケットへの訴求力 が弱いのが現状です。複数の観光資源をつなぐことで北区観光の魅力を高め、来街者 に複数の場所をめぐってもらう回遊観光を推進することが有効です。
鉄道駅を起点とした組合せや、「商業」「食」「ものづくり」「芸術」などのテーマによ る再編集により、区内の観光資源を横断的につなぎ合わせ、北区ならではの体験、感 動できる回遊観光を促進し、街の賑わいや経済効果の創出につなげます。
観光資源をつなぎ、めぐる観光の促進 重点戦略2
北区内には、歴史や自然に根ざした北区ならではの特徴的な観光資源が集積していま すが、これらの観光資源は、必ずしも十分に知られているとはいえません。地域間競争が 激しさを増す中で、北区観光の認知度向上を図るためには、北区ならではの観光資源 をさらに磨き上げていくことが重要です。
北区ならではの特徴的な観光資源である「産業遺産」「鉄道」「水辺」を磨き上げ、北区観 光の顔となる体験、感動できる観光コンテンツのさらなる充実を図ります。
北区ならではの観光コンテンツの充実 重点戦略1
著名な観光資源を持たない北区観光のイメージや認知度は、依然として低いのが現状 です。東京2020大会を見据え、多くの自治体、地域が積極的な観光振興に取り組ん でいることから、公民連携による北区観光のさらなる魅力発信が必要となります。
北区と観光協会の密接な連携のもと、公民連携によるオール北区での来街者・定住人口 の増加を目指した魅力発信に取り組みます。また、外国人旅行者を北区に呼び込んでい くため、効果的な情報発信や快適に観光できる環境整備を推進します。
公民連携によるオール北区での魅力発信 重点戦略3
後期計画の 目標
地域の 観光的魅力の
向上と 観光交流の
促進
後期計画で取り組む重点戦略
重点戦略3:公民連携によるオール北区での魅力発信 重点戦略2:観光資源をつなぎ、めぐる観光の促進 重点戦略1:北区ならではの観光コンテンツの充実 後期計画の
テーマ
オール北区で 取り組む 北区ならでは の体験、感動の
創出
22
第 3 章 重点戦略の取組みの方向性
基本戦略Ⅰ
重点戦略1 北区ならではの観光コンテンツの充実
<現状と課題>
北区内には、「近代資本主義の父」と呼ばれる渋沢栄一氏にまつわる施設や日本の近代化 を支えた産業遺産の関連施設をはじめ、車両センター、東京さくらトラム(都電荒川線)
等の鉄道スポット、荒川、隅田川、石神井川の水辺など、歴史や自然に根ざした北区な らではの特徴的な観光資源が集積しています。しかし、こうした北区ならではの観光資源 は、必ずしも十分に知られているとはいえないのが現状です。
多くの自治体や地域で観光振興の積極的な取組みが行われ、地域間競争が激しさを増す中で、
北区観光の認知度の向上を図るためには、北区ならではの特徴的な観光資源を磨き上げ、観光 コンテンツのさらなる充実を図ることが重要です。
<戦略の方針>
北区の歴史や自然に根ざした北区ならではの特徴的な観光資源である「産業遺産」「鉄道」「水 辺」を磨き上げ、北区観光の顔となる体験、感動できる観光コンテンツのさらなる充実を図り ます。
具体的な施策としては、北区観光の顔となる観光コンテンツのさらなる充実を目指して、
「重点施策1-1:渋沢栄一氏と産業遺産を組み合わせた観光コンテンツの充実」「重点 施策1-2:鉄道をテーマとした観光コンテンツの充実」「重点施策1-3:水辺をテー マとした観光コンテンツの充実」を推進します。
23
重点施策1-1 渋沢栄一氏と産業遺産を組み合わせた観光コンテンツの充実
<現状及び基本的認識>
飛鳥山公園には、日本の近代経済社会の基礎を築き、生涯で約500の企業の育成、約600 の社会公共事業や民間外交にも尽力した渋沢栄一氏の邸宅跡である旧渋沢庭園と、渋沢 氏の偉業を紹介する渋沢史料館があります。渋沢栄一氏の偉業・功績は、明治以降の北 区の産業・経済の発展に深く結びついています。
経済産業省では、渋沢史料館をはじめとした、国立印刷局王子工場、紙の博物館などの 製紙業関連の5施設を、日本の製紙業の歩みを物語る近代化産業遺産に認定しておりま す。また、旧渋沢庭園内に残る晩香廬及び青淵文庫、旧醸造試験所第一工場は国の重要 文化財に指定されています。
渋沢栄一氏の功績や日本の近代化を支えてきた産業遺産関連施設は、北区の自然と歴史 に根ざした北区ならではの特徴的な観光資源であり、北区観光の魅力向上を図る上で、
重要です。
平成30年(2018年)は、明治維新から150年目の節目にあたることから、今後、近代化 産業遺産に対する関心がますます高まるものと考えられます。また、平成28年(2016年)
に文化庁が策定した「文化財活用・理解促進戦略プログラム 2020」では、文化財を貴重 な地域・観光資源として活用するための取組みとして、平成32年(2020年)までに文化 財を中核とする観光拠点を全国200拠点程度整備するとしています。区内では、旧醸造試 験所第一工場が国の重要文化財に指定されており、今後の観光活用が期待されています。
《具体的な取組み》
取組み①:渋沢栄一氏をテーマとした産業遺産観光の推進
渋沢栄一氏をテーマとした産業遺産観光を、区内の関連施設や北区観光ボランティアガ イド、渋沢栄一氏とゆかりのある地域との連携により推進し、北区における産業遺産関連 施設の知名度の向上を図る。
例)⇒渋沢栄一氏の偉業・功績と区内産業遺産関連施設を組み合わせた観光プログラム の開発 【㉚】【協会】
⇒AR(拡張現実)や VR(仮想現実)の技術を活用した疑似体験コンテンツの検討 ⇒渋沢栄一氏とゆかりのある地域との連携・交流 等
<取組みの方向性>
「近代資本主義の父」と呼ばれ、全国への訴求力がある渋沢栄一氏の偉業や功績と、産 業遺産関連施設を組み合わせ再編集することで、産業遺産観光の知名度や魅力の向上を 推進します。
国の重要文化財等に位置付けられている産業遺産関連施設について、施設管理者などの 関係機関との連携を図り、施設のさらなる観光活用に向けた協議・検討を進めます。
※【㉚】 :平成 30 年度に取組みを進めるもの
【協会】:観光協会と連携して取組みを進めるもの
24
《具体的な取組み》
取組み②:産業遺産関連施設の観光活用に向けた協議・検討
国の重要文化財等の産業遺産関連施設を含めた関係機関と連携を図り、施設の観光活用 に向けた取組みを協議・検討する。また、旧醸造試験所第一工場の観光活用について、イ ベントを試行開催し、さらなる観光活用につなげる。
例)⇒産業遺産の観光活用イベントの開催 【㉚】【協会】
⇒産業遺産関連施設の観光活用に向けた取組みの協議・検討 等
《参考事例1》上武絹の道 -群馬県4市町、埼玉県3市の絹産業遺産群の観光活用-
群馬県4市町、埼玉県3市(群馬県;伊勢崎市、藤岡市、富岡市、甘楽郡下仁田町、埼玉県;
熊谷市、本庄市、深谷市)では、世界文化遺産「富岡製糸場と絹産業遺産群」とそれに関連する 文化財や地域資源を集積した当該地域を「上武絹の道」として一つの集客施設と捉え、広域地域 連携で観光的な取組みを展開しています。
具体的な取組みとして、魅力ある観光ルートの開発や体験事業による都市部との交流、絹産業 をベースにした観光商品の開発などを行っています。
北区ゆかりの人物である渋沢栄一氏は、伊藤博文氏とともに富岡製糸場設立に関わった人物で もあるため、今後、これらの取組みとの連携も見据え、検討を進めていきます。
《参考事例2》半田赤レンガ建物(愛知県半田市)
愛知県半田市では、登録有形文化財、近代化産業遺産である「半田赤レンガ建物(旧カブトビ ール工場)」をリニューアルし、展示室、カフェ、クラブハウス等として観光活用しています。
半田赤レンガ建物は、横浜赤レンガ倉庫や北区の旧醸造試験所第一工場を設計した、明治建築 界の三巨匠の一人、妻木頼黄(つまきよりなか)氏の設計によって明治 31 年(1898 年)に誕 生しました。昭和 23 年(1948 年)までは、ビール工場や衣糧倉庫、食品工場等として利用さ れ、その後は、年に数回公開される程度でしたが、平成 27 年(2015 年)に耐震補強・整備が 終了してからは、常時一般公開され多くの人に利用されています。
※【㉚】 :平成 30 年度に取組みを進めるもの
【協会】:観光協会と連携して取組みを進めるもの
25
重点施策1-2 鉄道をテーマとした観光コンテンツの充実
<取組みの方向性>
大学等との新たな連携により、鉄道観光を北区観光の顔となる観光コンテンツに磨き上 げ、鉄道の熱烈ファンを北区のファンに取り込むための取組みを推進します。
都内唯一の路面電車である東京さくらトラム(都電荒川線)に着目し、都電荒川線を活 用した区内回遊の促進を図ります。また、東京都や沿線区との連携による観光活用を推 進し、沿線地域からの新たな観光客の獲得を目指します。
《具体的な取組み》
取組み①:新たな連携による “鉄道スポットめぐり“ の磨き上げ
包括協定を締結した大学等との連携により、鉄道スポットなどをめぐる観光コンテンツ を磨き上げ、鉄道に興味のある熱烈なファンをターゲットにした北区鉄道観光のさらなる 魅力向上を図る。
例)⇒鉄道イベントにあわせた周辺のまち歩きツアーの実施 【㉚】
⇒鉄道研究会などの大学生との連携による熱烈な鉄道ファンをターゲットとした 観光コンテンツの充実(熱烈なファン向け鉄道スポットマップの発行など) 等 取組み②:東京さくらトラム(都電荒川線)の観光活用の推進
沿線地域からの来街者の獲得、地域内回遊の促進を目指して、東京都や豊島区、荒川区、
新宿区との連携により、東京さくらトラム(都電荒川線)のさらなる観光活用を図る。
例)⇒沿線の商店街と連携した食べ歩きツアー等のイベントの開催
⇒東京都や豊島区、荒川区、新宿区との連携による沿線観光マップの充実やイベン ト、ツアー等の開催 等
<現状及び基本的認識>
北区には東京新幹線車両センター(田端)や尾久車両センターが立地しており、周辺に 鉄道スポットが数多く存在するなど、鉄道ファンにとって人気のスポットとなっていま す。また、区内には、都内に唯一残る路面電車の東京さくらトラム(都電荒川線)が走 っています。こうした北区の鉄道及び関連施設は、他の地域にはない北区ならではの特 徴的な観光資源です。
東京さくらトラム(都電荒川線)は、車窓から見る風景も魅力があり、乗ること自体に 観光的魅力があります。また、区内に点在する観光資源の回遊や、沿線地域からの区内 観光の交通手段としての可能性も有しています。
今後は、誰もが楽しめる鉄道のまちのPRに加えて、鉄道に興味のある熱烈なファンに 北区観光の魅力を届ける観光コンテンツを充実することで、北区のファンになってもら う取組みが重要です。
※【㉚】 :平成 30 年度に取組みを進めるもの
【協会】:観光協会と連携して取組みを進めるもの
26
《参考事例》 世田谷線散策きっぷ(東急電鉄)
東急電鉄では、当日に限り、何回でも世田谷線で乗り降りできる散策きっぷを販売し、沿線 の散策を促進する取組みを行っています。
「歴史がある、人情がある。のんびり楽しむ都心タイムスリップ!」をキャッチコピーに、
乗車券裏面に散策に便利な沿線案内を記載したり、沿線のイベント情報を発信したりすること で、沿線地域との連携を図っています。また、廃止された玉川線(現世田谷線)の 110 周年を 記念したラッピング電車の運行や特別絵柄のきっぷの限定販売も行った実績があります。
27
重点施策1-3 水辺をテーマとした観光コンテンツの充実
<取組みの方向性>
区外からの来街者の獲得及び区民観光の推進という2つの側面から、身近なレクリエー ションとしての水辺観光を、北区の顔となる観光コンテンツとする取組みを推進します。
広大な空間を有する荒川の河川敷については、国土交通省荒川下流河川事務所等と連携 し、イベント開催などさらなる観光活用に向けた取組みを検討します。
《具体的な取組み》
取組み①:水辺を活用した身近なレクリエーションの促進
北区ならではの特徴的な観光資源である水辺への来街者の獲得及び区民観光の推進と いう2つの側面から、ウォーキングなど身近なレクリエーションの場としての水辺の観光 活用を推進する。
例)⇒観桜期のライトアップの実施 【㉚】【協会】
⇒船着場や舟運の観光活用の検討
⇒区役所の若手職員による水辺空間の有効活用に関する調査・研究 【㉚】
⇒「北・水辺ウォーク」「桜ウォーク」の開催 【㉚】 等 取組み②:河川敷の観光活用の検討
広大な空間を有する荒川の河川敷について、国土交通省荒川下流河川事務所等と連携 し、イベント開催などさらなる観光活用に向けた取組みを検討する。また、北区花火会の 開催を支援する。
例)⇒河川敷を活用した北区花火会の開催支援 【㉚】
⇒河川敷を活用した音楽やスポーツイベント等の開催に向けた検討 等
<現状及び基本的認識>
北区は荒川、隅田川、石神井川、新河岸川の4つの河川に恵まれており、それぞれが豊 かな水辺環境を形成しています。また、これらの水辺環境は、区民にとって身近なレク リエーション(ウォーキングや、サイクリング、ランニングなど)の空間となっており、
区民観光の資源としても重要な場所です。
赤羽岩淵関緑地の周辺一帯は、桜並木やバーベキュー場、船着場、荒川知水資料館(ア モア)、水門等が整備されています。また、広大な空間を有する河川敷では、北区を代表 するイベントである北区花火会も開催され、集客イベントの開催などでの観光活用の可 能性を有しています。
石神井川は、遊歩道や日本の都市公園100選にも選ばれている音無親水公園等の公園緑 地が整備されており、日常的な憩いの場、区民観光の資源としても大変貴重です。
※【㉚】 :平成 30 年度に取組みを進めるもの
【協会】:観光協会と連携して取組みを進めるもの
28
《参考事例》 水辺フェスの定期開催((一社)天王洲・キャナルサイド活性化協会)
一般社団法人天王洲・キャナルサイド活性化協会では、東品川周辺を中心とした運河・水 辺の地域振興を目的として、地域の事業者と連携し、水辺空間に新たな賑わいを創出する環 境整備や定期的なイベントの開催に取り組んでいます。
春・夏・秋・冬に各1回開催される「天王洲キャナルフェス」では、運河を周遊するミニ クルーズや橋梁のライトアップ、水辺での映画上映、カフェ・バー、音楽イベント等、多く の催しが行われています。