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博 士 論 文 概 要

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Academic year: 2022

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早稲田大学大学院国際情報通信研究科

博 士 論 文 概 要

論   文   題   目

多視点映像情報の多面的利用に関する研究

Research on Manifold Utilization of Multi-viewpoint Videos

申  請  者

      森 達男

TATSUO MORI

モバイルマルチメディア環境システム研究Ⅱ

2005 年 8 月 24 日 氏  名

コース・プロジェクト名 (課程内のみ)

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1

インタネットの普及により、ADSLや光ネット通信の高速化(ブロードバンド)が急速に 進んでいる.各家庭からの情報サイトへの検索、コンテンツ提供サイトからの映像配信も拡大 している.利用者からは、「大量の映像コンテンツから希望の映像を検索するための簡単な映像 検索方法、映像を利用する場合での著作権等の権利クリアランスのサポート」の要望がある. 

このため、映像の提供システムに対しては「映像の効果的な利用方法、権利クリアランスを考 慮した映像検索、大規模なコンテンツ格納」がより一層のぞまれている. 

本論文は、「多視点映像情報の多面的利用に関する研究」をテーマに、「多視点映像情報の 利用方法」、「属性情報を用いた映像検索と編集」、「映像の格納」について述べている.映像の 検索に属性情報(例えば、テーマ、シナリオ、付与キーワード、制作情報、権利情報、代表画 面等)を利用することで、利用者の映像検索を簡単化している.抽出した素材映像を権利クリ アランスして、多視点映像の素材映像として再利用することを考慮している.

映像とその属性情報を含めたマルチメディアデータを一括して扱い、さらに複数映像を群

(グループ)とした多面的な映像配信技術を明らかにしている.主要技術としては、グループ 映像のオンデマンド配信技術、グループ映像の高速視点切換技術があるとともに、「映像の意味 内容」を表す属性情報による映像検索技術、コンテンツの大規模格納技術がある. 

本論文は全7章から構成される.第1章は研究の背景について述べる.第2章は本研究で 扱う映像素材の利用形態を述べる.第 3章は多視点映像配信技術での視点切換手法をはじめと したアルゴリズム、実証実験を述べる.第4章は多視点映像配信の応用として遠隔講義への適 用を述べる.第 5章は映像コンテンツの管理方法について述べる.第6章は映像素材の大規模 格納方法について述べている.各章の概要は以下の通りである.

「第1章 序論」では、研究の背景、目的、課題について述べている.  

「第2章 映像の利用形態」では、多視点映像コンテンツの利用方法について述べている. 

多視点映像の利用管理は3つのレイヤで行っている.コンテンツの応用(レイヤA)、素材映像 の検索と編集(レイヤ B)、素材映像の格納(レイヤC)の3つのレイヤである. 

この階層管理により、多視点映像を素材映像の集合体として扱うことができるようになり、

素材映像から多視点映像までを統合的に管理できることを述べている.そして、素材映像を多視 点映像の時空間に自由に貼り付けることや、多視点映像の任意の部分を自由に探索することが できるようになることを述べている.

「第3章 多視点映像情報の利用方法」では、複数の視点映像を同期させた多視点映像の 配置構成と、利用者が自由に任意の視点映像の選択と再生をオンデマンドで実現する多 視 点 映 像 配 信 方 法 に つ い て 述 べ て い る . 多 視 点 映 像 配 信 に お い て は 全 視 点 の 映 像 を 全 て 端 末 に 配 信 す る の で は 、 映 像 の 読 出 し 、 配 信 へ の 負 荷 が 大 と な る 問 題 が あ る . こ れ を で き る だ け 小 さ く 抑 止 す る た め 、 早 出 し 用 の 専 用 映 像 を 用 意 し 、 本 体 映 像 よ り も 先 行 周 期 で サ ー バ の 蓄 積 装 置 か ら 先 読 み す る こ と と し た . 先 読 み し た 早 出 し 映 像 は ビ デ オ サ ー バ の 一次記憶装置(RAM)に 配置したり、利用者端末に配信して一次記憶装置

(RAM)に配置し、視点切換時には、この先行読出しされた早出し映像を用いて、即座に視点 切換えを行う高速視点切換えの原理を示した.  

具体的には、番組内のいずれかの視点映像が再生開始されると、その再生進行に合わせて 数秒先の映像部分(早出し映像)を周期的に読出し、次の①〜③の処理を行わせている. 

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①サーバ側の早出し映像の先行読取り、②先行読取りした早出し映像の前半部(QC)は端末側 に配信し端末の RAMに退避、③先行読取りした早出し映像の後半部(QS)はサーバのRAM に退避.上記①〜③の処理は通常時に行うことにより、視点切換時での処理集中を分散させて おり、負担を軽減している.高速視点切換えは、上述の①〜③で先行配置された 2つの早出し 映像 QC とQSを用いて行われる.ネットワークにまたがって動的に先行配置した 2種類の早 出し映像QC とQSを連結して再生し、さらに、後続の本体映像を連結制御している.

連結保持のためのパラメータとしては2種類の早出し映像の時間長やサーバの読取り周期 時間(タイムスロット周期)、デコーダへのデータ設定時間、等があり、これらのパラメータ間 の相関条件や拘束条件を明らかにしている.そして、視点切換時の前視点映像と要求視点映像 との再生時間軸上での変位(接続変位)の抑止方法を明らかにし、映像ユニット長の1/2の時 間内に収まるようにアルゴリズムを考案している.

多視点映像配信の実験検証として、サーバクライアント型の実験システムにより、多視点 映像配信や視点切換えの実験を行った.4端末同時利用(多重数4)の環境下において、高速視 点切換えは 100〜330 ms(統計処理に基づく最大値推定では 430 ms)以内を検証している.4多 重利用においての再生位置変更の所要時間(630〜1260 ms)と比べ、300 〜900 msの短縮化を 確認した.これは、従来型で視点切換えを行う場合との比較に相当し、300〜900 msの短縮化 効果があり、本論文の多視点方式の優位性を明らかにしている.

また、1端末(5視点)利用での視点切換えの所要時間は130〜240 ms(統計処理を施した最

大値推定では 290 ms)であり、この最小値はMPEG2 デコーダのバッファへのデータ設定時間 の範囲であり、本方式での視点切換えの最小時間に相当している.視点切換時の接続点変位(時 間ずれ)については、読取り周期時間の1/2(0.5秒)位内に抑えた変位比較法を実現した.

早出し映像を用いた本方式の検証のため、2種の早出し映像(QCとQS)の組合せ条件に 基づき、最大 4パターンでの実験を行った.そして、早出し映像を用いた視点切換えと、早出 し映像や後続映像間の多段連結動作を検証し、早出し映像 QCとQSの両方を利用することの 優位性を明らかにしている. 

「第4章 グループ映像配信での応用」では、多視点映像配信の応用形について述べてい る.多地点(複数地点)に端末を配置し、リーダとなる端末が中心となって、各端末の夫々に 適した視点映像 IDを全端末に指示する.各端末は指示された視点映像の配信要求をビデオサ ーバに要求する.このように、リーダとなる端末に従って複数端末連動での多視点映像配信に ついて述べている.  

遠隔教育への適用として、講師端末が複数の教室の受講端末へ言語や習熟度に合った視点 映像 IDを指示することで、各受講端末はその指示された視点IDをビデオサーバに即時要求す る.ビデオサーバは各教室の端末に対応した視点映像を配信することで、多地点(複数地点)

への多視点配信を実現している.この複数端末連動による多視点映像配信方法とマルチキャス ト通信との比較を行い、今後の適応性の評価をしている. 

「第5章 コンテンツ管理方法」では、コンテンツの検索管理と、二次利用の管理につい て述べている.映像の撮影段階では、大きく分けて自然映像と意図的な映像(位置別・内容別)

の2タイプが考えられる.意図的な映像は、制作のための手順書(シナリオ)に基づいて制作 されている.映像検索時にシナリオを画面表示することで、内容理解をサポートすることがで きる.そして、権利情報を表示することで、コンテンツの意図やその使用許諾条件を利用者に

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3

イル)、テーマ、キーワード等を映像の属性情報として利用し、利用者の映像アプローチ(検索)

を単純化させている. 

また、素材映像の「複製」や「編集」に伴う使用許諾(著作権クリアランス)を含めた映 像利用方法について述べている。利用者が、素材映像を組合せで、時間軸上で二次利用映像(コ ンテンツ)生成をする場合を考慮している.このように、利用者が素材映像を利用する場合での コンテンツ管理方法を明らかにしている.  

コンテンツ管理の分担としてのシステム構成について述べている.属性情報の格納・検索・

配信はデータベース(DB)サーバが分担し、映像の格納・配信はビデオサーバが分担し、DB サーバとビデオサーバとは直接通信を行わないで利用者端末を介在して情報送受する構成とす ることで、DBサーバとビデオサーバは互いのアプリケーションを意識しない構成となりシス テム拡張を単純化させている. 

「第6章 コンテンツのアクセスおよび格納配置方法」では、素材映像クセス方法と格納 配置方法について述べている.交換 disc利用でのオンデマンドでの映像再生を可能とするアク セス方法を考案し、交換記録媒体での格納システムに対して、世の中で初めての体系化を行い、

システムでの同時利用や格納規模についての性能評価を示している.とくに下記の項目を主に 明らかにしている.

(1)利用者にとって素材の高速アクセス(1秒以内のオンデマンド)を実現し、さらに、素材間

結合による二次コンテンツ生成手法を示し、各手法(単純型連鎖方式、自律型連鎖方式)の 適用範囲と利用条件を明らかにしている. 

(2)DVD-RAMやBlu-ray Disc等の大容量の光discによる disc交換型格納システムの効果的な 構成方法と、大規模格納でのオンデマンド利用手法の格納効率とその評価を示している.新 方式の「自律頭出し方式」の 4多重利用環境では通常利用方式に比べて1.3倍の格納配置効 果が有り、「共存方式」の3多重利用環境では約3倍の格納配置効果があることを理論的に示 し、さらに、仮想 disc格納スロット数の拡大で、両者とも6倍程度にまでその効果を高める ことができることを明らかにし、将来的な大容量光discの利用方法とその予測効果を示した. 

「第7章 結論」では、本論文における各章の結論を要約し、今後に残された研究課題を 述べている.今後の研究展開として、グループ化した複合メディア情報を扱った素材の効果的 な配信・再生・再利用へとステップを進める.具体的には、動画だけでなく静止画やテキスト を含めたメディアが同期したグループ素材の同期配信や視点切換え手法の利用検討を行う. 

本研究の「多視点映像情報の多面的映像利用」の今後の展開としては、素材同士の空間的 シームレス接合する配信手法を研究し、コンテンツのより多面的な利用を可能とさせる.

(5)

研 究 業 績        

 

 類 別    題名,  発表・発行掲載誌名,  発表・発行年月日,  連名者  論文 

    論文      論文      論文        論文        論文             

国際会議   

 

国際会議   

 

国際会議   

   

国際会議   

 

国際会議   

           

○高速視点切換え機能を備えた多視点映像配信方法の評価と応用, GITS/GITI 紀 要 2003‑2004,査読論文,pp143‑153,2004,森達 男,松本充司  

 

○多視点型映像オンデマンド配信方法,2004.5, 信学論D‑Ⅰ,Vol .J87-D‑Ⅰ,  No5 , 2004, 森達男, 松本充司 

 

○二次コンテンツ生成型マルチメディア・アーカイブシステム, 画電学論,  2002.9, pp879-891, 2002  森達男,松本充司,若原俊彦 

 

○Video-On-Demand System Using an Optical Mass Storage System, JJAP (Jpn.J.Appl.Phys), 1993.11, Voi.32, pp.5433-5438, 1993, T.Mori,K.Nishimura, H.Nakano, and Y.Ishibashi

 

○Playback Technique for a Video-On-Demand System Using an Optical Mass Storage System, JJAP (Jpn.J.Appl.Phys), 1996.1, Voi.35, pp495-499,1996, T.Mori, H.Suzuki, K.Nishimura, and H.Nakano

 

多重読み取り可能なビデオオンデマンド゙システム, 映像情報メディア学会論 文誌, 1994.3, Vol.48, No.3, pp.287-294, 西村一敏,森達男,石橋豊   

       

○A method to construct an archive system for secondary use of content, ISOM'2000, 2000.9, Fr-PD-17 pp.248-249, T.Mori, M.Yamamoto, H.Nagasawa, and N.Omori  

○New architecture and application of VOD system, ISOM'97, 1997.9, Fr-M-04 pp.282-283, T.Mori, A.Mizugaki, and Y.ohba

 

○Playback Technique in a Video-On-Demand system using an optical Mass Storage System,ISOM'95, 1995.9, Th-A5 pp.47-48, T.Mori, H.Suzuki, K.Nishimura, and H.Nakano

○Video-On-Demand System Architecture using an Optical Mass Storage System, ISOM'93, 1993.7, W2.3 pp.41-42, T.Mori, K.Nishimura, Y.Ishibashi, and H.Nakano  

SYSTEM ARCHITECTURE FOR DIGITAL VIDEO-ON-DEMAND SERVICES,  IEEE ICIP'92,1992,pp.602-606, Nishimura, T.Mori, Y.Ishibashi, and N.Sakurai  

     

(6)

 類 別    題名,  発表・発行掲載誌名,  発表・発行年月日,  連名者   

  研究会        研究会        研究会             

学会発表 

(シンポ ジウム) 

 

学会発表   

 

学会発表   

 

学会発表   

         

報道関連  新聞掲載   

 

14回大川 記念賞 論文部門 

   

映像アーカイブの利用者調査実験とその結果,第 75 回情報処理学会研究報告

「情報システムと社会環境」 No.075–001 2000.10.26,住田修一,森達男,

野須潔,桂英史  

VODシステムでの映像蓄積・表現方法の検討,信学技報IE94-81,pp.9-16,

1994-11,森達男,阪本秀樹,西村一敏,鈴木偉元,丸山充

   

ファクシミリ・データ変換接続装置(FDIC)用擬似呼発生装置の機能検討、 

信学技報IN82-51,pp.7-12,1983-1,森達男,山田豊通,平野建一,稲森紘一  

      

複合移動体の行動情報の抽出方法,IPSJ(情処学会), 2003.6, DICOMO2003-124, 森達男,松本充司,若原俊彦

   

多視点型映像オンデマンド配信方法, IIEEJ(画電学会) 2003年次大会, 2003.6, セッションB 15-16,森達男,松本充司 

 

モバイル通信による行動情報の抽出とその利用方法, 信学総大 2003, 2003.3,

B-15-10, 森達男,松本充司,若原俊彦 

 

2次利用型アーカイブシステムの構成方法, 画電全大2002, 2002.6, 157-158,   森達男,松本充司,若原俊彦 

         

複数カメラ撮影のネット配信」(多視点型映像オンデマンド配信方法の取材 記事),2003.7.3 [先端技術]7面,日経産業新聞 

   

「多視点型映像オンデマンド配信方法」 

早稲田大学第14回大川記念賞(論文部門)佳作賞  2004年3月  森 達男  

 

 

参照

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