2015 2次数学セレクション 問題
-1-
1 [広島大]
座標平面上の点P(1, 1)を中心とし, 原点 O を通る円をC1とする。kを正の定数と して, 曲線y k
= x (x>0 )をC2とする。C1とC2は 2 点で交わるとし, その交点を Q, Rとするとき, 直線PQはx軸に平行であるとする。点Qのx座標をqとし, 点Rの x座標をrとする。次の問いに答えよ。
(1) k, q, rの値を求めよ。
(2) 曲線C2と線分OQ, ORで囲まれた部分の面積Sを求めよ。
(3) x= +1 2 sinとおくことにより, 定積分 q 2 ( 1)2
r - x- dx
ò
の値を求めよ。(4) 円C1の原点 O を含まない弧 QR と曲線C2で囲まれた図形を, x 軸のまわりに 1 回転してできる回転体の体積Vを求めよ。
2015 2次数学セレクション 問題
-2-
2 [千葉大]
平面上に 2 つの円C x1: 2+y2=1, C2:
(
x+32)
2+y2=14 があり, 点( 1, 0 )- で接している。
点P1はC1上を反時計まわりに一定の速さで動き, 点P2はC2上を反時計まわりに一 定の速さで動く。2点P , 1 P2はそれぞれ点(1, 0 )および点( 1, 0 )- を時刻 0に同時に 出発する。P1はC1を一周して時刻2に点(1, 0)に戻り, P2はC2を二周して時刻2 に点( 1, 0 )- に戻るものとする。P1とP2の中点をMとおく。
P1がC1を一周するときの点 M の軌跡の概形を図示して, その軌跡によって囲まれ る図形の面積を求めよ。
2015 2次数学セレクション 問題
-3-
3 [九州大]
座標空間内に, 原点O( 0, 0, 0 )を中心とする半径 1 の球がある。右の概略図のように, y 軸の負の方向 から仰角6 で太陽光線が当たっている。この太陽光 線はベクトル( 0, 3, -1)に平行である。球は光を 通さないものとする。以下の問いに答えよ。
(1) 球のz≧ の部分が0 xy 平面上につくる影を考える。k を- < <1 k 1を満たす実数 とするとき, xy 平面上の直線x=kにおいて, 球の外で光が当たらない部分の y 座 標の範囲をkを用いて表せ。
(2) xy平面上において, 球の外で光が当たらない部分の面積を求めよ。
(3) 0z≧ において, 球の外で光が当たらない部分の体積を求めよ。
x
y z
O 6
2015 2次数学セレクション 問題
-4-
4 [大阪大]
座標空間のx軸上に動点P, Qがある。P, Qは時刻0において, 原点を出発する。P はx軸の正の方向に, Qはx軸の負の方向に, ともに速さ1で動く。その後, ともに時 刻 1 で停止する。点 P, Q を中心とする半径 1 の球をそれぞれ A, B とし, 空間で
1
x≧- の部分をCとする。このとき, 以下の問いに答えよ。
(1) 時刻t ( 0≦ ≦t 1)における立体(A B )Cの体積V t( )を求めよ。
(2) ( )V t の最大値を求めよ。
2015 2次数学セレクション 問題
-5-
5 [東京工大]
0
a> とする。曲線y=e-x2とx軸, y軸, および直線x=aで囲まれた図形を, y軸 のまわりに1回転してできる回転体をAとする。
(1) Aの体積Vを求めよ。
(2) 点( , 0 )t (-a t a≦ ≦ )を通りx軸と垂直な平面によるAの切り口の面積をS t( )と するとき, 不等式 ( ) a (s2 t2)
S t ae- + ds
ò
-≦ を示せ。
(3) 不等式 (1 a2) a x2
e ae dx
- -
- ≦
ò
- を示せ。2015 2次数学セレクション 解答解説
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-1-
1 [広島大]
(1) 円C1は中心P(1, 1) , 半径は 2から,
2 2
1: ( 1) ( 1) 2
C x- + y- = ………① また, C1とC2: y k
= x (x>0 )……②は点 Q, R で交わ り, PQ はx軸に平行であることより, Q(1+ 2, 1)とな る。これより, q= +1 2である。そして, C2が点 Q を 通ることより, ②からk=(1+ 2 ) 1 1⋅ = + 2である。
さらに, C1, C2がともに直線y=xについて対称なのでR(1, 1+ 2 )となり, 1
r= である。
(2) C2と線分OQ, ORで囲まれた部分の面積Sは,
1 2 1
1 2
1 1 (1 2 ) 1 (1 2 ) 1
2 2
S x dx
+ +
= ⋅ ⋅ + +
ò
- ⋅ + ⋅[ ]11 2 (1 2 ) logx +
= + =(1+ 2 )log(1+ 2 )
(3) q 2 ( 1)2
I=
ò
r - x- dxに対して, x= +1 2 sinとおくと,1 2
2
1 2 ( 1)
I =
ò
+ - x- dx =ò
02 2 2sin- 2⋅ 2 cos d2 2
2 0 cos d
=
ò
=ò
02 (1 cos2 )d+ 1 sin2 022
é ù
=êë + úû =2 (4) 円C1のy≧ の部分は, 1 ①よりy= +1 2 (- x-1)2 となる。
すると, 求める回転体の体積Vは,
( ) 2
1 2 2 2 1 2
1 1 2
(1 2 )
1 2 ( 1)
V x dx dx
+ + +x
=
ò
+ - - -ò
{ }
1 2 2 2 2 1 2
1 1 2
3 (x 1) 2 2 (x 1) dx (1 2 ) 1 dx
+ + x
=
ò
- - + - - - +ò
1 2 1 2
3 2
1 1
1 1
3 ( 1) 2 (1 2 )
x 3 x I
é ù + é x ù +
= êë - - úû + - + êë- úû
(
3 2 2 23)
2 2 (1 2 )2(
1 1)
1 2
= - + ⋅ - + - +
+
7 2 2 2 (1 2 )
3
= + - + =
(
4 23 -2)
+ 2[解 説]
定積分による求積問題です。誘導つきで計算量も標準的です。なお, (2)はよく見か けるものです。
Q R
O x y
q 1 P
1
2015 2次数学セレクション 解答解説
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-2-
2 [千葉大]
C1は原点中心で半径1の円, C2は点
(
-3 , 02)
中心で 半 径 1
2 の 円 で あ る 。 こ の と き, 時 刻t=0か ら 2
t= において, 点P1はC1上を点(1, 0)から反時計 まわりに一周, 点P2はC2上を点( 1, 0 )- から反時計 まわりに二周することから, P ( cos , sin )1 t t
( )
2 3 1 1
P cos2 , sin2
2 2 t 2 t
- +
すると, P1とP2の中点M( ,x y)は,
(
3)
1 cos 1cos2
2 2 2
x= t- + t 1cos2 1cos 3
4 t 2 t 4
= + -
( )
1 sin 1sin2
2 2
y= t+ t 1sin2 1sin
4 t 2 t
= +
さて, ( )x= f t , ( )y=g t とおくと, ( 2f - =t) f( )t , ( 2g - = -t) g( )t
これより, 点 M の軌跡について, 0≦ ≦ の部分とt ≦ ≦t 2の部分は x 軸につい て対称となる。以下, 0≦ ≦ の場合について, t 軌跡の概形を調べる。
1sin2 1sin
2 2
dx t t
dt = - -
sin32tcos2t
= -
1cos2 1cos
2 2
dy t t
dt = +
cos32tcos2t
=
tの値の変化に伴うx, yの値の変 化は右表のようになる。
さら に, この0≦ ≦ に おけるt
曲線を x 軸対称し, もとの曲線と合わせた曲線が, 求 める点 M の軌跡である。図示すると, 右図のように なる。
また, M の軌跡によって囲まれる図形の面積 S は, 0 2
t 3
≦ ≦ の曲線部分をy=y1, 2
3≦ ≦ の曲線部t 分をy=y2とおくと,
0 1
1 2
9 9
8 8
2 2
S y dx - y dx
- -
=
ò
-ò
0
2 2
3 3
2 ( ) ( )t t dt 2 ( ) ( )t t dt
¢ ¢
=
ò
g f -ò
g f =2ò
0g( ) ( )t f¢ t dtt 0 … 3
… 2
3 …
dxdt 0 - - 0 + 0
x 0 5
-8 9
-8 -1 dy
dt + 0 - - 0
y 0 3 3
8 3
8 0
P P2
2 M t
O x
y
1 1 3 -
-2
3 38 -
3 38
3 - 8
3 8 -1
9 -8
5 -8
O x
y
2015 2次数学セレクション 解答解説
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-3- ここで, ( ) 1( sin2 2sin )
t =4 t+ t
g , ( ) 1( sin2 sin )
t 2 t t
¢ = - +
f から,
0 1
2 ( sin 2 2sin )( sin2 sin )
S 8 t t t t dt
=
ò
- + +2 2
0
1 ( sin 2 3sin2 sin 2sin )
4 t t t t dt
=
ò
+ +0
1 (1 cos4 3cos3 3cos 2 2cos2 )
8 t t t t dt
=
ò
- - + + -0
1 (3 cos4 3cos3 2cos2 3cos )
8 t t t t dt
=
ò
- - - +0
1 3 sin4 sin3 sin2 3sin
8é t 4 t t t tù
= êë - - - + úû 3 8
=
[解 説]
パラメータ曲線についての微積分です。方針は明確に決まりますが, この問題のよ うに計算量が多いのが, その特徴です。そのため, 対称性を把握して, 記述量を減らす ことがポイントになります。
2015 2次数学セレクション 解答解説
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-4-
3 [九州大]
(1) xy平面上の点( ,x0 y0, 0 )を通り, 方向ベクトル( 0, 3, -1)の直線は,
0 0
( , ,x y z) ( ,= x y , 0)+t( 0, 3, -1)(tは実数)………① また, 原点を中心とする半径1の球は, x2+y2+z2=1………②
①②を連立すると, x02+(y0+ 3 )t 2+ -( t)2=1
2 2 2
0 0 0
4t +2 3y t x+ +y - =1 0………③
条件より, ①と②がz≧ すなわち0 -t≧0(t≦0 )で接することより,
2 2 2
0 0 0
4 3 4( 1) 0
D = y - x +y - = ……④, - 43y0≦ ……⑤ 0
④より4x02+y02=4, ⑤よりy0≧ となり,0 xy平面上にできる影の境界線は,
2 2
4x +y =4, 0y≧
すると, 球の外の影は右図の網点部となる。そして, 直線 x=kと領域の境界線4x2+y2=4, x2+y2=1の交点は, それぞれy= 4 4- k2 =2 1-k2 , y= 1-k2 であるの で, 求めるy座標の範囲は, 1-k2≦ ≦y 2 1-k2
(2) 右図の網点部の面積は, 1( 1 2 1 )2 1
2 ⋅ ⋅ - ⋅ = 2である。
(3) 球の外で光が当たらない部分を平面x=kで切断す ると, その切り口は右図の網点部となる。
その面積をS k( )とおくと,
( 2 )2 ( 2 )2
1 1
( ) 2 1 sin 1
2 3 2 3
S k = ⋅ -k - -k ⋅
=
(
23-6)
(1-k2)よって, 球の外で光が当たらない部分の体積Vは,
1 1 ( )
V S k dk
=
ò
- =2(
23-6) ò01(1-k dk2) =43 2(
3-6 )
=2 33 -29
[解 説]
20 年ほど前には, よく出題された平行光源が題材となっています。その後, 高校課 程では空間図形の分野は薄められ, 見かけることが少なくなりました。ただ, 今年か らの現行課程では, 教科書の記述からすると, 空間図形の分野は強化されていますの で, 繰り返す歴史の一つの例かもしれません。
-1 O 2
1 x y
1 k
6
3
2 1-k2
1-k2
y z
2015 2次数学セレクション 解答解説
© 電送数学舎 2015
-5-
4 [大阪大]
(1) 時刻tにおいて, 球Aは中心の座標が( , 0, 0 )t より, xy 平面上の円(x t- )2+y2=1をx 軸のまわりに1回 転したもの, また球B は中心の座標が(-t, 0, 0 )より, xy 平面上の円(x t+ )2+y2=1をx 軸のまわりに1回 転したものである。
さ て, 球 A, B の 交 線 は yz 平 面 上 に あ る の で, 1
x≧- におけるA B の体積V t( )は,
0 1
2 2
1 0
( ) {1 ( ) } t {1 ( ) }
V t x t dx + x t dx
=
ò
- - + +ò
- -ここで, 1 0 2
1{1 ( ) }
I x t dx
=
ò
- - + , I2=ò
0t+1{1 (- x t- ) }2 dxとすると,3 0
1 1 (3 ) 1
I x x t
-
é ù
=êë - + úû = -1 13{t3- - +( 1 t) }3 2 2 t t 3
= - + +
3 1
2 1 ( ) 0
3
I =éêëx- x t- ùúût+ = + -t 1 13(1+t3) 1 3 2 3t t 3
= - + + よって, V t( )=(I1+I2)=
(
-13t3- +t2 2t+43)
(2) ( ) 1 3 2 2 4
3 3
t = - t - +t t+
f とおくと, ( )V t =f( )t となり, ( )t t2 2t 2
¢ = - - + f
すると, 0≦ ≦ におけるt 1 f¢( ) 0t = の解 はt= - +1 3となり, ( )f t の増減は右表 のようになる。
ここで, ( )f t を-f¢( )t で割ると, f( )t = -f¢( )t
(
-13t-13)
+2t+23から,2 4
( 1 3 ) 2( 1 3 ) 2 3
3 3
- + = - + + = - + f
よって, ( )V t の最大値は, f( 1- + 3 )= - +
(
43 2 3)
である。[解 説]
阪大・理系の定番である立体の体積を求める問題です。ただ, 例年に比べ穏やかな 内容になっています。
t 0 … - +1 3 … 1 ( )t
f¢ + 0 -
( )t
f
x y
t t 1 - -
1 t+
2015 2次数学セレクション 解答解説
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-6-
5 [東京工大]
(1) 曲線y=e-x2と x 軸, y 軸, および直線x=aで囲 まれた図形を, y軸のまわりに1回転してできる回転 体Aの体積Vは,
2
0a2 x
V =
ò
x e⋅ - dx 2 02 12
x a
é e- ù
= êë- úû (e a2 1)
-
= - - =(1-e-a2)
(2) xy平面に垂直にz軸をとり, Aについて平面y=k で切断したときの切り口を考えると,
(i) 0≦ ≦k e-a2のとき
切り口は, x2+(y k- )2+z2=a2かつy=kより,
2 2 2
x +z =a ( 0≦ ≦y e-a2)………① (ii) e-a2≦ ≦ のとき k 1
x2
y=e- を変形するとx2= -logy, 0x≧ においてx= -logyとなる。
すると, 切り口は, x2+(y k- )2+z2= -logkかつy=kより,
2 2 log
x +z = - y (e-a2≦ ≦y 1)………② さて, Aを平面x=t(-a t a≦ ≦ )で切断すると,
①より, 0≦ ≦y e-a2において, t2+z2=a2から,
2 2
z= a -t
②より, e-a2≦ ≦ において, y 1 t2+z2= -logyから,
2 2
(z t )
y=e- +
よって, 切り口は右図の網点部となる。この面積を ( )
S t とすると, -a≦- a2-t2≦ a2-t2≦ から, a
2 2
2 2 2 2 2 2
2 2
( ) ( ) ( )
( ) a t z t a z t a s t
a t a a
S t - e- + dz e- + dz e- + ds
- - - -
=
ò
≦ò
=ò
(3) (2)より, a ( )
V aS t dt
=
ò
- ≦ò ò
-aa(
-aae-(s2+t2)ds dt)
=ò
-aae-t2( ò-aae-s2ds dt)
ここで, a x2 I ae- dx
=
ò
- とおくと,ò
-aae-t2( ò-aae-s2ds dt)
=Iò
-aae dt-t2 =I2
よって, V I≦ 2すなわち V≦ となり,I (1)から (1 a2) a x2
e ae dx
- -
- ≦
ò
-[解 説]
回転体Aをいったん立式した後, 平面x=tによって切断し, その切り口を図示する というやや迂遠な解法で記しています。
O x
y 1
a
O x
y 1
a
a2
e-
y z
2 2
a -t
2 2
a t
- -
a2
e-