博士(農学)服部祥治 学位論文題名
新規評 価方法 OASIS を活用した緑茶香気分析について 学位論文内容の要旨
こ れ ま で の 茶 香 気 の 研 究 が 、 専 門 的 な 用 語 を 使 っ た 官 能 評 価 や AEDA(A .mma 取t 瑚lct 必lu60n △皿alysis )法を用いた香気成分の探索、配糖体の 加 水 分 解 に よ る 茶 香 気生 成 メ カ ニ ズ ム など の解 析を 中心 に展 開され てき たの に 対 し て 、 筆 者 の 研 究は 、 QDA ( Quan 虹 洲 ve 必 scdpdve 節 山 sis ) 法 を用 いた 官 能 評 価 に よ る 産 地 別の 緑 茶 香 気 特 性 の把 握、 茶の 複合 的な 香り( 香気 成分 同 士 の 相 互 作 用 ) を 評価 で き る よ う な 検索 法の 確立 、加 熱分 解によ る茶 香気 生成メカニズムを明らかにする目的でおこなった。
ま ず 、 産 地 の 異 な る蒸 し 製 法 の ヤ ブ キ タ 種 7 サ ンプ ル 、 狭 山 ( 埼 玉) 、牧 / 原 ( 静 岡 ) 、 鈴 鹿 ( 三 重 ) 、 月 0 瀬 ( 奈良 )、 和束 (京 都) 、嬉野 (佐 賀)
及 ぴ 都 城 ( 宮 崎 ) を QDA 法 に よ る 官 能 評 価 を お こ な い 、 そ れ ぞ れ の 香 気 特 性 を 掴 ん だ 。 さ ら に 、 こ れ ら の 香 気 成 分 を GC 、 GC ‐ MS 分 析 し た 結 果 、 75 成 分 を 同 定 し た 。 得 ら れ た GC 含 有 率 か ら 、 産 地 の 香 気特 性 を 見 る た め に 主 成 分 分 析 を お こ な っ た。 そ の 結 果 、 官 能評 価結 果と 香気 成分 分析結 果に より 得 ら れ た 香 気 特 性 が 一致 し た 。 以 下 に 各 サ ン プ ル の 特 徴 を 示 す 。 和東 は、 7 サ ン プ ル の 中 で 最 も バ ラ ン ス が と れ て い た 。 狭 山 は 、 2 − emyl ‐ 3 , 争 dime 也ylpymziene やf11 而1 珊1 が効いて焙じた感じを出しているものと考えられ た 。 嬉 野は 、こ れら のピ ラジ ン類 に加え てmmtol ,fur 孤eol な どの成 分が 混ざ り、 果物 を加 熱し たよ うな 甘み を出 して いると 考え られ た。都城は、safmnm ,
(ろ う゜ hex 曲01 な どの 成分 が効いてトップのグリーンと清涼感を出しているも のと考えられた。牧/ 原は、これらの成分に(D →lina10010 ぬde (pyr 紬oid ),(ろ‐
linm0010 姑de (がranoid )が混ざることで清涼感を出しているものと考えられた。
鈴鹿 は、 僻ionone ,bovolide が 覆い 香と 甘みに 影響 して いると考えられた。月 ケ瀬は、(E め‐24heptaLdienal ,hexanal ,lin む001 が効いてフレッシュなグリーン 感に影響をしていると考えられた。
次 に 、 茶 の 複 合 的 な 香 り を 明 ら か に す る た め に AEDA 法 を 改 良 し た
()ASIS (Qdgin 甜△roma 鋤mult 卸eously 亘nputtotheSmfflngpon )法を開発した。 ´
そ こ で 、 AEDA 法 で 注 目 さ れ た 緑 茶 6 成 分 に つ い て OASIS 法 と 比 較 し た 。
Ger 觚 iol は 、 AEDA で はフ ロ ー ラ ル 様 、 レモ ン用 の香 りを 持っ が、( )ASIS で
は 緑 茶 の グ リ ー ン ノ ー ト を 強 め る 効 果 が み ら れ た 。 Indole は 、 AEDA で は ア
ニ マ ル 様 、 フ ロ ー ラ ル 様 香 気 を 持 っ が 、OASISで は 緑 茶 全 体 の 香 気 を 強 め る よ う な 効 果 が 見 ら れ た 。LinaloolはAEDAで もOASISで も 同 様 の 結 果 で 、 フ ロ ー ラ ル 様 香 気 が し た 。(2)‑3‑Hexenolは 、AEDAで は グ ラ ッ シ ー 香 で あ っ た が 、OASISで は 緑 茶 の グ リ ー ン ノ ー ト を 強 め る 効 果 が 見 ら れ た 。Decanal は 、 オ レ ン ジ 様 香 気 が 見 ら れ た が 、OASISで は 緑 茶 の グ リ ー ン ノ ー ト を 強 め る 効 果 が 見 ら れ た 。13‑lononeは 、AEDAで は ウ ッ デ ィ ー で あ っ た が 、OASIS で は 緑 茶 の ス イ ー ト ノ ー ト を 強 め る 効 果 が 見 ら れ た 。 こ れ ら6化 合 物 の 濃 度 を 変 え て 緑 茶 に 添 加 し た と こ ろ そ の 結 果 は 、OASISの 結 果 と 非 常 に よ く 似 て い た 。 こ れ ら の こ と か ら、(2)‑3‑hexenolやdecanal、p‑iononeな ど の閾 値 が 高 くAEDAで は 注 目 さ れ な か っ た 成 分 で も OASIS法 で は エ ン ハ ン ス 効 果 を 発 現 す る こ と が わ か っ た 。 こ の 開 発 し たOASIS法 を 用 い て 、 ユ タ カ ミ ド リ 種 に お け る 緑 茶 の エ ン ハ ン ス 成 分 を 探 索 し た 。 そ の 結 果 、 緑 茶 の 香 調 を 強 め る 11成分が明らかになった。Geraniol,f2)‑3‑hexenol,decanal,2)‑1,5‑octadien‑3‑
one,4‑mercapt04methyl‑2‑pentanone,及び3‑methylnonane‑2,4‑dioneは、緑 茶 の グ リ ー ン ノ ー ト を 強 めた 。8‑lononeは 緑 茶の ス イ ート ノ ー トを 強 め 、indole は、緑 茶全体を 強めた 。2‑Acetylpyrrole,2‑ethyl‑3,5‑dimethylpyrazine及ぴ2・ acetyl‑3,5‑dimethylpyrazineは 、 緑 茶の ロースト ノート を強める 効果を持 って いた 。 こ の うち 、2‑acetyl‑3,5‑dimethylpyrazineは 、今回 緑茶では じめて 確認 された。
香 気 生 成 メ カ ニ ズ ム に つ い て 、 緑 茶 製 造 工 程 で は 熱 を 加 え る こ と か ら 、 linaloolの 配 糖 体 を モ デ ル 化 合 物 に 熱 分 解 を お こ な っ た 。 そ の 結 果 、 熱 分 解 生成物中にlinalool、limonene、(Z)‑ocimeneと共に(62)‑2,6‑ dimethyl‑2,6‑octadiene 及び(6E)‑2, &dimethyl‑2,6‑octadieneを 同 定し た 。 この2,6‑dimethyl‑2,6 octadieneの 生 成 機 構 を 明 ら か に す る た め に 、 グ ル コ ー ス の1位 を 重 水 素 標 識 し た 配 糖 体 を 熟 分 解 し た結 果 、 重水 素 標 識 され た [8−2HJ2,6‑dimethyl‑2,6 octadieneとglucono‑l,5‑lactoneを 同定 し た 。こ の こ とか ら 、 この 加熱分 解反 応 は グ ル コ ー ス の1位 水 素 の 転 移 反 応 に よ っ て 進 む とい う 新 しい 知 見 を得 た 。
学位論文審査の要旨
学 位 論 文 題 名
新 規評価方法OASIS を活用した緑茶香気分析について
こ れ ま で の 茶 香 気 の 研 究 が 、 専 門 的 な 用 語 を 使 っ た 官 能 評 価 やAEDA(AromaExtract Qilution Analysis)法を 用いた 香気成 分の探 索、配糖 体の加 水分解 による茶香気生成メカニズ ム などの 解析を 中心に展 開され てきた のに対 して、本研究は、QDA(Quantitative l)escriptive Analysis)法 を用 い た 官 能評 価 に よ る産 地 別 の 緑茶香 気特性 の把握 、茶の 複合的 な香り (香 気 成 分 同士 の 相 互 作用 ) を 評 価で き る よ うな 検 索 法 の確 立 、 加 熱分 解 に よる茶 香気生 成メ カ ニズム を明ら かにする 目的で おこな った。
1.各産地の茶葉の分析と官能評価について
産 地 の 異 な る 蒸 し 製 法 の ヤ ブ キタ 種7サ ン プ ル、 狭 山 ( 埼玉 ) 、 牧/原 (静 岡 ) 、 鈴鹿
( 三 重 ) 、j0瀬 ( 奈 良 ) 、 和 束 ( 京 都 ) 、 嬉 野 ( 佐 賀 ) 及 び 都 城 ( 宮 崎 ) をQDA法 に よる 官 能 評 価を お こ な い、 そ れ ぞ れの 香 気 特性を 掴んだ 。これ らの香 気成分 をく℃ 、GC‑MS 分 析 し た 結 果 、75成 分 を 同 定 し た。 ま た 、GC含 有 率か ら 、 産 地の 香 気 特 性を 見 る た めに 主成 分 分 析 をお こ な っ た。 そ の 結 果、 官 能 評 価結 果 と 香 気成 分 分 析結 果によ り得ら れた香 気 特 性 が一 致 し た 。各 サ ン プ ルの 特 徴 は 以下 の と お りで あ る 。 和束 は 、7サ ン プ ルの 中 で 最もバ ランスが とれて いた。 狭山は 、2‑ethyト3,§dimethylpyraLZie鵬やfumIrmが効いて焙じ た 感 じ を 出 し て い る も の と 考 え ら れ た 。 嬉 野 は 、 こ れ ら の ピ ラ ジ ン 類 に 加 え てmmめlI fume0|な ど の 成 分が 混 ざ り 、果 物 を 加 熱し た よ う な甘 み を 出 して い る と 考え ら れ た 。都 城は、 ぬmnd,(Z卩‐hexenolなどの 成分が効 いてト ップの グリー ンと清 涼感を 出して いるも のと考えられた。牧/原は、これらの成分に(め‐li凵0010虹dc(pyr孤oid),(Z)lin甜0010xidc
(py賦loid)が混ざることで清涼感を出しているものと考えられた。鈴鹿は、mlonone.bovolidc が香と 甘みに影 響していると考えられた。月0瀬は、(Eめ‐2,牛hcptamenm,hexan甜,li剛ool が効いてフレッシュなグリーン感に影響をしていると考えられた。
2.GC‑sniffing新手法 の開発 と新規有 効成分 の検索
茶の 複合的 な香り を明ら かにす るため にOASIS(Qri8inal Aroma $imultaneously Input to the niffing port)法 を 開発 し た 。 緑茶6成 分 に つ いてOASIS法で 検 討 した 結果、(2)‑3‑hexenol
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助 士
信
憲 哲
田 原
方
鍋 田
生
授 授
授
教 教
教
査 査
査
主 副
副
やdecanal、p‑iononeな ど の 閾 値 が 高 くAEDAで は 注 目き れな かっ た 成分 でも 茶香 気の エ ン ハ ン ス 効 果 を 発 現 す る こ と が わ か っ た 。 ま た 、OASIS法 を用 いて 、 ユタ カミ ドリ 種に お け る 緑 茶 の ェ ン ハ ン ス 成 分 を探 索 した 。そ の結 果 、緑 茶の 香調 を強 め る11成分 が明 らか に な っ た 。 こ の う ち 、2‑acetyl‑3,Sdimethylpyrazineは、 今回 緑茶 で はじ めて 確認 され た 。
3.茶香 気の生成メカニズム(テル ベン配糖体の熱分解)
香気 生 成メ カニ ズム につ い て、 緑茶 製造 工程 では熱を加えることから、lina|oolの配糖体 を モデ ル 化合 物に 熱分 解を お こな った 。そ の結 果 、熱 分解 生成 物 中にlinalool、limonene、 (Z)‑ocimeneと共にく62)‑2.6‑dimethyl‑2,6‑octadiene及ぴ(6E)‑2,6‑dimethyl‑2,6‑octadiene を 同定 し た。 この2,6‑dimethyl‑2,6‑octadieneの生成機構を明らかにする ために、グルコー ス の1位を 重水 素標 識 した 配糖 体を 熱 分解 した 結果 、重 水 素標 識さ れた8̲2Hl2,6‑dimethyl‑
2,6‑octadieneとglucono‑l,5‑lactoneを 同定 し た。 この こと か ら、この 加熱分解反応はグ ル コ ー ス の 1位 水 素 の 転 移 反 応 に よ っ て 進 む と い う 新 し い 知 見 を 得 た 。
本 論 文 で は 、 こ れ ま で の 茶 香 気 の 研 究 が 専 門 的 な 用 語 を 使 っ た 官 能 評 価 やAEDAを 用 い た 香 気 成 分 の 探 索 、 配糖 体の 加 水分 解に よる 茶香 気 生成 メカ ニズ ムな ど の解 析を 中心 に 展 開 さ れ て き た の に 対 し て 、 今 回 、 ス コ ア リ ン グ 法 を 用 い た 官 能 評 価 お よびGC分 析に よ る 特 徴 香 気 の 把 握 を 行 っ た 。OASIS法 を 用 い た 茶の 複 合的 な香 りの 評価 法 を確 立し 、従 来 見 い 出 し 得 な か っ た 香 気成 分の 同 定と 、配 糖体 の加 熱 分解 によ る新 たな 茶 香気 生成 メカ ニ ズ ム を 明 ら か に し た 。 本研 究に よ って 、従 来見 逃さ れ てき た食 品・ 飲料 か ら新 たな 香気 成 分 の 発 見 の 可 能 性 が 示 さ れ た 。
よ って 審 査員 ー同 は、 服部 祥 治が 博士 (農 学) の 学位 を受 ける の に十 分な 資格 を有 す る も の と 認 め た 。
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