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博士(農学)阿部 歩 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(農学)阿部   歩 学位論文題名

月カizopus 属菌の分子系統解析と 糸状菌遺伝子解析技術の開発

学位論文内容の要旨

  本研究は,接合菌類Rhizopus oryzaeを有機酸生産能の違しヽから再分類することを目的 として,有機酸生産の違しヽとITS塩基酉己歹IJの違いの関連,Rhizopus属全体における個々 の種の違いと尺. oryzae内の違いの検証,様々な遺伝子を用いて系統解析を行い,R.o yz.粥 が再分類されるか検証したものである.

  まず,乳 酸生成 する糸状 菌である尺.〇り7鰡を効率よくスクリーニングするために,

多くの菌株から乳酸生成する株に特徴的な塩基配列の違しヽをrrS領域において検証した,

尺,〇づ る餾を64梼淑集し ,rDNAのrrS領域を 解析し た.その 結果, 乳酸生成 タイプの 菌株 と 乳 臓非 生 成 タイ プ の菌株 において ,酸生 成のグル ープ分け と相関 する4箇所5塩 基の変異があった.この違いを利用して乳酸生成タイプの尺.〇り7て.粥を見分けるための KR法 を 開発 し た .乳 酸 生 成タ イ ブ 塩 基配 列 の 変異 箇 所をプラ イマー の3 末端に配 置 し, タ ッ チダ ウ ンKR法 を 利用 し て 特 異性 を 高 めた . こ の方 法 を 利用 し て ,実 際に イ ンドネシ アの発 酵食品及 ぴその スタータ ー中に乳 酸生成 タイプのR. ザ蛇餾を 確認し,

単離することが出来た.

  次 に ,勵 豚 桝 ゞ属 の 分 子系 統 を 確 立す る 目 的でr[ 料Aの18S完 全 長,HS領域 ,28S D1/D2領域の塩基酉ヨ列を全ての種で解析した.系統樹を作成したところ,現行の形態学 的分類法による3っのクンレープである,′庇m・響 Dmpgroup,踟め壇細1卩up,尺.〇げz.粥に 相当するクラスターを形成した,しかしながら,R.踟めれウみv弧帆 c。cc甜は独立したク ラスターを形成した.また,尺.艶轟輙耐儻も全ての系統樹で異なったクラスターを形成 した.R.肥 絨口触で は,複数 のHS塩基 配列が確 認され た.別の属であるA.m賦ぬはR. ザ喝 餾 と 同じ ク ラ スタ ー を形成 した.こ れらの 結果は,rDNA塩基配 列を用い た種グ ル ープの分 子生物 学的な同 定が可 能である ことを示 してい る.また,属内の菌種について 再分類が必要であることを示唆していた.

  尺,〇ヴて.粥の有機越盪ニ産を基にして再分類できるか検証するために,分子生物学的手法 を用いて系統学的解析を行った,rrS塩基酉己歹|J,脚毋,ロ口―1,E卜´aの塩基配列を用い て系統解析を行ったところ,いずれにおいてもLA(孝I醪茎封劫クシレープとFMA(フマル′

酸・リン司駿生成)グノレープは明確に分けることが出来た.AFLP解析を行った結果,LA クれ ← プ とFMAクれ ← プ は明 確 に 分 ける こ と が出 来 た .し か し なが らrrS塩 基 配列で 見出された4つのサブク、・、/L冖プでは混在するクラスターが出来ることがあった.以上の

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結 果 をGCPSRの 考 えに 基 づ い てま と め ると4つ のサ ブ グ ルー プ で はな く有 機酸生 産で 分 け ら れ るLAグ ル ← プ とFMAク れ ← プ の2種に 再 分 類 する こ と が適 当 で ある と 考 え ら れ た. 再 分 類後 の 種 名に っ い て は, 現 在 の尺 . 〇 り,zaeの 基 準 株がLAグルー プの CBS112.U7で あ る .LAグ ル ー プの 種 名 をR.oryzaeとし ,FMAグ ル ←プ の 菌 につ い て 名前 を付け 直すこと にした, その結 果,FMAグノレ ープの菌 で最も 古く報告さていたの は1912年 にWehmerとHanzawaによ り発見 されたR.delemarであっ たので 、尺,delemar をFMAグ ル ープ の 種 名と し ,CBS120.12を基 準 株 とす る こ とを 提 案 した .また ,この 再分類を受けて,SchipperとStalpersのグノレーフ紛けもstolonifer‑group,〇り'zae‑delemar‑

group,microsporus‑groupの3グループ にする ことも併 せて提 案した, 糸状菌の現行の 分類 はその 多くが形 態学的な 特徴に 主眼をお いた分類であるが,今後は分子生物学的デ ータ を用い て分類が 行われて いくと 考えられ る,その際に必要となるのが,現行の分類 と分 子生物 学的デー タから考 えられ る分類と の整合である,本研究では,形態学的な情 報では区別の出来ないもの同士を,有機酸生産という生理学的デ.ータと様々な遺伝子の 塩基配列・庸銀という分子生物学的 晴報を関連づけて再分類することが出来た画期的な分 類 で ある と い える, 有機酸 生産とい う生理 学的デー タやそ れに関す るldhB遺伝 子のみ なら ず,ITSやact‑l,EF‑laっAFLPという 多くの 遺伝子晴 報を比 較して種 を分類するこ とが出来ることを示したものである.

  さら に , 発酵 中の 真菌の菌 そう解析 のため のDGGE法を 用いた方 法を開発 した.DGGE 法 の ため にITS塩 基 配列 の う ちITS1部分 を 増幅す るプラ イマーを 作成した .この プラ イマ ーを用 いてスタ ーターに 存荏す ることが 知られている他の接合菌類をサンプルとし て条件検討を行い,それぞれのサンフンレが明確に分離できる条件を決定した.また,実 際に応用できるか確認するために,インドネシアの発酵食品スターターである,ragi tape を使 用して 農産加工 副産物で あるポ テトパル プの発酵を行い,発酵中の菌そうのモニタ リン グを行 った.対 照として 米を使 用した発 酵試験も行った.その結果,両者はエタノ ール の生産 量に違い があった ,これ は原料中 の澱粉含量が異なるためであると考えられ た . 今回 開 発 したDGGE法 は , 発酵 サ ン プル 中 の 糸状 菌 の モニ タ リ ング にも応 用でき る事が検証された.

  次に , 糸 状菌 用 の 遺伝 子 破 壊 のた め にGatewayシ ステム を利用す るベク ターpDESTR を 構 築し た , この べ ク ター はpGEM―TeaSyベクター のマル チクロー ニング サイトを 除 去 し ,pCBl004ベク タ ー か らハ イ グ ロマ イ シンフ オスフ ォトラン スフェラ ーゼ遺 伝子 を挿 入し,gatewayベク ターコンノくージョンカセットを導入したものである.遺伝子破 壊 の た め のDNAを 作 成す る た めに , 制 限酵 素 消 化し た 目 的 遺伝 子 の イン バ ー スP(R を 利 用す る こ とが特 徴であ る.片方 に5 CACC配列を 付与し たプライ マーを 用いてPCR を 行 っ た 後 ,pENT剛D・T10p〇 ベク タ ー に挿 入 し た .そ し てLR反 応 にてpDESTRに入 れ 直 した . そ の結果 作成し たベクタ ーは, インバー スPくRの 際に使用 した制 限酵素の サ イ ト を 内 部 に持 っ て いる . 作 成し た べ クタ ー の 効果 を 確 か める た め に八 切 刪p朋 c織姫を使 用して ,加釘遺 伝子の 破壊を行 った. その結果 ,遺伝子 嚠譲に 成功した.以 上の結果から,尺.Dり′卿に限らず糸状菌に関する研究を進める上で,重要なツールを開 発できたと言える.

  このように本研究は,尺,〇り′桝の再分類を提唱するだけでなく,今後の糸状菌の分類 にお いて, 分子生物 学的デー タを用 いた解析 への移行をスムーズにするための布石とし て位 置づけ られると 評価でき る.ま た,この 分類研究の過程で得られたデータを基にし

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て応用面での発展性を示したこと,R. oryz.餾に限らず糸状菌全体の研究の活陸化のため に有用なツールの開発を行った点でも評価できるものである.

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学 位 論 文 審 査 の 要 旨 主査    教授   浅野行蔵 副査    教授   鎌形洋一 副査    准教授   曾根輝雄 副査    名誉教授   冨田房男

     ( 放 送 大 学 北 海 道 学 習 セ ン タ ー ) 副査    開発部門長   安藤勝彦

     (独立行政法人製品評価技術基盤機構)

学 位 論 文 題 名

月 カ izopus 属菌の 分子系統解析と 糸 状 菌 遺 伝 子 解 析 技 術 の 開 発

   本論文は、10 章からなり、図38 、表42 、文献51 を含む総頁数133 の日本語論文 である。別に参考論文6 編が付されている。

  本 研 究は , 接 合菌 類Rhizopus oryzaeを有機 酸生産能 の違い から再分 類する ことを目 的とし て , 有 機 酸生 産 の 違い とITS塩 基 配列 の 違 いの 関 連 ,Rhizopus属全 体 に おけ る 個 々の 種 の違 い と尺. oryzae内 の違いの 検証,様 々な遺 伝子を用いて系統解析を行い,R.oryzaeが再分類さ れるか検証したものである.

1. ま ず,乳 酸生成す る糸状 菌であるR. oryzaピを効率 よくス クリーニ ングす るために ,尺,

oryzaeを64株 収 集 し ,rDNAのITS領 域 を 解 析 し た . そ の 結果 , 乳 酸生 成 タ イプ の 菌 株と 乳 酸 非 生 成 タ イ プ の 菌 株 間 にお い て ,4箇 所5塩 基 の 変 異が あ っ た, こ の 違い を 利 用し て 乳 酸 生 成 タ イ プの 尺 , oryzaeを 見分 け る ため のPCR法 を 開 発し ,実 際にイン ドネシ アの発酵 食品 及 び そ の ス タ ー タ ー か ら 乳 酸 生 成 タ イ プ の 尺 ,  oryzaeを 単 離 す る こ と が 出 来 た , 2.次 に ,Rhizopus属 の 分 子 系 統 を 確 立 す る 目 的 でrDNAの18S完 全長 ,ITS領 域 ,28S Dl/D2 領 域 の 塩 基配 列 を 全て の 種 で解 析 し た. 系 統 樹を 作 成 した と ころ,現 行の形態 学的分 類法に よる3つのグループである,microsporus−group stolonifer―group,尺,oryzaeに相当するクラス タ ー を 形 成 し た , こ れ ら の結 果 は ,rDNA塩 基 配 列 を用 い た 種グ ル ー プの 分 子 生物 学 的 な同 定が可能であることを示した,

3.尺, oryzaビを分子生物学的手法を用いて系統学的解析を行った.ITS塩基配列,ldhB,ロct‑1, EF ‑la,AFLPを 用い て 系 統解 析 を 行っ た と ころ , い ず れに おい てもLA(乳 酸生成 )グルー プ とFMA(フ マ ル 酸・ リ ン ゴ酸 生 成 )グルー プは明 確に分け ること が出来た ,以上 の結果か ら,

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尺.  oryzae は有 機酸生産 の異なる LA グ ループと FMA グループの2 穐に再分類することが適 当であると考えられた.再分類後の種名については, LA グループの種名を尺.oryzae とし,

FMA グループの菌については,尺.delemar を種名とし,CB S120.12 を基準株とすることを提 案した.また,この再分類を受けて,Schipper とStalpers のグループ分けもsto め門ifer ‑group oryzae‑delemar‑group microsporus ー group の 3 グ ループにすることも併せて提案した.

4. さ ら に, 発 酵中 の 真 菌の 菌 そう 解 析 のた め の DGGE 法 を用 いた方法 を開発し た. DGGE 法のために ITS 塩基配列のうち ITS1 部分を増幅するプライマーを作成した,このプライマー を用いてスターターに存在することが知られている他の接合菌類をサンプルとして条件検討 を行い,それぞれのサンプルが明確に分離できる条件を決定した.また,実際に応用できる か確認するために,インドネシアの発酵食品スターターである,ragi tap9 を使用して農産加 工副産物であるポテトパルプの発酵を行い,発酵中の菌そうのモニタリングを行った.・その 結果,今 回開発し た DGGE 法は,発酵サンプル中の糸状菌のモニタリングにも応用できる事 が検証された,

5 .糸状菌 用の遺伝 子破壊のた めに Gateway シス テムを利 用するベ クターpDESTR を 構築し た,この ベクター は pGEM‑T easy ベクターのマルチクローニングサイトを除去し,pCB1004 ベクターからハイグロマイシンフオスフォトランスフェラーゼ遺伝子を挿入し, gateway ベ クターコ ンバージ ョンカセッ 卜を導入 したもの である. 遺伝子破壊のためのDNA を作成す るために,制限酵素消化した目的遺伝子のインバース PCR を利用することが特徴である,片 方に 5 CACC 配 列を 付 与 した プライマー を用いて PCR を行った 後, pENTR/D − TOPO ベ クタ ーに挿入 した.そ して LR 反応に て pDESTR に入れ 直した, その結果 作成した ベクター は,

インバース PCR の際に使用した制限酵素のサイトを内部に持っている,作成したベクターの 効果を確かめるためにNeurospora crassa を使用して,frost 遺伝子の破壊を行った,その結果,

遺伝子破壊に成功した.以上の結果から,尺.oryzae に限らず糸状菌に関する研究を進める上 で,重要なツールを開発できたと言える.

   このように本研究は,尺. oryzae の再分類を提唱するだけでなく,今後の糸状菌の分類にお いて,分子生物学的データを用いた解析への移行をスムーズにするための布石として位置づ けられると評価できる,また,この分類研究の過程で得られたデータを基にして応用面での 発展性を示したこと,尺. oryzae に限らず糸状菌全体の研究の活性化のために有用なツールの 開発を行った点でも評価できるものである,

   よって審 査員一同 は、阿部歩が博士(農学)の学位を受けるのに十分な資格を有するも のと認めた,

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参照

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