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博士(工学)張 文祥 学位論文題名

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Academic year: 2021

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(1)

     博士(工学)張   文祥 学位論文題名

金属イオン交換ゼオライト上での圧カスウィング 吸着法による窒素酸化物の除去

学位論文内容の要旨

  環 境 問 題 の関 心 が 高 ま りつ っ あ る 中 で 大気 汚 染物 質であ るNOxの防 除問題 の解決 が急務 とさ れて い る 。 こ れ まで 選 択 還 元 法, 接 触 分 解 法な ど 種々のNOxの 防除法 が研 究,開 発され ている が,何 れも発 生源 に重点 が置か れ,一 旦空気 中に 排出し たもの にはま だ対 策がとられていないの が現 状 で あ る 。 この た め , 交 通量 の 多 い ト ンネ ル 内など のNOx濃度は 環境 基準値 をはる かに超 えて い る 。 こ の よう な 低 濃 度NOxに 分 解や 選 択 還 元など の触媒 プ口セ スを 適用す ること は,活 性が低 い,排 ガス を再度 昇温す ること が必要 でコ ストが 高い, 等のた めに かなり困難である。こ れに対 して, 吸着 法,特 に圧カ スウィ ング法 は低 濃度の 吸着質 を簡便 に, かっ効率よく除去また は回収 できる こと が知ら れてい る。そ こで, 本研 究では 圧カス ウィン グ吸 着法によって低濃度の NOを 除 去 す るプ ロ セ ス を 開発 す る こ と を 第一 の 目 的 と して , 種 々 の 金属 イオン 交換ゼ オライ トのNO吸 着 特性 を 検 討 す るこ と と し た 。 そし て ,NOの 吸 着 除 去 , 接触 分解 ,及び 選択還 元反 応 に 高 活 性 で あ っ た 銅 イ オ ン 交 換ZSM‑5上 のNO吸 着 状 態 を 明 らか に す る こ と を第 二 の 目 的 とした 。

  第1章 で は,NOx除去 法 の 現 状 や 問題 点 , 圧 カ スウ ィ ン グ の 特長 と 応 用例, 及び ゼオラ イト の基本 的特性 にっ いて述 べた後 ,本研 究の目 的及 び概要 を述べ た。

  第2章 で は , 種 々 の 金 属 イ オ ン 交 換ZSM・5のNO吸 着 特 性 の検 討 を 行 っ た。 こ れ ま で ,NO 吸着剤 がいく っか 報告さ れてい るが,可逆,.不可逆吸着量を分けて測定した例はほとんどなく,

圧カス ウィン グ法 に適用 できる かどう かは判 断で きない 。本研 究では 吸着 および脱離量を「繰り 返し 吸 着 一 脱 離 法」 で 測 定 し ,可 逆 及 び 不 可逆 吸 着NO量を 明 ら か に する ことが できた 。種々 の 金 属 イ オ ン 交 換ZSM‑5ゼ オ ラ イ ト のNO吸 着 特 性 を 系 統 的 に 検討 す る こ と に よっ て , 金 属 種 に よ るNO吸 着 特 性 の 変 化 も 明 ら か に し た 。(I)ア ルカ リ 金 属 イ オン , 希 土 類 金属 イ オ ン 交 換 体及 び プ ロ ト ン交 換 体 の 可 逆, 不 可 逆 吸 着NO量 は 何 れも 非 常 に 小 さ い。(1I)ア ル カ リ 土類金 属イオ ン交 換体は 可逆吸 着量が 比較的 大き いが, 不可逆 吸着量 が小 さい。その中ではカル

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シウムイオン交 換体のカルシウムイオン1個 当たりの可逆吸着NO量が最大 である。(m)遷 移金属イオン交 換体の可逆,不可逆吸着NO量は共に大きい。特に,銅及び銀イオン交換体の 可 逆吸 着NO量が 大き く ,コ バル トイ オン 交 換体 では 不可 逆 吸着 量が 最も 大き か った。

  第3章では,ゼオライト構造およびSi0:/Al:0ヨ比の異なる種々の銅イオン交換ゼオライト のNO吸着特性の 検討を行い,ゼオライトの種 類によってNOの吸着特性が 大きく異なること を明らかにした。NOの吸着特性の支配因子を検討し,まず,銅イオン1個当たりの可逆及び不 可逆吸着NO量はゼオライト中の'Al含有量に依存することを明らかにした。すなわち,ゼオラ イト中のAl含有 量の減少と共に銅イオン1個 当たりの可逆及び不可逆吸着NO分子数は増加し た。この変化はAl含有量の変化によってゼオライトの各組成の電子状態が変化し,交換された 銅イオンの性質(配位数,有効電荷など)が変化したこと,および交換サイト間の幾何学的な距 離カ÷遠くなることに起因しているものと推測した。次いで,銅イオン交換ZSM・5と銅イオン交 換モルデナイト の吸着NO量の鋼イオン交換率依存性の検討から,NOの吸着特性はゼオライト 構造およびイオン交換率によって変化することを明らかにした。

  第4章では,第2及び第3章の結果を踏まえ,ゼオライト構造およびSi0エ/Al:0ヨ比の異な る種々の銀イオン交換ゼオライト,カルシウムイオン交換ゼオライト,及びコバルトイオン交換 ゼ オラ イト のNO吸着特性の検討を 行った。第3章の銅イオン交 換体と同様に,金属イオン (Ag゛,Ca2十,C02゛)1個当たりの可逆及び 不可逆吸着NO量はゼオライ トのAl含有量に依 存し,Al含有量 が減少するに従って増加することを確認した。また銅イオン交換ZSM・5と銀 イオン交換モル デナイト上の吸着NO量の銀イオン交換率依存性の検討より,NOの吸着特性は ゼオライト構造およびイオン交換率によって変化することを明らかにした。但し,モルデナイト の銅イオン交換 体と銀イオン交換体の可逆吸着NO量のイオン交換率依存性は逆の傾向を示し た。これは銅イオンと銀イオンの交換選択性が異なることを反映しているのであろう。さらに,

銅イオン交換ZSM−5,銀イオン交換モルデナイ卜及びコバル卜イオン交換モルデナイトの吸着 温度依存性の結果から,低温域(く273K)では銀イオン交換モルデナイトが,中温域(280K〜 333K)では銅イ オン交換ZSM‑5が,高温域( 冫333K)ではコバルトイオン交換モルデナイト が圧カスウィング法の吸着剤として有効であることを明らかにした。交換金属種によって最大可 逆吸着量を示す 温度域が異なる理由は不可逆吸着NOの影響によるものと考えられる。すなわ ち,最大可逆吸着量を示す温度域で不可逆吸着量が急激に増加するので,ゼオライト細孔内の有 効 拡 散 係 数 の 変 化 あ る い は 可 逆 と 不 可 逆 吸 着 サ イト の転 化 が起 こる と考 え られ る。

  第5章 では , 銅イ オン 交換ZSM・5上のNO吸 着種 の 状態 を赤 外分光法(IR)と昇温脱離法

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(TPD)に よ り 検 討 し た 。NO゛ に 帰 属 さ れ る 吸 収 はNOの 導 入 に より 増 加 し , 真空 排 気 に よ り 減 少 し た 。 従 っ て ,Cu−ZSM―5上 の 可 逆 吸 着NOは大 部 分Cuz゛ 上 にNO゛ と し て 吸 着し て い る と 結 論 し た 。

  NO吸 着後 の 試 料 の 昇温 脱 離 操 作 を行 い と , 三 っのNO脱 離 ピー ク が認 めら れた。 この結 果と IRの 結 果 を 考 え 合 わ せ , 低 温 側(273〜573K) の ニ っ の 脱 離ピ ー ク はNO゛ , 高 温 側(673K) の 脱離 ピーク はNOよ+ ,N02−あ るいはNOヨ― の脱離 による ものと 結諭し た。 高温側 ピーク の帰 属 はNOよ 吸 着 後 のTPDの 結 果 に よ っ て も 支 持 さ れ た 。 更 にTPDプ 口 フ ァ イ ルよ り 求 め た 脱 離NO量 は 圧 カ ス ウ ィ ン グ 吸 着 実 験 で 得 ら れ た 不 可 逆 吸 着 量 と よ く 一 致 し た 。   第6章 は総 括 で , 本 研究 を 総 括 し ,成 果 の 要 約 を 述べ た 。

学位論文審査の要旨

  近年, 大気汚 染物質 であ るNOxの防除 問題の 解決が 急務 とされ ている 。これ まで選 択還 元法,

接 触分 解法な ど種々 のNOxの防除 法が 研究さ れ,そ の中の いくっ かは すでに 実施さ れてい るが , 何 れも 発生源 に重点 が置か れ,一旦空気中に排出されたものにはまだ何の対策もとられていない。

こ の た め , 交通 量 の 多 い ト ンネ ル 内 な ど のNOx濃度 は環 境基準 値をは るかに 超えて いる 。この よ う な 低 濃 度NOxに 上 記の 触 媒 プ ロ セス を 直 接適用 する ことは プ口セ スおよ びコス トの 両面か ら 極め て困難 である 。これ に対し て, 吸着法 は低濃 度の吸 着質 を簡便 に,かつ効率よく除去でき る こ と が 知 られ て い る 。 そ こで , 本 論 文 では 圧 カ ス ウ ィン グ 吸 着 法によ って低 濃度のNOを除 去 す る プ ロ セス を 開 発 す る こと を 目 的 と して , 種 々 の 金属 イ オ ン 交換ゼ オライ トのNO吸着特 性 を検 討し, 吸着剤 の開発 および 吸着 機構解 明を行 ってい る。 本研究 で明らかにされた点は以下 の 通り である 。

  ま ず , 第1章 で はNOx除 去 法 の現 状 や 問 題 点 ,圧 カ ス ウ ィ ング 法 の特 長と応 用例, 及びゼ オ ラ イ ト の 基 本 的 特 性 に っ い て 述 べ た 後 , 本 研 究 の 目 的 及 び 概 要 を 述 べ て い る 。

和 平

夫 恒

正 紘

道 暢

本 平

垣 沢

岩 小

稲 竹

授 授

授 授

教 教

教 教

査 査

査 査

主 副

副 副

(4)

  第2章 で は , 種 々 の 金 属 イ オ ン 交 換ZSM―5のNO吸 着 特 性 の 検 討を 行 っ て い る。 本 研 究 で は 吸 着 お よ び脱 離 量 を 「 繰り 返 し 吸 着 ―脱 離 法 」 で 測定 し , 可 逆 及 び不 可 逆 吸着NO量を分 離 し て 明 ら か にし て い る 。 これ ま で , 吸 着剤 のNO吸 着特 性 を 本 論 文の よ う に 分 離測定 した例 は ほ と ん ど な く, 有 用 な 知 見と 考 え ら れ る。 さ ら に , 著者 は 金 属 種 に よるNO吸 着特性 の変化 を 系 統的に 検討し ,次 のよう な結論 を得て いる 。川ア ルカリ 金属イ オン, 希土 類金属 イオン交換体 及 び プ ロ ト ン交換 体の可 逆,不 可逆吸 着NO量 は何れ も非常 に小 さい。 (2)アル カリ土 類金属 イ オ ン交換 体は可 逆吸 着量が 比較的 大きい が, 不可逆 吸着量 が小さ い。そ の中 ではカ ルシウムイオ ン 交 換 体 の 可逆 吸 着NO量 が 最 大 で あ る。 (3) 遷 移金 属 イオ ン交換 体の 可逆, 不可逆 吸着NO量 は 共 に 大 き い。 特 に , 銅 及び 銀 イ オ ン 交換 体 の 可 逆 吸着NO量 が 大き く , コ バ ルトイ オン交 換 体 では不 可逆吸 着量 が最も 大きい 。

  第3章 で は ,NOの 吸 着 特 性 の 支 配 因 子 を 解 明 す る た め , ま ず , ゼ オ ラ イ ト 構 造 お よ び Si0:/Alユ0ヨ比 の 異 な る 種々 の 銅 イ オ ン 交換 ゼ オ ラ イ トのNO吸 着特性 を同 一交換 レベル で比 較 し , 銅 イオ ン1個 当 たり の 可 逆 及 び不 可 逆 吸 着NO量 が ゼ オ ライ ト 中 のAl含 有 量 に 依 存す る こ と を 明 ら かに し た 。 著 者は , こ の変化 はAl含 有量の 変化に よって ゼオ ライト の電子 状態か 変 化 し,交 換され た銅 イオン の性質 (配位 数, 有効電 荷など )が変 化した こと ,およ び交換サイト 間 の 幾 何 学 的な 距 離 が 遠 くな る こ とに起 因して いる こと推 測して いる。 次い で,ZSM・5とモ ル デ ナ イ ト の 吸 着NO量 の 銅 イ オ ン 交換 率 依 存 性 の検 討 か ら , 交換 さ れ た 銅 イ オン のNO吸着 に 対 す る 有 効 性が ゼ オ ラ イ ト構 造 お よ び イオ ン 交 換 率 によ っ て 変 化 す るこ と を 明ら かにし た。

  第4章で は , 第2及び 第3章 の 結果 を 踏 ま え ,ゼ オ ラ イ ト 構造 お よ びSi0:/Al:Oヨ 比の異 な る 種々の 銀イオ ン交 換ゼオ ライト ,カル シウ ムイオ ン交換 ゼオラ イ卜, 及び コバル トイオン交換 ゼ オ ラ イ ト のNO吸 着 特性 の 検 討 を行 って いる。 銅イオ ン交換 体と同 様に ,金属 イオン (Ag゛ , Caz十 .C02゛ )1個 当 た り の可 逆 及 び 不 可逆 吸 着NO量は ゼ オ ラ イ トのAl含 有 量に 依 存 し ,Al 含 有 量 が 減 少す る に 従 っ て増 加 す る こ とを 認 め て い る。 さら に銅 イオン 交換ZSM‑5,銀 イオ ン 交 換モル デナイ ト及 びコバ ルトイ オン交 換モルデナイトの吸着温度依存性の結果から,低温域(く 273K) で は 銀 イ オ ン 交 換 モ ル デ ナ イ ト が , 中 温 域(280K〜333K) で は 銅イ オ ン 交 換ZSM・5 が , 高 温 域 (冫333K) で は コ バ ルト イオン 交換モ ルデナ イト が圧カ スウィ ング法 の吸着 剤と し て 有効で あるこ とを 明らか にして いる。

  第5章 で は , 銅 イ オ ン 交 換ZSM・5上 のNO吸 着 種 の 状 態 を ま ず 赤 外 分 光 法(IR)に よ り 検 討 し ,NO゛ に 帰 属 さ れる 吸 収 がNOの 導 入 に よ り増 加 し , 真 空 排気 に よ り 減 少す る事実 をは じ め て 報 告 して い る 。 著 者は こ の 結 果 に 基づ い て ,Cu−ZSM―5上 の 可 逆 吸着NOは 大 部分Cu2+

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上にNO+として吸着していると結論している。さらに,昇脱離法(TPD)による検討において,

NO吸着 後の試 料の昇温脱離曲線中に三っのNO脱離ピークが認められることを見いだしてい る。 本論文 ではIRの 結果を 考え合わ せて, 低温側(273〜573K)のニっの脱離ピークはNO゛ およびNOよ+,高温側(673K)のピークはN03ーの脱離であることを結論している。高温側ピー ク の 帰 属 はN02吸 着 後 のTPDの 結 果 に よ っ て も さ ら に 確 認 さ れ て い る 。   第6章は総括で,本研究を総括し,成果の要約を述べている。

  以上,本論文はNOの新しい吸着除去法を提案すると同時に,種々のイオン交換ゼオライト 上でのNOの吸着挙動を解明し,吸着剤の設計指針を確立している。本研究の成果は環境化学,

触媒化学,無機材料化学の進歩に寄与するところ大である。

  よ っ て , 著 者 は 博 士 ( 工 学 ) の 学 位 を 授 与 さ れ る 資 格 あ る も の と 認 め る 。

参照

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