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博 士 ( 医 学 ) 吉 田 直 文

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Academic year: 2021

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博 士 ( 医 学 ) 吉 田 直 文

     学位論文題名

    ExpresslonoftheMAGE ― A4andNY ―ES0 ―1

CanCer ― teStiSantigenSandTCellinfiltrationinnon − Small     CelllungCarClnonlaandtheirprognOStiCSignifiCanCe      ( 非 小 細 胞 肺 癌 症 例 に お け る 癌 精 巣 抗 原 MAGE ― A4 、   NY ―ESOll の発現と T リンパ球浸潤の検討、及ぴ予後との関連)

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

    背 景と 目的

  MAGE−A4とNPES〇 −1は と も に 癌 精 巣 抗 原 に 属 す る 腫 瘍 抗 原 で あ り 、 各 種 癌 に 発 現 を みる が正 常組 織では精巣にのみ発現しており、強い抗原性を持った め腫瘍特異的免疫療法 の 有望 な標 的で ある。今回我々は現在日本における癌死亡率第一位を 占める肺癌症例に対す るMAGB越 とNPESO−1を 標 的 と し た 癌 ワ ク チ ン 免 疫 療 法 の 可 能l生 を 検 討 す る 目 的 で 、 日 本 人 非小 細胞 肺癌 症例 にお けるMAGEぞ蝿 とNY. ―I彁〇 ー1抗 原の 発現 、癌 組織 へのTリ ン バ 球 浸 潤 、 お よ び こ れ ら の フ ァ ク タ ー と 予 後 と の 関 連 に つ い て 解 析 し た 。

    方法

  北 海 道 大 学 病 院 及 び 関 連病 院に おい て同 意 の得 られ た非 小細 胞肺 癌症 例157例よ り採 取 し た 腫 瘍 組 織 を 用 い 、 凍 結 検 体 に お い てMAGE― .A4、N卜ES〇 ―1発現 をR卜PCR. 法に て 検 討 し 、 パ ラ フ イ ン 封 埋 標 本 に お い て はN卜ESO―1、CD4、CD8そ れ ぞ れ に 対 す る モ ノ ク 口 ー ナ ル 抗 体 に よ る 免 疫 染 色 法 に てNPES○ ー1発 現 とT細 胞 浸 潤 を 検 討 し た 。157症 例 中 、 即 一PCR法 と 免 疫 染 色 法 の 両 者 を 施 行 し た も の が54症例 、爾 、―PCR法 のみ が87症 例 、 そ し て 免 疫 染 色 法 の みを 施行 でき たも の が16症例 であ った 。臨 床デ ータ は157症例 中 125症 例に て解 析可 能 であ った 。両 抗原 の発 現、T細胞 浸潤 と予 後等 を含 む臨 床的 ファ クタ ー と の 相 関 を 多 変 量 解 析 を用 いて 評価 した 。NPES○ー1の 免疫 染色 にお い ては 染色 され た 腫 瘍細 胞の %に より 以下 のよ うに4つに グル ープ を分 けた 。:gr01]pA,腫瘍細胞中冫50% の細胞で陽性;gI弧ユpB,11〜50%の細胞で陽性;groLユpC,1〜10%の細胞で陽性;gr01】p D, 陰l生 。 ま たCD4、CD8の 免 疫 染 色 で は 腫 瘍 巣 、 腫 瘍 周 囲 問 質 そ れ ぞ れ に お い て、200 倍 率 で10視 野 をc01mtし 、 そ の 浸 潤 数 上 位5視 野 の 平 均 値 を 求 め 、 こ の 平 均 値 に よ り2 クシレープにわけ((十):hghgroup,(−):lawgr01]p)、CD4.CD8細胞の浸潤の多寡により、

以 下の4っにグ ループ分けした。(班D4/8(十ノル、@CD4/8(十/―) 、◎CD4/8←/十)、@

CD4/8くーノ−)。

666 ‑

(2)

    結果

  RT一PCRの 結 果 、 非 小 細 胞 肺 癌 症 例 のMAGE−A4発 現 は141例 中40例(28.4% ) 、NY‑

ESO―1発 現は141例 中11例(7.8% ) で認 め ら れ た。 こ れ らは 共 に 欧米人 に比べ ると低発 現 で あ っ た ( そ れ ぞ れ51% お よ び16〜21% 冫 。MAGE‑A4とNY‑ES○ ー1の 共 発 現は141例 中 9例(6.4%) に 認 めら れ た 。組 織 形 では 扁 平 上皮 癌 に お いてMAく迅 ーA・4とNPESO−1の発 現は それぞれ41症例中22例(53.7%) 、41症例中8例(19.5%)と高い頻度で認められた。

  NPESO−1の 発 現 に つ い て 、 阿 、 ーPCR法 と 免 疫染 色 法 の 両方 が 可 能で あ っ た54症 例中 免 疫 染 色 陽 陸 例4例 だ っ た が 、 そ の う ち1例 はR卜PCR陰 性 で あ っ た 。 免 疫 染 色 陰 性50 症例中、1症例はIて卜PCR法では陽陸であった。

  癌 精 巣 抗 原の 発 現 と臨 床 的 ファ ク タ ーと の 関 連を 調 べ た。MAGE‐A4発現 は60歳 以 上 の 者 で それ 以 下 の者 よ り 有意 に 高 く、 組 織分類 上、扁 平上皮癌 で有意 に高かっ た。N卜ESO― 1発現は扁 平上皮癌 で有意 に高かっ た。そ の他のフ んクターとは有意な相関は認めなかった。

  癌 精 巣 抗 原の 発 現 と予 後 と の関 連 を 検討 し た 。MAGE―A4、NY, ーESO−1の 発 現 はと も に予 後との有 意な相 関を認め なかった 。しか し病期分 類で肺 癌患者を (恥r]ygroup(stage I十stageH) 、 @bdvancedgroup(Stage皿 十stageIの の2グ ´ レ ー プ に 分 け 、 そ れ ら2 グ ル ープ の 癌 精巣 抗 原 の発 現 と 予後 と の関連 を検討 したとこ ろ、MAく 迅一A 4を 発現す る adv甜1Cedgr01]pではMAGE了A4を 発 現 しな いadヽ′ancedgr01]pお よ ぴ その 他 の グル ー プ に 比較 し て有 意に生存 率が低 かった(pO.0065)。NPESくナ1ではこ の解析に おいて も特 に有意な相関は認められなかった。

  肺 癌 組 織 へ のCD4十T細 胞 、CD8゛T細 胞 の 浸 潤 数 と 予 後 、 癌 精 巣 抗原 発 現 との 関 連 を 検 討 した 。 腫 瘍巣 に お けるCD4十T細 胞の 浸潤と 予後との 間に正 の相関が みられた 。CD8゛T 細 胞 浸潤 数 と 予後 に は 相関 を 認 めな か った。 しかし 、腫瘍巣 浸潤細 胞のCD4/8(十/十)、

CD4/8(十/I)、CD4/8←/十)、(:D4/8くーノ−)の4つのグループ分けではCD4/8(十/十)グル ープ において 他の3グルー プよりも 有意に 予後に改 善を認 めた(Pと.0370)。腫瘍周囲問質 へ の 免疫 細 胞 浸潤 数 に おい て は 予後 と の相関 を認め ることは できな かった。 癌精巣 抗原発 現と浸潤T細胞数との間に有意な相関は認めなかった。

    まとめ

  非 小 細 胞肺 癌 に おい てMAGE− .A4、N卜ESO−1の 発 現す る 症 例が 一定 度に認 められた 。 両 抗原 は 腺 癌に 比 し て扁 平 上 皮癌 に お いて高 頻度に 発現して いた。MAGE−.A4発 現は非小 細 胞肺 癌 の 進行 症 例 にお け る 予後 増 悪 因子で あるこ とが示唆 された 。腫瘍巣 内への 多数の CD4+T細 胞 浸 潤 は 良 好 な 予 後 と 正 の 相 関 を 持 ち 、 そ の 中 で もCD4十T細 胞 とCD8可 細 胞 の 両 方 が 多 く 浸 潤 し て い る 症 例 が 特 に 予 後が よ い こと が 示 され 、CD4十T細 胞とCD8可 細 胞の協 調した働 きが有 効な抗腫 瘍免疫 に重要で あること が示唆 された。 また一方で、癌精巣 抗 原発 現 と 浸潤T、細 胞数と の問に有 意な相関 は認め なかった ことよ り、MAGE ̄A4、NY・−

ESO−1抗原 に 対 する 坦 癌 患者 内 の 自然 な 免疫応 答は十分 なもの ではなく 、これを 有効に 増 強、活 ´陸化す る必要 性が示唆 された 。以上の 事柄より、これら癌精巣抗原に対する反応性T helper細 胞 とcytotc蔚cT細胞 両方を誘 導、活 ´陸r匕する免 疫療法 や両細胞 の移入 療法は、

その効 果が期待 される 免疫療法 である と考えら れた。

(3)

学 位 論 文 審 査 の 要 旨

     学位論文題名

    ExpresslonoftheMAGE −A4andNY ― ESO ― 1

CanCer ― teStiSantigenSandTCe11infdtrationinnon ― Sma11     CelllungCarClnomaand . theirprognOStiCSigni 丘 CanCe      ( 非 小 細 胞 肺 癌 症 例 に お け る 癌 精 巣 抗 原 MAGE ― A4 、   NY − ESO ー 1 の発現とT リンパ球浸潤の検討、及び予後との関連)

  現 在 日 本 に お け る 癌 死 亡 率 第 一 ・ 位 を 占 め る 肺 癌 症 例 に 対 す る 癌 精 巣 抗 原MAGE‑A4と NY‑ESO‑1を 標 的 と し た 癌 ワ ク チ ン 免 疫 療 法 の 可 能 性 を 検 討 す る 目 的 で 、 日 本 人 非 小 細 胞 肺 癌 症 例 に お け るMAGE―A4と NYESO‑1抗 原 の 発 現 、 癌 組 織 へ のTリ ン パ 球 潤 、 お よ び これらの因子と予後との関連について解析した。

  北 海 道 大 学 病 院 及 び 関 連 病 院 に お い て 採 取 し た 非 小 細 胞 肺 癌 手 術 摘 出 腫 瘍157検 体 に お い てRT‑PCR法 と 免 疫 染 色 法 に て 癌 精 巣 抗 原 発 現 とT細 胞 浸 潤 を 検 討 し 、 予 後 等 を 含 む 臨 床 的 因 子 と の 関 係 を 多 変 量 解 析 を 用 い て 評 価 し た 。CD4丶CD8の 免 疫 染 色 で は 腫 瘍 巣 、 腫瘍周囲問質それぞれにおいて浸潤数の平均値を求め、2群にわけ((十): high group,(―):low group)、CD4.CD8細胞それぞれの浸潤の多寡により、4群に分けた。

  RT‑PCRの 結 果 、 非 小 細 胞 肺 癌 症 例 のMAGEーA4発 現 は141例 中40例(28.4u/o)、NYESO―1 発 現 は141例 中11例(7.80/0)で 認 め ら れ 、 共 に 欧 米 人 に 比 べ る と 低 発現 で あ った ( そ れぞ れ 51% お よ び16〜21%)。MAGE―A4とNYESO−1の 共 発 現 は141例 中9例 (614ワ 。 ) に 認 め ら れ た 。 扁 平 上 皮 癌 に お い てMAGE‑A4とNYESO―1の 発 現 は そ れ ぞ れ41症 例 中22例(53.7% ) 、 41症 例中8例(19.5ワ 。 ) と高 し ゝ 頻度 で 認 め られ た 。NYESO−1の 発現 に っ しゝて 、RT‑PCR法と 免 疫 染 色 法 の 両 方 が 可 能 で あ っ た54症 例 中 免 疫 染 色 陽 性 例 は4例 だ っ た が 、 そ の う ち1 例 はRT‑PCR陰 性 で あ っ た 。 免 疫 染 色 陰 性50症 例 中 、1症 例 はRT‑PCR法 で は 陽 性 で あ っ た。

  癌 精 巣 抗 原 の 発 現 と 臨 床 的 因 子 と の 関 連 を 調 べ た 。.MAGE‑A4発 現 は60歳 以 上 と 扁 平 上 皮 癌 と で 有 意 に 高 か っ た 。NY‑ESO−1発 現 は 扁 平 上 皮 癌 で 有 意 に 高 か っ た 。 そ の 他 の フ ァ ク タ ー と は 有 意 な 関 係 は 認 め な か っ た 。MAGE−A4、NYESO−1の 発 現 は と も に 予 後 と の 有 意 な 関 係 を 認 め な か っ た 。 し か し 病 期 分類 で 肺 癌患 者 をCDearly group (stageI十stage

弘 孝

田 村

秋 西

授 授

教 教

査 査

主 副

(4)

II)、 ◎advanced group (stage III+ stage IV)の2グ ルー プ に 分け 、 癌 精巣 抗 原 の 発現 と予 後 と の 関 連 を 検 討 し た と こ ろ 、MAGE−A4陽 性advanced groupで はMAGE―A4陰 性advanced groupお よ び そ の 他 の グ ル ー プ に 比 較 し て 有 意 に 生 存 率 が 低 か っ た(P=0.0065)。NYESO―1 ではこの解析においても特に有意な関係は認められなかった。

  肺 癌 腫 瘍 巣 に お け るCD4゛T細 胞 の 浸 潤 と 予 後 と の 間 に 正 の 相 関 が み ら れ た 。CD8゛T 細 胞 浸 潤 数 と 予 後 に は 関 係 を 認 め な か っ た 。 し か し 、 腫 瘍 巣 浸 潤 細 胞 のCD4/8( リ 十 ) 、 CD4/8 (+1−)、CD4/8(−/十)、CD4/8(―/‐)の4つの群分けではCD4/8(リ十)群において他の3群よ り も 有 意 に 予 後 良 好 だ っ た(P=0.0370)。 腫 瘍 周 囲 問 質 へ の 免 疫 細 胞 浸 潤 数 に お い ては 予 後 と の 関 係 を 認 め る こ と は で き な か っ た 。 癌 精 巣 抗 原 発 現 と 浸 潤T細 胞 数 と の 間 に 有 意 な 関係は認めなかった。

  MAGE‑A4発 現 は 非 小 細 胞 肺 癌 の 進 行 症 例 に お け る 予 後 増 悪 因 子 で あ る こ と が 示 唆 さ れ た 。 腫 瘍 巣 内 へ の 多 数 のCD4゛T細 胞 浸 潤 は 良 好 な 予 後 と正 の 相 関を 持 ち 、そ の 中 でもCD4゛ T細 胞 とCD8+T細 胞 の 両 方 が 多 く 浸 潤 し て い る 症 例 が 特 に 予 後 が よ い こ と が 示 さ れ 、CD4゛ T細 胞 とCD 8+T細 胞 の 協 調 し た 働 き が 有 効 な 抗 腫 瘍 免 疫 に 重 要 で あ る こ と が 示 唆 さ れ た 。 ま た 一 方 で 、 癌 精 巣 抗 原 発 現 と 浸 潤T細 胞 数 と の 間 に 有 意 な 相 関 は 認 め な か っ た こ と よ り 、MAGE‑A4、NY‑ESO‑1抗 原 に 対 す る 担 癌 患 者 内 の 自 然 な 免 疫 応 答 は 十 分 な も の で は な く 、 こ れ を 有 効 に 増 強 、 活 性 化 す る 必 要 性 が 示 唆 さ れ た 。 以 上 の 事 柄 よ り 、 こ れ ら癌 精 巣 抗 原 に 対 す る 反 応 性T helper細 胞 とcytotoxicT細 胞 両 方 を 誘 導 ・ 活 性 化 す る 免 疫療 法 や 両 細 胞 の 移 入 療 法 は 、 そ の 効 果 が 期 待 さ れ る 免 疫 療 法 で あ る と 考 え ら れ た 。   口 頭 発 表 に お し ゝ て 副 査 近 藤 哲 教 授 よ り ◎ 欧 米 人 で の こ の2種 類 の 癌 精 巣 抗 原 の 発 現 と 組 織 型 と の 関 係 に つ い て 、 ◎ 癌 精 巣 抗 原 は 腫 瘍 抗 原 性 が 強 い は ず な の に 進 行 癌 症 例 では 予 後 不 良 な 点 に 関 す る 考 察 に つ い て 、 ◎heterogeneousに 発 現 細 胞 が 存 在 す る こ と は 免 疫 療 法 に 不 利 に 思 わ れ る が そ の 点 の 改 善 策 に 関 し て 質 問 が あ っ た 。 続 い て 副 査 西 村 孝 司 教授 よ り @ 実 験 結 果 を ふ ま え て 今 後 ど の よ う な 治 療 法 が 望 ま し い か に つ い て 、 ◎ そ の 治 療 法の 免 疫 学 的 論 理 の 説 明 に つ い て 、 ◎ 欧 米 人 と 日 本 人 と で 発 現 率 が 違 う 理 由 に 関 し て 質 問 があ っ た 。 最 後 に 主 査 秋 田 弘 俊 教 授 よ り 、 @ 他 臓 器 で も 扁 平 上 皮 癌 に 癌 精 巣 抗 原 の 発 現 が 多い か 否 か に つ い て 、 ◎ 臨 床 試 験 症 例 の 選 択 基 準 と 選 択 法 に 関 し て の 質 問 が あ っ た が 、 い ずれ の 質 問 に 対 し て も 、 申 請 者 は 主 旨 を よ く 理 解 し 自 ら の 研 究 デ ー タ と 文 献 的 考 察 を 混 じ えて 適 切な回答をした。

  肺 癌 症 例 に お け るMAGE‑A4、NYESO−1発 現 と 免 疫 細 胞 の 浸 潤 に 関 す る 本 研 究 の 意 義 は 大 き く 、 ま た 今 後 の 臨 床 試 験 へ の 基 盤 と な る 資 料 と し て 有 用 性 も 高 く 、 審 査 員 一 同は 、 こ れ ら の 成 果 を 高 く 評 価 し 、 大 学 院 課 程 に お け る 研 鑽 や 取 得 単 位 な ど も 併 せ 申 請 者 が博 士

(医学)の学位を受けるのに充分な資格を有すると判定した。

参照

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