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博 士 ( 工 学 ) 吉 田

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Academic year: 2021

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博 士 ( 工 学 ) 吉 田

  

    

学位論文題名

A Study on h/Ieasures for the Ix/Ianagement of Living Environment in European Garden Cities: Roles of the   Scheme of IVIanagement and the Non‑Profit Bodies

(欧州田園都市における居住環境の保全の仕組みに関する研究:

    マ ネ ジ メ ン ト ・ ス キ ー ム と 非 営 利 団 体 の 役 割 )

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

・拡大成長する都市化社会から安定した都市型社会ヘ転換しつっある今日、我 が国では良好に形成された居住環境の保全が大きな課題にな.っている。二十世 紀初頭に建設が開始された田園都市の中には今日まで良好な居住環境を保全し ているものがあり、その仕組みを解明することは今後の我が国における課題を 考える上で参考となる。

  本論戈は、ベルギーとイギリスの田園都市を例に採り、良好な居住環境の保 全策を明らかにするものである。ベルギー田園都市においては自治的な「借家 人組合」が存在し、土地住宅の共有のもとで今日まで居住環境保全に大きな役 割を果プこしてきた。一方、イギリス田園都市に韜いては「マネジメント・スキ ーム」を使った居住環境の保全が行われている。

  これらの事例を分析し、居住環境の保全の仕組みを考察した上で、結論とし て、良好な居住環境を創造・維持していくためには、@方法論としては、一般 的をプランニング権限の活用だけでは困難であり、時には私権の強い制限を認 める自治的なルールが必要であること、◎主体としては、一般の公共団体では 不適当であり、居住環境に高い意識を持ち住民の支持を得た非営利組織が行う ことが望ましいことが示される。

  第1章「この研究の目的・方法・構成」では、この研究の目的として、良好 に形成された住宅地の居住環境の保全が今後我が国では課題となっていくこと を述べた上で、欧州田園都市の中には今日まで良好な居住環境を維持している ものがあり、本研究は、その仕組みを明らかにすることにより我が国の課題を 考える上で政策的含意を汲み取ろうとするものであることを述べる。続いて、

この研究の方法として、ベルギー、イギリスの田園都市から具体的に4っの事 例(ロジ、ハムステッド、レッチワース、ウェルウィン)をとりあげて考察す

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ることを示し、さらに、以下の章の構成を概観する。

  2章 「 ベ ル ギー に おけ る田 園都 市思 想の 受容 と建 設の 歴史 」で は、第3章 で 詳し く見 る借 家人 組合 が登 場した 背景・歴史的文脈を明らかにするため、ベ ル ギー にお ける 田園 都市 思想 の受容 と建設の歴史を概観する。その中で、ベル ギ ーに おけ る田 園都 市建 設は 、政府 の政策として推進されたこと、共同体建設 の 理想 をか かげ てい たこ と、 政策担 当者と一般民衆との相互作用により実現し た こと 、特 に借 家人 組合 の活 躍によ り良好な居住環境が創造されたことを説明 す る。

  第3章「ブ リュ ッセ ルの 田園 都市 ロジ の建 設と 借家 人組 合の 役割」 では、個 別 の借 家人 組合 「ロ ジ社 」を とり あげ、 それがどのように田園都市を建設した か 、そ こに はど のよ うな 特徴 が見 られる かを概観した上で、なぜ借家人組合が 良 好な 居住 環境 を創 造し 維持 でき たのか を考察する。結論として、ロジが公営 住 宅で なく 自治 組織 であ った こと 、土地 共有が基本的に維持されたこと、ロジ の コン パク トさ から 来る 意思 決定 レベル の近さと結束の強さが住民のニーズに 応 える 機動 カと 政策 転換 に影 響を 受けな い継続性をもたらしたことを述べる。

ま た、 土地 の一 部売 却の 際に ロジ 社と買 取人との間に結ばれた覚書が後の英国 田 園都 市で 策定 され るマ ネジ メン ト・ス キームにっながる重要なポイント(私 権 の制 限) を含 んで いる こと を示 す。

  4章 「イギ リス 田園 都市 にお ける 居住 環境 の保 護」 では 、英 国田園 都市の 歴史 及び 現状 は我 が国 でも よく 知ら れてい ることを前提に、居住環境保全に果 たす マネ ジメ ント ・ス キー ムの 役割 に絞っ て考察する。まず、マネジメント・

スキ ーム の原 型と なっ たハ ムス テッ ド・ガ ーデンサバーブのものについてその 内容 ・運 用・ プラ ンニ ング 権限 との 関係を 考察し、それが平均レベルより厳格 かつ 柔軟 な規 制を 可能 とし 、か っそ のため の安定した基盤を提供していること を明 らか にす る。 続い てレ ッチ ワー ス及び ウェルウィンガーデンシティのマネ ジメ ント ・ス キー ムを とり あげ 、そ の内容 ・運用・特徴を相互に比較しつつ明 らか にす る。

  5章「 結論 」で は、 以上 を総 括し 、良好 な居 住環 境を 創造 ・維 持していく ため には 、方法 とし ては 時に は私 権の 強い制限を認める自治的なルールが必要 であ るこ と、主 体と して は居 住環 境に 高い意識を持ち住民の支持を得た非営利 組織 が行 うこと が望 まし いこ とが 示さ れる 。

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学位論文審査の要旨

     学位論文題名

A Study on Measures for the Management of Living Environment in European Garden Cities: Roles of the   Scheme of Management and the Non‑Profit Bodies

(欧州田園都市における居住環境の保全の仕組みに関する研究:

    マ ネ ジ メ ン ト ・ ス キ ー ム と 非 営 利 団 体 の 役 割 )

  拡大成長する都市化社会から安定した都市型社会へ転換しつっある今日、良好に 形成された住宅地の居住環境の保全が我が国では大きな課題になっている。しかし ながら、その具体的方策に関してはいまだ十分な研究の蓄積がなされていなぃ状況 にある。ー方で、二十世紀初頭に建設が開始された諸外国の田園都市の中には、今 日に至るまで良好な居住環境を保全しているものがあり、その仕組みを解明するこ とは 今後 の我 が国 にお ける 上記の課題を考 える上で重要な意味を有している。

  本論文は、ベルギーとイギリスの田園都市を例に採り、それらにおける良好な居 住環境の保全策を明らかにしたものである。ベルギーの田園都市においては自治的 な住宅組合が存在し、土地住宅の共有のもとで今日まで居住環境保全に大きな役割 を果たしてきた。一方、イギリスの田園都市においてはマネジメント・スキームと 呼ばれる法的枠組みを使った居住環境の保全が行われている。本論文は、歴史的文 書や法的文書の分析を行うとともに、住民や住宅地管理団体に対するインタビュー、

アンケート調査、現地調査を通してこれら欧州の田園都市における居住環境の保全 の仕組みを解明したものである。

  第1章「この 研究の目的・方法・構成」では、今日まで良好な居住環境を維持し ている欧州田園都市における居住環境維持の仕組みを明らかにし、我が国における 政策的含意を汲み取ることが本研究の目的であることを示した。続いて、この研究 の方法として、ベルギー、イギリスの田園都市から具体的に4つの事例(ロジ、ハ ムステッド、レッチワース、ウェルウィン)をとりあげて考察することを示し、さ らに、本論文の構成を示した。

  第2章「ベル ギーにおける田園都市思想の受容と建設の歴史」では、第3章で詳 しく見る住宅組合が登場した背景・歴史的文脈を明らかにするため、ベルギーにお ける田園都市思想の受容と建設の歴史を概説した。その中で、ベルギーにおける田 園都市建設は、政府による公的政策として推進されたこと、共同体建設の理想をか かげていたこと、政策担当者と一般民衆との相互作用により実現したこと、特に住 宅 組 合 の 活 躍 に よ り 良 好 な 居 住 環 境 が 創 造 さ れ た こ と な ど を 示 し た 。     ー163

明嗣 博       英幸 澤林 越 小 角 授授 授 教教 教 査査 査 主副 副

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  第3章「ブリュッセルの田園都市ロジの建設と住宅組合の役割」では、個別の住 宅組合ソシエテ.コーポラティブ・ル・ロジをとりあげ、それがどのように田園都 市を建設したか、またその建設にはどのような特徴が見られるかを概観した上で、

なぜ住宅組合が質の高い良好な居住環境を創造し維持できたのかを考察した。結諭 として、ロジが公営住宅でなく自治組織であったこと、土地共有が基本的に維持さ れたこと、ロジのコンパクトさから来る意思決定レベルの近さと結束の強さが住民 のニーズに応える機動カと政策転換に影響を受けなぃ継続性をもたらしたことがそ の理由であることを明らかにした。また、土地の一部売却の際にロジと買取人との 間に結ばれた覚書が後の英国田園都市で策定されるマネジメント・スキームにっな が る 重 要 な ポ イ ン 卜 、 す な わ ち 私 権 の 制 限 を 含 ん で い る こ と を 示 し た 。   第4章「イギリス田園都市における居住環境の保護」では、それぞれ異なった歴 史・土地所有・管理形態を持っ著名な三っの英国田園都市を取り上げ、質の高い良 好な居住環境の保全に果たすマネジメント・スキームの役割を分析した。まず、そ の原型となったハムステッドのものについて、その内容・運用・プランニング権限 との関係を考察した。続いてレッチワース及びウェルウィンのものをとりあげ、非 営利団体が開発会社を継承したハムステッドとレッチワースにおいては良好な居住 環境の保護が行われているのに対し、地方公共団体(行政)が承継したウェルウィ ン に お い て は 困 難 な 状 況 が 生 じ て い る こ と を 明 ら か に し た 。   第5章「結諭」では、以上を総括し、質の高い良好な居住環境を創造・維持して いくためには、方法としては住民の私権の強い制限を認める自治的なルールが必要 であること、管理主体としては一般の地方公共団体(行政)では不可能であり居住 環境に高い意識を持ち住民の支持を得た非営利組織が行うことが望ましいことを示 した。

  これを要するに、著者は、今後我が国で課題となる良好に形成された住宅地の居 住環境の保護に関して、その方法と運営主体のあり方の両面についての方向性を示 したものであり、都市計画学、公共政策学および建築都市学に貢献するところ大な るものがある。

よって、著者は北海道大学博士(工学)の学位を授与される資格あるものと認める。

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参照

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