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博 士 ( 医 学 ) 佐 田 文 宏

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Academic year: 2021

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博 士 ( 医 学 ) 佐 田 文 宏

     学位論文題名

CYP3A4 allelic variants with amino acid substitutions     in exon7and 12:evidence for an allelic varlant     WithalteredCatalytiCaCtiVity

     (C 珊瑚 4 遺伝子のエクソン7 および12 のアミノ酸置換を伴う      遺 伝 子 変 異 一 触 媒 活 性 変 化 を 伴 う 遺 伝 子 変 異 の証 拠 )

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  シトク口ムP450(の乍)遺伝子スーパーファミリーは、非常に多くの薬物、発癌物質、

毒素などの外因性化学物質およびステロイド、脂肪酸、プロスタグランジンなどの内因性化 合物の酸化的代謝を触媒する一群のへム蛋白質をコード化している。このうちCYP3A4は ヒトの肝臓、腎臓および小腸で発現し、臨床的に、生理学的におよび中毒学的に重要な多く の化合物の代謝に関与している。テストステ口ンの2[3、6[3、15[3の水酸化反応やェストラジ オールの16aの水酸化反応などには、この酵素が関わっている。また、CYP3A4は、二フェ ジピン、サイクロスポリンなど臨床でよく使われる薬物の代謝や不活化に関与する代表的な P450でもある。臨床医学の分野では、CYP3A4が関与する薬物の相互作用に関心が集まっ ている。CYP3A4の発現レベルは、個体による差が著しいにもかかわらず、今まで機能変化 を伴う遺伝子多型は知られていなかった。CYP3A4遺伝子は、染色体上7q22.1に位置し、

13個のエクソンを持っている。現在までにプロモーター領域に点突然変異の箇所があるこ と が知 ら れ 、野 生 型遺 伝 子はCYP3A4*1Aと、変異 型遺伝子 はCYP3A4*1Bと名付け られ ている。この変異型遺伝子と前立腺がんあるいは自血病との関連が示唆されたが、機能変化 を伴う変異であるという証拠はなく、最近ヒト肝臓における酵素の活性との関連を否定する 報告も出された。

  本研究 では、CYP3A4遺 伝子の変異とその頻度を、人種の異なる3集団において明らか にし、変異型遺伝子の機能を、cDNAを発現させることにより評価することを目的としてい る。ヒトBACライブラリーから、Cy.P.3A4遺伝子を分離し、エクソン近傍のイントロンを 直接シークェンスし、C YP3A4遺伝子の全13エクソンとその周辺のイントロンを含む領域 およびプロモーター領域をシークエンスするのに必要なプライマーを設計した。次に、健康 な白人、黒人および中国人の各20人ずっ総計60人から得た検体について、これらの領域

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をPCRにより 増幅した 後、直接 シークエ ンスする ことにより 、CYP3A4遺伝子 の全13工 クソンおよびプロモーター領域の突然変異の検索を行った。いずれかの集団で頻度が1%以 上あると思われる変異に関しては、インフオームドコンセントを経て疫学研究のためにプー ルしてある検体について変異の有無を調ベ、人種毎に変異の頻度を算出した。また、アミノ 酸置換を伴う突然変異の場合は、変異型遺伝子の機能を評価するために、野生型IのcDNA に、変異と同じ場所に人工的に変異をおこさせた変異型cDNAを作成し、バキュロウィル スを用いた発現系を用いて、二フェジピンとテストステロンによる薬物動態の解析を行った。

  C YP3A4遺伝子の全13エクソンとその周辺のイントロンを含む領域およびプ口モーター 領域をシークエンスすることにより、全部で4種類の変異型遺伝子を発見した。既に知られ ているCyP3A4遺 伝子の5 側のプ口モーター領域にあるAがCに代わる点突然変異からな る変異型 遺伝子C YP3A4*1Bは、黒人では66.7%と高頻度であり、白人においても4.2% みられたが、中国人には全くみられなかった。CYP3A4遺伝子のアミノ酸に翻訳される領域 では、3種類の突然変異がみつかった。まず、エクソン7にある222番目のセリンがプロリ ンに代わ る変異型 遺伝子CYP3A4*2は、白人では2.7%の頻度でみられたが、黒人や中国 人には全くみられなかった。工クソン7には、アミノ酸置換を伴わない別の変異があり、黒 人にのみ認められ、その頻度は4.7%であった。もうひとつのまれな変異型遺伝子CYP3A4*3 は、工クソン12のヘム結合部位の近傍の445番目のメチオニンがトレオニンに代わる点突 然変異で、ひとりの中国人にのみ認められた。バキュ口ウィルスを用いたcDNA発現系に より、変異型遺伝子CYP3A4*2はニフェジピンに対して、野生型に比べると低い固有クリ アランスを持つことが明らかになった。一方、テストステ口ンの6ロの水酸化反応に対して は、野生型と有意差は認められなかった。

  本研究で新しく発見された変異型遺伝子CYP3A4セを持つ人は、いずれも一方の対立遺 伝子のみに限局していた。ウィルスを用いた発現系では機能変化が認められたが、実際に生 体内でもこのような機能変化が起こるかはまだ明らかになっていない。ただ、セリンがプ口 リンに代わるアミノ酸の変化は、プロリンがhelix breakerとして知られる性質のため、発 現される酵素の三次元構造を大きく変え得るであろうことは推測できる。バキュロウィルス を用いた発現系による薬物動態の解析から、二フェジピンとテストステロンとでは、酵素活 性に明らかな量的な差が認められた。このような基質特異性は、他のP450でもみられ、

CYP2C9遺伝子の変異型では、ワーファリンに対する固有クリアランスは低下するのに対し、

ジクロフェナックやトルブタミドにはあまり影響を及ぽさないことがわかっている。今後、

CYP3A4遺伝子の性質や疾病との関連を明らかにするには、さらに広範な疫学研究、他の基 質 で の 薬 物 動 態 の 解 析 お よ び in vivo実 験 な ど が 必 要 と 考 え ら れ る 。   本研究は、CYP3A4遺伝子のアミノ酸置換を伴う遺伝子変異による機能変化を初めて示し た例である。人種の異なる3集団のいずれにも、ナンセンス突然変異やスプライス部位の変

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異が存在しなかったことと肝臓においてCYP3A4蛋白または酵素活性の存在しない例は知 られていないことから、機能しないCY P3A4遺伝子変異は稀であることとCYP3A4は、生 体に重篤な変化がない限り、欠損することのない必須酵素であることが示唆された。

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学 位 論 文 審 査の 要 旨

     学位論文題名

く'YP3A4 allelic variants with amino acid substitutions     ln exon7 、 and 12:evidence for an allelic varlant     withalteredCatalytiCaCtivity

     (C 珊瑚4 遺伝子のエクソン7 およぴ12 のアミ丿酸置換を伴う      遺伝子 変異一触 媒活性変化を伴う遺伝子変異の証拠)

  本 研 究 で は 、 人 種 の 異 な る3集 団 ( 白 人 、 黒 人 、中 国人 )にお けるCYP3A4 遺 伝子 の全 エク ソン およ びプ ロモ ーター領域の変異の検索と人種毎にその頻度 の 算 出 を 行 い 、 ア ミノ 難変 異を 伴う 変異 型遺 伝子 の機 能を 検討し た。CYP3A4 遺 伝子 の5 側 のプ 口モー ター 領域 にあ るAがCに 代わ る点 突然 変異からなる変 異型遺伝子CYI;|3.A4*ヱBは、黒人では66.7%と高頻度であり、白人において も4.2% み ら れ た が、 中国 人に は全 くみ られ なか った 。エ クソン7に ある222 番 目の セリ ンが プ口 リン に代 わる 変異 型遺 伝子CYP344*2は、 白人では2.7% の 頻度 でみられたが、黒人や中国人には全くみられなかった。工クソン7には、

ア ミ ノ 酸 置 換 を 伴 わな い別 の変 異が あり 、黒 人に のみ 認め られ、 その 頻度 は 4.7% であった。もうひとつのまれな変異型遺伝子CW〕&蝋*3は、エクソン12 の ヘム 結合 部位 の近 傍の445番 目の メチ オニ ンが トレ オニ ンに 代わる点突然変 異 で 、 ひ と り の 中 国人 にの み認 めら れた 。バ キュ 口ウ ィル スを用 いたcDNA発 現 系 に よ り 、 変 異 型 遺 伝 子CYP弘4*2は ニ フ ェ ジ ピン に対 して、 野生 型に 比 べ ると 低い 固有 クリ アラ ンス を持 ち、テストステロンに対しては有意な影響を 及ぼさない基質特異性の機能変化が示された。

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子 也

玲 哲

   

   

内 田

岸 守

授 授

教 教

査 査

主 副

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   公開発表において、守内哲也教授から、BAC ライブラリーからのサブク口ー ニングの難易、genetic sequence を60 例全部についてイント口ンも含めて調 べ た の か 、 な ぜ DNA チッ プを 使わ なかっ たの か、 P450 の SNPs で抗 癌剤 に 対する感受性が異なる例があるなどについて、藤田博美教授から、Ser222Pro の立体構造、変異と酵素機能との関係、活性変化の起きる理由などについて、

岸玲子教授から、テストステ口ン代謝に関連して前立腺癌などホルモン依存性 腫瘍の疫学、特に黒人における発生頻度と遺伝子変異との関係、環境要因のデ ータの有無などについて質疑があった。いずれの質疑に対しても、申請者は、

自らの研究に基づく経験や過去の論文の結果を弓I 用し、妥当な回答を行った。

   この 論文 は、シ トク 口ム P450 遺伝子 群の ひと つであ る CYP3A4 遺伝子に おけるアミノ酸置換を伴う遺伝子変異を世界ではじめて示し、それが酵素活性 の変化をもたらすことを証明したもので、今後の疫学研究に多くの示唆を与え るものであった。

   審査員一同は、これらの成果を高く評価し、申請者が博士(医学)の学位を

受けるのに十分な資格を有するものと判定した。

参照

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