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博 士 ( 獣 医学 ) 平 野 孝一

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Academic year: 2021

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博 士 ( 獣 医学 ) 平 野 孝一

学 位 論 文 題 名

穀類 及 び 家畜の アフラ トキシ ン汚染 と鶏幼 雛消化管 におけ る ア ル ブ ミ ンに よる アフラ トキシン 排除に 関する 研究

学 位論 文 内 容 の要 旨

  ア フ ラ ト キシ ン は自 然 界 で最 も 発癌 性 の 強い 、 肝 臓毒 性 を有 す る マイ コ ト キ シ ン で あ る。 食 品及 び 飼 料の ア フラ ト キ シン に よる 汚 染 は公 衆 衛 生及 ぴ 家 畜 衛 生 の 面で 重 大な 問 題 を引 き 起こ し て いる 。 著者 は こ の問 題 に 対処 す る た め 、1) ア フ ラ ト キ シ ン 産 生 糸 状 菌 の 検 索 及 び 同 定 、2) 輸 入 飼 料 及 び 食 品 の ア フ ラ ト キ シ ン 汚 染 の 現 状 、3) 汚染 飼 料か ら 家 畜に 移 行 した ア フ ラ ト キ シ ン に よ る 畜 産 物 の 残 留 汚 染 、及 び4) アフ ラ ト キシ ン 汚 染飼 料 摂 取 家 畜 体 内 か ら の ア フ ラ ト キ シ ン の 排 除 、 に 関 す る 研 究 を 行 っ た 。   ア フ ラ ト キ シ ン を 産 生 す る 糸 状 菌 はAsper8illus( 皇 : 〕flavus及 び Aparasiticus2種 で あ る 。 両 者 を 鑑 別 す る た め、 従 来、 分 生 子形 成 構 造 体 の 形 態 の 相違 を 調ベ 鑑 別 を行 っ てい た 。 この 方 法に は 、 分生 子 形 成構 造 体 が 形 成 さ れる ま で培 養 す るた め 時間 が か かる こ と、 及 び 形態 の 相 違の 鑑 別 に 技 術 的 熟練 を 要す る と いう 問 題が あ る 。両 糸 状菌 種 が 産生 す る アル カ リ プ ロ テ ア ーゼ の ネイ テ イ ブゲ ル を用 い た ポリ ア クリ ル ア ミド ゲ ル 電気 泳 動 の 移 動 度 の相 違 によ っ て 、両 者 を鑑 別 す るこ と が可 能 で ある 。 ベ ンギ ン の 野 外 感 染 例か ら 分離 さ れ た糸 状 菌株 に 対 しそ の 方法 を 試 みた 。 野 外分 離 糸 状 菌 株 を 微 量 遠 心 チ ュ ー ブ で 培 養 し 、 酵 素 免 疫 測 定 法 (ELISA) 及 び 高 速 液 体 ク ロ マ ト グ ラ フ イ 一 (HPLC) を 用 い 、 培 養 液 及 び 菌 体 の ア フ ラ ト キ シ ンを 検 出す る こ とで 、 アフ ラ ト キシ ン 産生 能 を 確認 し た 。続 い て 、 同 糸 状 菌株 か ら酵 素 を 粗抽 出 し、 ポ リ アク リ アミ ド ゲ ル電 気 泳 動を 行 い 、 ゲ ル 上 のア ル カリ プ ロ テア ー ゼ活 性 部 位か ら 求め ら れ る同 酵 素 の移 動 度 を 標 準 株 堂flavus

比 較 した ところ、Aflavusのもの と一致し 、容易に壘 flavusと 鑑別でき

(2)

た。一方、As pergillus 属に属する壘:oryzae 及び!:sojae は発酵食品製造 に利用されているので、A .

oryzae

及び皇.soiae に属する多数の糸状菌株 がアフラトキシンを産生しなぃことを確認することは、食品衛生上重要で ある。34 株のA :

oryzae

及び壘.soiae に属する糸状菌株を微量遠心チュープ で 培 養 し 、 培 養 液 及 ぴ 菌 体 の ア フ ラ ト キ シ ン の 有 無 を

ELISA

及び

HP LC

に よっ て調 べる ことに よって、アフラトキシンを産生する株がなぃこ とを確認した。

  

一方、日本に輸入される食品及び飼料からアフラトキシンが頻繁に検出 されている。輸入食品(ピーナッツ、アーモンド、唐辛子、胡椒、ココア 豆、蕎麦、胡桃、鳩麦、大豆、ポップコーン及ぴピスタチオナッツ)から ア フ ラ ト キ シ ン の 検 出 を 試 み た とこ ろ 、

ELISA

で 、 こ れ ら の うち

7

種 類の 食品 から アフ ラトキ シンBi (AFBi )が検出された。それらのうち胡 椒 で

6

5 ng

g

と 最大 値を 示し たが、 すべ て

10 ppb

以下で あっ た。

HP LC

で は、

4

種類の 食品 から

AFBi

が 検出 され た。 更に、 海外で流通してい る食品にっいて、インドネシア共和国のスマトラ島の市場で購入されたピ ーナッツ及ぴトウモロコシのアフラトキシン汚染状況を調べたところ、ピ ー ナ ッ ツ か ら

ELISA

で 最 大

6299 ppb

HPLC

で は 最 大

7200 ppb

AFBi

が検出され、高濃度のアフラトキシンに汚染された食品が流通してい る こ と が 示 唆 さ れ た 。 そ れ ら

29

種 の 試 料 の

ELISA

及 び

HPLC

に よ る 測定値の間の相関係数を求めたところ、O .9923 で有意水準P くO . O01 で非常 に高い相関関係があることが認められた。アメリカ合衆国、中華人民共和 国及 びタ イ王 国か ら輸入 された飼料用トウモロコシ計14 検体の

AFBi

をEL

,ISA によって調べたところ、12 検体からAFBi が検出された。タイ王国か らの2 検体は、27.27 士

1.21 ng/g

及ぴ31 .

21

1

.65 ng/g と日本の規制値 の二倍以上のAFBi で汚染されていた。これらの結果から、輸入時の検査に よりアフラトキシン汚染食品及び飼料が国内に流通しなぃようにすること の重要性が示唆された。

  

汚染飼料から家畜に移行したアフラトキシンにっいて調べるため、10.8

+4

Ing/g

のAFBi で自然汚染されていた被検トウモロコシを68. 2% 配合し

た飼 料を 長期 間給 与され てい た鶏 群の 血漿中

AFBi

の検 出を行った。ELI

SA

2

3

0.2 pg/ml

HPLC

12

3+1

8pg/ml

AFBi

が 検 出 さ れ

(3)

た。続いて、同鶏群の肝臓を調べたが、肝臓からはAFBi は検出されなかっ た。また、アフラトキシンによる肝障害が示唆された屠畜場の豚の肝臓の 調 査 を 行 っ た が 、 ア フ ラ ト キ シ ン は 検 出 さ れ な か っ た 。

  

アフラトキシンの畜産物汚染を防止するため、汚染飼料に含まれるアフ ラトキシンの無毒化が必要で、そのために強カな物理化学的処理を行うと 飼料 中の栄 養分 も大 きく損 なわ れる 。活 性炭やケイ酸アルミニウムをア フラトキシンの吸着剤として用い、それらを汚染飼料と一緒に給与し、消 化管内でアフラトキシンを吸着させ、その吸収を抑制しようと、最近試み られている。著者は、アルプミンが血液中のAFBi の主要な担体であること に着目し、牛血清アルプミン(BSA )を用い、一方、実験動物として、免,

疫グロブリンなどの高分子を消化管から吸収しなぃ1 日齢の鶏幼雛を用い、

BSA

をAFBi と 同時に 経口 投与 した場 合の

AFBi

によ る肝障 害に 及ぽ す影 響 につ いて調 べた 。肝 障害の 指標 とし て、 血漿中イソクエン酸脱水素酵素

(ICDH )活性と、血漿及び肝臓のAFBi 濃度、更に肝臓における細胆管の増 生、肝細胞の空胞化及び壊死を用いた。AFBi+B SA 投与群では対照群とくら べICDH 活性に有意差が生じなかったのに対し、AFBi 単独投与群ではICDH 活 性が 有意に 上昇 した 。血漿 及ぴ 肝臓 中の

AFBi

濃度はAFBi+BSA 投与群では

AFBi

単独投与群にくらべ低い値を示し、組織変化もAFBi+BSA 投与群の方が

AFBi

単独投与群とくらべ弱い傾向を示した。それぞれの血中薬物濃度下面 積を 比較す ることによって、AFBi 十BSA 投与群では吸収されたAFBi の量が

AFBi

単独投 与群よりも少ないことが示唆された。これは、1 日齢の鶏幼雛 では 、消化 管内で巨大分子を吸収しなぃので、BSA が消化管内で同時投与 されたAFBi の一部と結合し、吸収されることなく排泄されることによるも のと考えられた。また、アフラトキシンの吸着剤としてケイ酸アルミニウ ムの 同時投 与を 行っ たとこ ろ、

BSA

投与 実験 と同様な結果が得られ、1 日 齢の雛を用いた本実験モデルはアフラトキシン結合性高分子物質や吸着剤 を用いることにより、アフラトキシンの消化管における吸収を抑制する、

アフラトキシンの家畜の体内からの排除技術を開発する上で重要だと考え られた。

  

以上のように、著者は本研究で、アフラトキシンの汚染状況を把握し、

更に家畜へのアフラトキシンの残留を防ぐ方法の開発を行い、人のアフラ

トキシンに対する安全性を確保する上で、貴重な知見を得る事ができた。

(4)

学位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教 授   藤 教 授   佐 教 授   喜 助 教 授  

田 正 一 藤 文 昭 田    宏 島 郁 夫

学 位 論 文 題 名

穀類及び家畜のアフラトキシン汚染と鶏幼雛消化管における      ア ル ブミ ン に よる ア フ ラ トキ シ ン 排除 に 関 する研究

  アフラトキ シンは自 然界で最 も発癌性 の強い、 肝毒性を 有するマイ コトキシ ンで、食 品お よ び飼 料 の 当該 ト キシ ン に よる 汚 染は 公 衆 衛生 、 家畜衛 生上重要な 問題であ る。

  輸 入食 品 の 安全 性 を確 認 するため 、新規に 開発した 高感度ELISA法 でアフラト キシン の検 出 を試 み た とこ ろ 、7種類の食 品からア フラトキ シンBi (AFBi)が 検出された が、

すぺて基準 値の10ppb以下 であった 。一方、 インドネ シア共和国のスマトラ島の市場で得 たピ ー ナッ ッ か らは 最 大6299ppbが検出さ れ、現地 ではAFBiで高 濃度に汚 染された食 品 が流通して いること が示され た。アメ リカ合衆 国、中華 人民共和国 及びタイ 王国から輸 入された飼 料用トウ モロコシ 計14検体中 、12検体か らAFBiが検出 され、夕イ 王国からの 2検体 は 、 日本 の 規 制値 の 二倍以上 のAFBiで汚染 されてい ることが 分かり、輸 入時の検 査の強化の 必要性が 示された 。また、AFBi混入食で 自然汚染 されていた 鶏群の血 漿中か ら もAFBiを 高 感 度 に 検 出 す る こと が 出 来た 。1日 齢の 鶏 幼 雛を 用 い、BSAAFBiと同 時に経口投 与したと ころ、肝障害のマーカーとなる生化学的、病理学的パラメータには、

AFBi  +BSA投与群では 無投与対 照群と比 ベ有意差 がなかっ たのに対 し、AFBi単独投 与群 では 有 意な 差 を 示し た 。血 中 薬 物濃 度 下面 積 は 、AFBi+BSA投 与群の方 がAFBi単独投与 群よ り も小 さ い こと が 示さ れた。 これらの 結果は、 巨大分子 を吸収出来 ない1日齢 の鶏 幼雛 で は、BSAが 消化 管 内で 同時投与 されたAFBiの 一部と結 合し、吸 収されるこ となく 排泄される ためと考 えられた 。さらに 、同じ発 想で、吸 着剤として ケイ酸ア ルミニウム (AS)の 同 時 投与 を 行 った と ころ 、BSA投与 同 様、AFBiに よ る肝 臓 障害 が 抑 制さ れ た。

  以上のよう に、本研 究で平野氏は鋭敏で再現性の良いアフラトキシン検出法を確立し、

これを用い て輸入食 品、飼料 、並ぴに 、東南ア ジアの流 通食品のア フラトキ シン汚染状

(5)

況を調査し、一部に基準値以上の高濃度の汚染が存在することを指摘し、さらに家畜へ

のアフラトキシンの残留を防ぐ方法の開発に関する研究を行い、ヒトのアフラトキシン

に対する安全性を確保する上で貴重な知見を提供した。よって、審査員一同は平野孝一

氏 が博 士( 獣医学 )の 学位 を受 けるの に充 分な 資格 を有す るも のと 判断した。

参照

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