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博 士 ( 獣 医 学 ) 笛 吹 達 史

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Academic year: 2021

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博 士 ( 獣 医 学 ) 笛 吹 達 史

学 位 論 文 題 名

牛 白 血 病 ウ イ ル ス 感 染 動 物 に お け る

ウ イ ル ス 増 殖 性 と 宿 主 免 疫 応 答 に 関 す る 研 究

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

    牛白血病ウイルス(BLV)は、野外牛の腫瘍性疾患として最も発生頻度の高い地方病 型 牛白血病(EBL)の起因ウ イルスである。近年、日本国内におけるBLV汚染拡大が懸 念されていることから、BLV感染症の有効な防御法の確立が望まれている。本研究では、

まず、EBLの発生のあった牧場におけるBLV陽性率と陽転率について検討した。次いで、

BLV感染に対するDNAワクチンの効果を検討し、最後にウイルス増殖性と宿主免疫応答 との関連について検討した。

    高いBLV陽性率を示す牧場では、.EBLの発生リスクが増すだけではなく、感染牛か ら非感染牛へのウイルス伝播によってさらにBLV汚染が拡大する。過去にEBLが発生し た4牧場についてBLV血清調査を行ったところ、陽性率が9.2〜37.5%といずれも同時期に 北海道全域で調査した平均陽性率よりも高い陽性率を示した。陽性率が37.5%を示した牧 場 の感染牛42頭について、個体ごとの感染レベルを細胞DNAから検出されるプロウイ ルス量によって評価したところ、顕著に高いプロウイルス量を示す4頭の感染牛を確認し た。同牧場にて6カ月後に再度感染調査を行なった結果、非感染牛の1313%にBLVの陽 転が認められた。

    BLV感染防御においては細胞性免疫の誘導が重要であることが指摘されていること か ら、BLVの転写活性化因子Taxを標的にしたDNAワクチンの有効性を、羊感染モデル を用いて検討した。BLVtax DNAワクチンで免疫した羊では、感染初期に、末梢血単核球 によって形成されるシンシチウム数とウイルス感染細胞の増殖の抑制が認められた。また 同時に、免疫羊ではThl免疫応答の優位を示すインターフェロン(IFN)‑yの高発現が認め られた。

    最後に、BLV実験感染羊を用いて、ウイルス感染細胞の増殖性と宿主免疫応答との関 連について検討した。同量のBLVで攻撃したにも関わらず、羊は個体によって異なるウ イルス増殖性を示した。BLV増殖に対して抵抗性を示した羊では、攻撃後2週目に顕著な IFN‑yの高発現が認められた。また、Bリンパ球増多症を呈する羊由来B細胞での腫瘍壊 死 因 子qの 発 現 亢 進 が 認 め ら れ 、 本 因 子 の 病 態 進 行 へ の 関 与 が 示 唆 さ れ た 。

・本研究によって、BLVの蔓延する牧場において、ウイルス増殖が進み病態進行が疑わ れる感染牛の存在と高い陽転率が示された。BLVの増殖に対しては細胞性免疫の誘導を促 すIFN‑yの発現が重要であることが明らかとなった。BLV感染症では感染予防と病態進行 を阻止することが重要であるため、今後、宿主のThl免疫応答を活性化し、病態進行を抑 えるようなワクチンの開発が望まれる。

    −1392―

(2)

学 位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教授 教授 助教授 助教授

小 沼    操 高 島 郁 夫 苅 和 宏 明 大 橋 和 彦

学 位 論 文 題 名

牛白血 病ウイ ルス感染動物における

ウイル ス増殖性 と宿主免疫応答に関する研究

  牛 白 血 病 ウ イ ル ス(BLV)は 、 牛 の 腫 瘍 性 疾 患 と し て 最 も 発 生 頻 度 の 高 い 地 方 病 型 牛 自 血 病(EBL)の 起 因 ウ イ ル ス で あ る 。 近 年 、 日 本 国 内 に お け る BLV汚 染 拡 大 が 懸 念 さ れ て い る こ と か ら 、BLV感 染 症 の 有 効 な 防 御 法 の 確 立 が 望 ま れ て い る 。 本 研 究 で は 、 ま ず 、EBLの 発 生 の あ っ た 牧 場 に お け るBLV 陽 性 率 と 陽 転 率 に つ い て 検 討 し た 。 次 い で 、BLV感 染 に 対 す るDNAワ ク チ ン の 効 果 を 検 討 し 、 最 後 に ウ イ ル ス 増 殖 性 と 宿 主 免 疫 応 答 と の 関 連 に つ い て 検 討 し た 。

  過 去 にEBLが 発 生 し た4牧 場 に つ い てBLV血 清 調 査 を 行 っ た と こ ろ 、 陽 性 率 が9.2〜 37.5% と い ず れ も 同 時 期 に 北 海 道 全 域で 調査 した 平均 陽性 率よ り も 高 い 陽 性 率 を 示 し て い た 。 陽 性 率 が37.5% を 示 し た 牧 場 の 感 染 牛42頭 に つ い て 、 個 体 ご と の 感 染 レ ベ ル を 細 胞DNAか ら 検 出 さ れ る プ 口 ウ イ ル ス 量 に よ っ て 評 価 し た 。 そ の 結 果 、 顕 著 に 高 い プ 口 ウ イ ル ス 量 を 示 す4頭 の 感 染 牛 を 確 認 し 、6カ 月 後 の 再 調 査 で 非 感 染 牛 の13.3% にBLVの 陽 転 が 認 め ら れ た 。   BLV感 染 防 御 に お い て は 細 胞 性 免 疫 の 誘 導 が 重 要 で あ る こ と が 指 摘 さ れ て い る こ と か ら 、 次 にBLVの 転 写 活 性 化 因 子Tax:を 標 的 に し たDNAワ ク チ ン の 有 効 性 を 、 羊 感 染 モ デ ル を 用 い て 検 討 し た 。BLV taxDNAを 接 種 し た 羊 で は 、 感 染 初 期 に 、 末 梢 血 単 核 球 に よ っ て 形 成 さ れ る シ ン シ チ ウ ム 数 と ウ イ ル ス 感 染 細 胞 の 増 殖 の 抑 制 が 認 め ら れ た 。 ま た 同 時 に 、 免 疫 羊 で はTh1免 疫 応 答 の 優 位 を 示 す イ ン タ ー フ ウ ロ ン (IFN) − ア の 高 発 現 を 明 ら か に し た 。   最 後 に 、BIW実 験 感 染 羊 を 用 い て 、 ウ イ ル ス 感 染 細 胞 の 増 殖 性 と 宿 主 免 疫 応 答 と の 関 連 に つ い て 検 討 し た 。 同 量 のBLVで 攻 撃 し た に も 関 わ ら ず 、 羊 は 個 体 に よ っ て 異 な る ウ イ ル ス 増 殖 性 を 示 し た 。BIW増 殖 に 対 し て 抵 抗 性 を 示 し た 羊 で は 、 攻 撃 後2週 目 に 顕 著 なIFN− ア の 高 発 現 が 認 め ら れ た 。 ま た 、B リ ン パ 球 増 多 症 を 呈 す る 羊 由 来B細 胞 で の 腫 瘍 壊 死 因 子aの 発 現 亢 進 が 認 め ら れ 、 本 因 子 の 病 態 進 行 へ の 関 与 が 示 唆 さ れ た 。

(3)

  

本研究によりBLV 感染に対して、細胞性免疫の誘導を促す

IFN‑

アの発現

が重要であること、ならびに病態進行を抑えるには宿主のThl 免疫応答の活

性化が重要であることが明らかとなった。よって、審査委員一同は、笛吹達史

君の博士論文は、北海道大学大学院獣医学研究科規程第6 条の規定による本研

究科の行う博士論文の審査等に合格と認めた。

参照

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