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博 士 ( 獣 医 学 ) 豊 田 武 士

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Academic year: 2021

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博 士 ( 獣 医 学 ) 豊 田 武 士

学 位 論 文 題 名

神 経 膠 腫 誘 発 ト リ 自 血 病 ウ イ ル ス の 神 経 組 織 に 対 す る      新 た な 病 原 性 の 解 析

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  い わ ゆ る ト り の 神 経 膠 腫(so‑called fowgliorna) は 非 化 膿 性髄 膜 脳 炎 を 背 景 に して 星 状 膠 細 胞 カ 鏐甥 拑 諾 節 性     ,

に 増 殖 す る 鶏 の 疾 患 で あ る 。 わ が 国 で は1995年 に 動 物 園 で 飼 育 さ れ て い た 日 本 鶏 ( & ぬ む 朗 舩 あ 臘 蜥 鮒 ) に 本 疾 患 の 初 発 例 カ 覦 さ れ た 。 罹 患 鶏 の 脳 病 変 の 結 節 内 に 卜 リ 白 血 病 ウ イ ル ス ムvi組leukos迅湎 岱 ;AIメ ) 抗原 が 葡 生 し た こ と 、 な ら び に 超 微 形 態 学 的 に レ 卜 ロ ウ イ ル ス 様 粒 子 が 確 認 さ れ た こ と か ら 、 本 疾 患 はALVに 起 因 す る 腫 瘍 性 疾 患 で あ る と 推 察 さ れ た 。 そ の 後 、 罹 患 鶏 の 脳 乳 剤 を 幼 雛 の 脳 内 に 接 種 す る こ とで 補 隆 膠 腫 が 他 の 傴 怖 に 伝 播 す る こ と カ 派 さ れ ると 共 に 、 本 疾 患 の 原因 で あ るAIWカ 汾 離 され ー た 。 こ の 原 因ウ イ ´ レ ス は 全 身鍵 臓 器 に 広bゝ 親 和 性 を 示 す に も 関 わ ら ず 中 枢 神 経 系 に 腫 瘍 を 誘 発 す る こ と が 明ら か に さ れ た 。 さら に 、 千 渉 試 験 お よ び ウ イ ル ス ゲ ノ ム の シ ー ク エ ン ス 解 析 に よ り 、 本 ウ イ ル ス は こ れ ま で に 知 ら れ て い な い 新 た な 」 虹VA亜 群   仇IM心 の 一 重 で あ る こ と が 示 唆 さ れ 、 卜 り の 神 経 膠 腫 誘 発 ウ イ ル ス 愉wlgho珊 ・ 鬮ucing湎uS;FGV) と し て 報 告 さ れ る よ う に な っ た 。

  既 知 のA工MAの 多 く が 造 血 器 系 腫 瘍 を 誘 発 す る の に 対 し 、FGVは 神 経 系 に 腫 瘍 原 性 を 示 す と い う 特 徴 を 有 し て い る 。mNの 構 造 遺 伝 子 の ー つ で あ る 翻vは ェ ン ベ 口 ー ブ 糖 蛋 白 を コ ー ド し 、 ま た 触Vの プ 口 ウ イ ル ス が そ の 両 端 に 持 つ101鴫 缸Tninalrcp飴tにI鼬 配 列 は プ ロ モ 一 夕 ー と し て ウイ ル ス のmRNA転 写 を 市 卿 する 。F.GV を 構 成 す る 各 構 造 遺 伝 子 とL1の シ ー ク エ ン ス を 他 のALVお よ び ト リ 肉 腫 ウ イ ル ス の そ れ ら と 比 較 し た 結 果 、 FGVの 翻vSU領 域 お よ びL1RはALMA標 準 株 の そ れ と 大 き く 異 な る こ と が 明 ら か と な っ た 。 こ の 成 績 か ら 、 FGVの 翻 vとL1Rの 両 者 あ る い は そ の 一 方 が 、FGVの 特 異 な 神 経 病 原 性 に 関 与 す る と 推 察 さ れ た 。   こ の よ う に 、FGVは 神 経 系 に 腫 瘍 原 性 を 示 す と い う ユ ニ ー ク な 特 徴 を 有 し て お り 、 こ れ ら 神 経 病 原 性 と 発 癌 機 構 の 解 明 は 喃 乳 類 お よ び 濠 頗 の レ 卜 口 ウ イ ル ス の 科I経 系 に 対 す る 病 原 性 の 理 解 に 役 立 っ 。 本 研 究の 第I章 お よ ぴ 第H章 で は 、 末 梢 神 経 お よ び 小 脳 に 対 す るFGVの 新 た な 神 経 病 原 性 に つ い て 記 載 し た 。 さ ら に 第m章 で は 、FくWの 神 軽 病 原 性 に お け るL1Rプ ロ モ 一 夕 ー の 役 割 に つ い て 、 ト ラ ン ス ジ ェ ニ ッ ク マ ウ ス 技 術 を 用 い て 検 討 し た 。

  第I章 で は 、FGVを 頭 蓋 内 に 接 種 さ れ た11羽 の 鶏 ( 日 本 鶏9羽 お よ びSPF鶏2羽 ) に 見 ら れ た 多 発 性 末 梢 神 経 腫 大 を 検 索 し た 。11羽 全 て の 鶏 は 臨 床 的 に 進 行 性 の 脚 麻 痺 あ る い は 斜 頚 を 示 し た 。腰 仙 骨 神 経 叢 、 腕神 経 叢 な い し 脊 髄 補 陸 節 カ 注 に 侵 さ れ 、 組 織 学 的 に こ れ ら 末 梢 神 経 は 神 経 線 維 間 で の 紡 錘 形 細 胞の 瀰 漫 性 増 殖 か ら

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成 り 、 残 存 す る 軸 索 を 腫 瘍 細 胞 が 同 心 円 状 に 取 り 囲 む 特 徴 的 なonion bulb様 構 造 が 観 察 さ れ た 。 紡 錘 形 細 胞 は 免 疫 組 織 化 学 的 にS‑100a乍 蛋 白 に 陰 性 を 示 し 、 超 微 形 態 学 的 に は 双 極 性 の 短 い 細 胞 質 突 起 を 持 ち 不 連 続 な 基 底 膜 に 被 わ れ 、 細 胞 質 に は と き お り 飲 小 胞 カ 滞 し て い た 。 以 上 の 形 態 学 的 特 徴 は 末 梢 神 経 で の 周 膜 細 胞 の 増 殖 を 特 徴 と す る 極 め て 稀 な 病 態 、 神 経 内 型 神 経 周 膜 腫 の そ れ と 概 ね 一 致 し た 。 獣 医 学 領 域 で は 、 本 疾 患 ほ 過 去 に イ ヌ で1例 の み 報 告 さ れ て い る に 過 ぎ な い 。 ま た 、 腫 大 し た 末 梢 神 隆 を 用 い たpoMI舳 闘 泓1職 甜on@C恥 法 に よ り11例 中8例 (73% ) か らFGV特 異 配 列 が 険 出 さ れ た 。 以 上 の 成 轌 魴 ゝ ら 、 鶏 の 多 発 性 神 経 内 型 神 経 周 膳彊の原因 にFGVカ潤与し ていることが 示唆された。t

  FGVを 卵 黄 嚢 内 接 種 し た 鶏 の 小 脳 に 、 神 経 膠 腫 な い し 神 経 周 膜 腫 と は 別 個 の 形 態 異 常 が 観 察 さ れ た 。 第u 章 で は こ れ ら 小 脳 病 変 の 形 態 学 的 特 徴 を 明 ら か に す る た め 、SPF鶏 の7日 齢 鶏 胚 にFGVを 接 種 し 小 脳 の 経 時 的 検 索 を 行 っ た 。FCN接 種 鶏 (7( ト140日 齢 ) の 小 脳 は 、 肉 眼 的 に 軽 度 に 萎 縮 し て い た 。 組 織 学 的 に 、 こ れ ら 小 脳 で は 内 顆 粒 層 の 顆 粒 細 胞 脱 落 、 外 顆 粒 層 の 遺 残 お よ び プ ル キ ン エ 細 胞 層 の 配 列 異 常 が 認 め ら れ た 。 こ れ ら の 病 変 はFくW接 種 鶏 の う ち1羽 を 除 く 全 例 に 認 め ら れ た 。 ・ 胎 生 期 小 脳 の 検 索 で は 外 顆 粒 層 は 対 照 群 よ り も 厚 く そ の 配 列 は 乱 れ 、 分 子 層 お よ び 内 顆 粒 層 は 菲 薄 化 し て 形 成 は 遅 延 し て い た 。 顆 粒 細 胞 は 免 疫 組 織 化 学 的 に 」uゾ 共 通 抗 原 に 陽 性 を 示 し た 。 ま た 、 抗 ビ メ ン チ ン 抗 体 を 用 い た 免 疫 組 織 化 学 的 検 索 に よ り 、 胎 生 期 小 脳 の 分 子 層 で はBer學mn曲 線維カ滅数し 柵彫酒己列は 舌凵Tているこ とカミ示され た。也rmina】deoxリ11.lcle0血Mt旧nsfcmseITT司iaあed dInP‐bi。tmnickerldlabeling法お よ び瀧 織 態学 鹹 膨療 では 、 胎生 期 川、 脳 の外 孵 講と 層孵 瀦 繊お よ 乙膨 チ 子層 内に 移 動 し た 顆 粒 細 胞 は 高 頻 度 に ア ポ 卜 ー シ ス に 陥 っ て い る こ と が 明 ら か と な っ た 。 以 上 の 成 績 か ち 、FGV接 種 鶏 に 見 ら れ た 小 脳 形 態 異 常 はFGV感 染 に よ り 引 き 起 こ さ れ た 顆 粒 細 胞 の ア ポ ト ー シ ス に 起 因 す る 小 脳 低 形 成 で あ る こ と 、 な ら び に こ の 細 胞 死 が 他 の 顆 粒 細 胞 の 移 動 阻 害 、 分 子 層 で のB―m線 維 の 配 列 異 常 、 お よ び プ ルキンエ細 胞層の構築異 常を誘発するこ とが示唆され た。

  ´uゾ のL1Rは ウ イ ル ス 複 製 の み な ら ず 、 組 織 特 異 的 発 癌 に 重 要 な 役 割 を 果 た す 。AIv‐Aは 一 般 的 に フ ん ブ リ キ ウ ス 嚢 由 来B細 胞 リ ン パ 腫 を 誘 発 す る の に 対 し 、FGVは 神 経 膠 腫 お よ ぴ 衽 陥 ! 周 膜 腫 を 誘 発 す る 。 第m章 で はL1Rの 市 ヰ 御 下 で レ ポ ー タ ー 遺 伝 子 を 発 現 す る ト ラ ン ス ジ ェ ニ ッ ク マ ウ ス を 作製 し、 聞7crse的ns翻卸on眼r冫 IPCR法 を 用 い てFGVLlRの 加vAり で の 転 写 活 性 を 検 索 し た 。RT‐PCR法 に よ り 導 入 遺 伝 子 は 全 身 諸 臓 器 で 発 現 が 見 ら れ た が 、 大 脳 、 小 脳 お よ び 清 巣 で 高 頻 度 に 発 現 す る こ と が 明 ら か と な っ た 。 以 上 の 成 績 か ら 、FGVLTR プ ロ モ ー タ ー は 加v. 加 でpan‐spccmcプ ロ モ ー タ ー と し て 機 能す る 一方 、 特に 中 枢神 経系 お ょぴ 嘩 青巣 に おい て導 入遺伝子発 現を誘導する 能カを持つこと が明らかとな った。

  以 上 の 成 績 を ま と め る と 、 本 研 究 に よ っ て 鶏 の 神 経 組 織 に 対 す るFGVの 新 た な 病 原 性 、 す な わ ち 多 発 性 神 経 内 型 神 経 周 膜 腫 の 誘 発 に 関 与 す る こ と 、 お よ び 小 脳 低 形 成 を 引 き 起 こ す こ と が 示 さ れ た 。 ま た 、FGVのL1R プロモータ ーがこれら神 経病原性に関与 していること が示唆された 。

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学位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教 授    梅 教 授    小 教 授    昆 助教授   落

村 孝 司 沼    操      泰寛 合 謙 爾

学 位 論 文 題 名

神経膠腫誘発トリ自血病ウイルスの神経組織に対する      新たな病原性の解析

   トりの神経膠腫は星状膠細胞が腫瘍性に増殖する疾患で、トリ自血病ウイルス A 亜 群(ALV‑A) に 属する神経 膠腫誘発ウ イ.ルス(FGV) を原因と する。通常 の ALV‑A とは異な り、.FGV は神経系に腫瘍原性を示す。今回、申請者は FGV の神 経 病 原 性 に つ い て 病 理 学 的 、 分 子 生 物 学 的 研 究 を 行 っ た 。      第 I 章で は FGV 感 染鶏 に 見ら れ た末 梢神経 腫大を検索 した。病変 はomon bulb 様構造を伴う紡錘形細胞増殖から成り、免疫染包と電顕検索から周膜細胞由 来 の神経内型 神経周膜腫と診断された。病巣から FGV 特異配列が検出され、本 疾 患への関与 が示唆された。第II 章ではFGV 卵黄嚢内接種鶏の小脳に観察され た形態異常を検索した。主な小脳病変は顆粒細胞脱落、外顆粒層遺残、プルキン 工 細胞層配列 異常であっ た。胎生期 小脳では顆 粒細胞移動が遅延しており、

Bergmann 線維の配列は乱れていた。顆粒細胞は高頻度にアポトーシスに陥って いた。以上より本病変は顆粒細胞のアポトーシスに起因する小脳低形成であるこ と が 示唆 された。 第 III 章 ではトラン スジ工二ッ クマウスを 用いて FGV long terminalrepeat (LTR) 転写活性の組織特異性を検索した。LTR 転写活性は大脳、

小 脳および精 巣で高頻度 に発現し、 FGV の神経 向性に対するLTR の関与が推察 された。

   本 研究の成果 から、FGV は星状膠細胞のみならず周膜細胞、小脳顆粒細胞に 対 しても病原 性を示すことが明らかにされた。また、特異な神経病原性に LTR 転写活性の組織特異性が関与する可能性を見出した。

   以上のように申請者は、レト口ウイルスの神経病原性機構の解明に貢献した。

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よって、審査委員一同は、上記博士論文提出者豊田武士の博士論文は、北海道大

学大学 院獣医学研究科規程第6 条の規定による本研究科の行う博士論文の審査

等に合格と認めた。

参照

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