う。
例題 8. c 同次方程式の 2 種類の解とガウスの消去法
①
1組の解が存在する場合
[第
2段階
]( ) ( ) ( )
1 2 3
2 3 2 0 1
0 5 1 0 2.1
0 0 83 10 0 3.2
x x x
⎡ − ⎤ ⎧ ⎫ ⎧ ⎫
⎪ ⎪ ⎪ ⎪
⎢ ⎥⎨ ⎬ ⎨ ⎬=
⎢ ⎥
⎪ ⎪ ⎪ ⎪
⎢ − ⎥
⎣ ⎦ ⎩ ⎭ ⎩ ⎭
解は,
x3 =x2 = x1 =0である。わかりきっているので,“自明の解”とよばれる。
③ 解が無数存在する場合
[第
2段階
]( ) ( ) ( )
1 2 3
2 3 2 0 1
0 5 1 0 2.1
0 0 0 0 3.2
x x x
⎡ − ⎤ ⎧ ⎫ ⎧ ⎫
⎪ ⎪ ⎪ ⎪
⎢ ⎥⎨ ⎬ ⎨ ⎬=
⎢ ⎥
⎪ ⎪ ⎪ ⎪
⎢ ⎥
⎣ ⎦ ⎩ ⎭ ⎩ ⎭
解は次式である。
3 2 1
, , 13
5 5
t t
x t x
−x
−= = =
正方行列 [ ] A に対して行列式が定義され,
[ ]Aと表わされる。次数が高くな
ると,そのままでは行列式を求めるには大変時間がかかる。しかし,上記のよ
うに求められた三角行列 [ ] U の行列式
[ ]Uは, “対角成分の積”であるので簡単
竹名 興英
温留漢 共著 亀岡 裕行
に求まる。したがって,三角行列の行列式
[ ]U ≠0の場合は自明の解,
[ ]U =0の場合は解が無数あることになる。
元の行列 [ ] A と三角行列 [ ] U の関係を調べてみよう。行列式には,“1つの列
(あるいは行
)に他の列
(あるいは行
)の何倍かを加えても値は変わらない”と“
2つの列
(あるいは行
)を入れ替えると値は-
1倍される”性質がある。したがって,
当初の係数行列を三角行列に変形していくとき,行の入れ替えのときだけ,行 列式が-
1倍されていく。入れ替えの回数を
kとすると
[ ]
A = −( )
1 k[ ]
U(8.30)
となる。
[ ]Aと
[ ]Uの絶対値は等しいから,結局,同次方程式において,
[ ]A ≠0および
[ ]A =0の場合は,それぞれ自明の解および無数の解が存在することにな る。
8.5 1
次変換と座標変換
変数の組
( , )x x1 2と
( , )y y1 2すなわちベクトル { } x と { } y が
1 11 12 12 21 22 2
y t t x
y t t x
⎧ ⎫ ⎡ ⎤ ⎧ ⎫
⎨ ⎬=⎢ ⎥⎨ ⎬
⎩ ⎭ ⎣ ⎦ ⎩ ⎭
すなわち { }
y =[ ]
T x{ }
(8.31)の関係にあるとき, “
( , )x x1 2と
( , )y y1 2は
1次変換(線形変換,線形写像)の関係”,
“
( , )y y1 2は
( , )x x1 2の
1次変換”あるいは“
( , )x x1 2から
( , )y y1 2への
1次変換”
であるという。 [ ] T を 線形変換行列
(以降,変換行列
)という。
1
次変換は f g , などの文字で表わし,ベクトル { } x にベクトル { } y が対応する とき
{ }
y = f( ) { }
x (8.32)と表現する。
1 次変換 f には,線形性という重要な性質がある。
①
f k x( { } )
=kf( ) { }
x , f( ) { }
0 ={ }
0 (8.33)② f ( { } { } x
1+x
2)
=f ( ) { } x
1 +f ( ) { } x
2 (8.34)すなわち,①ベクトルの
k倍の 1 次変換とベクトルの 1 次変換の
k倍とは一致
する,②2 つのベクトルの和に対する 1 次変換と各ベクトルの 1 次変換の和は 一致する。
1
次変換には,幾何学的に
2つの概念が含まれる。それは,①“狭義の
1竹名 興英
温留漢 共著 亀岡 裕行
次変換”すなわち“
1つの座標系における異なるベクトル { } x と { } y の関係”,
②“座標変換”すなわち“
1つのベクトルを異なる座標系で表した数ベクトル { } x と { } y の関係”,である。
(1) 狭義の
1次変換
1
次変換を, “狭義の
1次変換”の視点から幾何学的にとらえると,図
8.1に 示すように,
1つの座標系において,あるベクトル x
={ } x とそれに対応するベ クトル y
={ } y との関係を示している。あるいは,ある点
P x x( , )1 2とそれに対応 する点
Q y y( , )1 2との関係を示している。
x
20
→x
x
1y
2y
1 y→
P
Q
図 8.1 一 つ の 座 標 系 に お け る 1次 変 換
物理的に具体性のある“狭義の
1次変換”について考えてみよう。図
6.1に 示す“
2層のせん断建物モデル”の節点
1と節点
2の変位
x1と
x2を座標軸とす る,理論上の
x x1 2直交座標系を考える
(図
8.2)。
ある時刻
tの変位の状態
( , )x x1 2は,ベクトル
12
x x x
= ⎨ ⎬⎧ ⎫
⎩ ⎭ (8.35)
で表すことができる。この変位に対応して復元力が定まる。節点
1と節点
2の 復元力をそれぞれ
Q1と
Q2とすると,復元力の状態はベクトル
1
2
Q Q Q
= ⎨ ⎬⎧ ⎫
⎩ ⎭ (8.36)
で表される。変位ベクトルと復元力ベクトルは
1 11 12 12 21 22 2
Q k k x
Q k k x
⎧ ⎫ ⎡ ⎤ ⎧ ⎫
⎨ ⎬=⎢ ⎥⎨ ⎬
⎩ ⎭ ⎣ ⎦ ⎩ ⎭
あるいは { }
Q =[ ]
K x{ }
(8.37)竹名 興英
温留漢 共著 亀岡 裕行
の関係にある
(この節で述べる
1次変換式は,後で証明する。ここでは,読者 は,それが既知である前提で読んでほしい
)。すなわち,変位ベクトルと復元 力ベクトルは
1次変換の関係にある。
x
1x
2→x
0 x
2→
x
1図 8. 2 x x 座 標 系 に お け る 1次 変 換
1 2(a)変 位 ベ ク ト ル の 1次 変 換
x
10
x
2a→
→ax
x
1‥ 1
‥
2‥
x
2 →FF
1F
2(b )加 速 度 ベ ク ト ル の 1次 変 換
→ Q
Q
2Q
1Q
→
u
1u
2 uu
‥
u
u
それらを“狭義の
1次変換”の見地で幾何学的に表したのが,図
8.2(a)であ る。変位ベクトルは位置ベクトルであり,復元力ベクトルはその終点を始点 としたベクトルであると考えるのが物理的に妥当である。しかし,復元力ベ クトルは平行移動してもかまわないから,その始点を原点に移動する。これ が
1次変換に対する幾何学上の一般的な表現である。以降,この表現を用い る。
ある時刻
tのモード振動系の変位
(基準座標
)の状態
( , )u u1 2は,ベクトル
12
u u u
= ⎨ ⎬⎧ ⎫
⎩ ⎭ (8.38)
で表すことができる。節点
1と節点
2の元の変位ベクトルとモード振動系の 変位ベクトルは
1 11 12 1
2 21 22 2
x a a u
x a a u
⎧ ⎫ ⎡ ⎤ ⎧ ⎫
⎨ ⎬=⎢ ⎥⎨ ⎬
⎩ ⎭ ⎣ ⎦ ⎩ ⎭
あるいは { }
x =[ ]
A u{ }
(8.39)の関係にある。すなわち, { } x と { } u は
1次変換の関係にある
(図
8.2(a))。 時刻
tの元の加速度,慣性力とモード振動系の加速度の状態は,それぞれ
1 1 12 2 2
, ,
x u
x F u
a F a
x F u
⎧ ⎫ ⎧ ⎫ ⎧ ⎫
=⎨ ⎬ =⎨ ⎬ =⎨ ⎬
⎩ ⎭ ⎩ ⎭ ⎩ ⎭ (8.40)
竹名 興英
温留漢 共著 亀岡 裕行
と表すことができる。これらのベクトルは
1 1 1 1 11 12 1
2 2 2 2 21 22 2
0 ,
0
F m x x a a u
F m x x a a u
⎧ ⎫ ⎡− ⎤ ⎧ ⎫ ⎧ ⎫ ⎡ ⎤ ⎧ ⎫
= =
⎨ ⎬ ⎢ − ⎥⎨ ⎬ ⎨ ⎬ ⎢ ⎥⎨ ⎬
⎩ ⎭ ⎣ ⎦ ⎩ ⎭ ⎩ ⎭ ⎣ ⎦ ⎩ ⎭ (8.41)