第 9 章 剛性,減衰および質量マトリックス の概念と運動方程式の構築
9.3 減衰マトリックス
竹名 興英
温留漢 共著 亀岡 裕行
1 1 11
2 2 21 11 1 1 21 2 2 31 3 3
3 3 31
1, , ,
P Q k
P Q k k Q P k Q P k Q P
P Q k
⎧ ⎫ ⎧ ⎫ ⎧ ⎫
⎪ ⎪ ⎪ ⎪ ⎪ ⎪= = × ∴ = = = = = =
⎨ ⎬ ⎨ ⎬ ⎨ ⎬
⎪ ⎪ ⎪ ⎪ ⎪ ⎪
⎩ ⎭ ⎩ ⎭ ⎩ ⎭
となる。すなわち,第
1列の成分
k11,
k21と
k31は,節点
1,節点
2と節点
3の 復元力
(あるいは外力
)である。
P
P
1P
3
2
1 1
P
3P
2P
11
P
3P
2P P
331
P P
2
1
( a ) ( b ) ( c)
1
k k k
21
11
図 9. 3 剛 性 マ ト リ ッ ク ス の 成 分 の 物 理 的 意 味
同様に,第
2列の成分
k12,
k22と
k32は,図
9.3(b)に示すように,節点
2の変 位だけが単位長さになるように外力を加えた場合の節点
1,節点
2と節点
3の 復元力
(外力
)である。また,第
3列の成分
k13,
k23と
k33は,図
9.3(c)に示すよ うに,節点
3の変位だけが単位長さになるように外力を加えた場合の節点
1, 節点
2と節点
3の復元力
(あるいは外力
)である。
以上のことから,系の剛性マトリックスの成分 k
ijは,節点
jだけを単位長さ
だけ変位させたとき,節点 i に作用する復元力
(あるいは外力
)である。また,剛
性マトリックスは,相反作用の定理
(i 点に作用する外力 P によって生じる
j点
の変位は,
j点に作用する等しい外力 P によって生じる i 点の変位に等しい
)か
ら対称行列である。
竹名 興英
温留漢 共著 亀岡 裕行
減衰マトリックスを求めればよい。
{ }
D =[ ]
C x{ }
(9.15)しかし,“個々の要素の減衰係数から求めた系の減衰力”と“実際の系全体の 減衰力”はかなり異なり,通常,要素の減衰マトリックスから系の減衰マトリ ックスから求めることをしない。このことは,振動理論における最大の問題点 であるので,第
11章で詳しく述べる。
9.4 質量マトリックス
(a )分 布 質 量 要 素 s m
sa 端 b 端
(b )節 点 質 量 要 素 s
m / 2
sa 端 b 端
m / 2
s図 9.4 要 素 の 分 布 質 量 を 節 点 質 量 へ 変 換 置 き 換 え
バネ・マスモデルで動的解析するためには,図
9.4に示すように,要素の分布 している質量を節点に集中させる必要がある。それには
2つの方法ある。すな わち,図
9.4(b)に 示す 要素の質量 の半分ずつ を両端の節 点に分配す る ラ ンプ ト・マス(lumped mass)と,エネルギーとして等価に分配するコンシステント・
マス (consistent mass)である。前者に比べて後者の方の計算精度が高い。図
9.4(b)で節点質量が半円となっているのは,節点に分配される質量は,他の要 素の分布質量も存在することを表わしている。ランプト・マスおよびコンシス テント・マスは,それぞれ質量マトリックスの“概念”および“深い意味”を理 解するために適当である。ここでは,単純なランプト・マスだけを説明する。コ ンシステント・マスは第
12章で述べる。
(1) 要素の質量マトリックス
この本では,一つの要素の断面は一定とする。要素の分布質量の合計を
msと
すると,ランプト・マスは,
a端と
b端に分配させる質量はそれぞれ
ms/ 2であ
るから,要素
sの
a端と
b端の慣性力
sFaと
sFbは
竹名 興英
温留漢 共著 亀岡 裕行
N
1
/ 2 0 2
0 / 2
1 2
s a s a s a
s b s b
s b
a b
F m x m x
F m x
m x
⎧− ⎫
⎪ ⎪ ←
⎧ ⎫ =⎪ ⎪= −⎡ ⎤ ⎧ ⎫
⎨ ⎬ ⎨ ⎬ ⎢ ⎥ ⎨ ⎬ ←
⎩ ⎭ ⎪⎪⎩− ⎪⎪⎭ ⎣ ⎦ ⎩ ⎭
端 端 要素の加速
要素の慣性 要素の質量
度ベクトル マトリックス
力ベクトル
(9.16)
となる。すなわち,要素の慣性力ベクトルと加速度ベクトルの関係は
s
{ }
F = −s[ ]
M ⋅s{ }
x (9.17)である。質点の慣性力 F と加速度
xの関係
F =mxにおいて,
mは質量とよばれ ることから,
s[ ]Mを,要素
sの 質量マトリックス
(mass matrix)とよぶ。各番 地の意味は以下のとおりである。
[ ]
0/ 2 0/ 2a b
s s a
s
s s b
x x
m F
M m F
⎡ ⎤
= ⎢ ⎥
⎣ ⎦
(9.18)
(2) 系の質量マトリックス
せん断建物モデルにおいて,図
9.5に示すように,要素①,②と③の質量(柱 および壁の質量
)をそれぞれ
m1,
m2と
m3し,節点
1,
2と
3の元々の集中質量
(天 井および床の質量
)を
M1,
M2と
M3とすると,系の質量マトリックスは,各要 素の質量マトリックスと各集中質量を重ね合わせることによって求めることが できる。すなわち
[ ]
1 2 3
1 2 1 1
2 3 2 2
3 3 3
2 2 0 0
0 2 2 0
0 0 2
x x x
m m M F
M m m M F
m M F
+ +
⎡ ⎤
⎢ ⎥
=⎢ + + ⎥
⎢ + ⎥
⎣ ⎦
(9.19)
である。ただし,建築の耐震設計では,通常,最下層の要素①の全質量が節 点
1に集中するとして安全側に設計する。
したがって,系の慣性力ベクトルと加速度ベクトルの関係は
1 1 2 1 1
2 2 3 2 2
3 3 3 3
2 2 0 0
0 2 2 0
0 0 2
F m m M x
F m m M x
F m M x
+ +
⎧ ⎫ ⎡ ⎤ ⎧ ⎫
⎪ ⎪=⎢ + + ⎥⎪ ⎪
⎨ ⎬ ⎢ ⎥⎨ ⎬
⎪ ⎪ ⎢ + ⎥⎪ ⎪
⎩ ⎭ ⎣ ⎦ ⎩ ⎭
(9.20)
あるいは
竹名 興英
温留漢 共著 亀岡 裕行
{ }
F = −[ ]
M x{ }
(9.21)である。結局,慣性力を加速度で記述するためには質量マトリックスを求め ればよい。
m / 2
(a) 分 布 質 量
3
2 3
m / 2
3m / 2
3m / 2 m / 2
2 2 1
m
3m m
2
0
13 2
1
1 2①
②
③
M
1M M
32
m /2 + M m /2+ m /2 +M m /2+ m /2 +M
3
2
1
図 9.5 ラ ン プ ト ・ マ ス
(b)節 点 質 量 へ の 置 き 換 え
ドキュメント内
土木/建築技術者のための基礎から学ぶ振動学
(ページ 108-111)