QQYa
線形な 1 自由度系の減衰強制振動の運動方程式は,式 (3.9) より
mx t
( )
+cx t( )
+kx t( )
= f t( ) (
t≥0)
(15.1)である。初期条件すなわち“時刻 t
=0 (
≡t
0) における変位と速度”
x ( ) 0
=x
0, x ( ) 0
=x
0 (15.2)を与え,任意の時刻 t の変位,速度と加速度を求める問題を考える。このよう
に,初期条件を与えて微分方程式を解く問題を初期値問題という。この問題を 逐次近似法によって解く手順を述べる。
まず,時刻 t
0における加速度 x
0を求める。そのためには,式
(15.2)を
(15.1)に代入すればよい。 f
0 =f (0) とおくと
竹名 興英
温留漢 共著 亀岡 裕行
( ) { }
0 0 0 0
0 1
x x f cx kx
= =
m
− − (15.3)となる。これで,時刻 t
0における変位 x
0,速度 x
0と加速度 x
0の値が定まったわ けである。
微小時間を
∆tとする。時刻
ti(
= ∆i t) の振動状態
(変位
xi,速度
xi,加速度
xi)から,
∆t時間後の
ti+1の振動状態を求めることができれば,
t0の振動状態がわ かっているので,
t t1, ,
2に対する振動状態の近似解を
1ステップずつ求めるこ とができる。すなわち ( , , )
x x x0 0 0 →( , , )
x x x1 1 1 →と順次に求めていくことがで きる。これが逐次近似法である。
ti
の振動状態から
ti+1の振動状態を求めるためには,仮定が必要である。 加速 度法
(acceleration method)とは,“
tiと
ti+1間の加速度の変化の仕方を仮定する 逐次近似法”である。代表的な方法として,線形加速度法
(linear acceleration method)と 平均加速度法
(average acceleration method)がある。
0 x
t
‥
x
i+1x
ix + x
i i+12
ti ti+1
①
②
③
④
‥
‥ ‥
‥
図 15 .1 加 速 度 法 の 仮 定
‥
xx( t )
(1) 線形加速度法
この方法は,図
15.1の線分①に示すように,時間区分
ti < <t ti+1において,
加速度 x t ( ) が線形に変化すると仮定する。すなわち
( )
i i 1 i(
i)
x x
x t x t t
t
+ −
= + −
∆ (15.4)
である。速度と変位は,式(15.4)を積分することによって求まる。
( ) ( ) ( ) 1
1( )
22
i
t i i
i t i i i i
x x
x t x x t x x t t t t
t
+ −
= + = + − + −
∫
∆ (15.5)竹名 興英
温留漢 共著 亀岡 裕行
( ) ( ) ( ) 1 ( )
21
1( )
32 6
i
t i i
i t i i i i i i
x x
x t x x t x x t t x t t t t
t
+ −
= + = + − + − + −
∫
∆ (15.6)式
(15.5)・
(15.6)に
t t= i+1(
= + ∆ti t) を代入すると
( )
1 1
1
i i i
2
i ix
+ = + ∆ +x x t x
+ −x
∆t
(15.7)( )
2 2
1 1
1 1
2 6
i i i i i i
x
+ = + ∆ +x x t x t
∆ +x
+ −x
∆t
(15.8)となる。
t t= i+1で式
(15.1)が成り立つから{ }
1 1 1 1
1
i i i i
x f cx kx
+ =
m
+ − + − + (15.9)である。
未知数 (
xi+1,
xi+1,
xi+1) が
3個で,方程式は
(15.7)・
(15.8)・(
15.9)の
3個であ るから,それらの未知数を求めることができる。しかし,それらを直接求める より,まず
tiに対する
ti+1の変位,速度と加速度の増分すなわち
1
,
1,
1i i i i i i i i i
x x+ x x x+ x x x+ x
∆ = − ∆ = − ∆ = − (15.10)
を求める方が,方程式がすっきりしてわかりやすい。式
(15.7)・
(15.8)を増分形
式に書き直すと以下のとおりとなる。
1
i i
2
ix x t x t
∆ = ∆ + ∆ ∆ (15.11)
2 2
1 1
2 6
i i i i
x x t x t x t
∆ = ∆ + ∆ + ∆ ∆ (15.12)
また,
t t= iで式
(15.1)が成り立つから
{ }
1
i i i i
x f cx kx
=
m
− − (15.13)である。式
(15.9)から
(15.13)を引き,増分形式に直すと下式となる。
{ }
11 ,
i i i i i i i
x f c x k x f f f
m
+∆ = ∆ − ∆ − ∆ ∆ = − (15.14)
未知の増分 (
∆ ∆ ∆xi,
xi,
xi) に関する方程式は,式(15.11)・(15.12)・(15.14)であ
る。それらの増分を求めるためには,まず,式
(15.11)・
(15.12)を
∆xiと
∆xiにつ
いて解くと
竹名 興英
温留漢 共著 亀岡 裕行
3
3 2
i i i i
x x x t x
t
∆ = ∆ − −∆
∆ (15.15)
2
6 6
i i i
3
ix x x x
t t
∆ = ∆ − −
∆ ∆ (15.16)
となる。式
(15.15)・
(15.16)を式
(15.14)に代入し,
∆xiについて解けば
i fix k
∆ =∆ (15.17)
6
23 6
, 3 3
i i i
2
im c m c t
k k f f c x m x
t t t
⎛ ⎞ ⎛ ∆ ⎞
= ∆ +∆ + ∆ = ∆ +⎜⎝ ∆ + ⎟⎠ +⎜⎝ + ⎟⎠ (15.18)
となる。速度の増分
∆xiは,式
(15.17)を
(15.15)に代入することによって求まる。
時刻
ti+1の変位
xi+1と速度
xi+1は,増分式
(15.10)に,それぞれ
∆xiと
∆xiを代入 することによって得られる。すなわち
1
,
1i i i i i i
x+ = + ∆x x x+ = + ∆x x (15.19)
である。加速度は,式
(15.19)を
(15.9)に直接代入することによって求める。
{ }
1 1 1 1
1
i i i i
x f cx kx
+ =
m
+ − + − + (15.20)(2) 平均加速度法
図
15.1の線分④に示すように,この方法は,時間区分
ti < <t ti+1において,
加速度 x t ( ) が一定で,両端の加速度の平均値に等しいと仮定する。すなわち ( )
12
i i
x x
x t
+ += (15.21)
である。この式を積分すると,速度と変位が求まる。
( ) ( )
1( )
2
i
t i i
i t i i
x x
x t
= +x ∫ x t
= +x
+ +t t
− (15.22)( ) ( ) ( )
1( )
24
i
t i i
i t i i i i
x x
x t x x t x x t t
+ +t t
= +
∫
= + − + − (15.23)式
(15.22)・
(15.23)に
t t= i+1を代入すると下式となる。
1 1
2
i i
i i
x x
x
+ = +x
+ + ∆t
(15.24)竹名 興英
温留漢 共著 亀岡 裕行
1 1 2
4
i i
i i i
x x
x
+x x t
+ +t
= + ∆ + ∆ (15.25)
式
(15.24)・
(15.25)を変形し,増分形式に書き直すと
1(
1)
1
2 2
2 2 2
i i i
i i i i
i i
x x x
x x x x
x+ x + + t + − + t ∆ + t
− = ∆ = ∆ = ∆
(
1)
2 2 2
1 1
2 2
4 4 4
i i i
i i i i
i i i i i
x x x
x x x x
x+ − = ∆ +x x t + + ∆ = ∆ +t x t + − + ∆ = ∆ +t x t ∆ + ∆t
1
i i
2
ix x t x t
∴ ∆ = ∆ + ∆ ∆ (15.26)
2 2
1 1
2 4
i i i i
x x t x t x t
∆ = ∆ + ∆ + ∆ ∆ (15.27)
となる。
式
(15.26)・
(15.27)を
∆xiと
∆xiについて解くと
2
2 4 4
2 , 2
i i i i i i i
x x x x x x x
t t t
∆ = ∆ − ∆ = ∆ − −
∆ ∆ ∆ (15.28)
となる。式
(15.28)を
(15.14)に代入して,
∆xiについて解くと
i fix k
∆ =∆ (15.29)
2
4 2 4
,
i i2
i2
im c m
k k f f c x mx
t t t
⎛ ⎞
= ∆ +∆ + ∆ = ∆ +⎜⎝ ∆ + ⎟⎠ + (15.30)
となる。
時刻
ti+1の変位
xi+1,速度
xi+1と加速度
xi+1の求め方は,線形加速度法と同じで ある。
15.2
加速度法の数学的意味
(1) テイラー展開
t
の関数 x t ( ) を
t a=でテイラー展開すると
竹名 興英
温留漢 共著 亀岡 裕行
( ) ( ) ( )( ) ( ) ( ) ( ) ( )
( )
( ) ( )
( )( )
( ) ( )
2 3
1 1
2! 3!
! 1 !
n n
n n
x a x a
x t x a x a t a t a t a
x a x
t a t a
n n
ξ
+ +
= + − + − + −
+ + − + −
+
(15.31)
となる。右辺の最後の項
( )
( )
(
1) ( )
11 !
n n
R x t a
n
ξ
+ +
= −
+ (15.32)
は,剰余とよばれ,式(15.30)を満足する ξ が
aと
tの間に少なくとも
1つ存在 する。 x t ( ) を右辺の
(t a− )nまでの項で近似すると,剰余は誤差を意味し,その 大きさは ( t a
−) が十分に小さいと,
(t a− )n+1の定数倍程度であり, ( t a
−) を
0に近づけていった場合,
(t a− )n+1の速さで
0に収束することを意味している。
(2) 線形加速度法
変位 x t ( ) を
tiでテイラー展開し,
n=3の項までで近似すると
( ) ( ) ( )
2( )
32! 3!
i i
i i i i i
x x
x t
= +x x t t
− +t t
− +t t
− (15.33)となる。これを続けて
2回微分すると,それぞれ速度と加速度
( ) ( ) ( )
22
i
i i i i
x t
= +x x t t
− +x t t
− (15.34)x t
( )
= +xi x t ti(
− i)
(15.35)となる。
式
(15.35)に
t t= i+1を代入すると
i 1 i i
,
ix
i 1x
ix x x t x
t
+ +
= + ∆ ∴ = −
∆
となる。これを式
(15.35)に代入すると ( )
i i 1 i(
i)
x x
x t x t t
t
+ −
= + −
∆ (15.36)
なる。これは式
(15.4)と一致する。すなわち,線形加速度法とは,変位 x t ( ) を
tiでテイラー展開した
n=3の項までの近似である。
(3) 平均加速度法
変位 x t ( ) を
tiでテイラー展開し,
n=2の項までで近似すると
竹名 興英
温留漢 共著 亀岡 裕行
( ) ( ) ( )
22!
i
i i i i
x t
= +x x t t
− +x t t
− (15.37)となる。これを
2回続けて微分すると,それぞれ速度と加速度は
x t
( )
= xi +x t ti(
− i) (
ti ≤ <t ti+1)
(15.38)x t
( )
= xi(
ti ≤ <t ti+1)
(15.39)となる。すなわち,この方法は,図
15.1(a)の線分②に示すように,時間区分全
域において,加速度が時間区分の最初の加速度に等しいという仮定である。
変位 x t ( ) を
ti+1でテイラー展開し,
n=2の項までで近似すると
( )
1 1(
1) 2!
1(
1)
2i
i i i i
x t
=x
+ +x
+t t
− + +x
+t t
− + (15.40)となる。これを微分すると,速度と加速度は,それぞれ
x t
( )
= xi+1 +xi+1(
t t− i+1) (
ti < ≤t ti+1)
(15.41)x t
( )
= xi+1(
ti < ≤t ti+1)
(15.42)となる。この方法は,図
15.1(a)の線分③に示すように,時間区分全域において,
加速度が時間区分の最後の加速度に等しいという仮定である。
平均加速度法は,図
15.1からもわかるように,変位 x t ( ) を“
tiでテイラー展 開した
n=2の項までの近似”と“
ti+1でテイラー展開した
n=2の項までの近似”
の平均である。この方法は,線形加速度法より計算精度が劣る。
15.3
ニューマークβ法
各 種 の 加 速 度 法 を パ ラ ー メ ー タ β で 統 合 し た の が ニ ュ ー マ ー ク β 法
(Newmark)である。すなわち“線形加速度法の増分式(15.11)・(15.12)”と“平均化速度法の増分式
(15.26)・
(15.27)”を比較して,パラメータ β によって,そ
れらは
1
i i
2
ix x t x t
∆ = ∆ + ∆ ∆ (15.43)
1
2 2i i
2
i ix x t x t β x t
∆ = ∆ + ∆ + ∆ ∆ (15.44)
表わすことができる。ただし, β
=1/ 6 と β
=1/ 4 の場合が,それぞれ線形加速
度法と平均化速度法である。これがニューマーク β 法である。
竹名 興英
温留漢 共著 亀岡 裕行
式
(15.43)・
(15.44)を
∆xiと
∆xiについて解くと下式となる。
1 1 1
2 2 1 4
i i i i
x x x x t
β
tβ β
⎛ ⎞
∆ = ∆ ∆ − + −⎜⎝ ⎟⎠ ∆ (15.45)
2
1 1 1
i i i 2 i
x x x x
t t
β β β
∆ = ∆ − −
∆ ∆ (15.46)
式
(15.45)・(15.46)を(15.14)に代入して,∆xiについて解くと
i fix k
∆ =∆ (15.47)
2
2
m c
k k
t t
β β
= + +
∆ ∆ (15.48)
1 1
2 2 4
i i i i
m c m
f f x c t x
β
tβ β β
⎧ ⎫
⎧ ⎫ ⎛ ⎞
∆ = ∆ +⎨⎩ ∆ + ⎬⎭ +⎨⎩ − ∆ ⎜⎝ − ⎟⎠⎬⎭ (15.49)