第 9 章 剛性,減衰および質量マトリックス の概念と運動方程式の構築
9.2 剛性マトリックス
x x
ba
要 素 s
Q
b sQ
b s sQ
s
Q
a a
b 端
a 端 k
sb 端
a 端
(a ) 変 形 状 態 (b ) 復 元 力 図 9.2 要 素 の 復 元 力
(1) 要素の剛性マトリックス
図
9.2(a)に示すように,要素
sの
a端と
b端の変位をそれぞれ x
aと x
bとする。
要素 s には,図
9.2(b)に示すように,変形によって a 端と b 端に対して復元力
sQ
a竹名 興英
温留漢 共著 亀岡 裕行
と
sQ
bを生じる。これらの復元力は,両端の変位によって定まる。したがって,
復元力は,変位によって記述することができる。
要素の中間には力は作用しないから
s
Q
a +sQ
b =0
(9.4)である。復元力の大きさは,要素の両端の相対変位に比例するから
s
Q
a =k x
s(
a−x
b)
=k x
s a−k x
s b (9.5)である。ここで, k
sは要素の剛性である。式
(9.5)を
(9.4)に代入すると
s
Q
b = −k x
s a +k x
s b (9.6)となる。すなわち,要素の復元力ベクトル
s{ } Q と変位ベクトル
s{ } x は
N
s a s s a
s b s s b
a b
Q k k x
Q k k x
− ←
⎧ ⎫ ⎡ ⎤ ⎧ ⎫
⎨ ⎬ =⎢− ⎥ ⎨ ⎬ ←
⎩ ⎭ ⎣ ⎦ ⎩ ⎭
端 端 要素の変位 要素の復元 要素の剛性
マトリックス ベクトル 力ベクトル
(9.7)
あるいは
s
{ }
Q = s[ ]
K ⋅s{ }
x (9.8)の関係がある。
1つのバネにおける復元力 Q と変位
xの関係 Q kx
=において,
kは 剛性 とよば れて いるこ とか ら,
s[ ]
Kを 要素
sの 剛 性 マ トリ ック ス
(stiffness matrix)とよぶ。また,式
(9.8)を 剛性方程式 という。その各成分の番地は,以 下に示すように,たとえば,
1行
2列の成分は,
b端の変位
xbを乗じると,
a端 の復元力
sQaの一部となることを意味する。
[ ]
a b
s s
s s s
s aQ s bQ
x x
k k
K k k
⎡ − ⎤
= ⎢⎣− ⎥⎦
(9.9)
(2) 系の剛性マトリックス
要素の剛性マトリックスが求まると,系の剛性マトリックスを求めることは 簡単である。要素
1,要素
2と要素
3の剛性マトリックスは,式
(9.9)から
[ ] [ ] [ ]
0 1 1 2 2 3
3 3
1 1 2 2
1 2 3
3 3
1 1 2 2
0 1 2
1 2 3
, ,
Q Q Q
s s s
Q Q Q
s s s
x x x x x x
k k
k k k k
K K K
k k
k k k k
−
− − ⎡ ⎤
⎡ ⎤ ⎡ ⎤
=⎢⎣− ⎥⎦ =⎢⎣− ⎥⎦ = ⎢⎣− ⎥⎦
(9.10)
である。つぎに,以下に示すように,系の剛性マトリックス [ ] K の枠を決める。
竹名 興英
温留漢 共著 亀岡 裕行
その場合,拘束された変位
x0( 0)=は既知であるので,通常,それを除外する。
なぜならば
,その方がその後の解析の手間が省けるからである。
[ ]
1 2 3
11 12 13
21 22 23
31 32 33
1 2 3 Q Q Q
x x x
k k k
K k k k
k k k
⎡ ⎤
⎢ ⎥
= ⎢ ⎥
⎢ ⎥
⎣ ⎦
このマトリックスの番地と一致する各要素の成分を重ね合わせれば,以下に示 す“系の剛性マトリックス”となる。このことは,前記の番地の意味を理解し ていれば,自ずからわかることである。
[ ]
1 2 3 1 2 3
11 12 13 1 2 2
21 22 23 2 2 3 3
31 32 33 3 3
1 2 3
0 0
Q Q Q
x x x x x x
k k k k k k
K k k k k k k k
k k k k k
+ −
⎡ ⎤ ⎡ ⎤
⎢ ⎥ ⎢ ⎥
=⎢ ⎥ ⎢= − + − ⎥
⎢ ⎥ ⎢ − ⎥
⎣ ⎦ ⎣ ⎦
(9.11)
したがって,系の復元力と変位の関係は
11 12 13 1 1 2 2 1
21 22 23 2 2 2 3 3 2
31 32 33 3 3 3 3
1 2 3
0 0
Q Q Q
k k k x k k k x
k k k x k k k k x
k k k x k k x
⎧ ⎫ ⎡ ⎤ ⎧ ⎫ ⎡ + − ⎤ ⎧ ⎫
⎪ ⎪=⎢ ⎥⎪ ⎪= −⎢ + − ⎥⎪ ⎪
⎨ ⎬ ⎢ ⎥⎨ ⎬ ⎢ ⎥⎨ ⎬
⎪ ⎪ ⎢⎣ ⎥⎦ ⎩ ⎭ ⎣⎪ ⎪ ⎢ − ⎥⎦ ⎩ ⎭⎪ ⎪
⎩ ⎭
(9.12)
あるいは
{ }
Q =[ ]
K x{ }
(9.13)である。結局,復元力を変位で記述するためには,剛性マトリックスを求めれ ばよい。
ここで,系の剛性マトリックスの成分について,物理的な意味を考えてみよ う。系の剛性方程式は下記のように変形できる。
1 11 12 13 1 11 12 13
2 21 22 23 2 21 1 22 2 23 3
3 31 32 33 3 31 32 33
Q k k k x k k k
Q k k k x k x k x k x
Q k k k x k k k
⎧ ⎫ ⎡ ⎤ ⎧ ⎫ ⎧ ⎫ ⎧ ⎫ ⎧ ⎫
⎪ ⎪=⎢ ⎥⎪ ⎪ ⎪ ⎪= +⎪ ⎪ +⎪ ⎪
⎨ ⎬ ⎢ ⎥⎨ ⎬ ⎨ ⎬ ⎨ ⎬ ⎨ ⎬
⎪ ⎪ ⎢ ⎥⎪ ⎪ ⎪ ⎪ ⎪ ⎪ ⎪ ⎪
⎩ ⎭ ⎣ ⎦ ⎩ ⎭ ⎩ ⎭ ⎩ ⎭ ⎩ ⎭
(9.14)
図
9.3(a)に示すように,節点
1の変位だけが単位長さ,すなわち
x1=1,x2 = x3 =0になるように外力を加えると,外力,復元力と剛性の関係は,図
9.3(a)の自由物体図および式
(9.14)から
竹名 興英
温留漢 共著 亀岡 裕行
1 1 11
2 2 21 11 1 1 21 2 2 31 3 3
3 3 31
1, , ,
P Q k
P Q k k Q P k Q P k Q P
P Q k
⎧ ⎫ ⎧ ⎫ ⎧ ⎫
⎪ ⎪ ⎪ ⎪ ⎪ ⎪= = × ∴ = = = = = =
⎨ ⎬ ⎨ ⎬ ⎨ ⎬
⎪ ⎪ ⎪ ⎪ ⎪ ⎪
⎩ ⎭ ⎩ ⎭ ⎩ ⎭
となる。すなわち,第
1列の成分
k11,
k21と
k31は,節点
1,節点
2と節点
3の 復元力
(あるいは外力
)である。
P
P
1P
3
2
1 1
P
3P
2P
11
P
3P
2P P
331
P P
2
1
( a ) ( b ) ( c)
1
k k k
21
11