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剛性マトリックス

ドキュメント内 土木/建築技術者のための基礎から学ぶ振動学 (ページ 105-108)

第 9 章 剛性,減衰および質量マトリックス の概念と運動方程式の構築

9.2 剛性マトリックス

x x

b

a

要 素 s

Q

b s

Q

b s s

Q

s

Q

a a

b 端

a 端 k

s

b 端

a 端

(a ) 変 形 状 態 (b ) 復 元 力 図 9.2   要 素 の 復 元 力

(1) 要素の剛性マトリックス

9.2(a)

に示すように,要素

s

a

端と

b

端の変位をそれぞれ x

a

x

b

とする。

要素 s には,図

9.2(b)

に示すように,変形によって a 端と b 端に対して復元力

s

Q

a

竹名 興英

温留漢 共著 亀岡 裕行

s

Q

b

を生じる。これらの復元力は,両端の変位によって定まる。したがって,

復元力は,変位によって記述することができる。

要素の中間には力は作用しないから

s

Q

a +s

Q

b =

0

(9.4)

である。復元力の大きさは,要素の両端の相対変位に比例するから

s

Q

a =

k x

s

(

a

x

b

)

=

k x

s a

k x

s b (9.5)

である。ここで, k

s

は要素の剛性である。式

(9.5)

(9.4)

に代入すると

s

Q

b = −

k x

s a +

k x

s b (9.6)

となる。すなわち,要素の復元力ベクトル

s

{ } Q と変位ベクトル

s

{ } x

N

s a s s a

s b s s b

a b

Q k k x

Q k k x

− ←

⎧ ⎫ ⎡ ⎤ ⎧ ⎫

⎨ ⎬ =⎢− ⎥ ⎨ ⎬ ←

⎩ ⎭ ⎣ ⎦ ⎩ ⎭

端 端 要素の変位 要素の復元 要素の剛性

マトリックス ベクトル 力ベクトル

(9.7)

あるいは

s

{ }

Q = s

[ ]

K s

{ }

x (9.8)

の関係がある。

1

つのバネにおける復元力 Q と変位

x

の関係 Q kx

=

において,

k

は 剛性 とよば れて いるこ とか ら,

s

[ ]

K

を 要素

s

剛 性 マ トリ ック ス

(stiffness matrix)

とよぶ。また,式

(9.8)

を 剛性方程式 という。その各成分の番地は,以 下に示すように,たとえば,

1

2

列の成分は,

b

端の変位

xb

を乗じると,

a

の復元力

sQa

の一部となることを意味する。

[ ]

a b

s s

s s s

s aQ s bQ

x x

k k

K k k

⎡ − ⎤

= ⎢⎣− ⎥⎦

(9.9)

(2) 系の剛性マトリックス

要素の剛性マトリックスが求まると,系の剛性マトリックスを求めることは 簡単である。要素

1

,要素

2

と要素

3

の剛性マトリックスは,式

(9.9)

から

[ ] [ ] [ ]

0 1 1 2 2 3

3 3

1 1 2 2

1 2 3

3 3

1 1 2 2

0 1 2

1 2 3

, ,

Q Q Q

s s s

Q Q Q

s s s

x x x x x x

k k

k k k k

K K K

k k

k k k k

− − ⎡ ⎤

⎡ ⎤ ⎡ ⎤

=⎢⎣− ⎥⎦ =⎢⎣− ⎥⎦ = ⎢⎣− ⎥⎦

(9.10)

である。つぎに,以下に示すように,系の剛性マトリックス [ ] K の枠を決める。

竹名 興英

温留漢 共著 亀岡 裕行

その場合,拘束された変位

x0( 0)=

は既知であるので,通常,それを除外する。

なぜならば

,

その方がその後の解析の手間が省けるからである。

[ ]

1 2 3

11 12 13

21 22 23

31 32 33

1 2 3 Q Q Q

x x x

k k k

K k k k

k k k

⎡ ⎤

⎢ ⎥

= ⎢ ⎥

⎢ ⎥

⎣ ⎦

このマトリックスの番地と一致する各要素の成分を重ね合わせれば,以下に示 す“系の剛性マトリックス”となる。このことは,前記の番地の意味を理解し ていれば,自ずからわかることである。

[ ]

1 2 3 1 2 3

11 12 13 1 2 2

21 22 23 2 2 3 3

31 32 33 3 3

1 2 3

0 0

Q Q Q

x x x x x x

k k k k k k

K k k k k k k k

k k k k k

+ −

⎡ ⎤ ⎡ ⎤

⎢ ⎥ ⎢ ⎥

=⎢ ⎥ ⎢= − + − ⎥

⎢ ⎥ ⎢ − ⎥

⎣ ⎦ ⎣ ⎦

(9.11)

したがって,系の復元力と変位の関係は

11 12 13 1 1 2 2 1

21 22 23 2 2 2 3 3 2

31 32 33 3 3 3 3

1 2 3

0 0

Q Q Q

k k k x k k k x

k k k x k k k k x

k k k x k k x

⎧ ⎫ ⎡ ⎤ ⎧ ⎫ ⎡ + − ⎤ ⎧ ⎫

⎪ ⎪=⎢ ⎥⎪ ⎪= −⎢ + − ⎥⎪ ⎪

⎨ ⎬ ⎢ ⎥⎨ ⎬ ⎢ ⎥⎨ ⎬

⎪ ⎪ ⎢⎣ ⎥⎦ ⎩ ⎭ ⎣⎪ ⎪ ⎢ − ⎥⎦ ⎩ ⎭⎪ ⎪

⎩ ⎭

(9.12)

あるいは

{ }

Q =

[ ]

K x

{ }

(9.13)

である。結局,復元力を変位で記述するためには,剛性マトリックスを求めれ ばよい。

ここで,系の剛性マトリックスの成分について,物理的な意味を考えてみよ う。系の剛性方程式は下記のように変形できる。

1 11 12 13 1 11 12 13

2 21 22 23 2 21 1 22 2 23 3

3 31 32 33 3 31 32 33

Q k k k x k k k

Q k k k x k x k x k x

Q k k k x k k k

⎧ ⎫ ⎡ ⎤ ⎧ ⎫ ⎧ ⎫ ⎧ ⎫ ⎧ ⎫

⎪ ⎪=⎢ ⎥⎪ ⎪ ⎪ ⎪= +⎪ ⎪ +⎪ ⎪

⎨ ⎬ ⎢ ⎥⎨ ⎬ ⎨ ⎬ ⎨ ⎬ ⎨ ⎬

⎪ ⎪ ⎢ ⎥⎪ ⎪ ⎪ ⎪ ⎪ ⎪ ⎪ ⎪

⎩ ⎭ ⎣ ⎦ ⎩ ⎭ ⎩ ⎭ ⎩ ⎭ ⎩ ⎭

(9.14)

9.3(a)

に示すように,節点

1

の変位だけが単位長さ,すなわち

x1=1,x2 = x3 =0

になるように外力を加えると,外力,復元力と剛性の関係は,図

9.3(a)の自由

物体図および式

(9.14)

から

竹名 興英

温留漢 共著 亀岡 裕行

1 1 11

2 2 21 11 1 1 21 2 2 31 3 3

3 3 31

1, , ,

P Q k

P Q k k Q P k Q P k Q P

P Q k

⎧ ⎫ ⎧ ⎫ ⎧ ⎫

⎪ ⎪ ⎪ ⎪ ⎪ ⎪= = × ∴ = = = = = =

⎨ ⎬ ⎨ ⎬ ⎨ ⎬

⎪ ⎪ ⎪ ⎪ ⎪ ⎪

⎩ ⎭ ⎩ ⎭ ⎩ ⎭

となる。すなわち,第

1

列の成分

k11

k21

k31

は,節点

1

,節点

2

と節点

3

の 復元力

(

あるいは外力

)

である。

P

P

1

P

3

2

1 1

P

3

P

2

P

1

1

P

3

P

2

P P

3

31

P P

2

1

( a ) ( b ) ( c)

1

k k k

21

11

図 9. 3  剛 性 マ ト リ ッ ク ス の 成 分 の 物 理 的 意 味

同様に,第

2

列の成分

k12

k22

k32

は,図

9.3(b)

に示すように,節点

2

の変 位だけが単位長さになるように外力を加えた場合の節点

1

,節点

2

と節点

3

の 復元力

(

外力

)

である。また,第

3

列の成分

k13

k23

k33

は,図

9.3(c)

に示すよ うに,節点

3

の変位だけが単位長さになるように外力を加えた場合の節点

1

, 節点

2

と節点

3

の復元力

(

あるいは外力

)

である。

以上のことから,系の剛性マトリックスの成分 k

ij

は,節点

j

だけを単位長さ

だけ変位させたとき,節点 i に作用する復元力

(

あるいは外力

)

である。また,剛

性マトリックスは,相反作用の定理

(

i 点に作用する外力 P によって生じる

j

の変位は,

j

点に作用する等しい外力 P によって生じる i 点の変位に等しい

)

ら対称行列である。

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