第 9 章 で述べたように,運動方程式を構築するために最も重要な作業は, “要 素の剛性と質量マトリックスの作成”である。この章では,平面骨組系の構成
12.2 はり要素
竹名 興英
温留漢 共著 亀岡 裕行
となる。したがって,要素の質量マトリックスは
[ ]
/ 3 / 6/ 6 / 3
xa xb
xa xb
u u
m m F
M m m F
⎡ ⎤
= ⎢ ⎥
⎣ ⎦
(12.20)
である。
質量マトリックスの成分の意味を考察してみよう。式
(12.17)の左辺の第
1式は,
(12.18)より
0であるから,移項すると
( )
11 0 10 10
l
xa xa xa xa
m u u
δ
=∫ δ
u x ⋅ρ
A u x dx微小変位 振動学の慣性力
(12.21)
である。この式の右辺は,“
a端の微小変位 δ
xaに
1-0変位曲線
x10を乗じた変 位”に対する“
a端の加速度
uxaに
1-0変位曲線
x10を乗じた加速度の振動学の 慣性力
(符号のマイナスを無視,
9.5(1)を参照
)”の仕事である。
a端の微小 変位と加速度がともに単位長さ,すなわち δ
xa =1,uxa =1の場合,式
(12.21)は
N
( )
11 0 10 10
m =
∫
l x ⋅ρ
A x dx微小変位 振動学の慣性力
(12.22)
となる。すなわち,
m11は,図
12.2(a)に示すように,
1-0変位曲線
x10の
(微小
)変位に対する“加速度が
1-0変位曲線
x10の振動学の慣性力”の仕事である。
同様に,
m12および
m21は,それぞれ
1-0変位曲線
x10の変位に対する“加速度
が
0-1変位曲線
x10の振動学の慣性力”の仕事および
0-1変位曲線
x10の変位に
対する“加速度が
1-0変位曲線
x10の振動学の慣性力”の仕事である
(それぞれ
図
12.2(b)と
(c))。式
(12.18)より
m12と
m21は等しいから,質量マトリックスは
対称行列である。また,
m22は,
0-1変位曲線
x10の変位に対する“加速度が
0-1変位曲線
x10の振動学の慣性力の仕事”である
(図
12.2 (d))。
竹名 興英
温留漢 共著 亀岡 裕行
x y
u ,Q
ya yau , Q
yb ybM( x)
M
bθ
bM θ
aa
図 12 .2 は り 要 素
(1) 剛性マトリックス
図
12.2の Q
yと M はそれぞれ“ y 方向の力”と“曲げモーメント”, u
yと θ は
それぞれ“ y 方向の変位”と“角変位
(回転
)”を表している。図にそれらの正 方向を示した。
復元力と変位の関係を求めよう。力のつり合いから
Q
ya +Q
yb =0
(12.23)M
a +M
b −Q l
ya =0
(12.24)である。たわみ u
yに関する微分方程式は,位置
xの曲げモーメントを
M x( ) と
すると
EI d u2 2y M x
( )
dx = − (12.25)
である。
M x( ) は
M x
( )
= −Q x Mya + a (12.26)であるから,これを式
(12.25)に代入すると
2 2
y
ya a
EI d u Q x M
dx = − (12.27)
となる。
2回連続して積分すると
1 2 12
y
ya a
EI du Q x M x C
dx = − + (12.28)
1
31
2 1 26 2
y ya a
EIu
=Q x
−M x
+C x C
+ (12.29)となる。式
(12.28)・
(12.29)に,
x=0の境界条件
(du dx
y/
=θ
a, u
y =u
ya)を代入
すると
竹名 興英
温留漢 共著 亀岡 裕行
EI θ
a =C
1, EIy
ya =C
2である。これらを式
(12.28)・
(12.29)に代入すると
1 22
y
ya a a
EI du Q x M x EI
dx = − +
θ
(12.30)1
31
26 2
y ya a a ya
EIu
=Q x
−M x
+EI x EIu θ
+ (12.31)となる。
式(12.30)・
(12.31)にx l=の境界条件( du dx
y/
=θ
b, u
y =u
yb)を代入すると1
2b
2
ya a aEI θ
=Q l
−M l EI
+θ
(12.32)1
31
26 2
yb ya a a ya
EIu
=Q l
−M l
+EI l EIu θ
+ (12.33)となる。
復元力 ( Q
ya, Q
yb, M M
a,
b) に関する連立
1次方程式
(12.23)・
(12.24)・
(12.32)・
(12.33)を復元力について解けば,復元力を変位
( ,y ya b,θ θ
a, b)で記述すること ができる。式
(12.32)から
(12.33)を
2倍したもの引くと,
Maが消去され
3 2 3 2
12 6 12 6
ya ya a yb b
Q EI u u
l l θ l l θ
⎛ ⎞
= ⎜ + − + ⎟
⎝ ⎠ (12.34)
となる。式
(12.32)から
(12.33)を
3倍したもの引くと, Q
yaが消去され
2 2
6 4 6 2
a ya a yb b
M EI u u
l l θ l l θ
⎛ ⎞
= ⎜⎝ + − + ⎟⎠ (12.35)
となる。式
(12.34)を
(12.23)に代入すると
3 2 3 2
12 6 12 6
yb ya a yb b
Q EI u u
l l θ l l θ
⎛ ⎞
= ⎜− − + − ⎟
⎝ ⎠ (12.36)
となる。式
(12.34)・
(12.35)を
(12.24)に代入すると
Mbが求まる。
2 2
6 2 6 4
b ya a yb b
M EI u u
l l θ l l θ
⎛ ⎞
= ⎜⎝ + − + ⎟⎠ (12.37)
式(12.34)・
(12.35)・(12.36)・(12.37)をベクトル行列表示すると竹名 興英
温留漢 共著 亀岡 裕行
2 2
3
2 2
12 6 12 6
6 4 6 2
12 6 12 6
6 2 6 4
ya ya
a a
yb yb
b b
Q l l u
M EI l l l l
Q l l l u
M l l l l
θ θ
⎧ ⎫ ⎡ − ⎤⎧ ⎫
⎪ ⎪ ⎢ − ⎥⎪ ⎪
⎪ ⎪= ⎢ ⎥⎪ ⎪
⎨ ⎬ ⎢− − − ⎥⎨ ⎬
⎪ ⎪ ⎢ ⎥⎪ ⎪
⎪ ⎪ ⎣ − ⎦⎪ ⎪
⎩ ⎭ ⎩ ⎭
(12.38)
となる。ゆえに,要素の剛性マトリックスは,以下のとおりである。
[ ]
3 2 22 2
12 6 12 6
6 4 6 2
12 6 12 6
6 2 6 4
ya a yb b
ya a yb b
u u
Q
l l
M
l l l l
K EI
Q
l l
l
M
l l l l
θ θ
⎡ − ⎤
⎢ − ⎥
⎢ ⎥
= ⎢− − − ⎥
⎢ − ⎥
⎣ ⎦
(12.39)
(2) 質量マトリックス
(a)ランプト・マス
ランプト・マスの場合は,慣性モーメントが無視し,質量を等分に節点に分 配するから,要素の質量マトリックスは
[ ]
/ 2 0 0 0
0 0 0 0
0 0 / 2 0
0 0 0 0
ya a yb b
ya a yb b
u u
F m
M M
F m
M
θ θ
⎡ ⎤
⎢ ⎥
⎢ ⎥
=⎢ ⎥
⎢ ⎥
⎣ ⎦
(12.40)
である。ここで ( , ) θ θ
a bと ( M
a(
= −J θ
a), M
b(
= −J θ
b)) は,“角加速度”と“広義の 慣性力”である。
(b)
コンシステント・マス
質量マトリックスは,一般に以下のように表現できる。
[ ]
11 12 13 14
21 22 23 24
31 32 33 34
41 42 43 44
ya a yb b
ya a yb yb
u u
m m m m F
m m m m M
M m m m m F
m m m m M
θ θ
⎡ ⎤
⎢ ⎥
⎢ ⎥
=⎢ ⎥
⎢ ⎥
⎢ ⎥
⎣ ⎦
(12.41)
図
12.3(a)に示す, “要素端の変位の内,
a端の y 方向が単位長さ
1で他が
0”
すなわち“境界条件 u
ya =1, θ
a =u
yb =θ
b =0 ”で要素の中間に力が作用しない場
竹名 興英
温留漢 共著 亀岡 裕行
合の変位曲線
(y 方向
1-0変位曲線
y10)を求めよう。式
(12.35)で u
y =y
10とおき,
式
(12.31)・
(12.32)・
(12.33)に境界条件を代入すると
101
31
26
ya2
aEIy
=Q x
−M x
+EI
(12.42)1
20
=2 Q l
ya −M l
a (12.43)1
31
20
=6 Q l
ya −2 M l
a +EI
(12.44)となる。これらの式から Q
yaと
Mbを消去すると,以下のように
y10が求まる。
3 2
10 3 2
2 3
x x 1
y = l − l + (12.45)
a bx u =0 u =1ya
a bx
yb
u =0ya
a b x u =1yb
u =0ya
u =0 θ =0b θ =1a
θ =0b θ =0a
yb
a bx u =0ya
θ =0a u =0yb
θ =1b
θ =0b
θ =0a
図12.3 はり要素の変位曲線
(a)y1-0 (b)θ1-0 (c)y0-1 (b)θ0-1
図
12.3(b)に示す,“境界条件 u
ya =0, θ
a =1, u
yb =θ
b =0 ”で要素の中間に力が 作用しない場合の変位曲線
(θ 方向
1-0変位曲線 θ
10)を求めよう。式
(12.31)で
10
u
y =θ とおき,式(12.31)・(12.32)・
(12.33)に境界条件を代入すると10
1
31
26
ya2
aEI θ
=Q x
−M x
+EIx
(12.46)1
20
=2 Q l
ya −M l EI
a + (12.47)1
31
20
=6 Q l
ya −2 M l
a +EIl
(12.48)となる。これらの式から Q
yaと
Mbを消去すると,以下のように θ
10が求まる。
2
10
x 1
x l
θ
= ⎛⎜⎝ − ⎞⎟⎠ (12.49)竹名 興英
温留漢 共著 亀岡 裕行
図
12.3(c)に示す,“境界条件 u
ya =θ
a =0, u
yb =1, θ
b =0 ”で要素の中間に力が 作用しない場合の変位曲線
(y 方向
0-1変位曲線
y01)を求めよう。
y01は
x l= / 2に対して
y10と線対称である。
( ,x y10)と線対称の点を
( ,X y01)とすると
,
2 2
x X l
x l X
+ = ∴ = −
,また ψ
01=ψ
10である。これらを式
(12.45)に代入し, X を
xに変更すると,
y01が求まる。
3 2
01 3 2
2x 3x
y = − l + l (12.50)
図
12.3(d)に示す,“境界条件 u
ya =θ
a =u
yb =0, θ
b =1 ”で要素の中間に力が作 用 し な い 場 合 の 変 位 曲 線
(θ 方 向
01変 位 曲 線 θ
01)を 求 め よ う 。 θ
01は , 点 ( x l
=/ 2, ψ
=0) に対して θ
10と点対称である。
( ,xθ
10)と点対称の点を
( ,Xθ
01)と すると
, ,
10 012 2
x X l
x l X θ θ
+ = ∴ = − = −
である。これらを式
(12.49)に代入し, X を
xに変更すると, θ
01が求まる。
2
01 x x 1
l l
θ
= ⎛⎜⎝ − ⎞⎟⎠ (12.51) 12.1節からわかるように,
m11は“微小変位が y 方向
1-0変位曲線
y10”で“加
速度が y 方向
1-0変位曲線
y10の振動学の慣性力”の仕事である。その場合,微 小変位 δ
uと
xの位置の単位長さ当たりの振動学の慣性力 f は
δ
u=ψ
1, f =ρ ψ
A 1 (12.52)である。したがって,
m11は以下のとおりである。
11 0
( )
0 102 0 102l l
m
lm u fdx A y dx y dx
δ ρ l
=
∫
=∫
=∫
(12.53)3 2 2
11 0 3 2
2 3 13
1 35
m
lx x
m dx m
l l l
⎛ ⎞
∴ = ⎜ − + ⎟ =
⎝ ⎠
∫
(12.54)m12
は“微小変位が y 方向
1-0変位曲線
y10”で“加速度が θ 方向
1-0変位曲 線 θ
10の振動学の慣性力”の仕事である。その場合,微小変位 δ
uと
xの位置の 単位長さ当たりの振動学の慣性力 f は
δ
u=ψ
1, f =ρ ψ
A 2 (12.55)竹名 興英
温留漢 共著 亀岡 裕行
である。したがって,
m12は以下のとおりである。
12 0
( )
0 10 10 0 10 10l l
m
lm u fdx A y dx y dx
δ ρ θ l θ
=
∫
=∫
=∫
(12.56)3 2 2
12 0 3 2
2 3 11
1 1
210
m
lx x x
m x dx ml
l l l l
⎧ ⎫
⎛ ⎞ ⎪ ⎛ ⎞ ⎪
∴ =
∫
⎜⎝ − + ⎟⎠ ⎪⎨⎩ ⎜⎝ − ⎟⎠ ⎬⎪⎭ = (12.57)同様に,残りの成分は
3 2 3 2
13 0 10 01 0 3 2 3 2
2 3 2 3 9
1 70
l l
m m x x x x
m y y dx dx ml
l l l l l l
⎛ ⎞⎛ ⎞
= = ⎜ − + ⎟⎜− + ⎟ =
⎝ ⎠⎝ ⎠
∫ ∫
(12.58)3 2 2
14 0 10 01 0 3 2
2 3 13
1 1
420
l l
m m x x x x
m y dx dx ml
l
θ
l ⎛ l l ⎞ ⎧ l ⎛l ⎞⎫= = ⎜ − + ⎟⎨ ⎜ − ⎟⎬ = −
⎝ ⎠
⎝ ⎠ ⎩ ⎭
∫ ∫
(12.59)2
2 2
22 0 10 0
1 1
105
l l
m m x
m dx x dx ml
l
θ
l ⎧ ⎛l ⎞⎫=
∫
=∫
⎨⎩ ⎜⎝ − ⎟⎠⎬⎭ = (12.60)2 3 2
23 0 10 01 0 3 2
2 3 13
1 420
l l
m m x x x
m y dx x dx ml
l θ l
⎧⎪ ⎛l
⎞ ⎫⎛⎪l l
⎞=
∫
=∫
⎨⎪⎩ ⎜⎝ − ⎟⎠ ⎝⎬⎜⎪⎭ − + ⎟⎠ = (12.61)2 2
2
24 0 10 01 0
1 1 1
140
l l
m m x x x
m dx x dx ml
l θ θ l
⎧⎪ ⎛l
⎞ ⎫⎧⎪l
⎛l
⎞⎫= = ⎨ ⎜ − ⎟ ⎬⎨ ⎜ − ⎟⎬ = −
⎝ ⎠ ⎩ ⎝ ⎠⎭
⎪ ⎪
⎩ ⎭
∫ ∫
(12.62)3 2 2
2
33 0 01 0 3 2
2 3 13
35
l l
m m x x
m y dx dx m
l l l l
⎛ ⎞
= = ⎜− + ⎟ =
⎝ ⎠
∫ ∫
(12.63)3 2 2
34 0 01 01 0 3 2
2 3 11
1 210
l l
m m x x x x
m y dx dx ml
l
θ
l ⎛ l l ⎞ ⎧ l ⎛l ⎞⎫=
∫
=∫
⎜⎝− + ⎟⎠ ⎩⎨ ⎜⎝ − ⎟⎠⎬⎭ = (12.64)2 2
2 2
44 0 01 0
1 1
105
l l
m m x x
m dx dx ml
l θ l
⎧l
⎛l
⎞⎫=
∫
=∫
⎨⎩ ⎜⎝ − ⎟⎠⎬⎭ = (12.65)である。ゆえに,要素の質量マトリックスは,対称行列であることを考慮する
と,以下のとおりとなる。
[ ]
2 22 2
156 22 54 13
22 4 13 3
54 13 156 22
420
13 3 22 4
ya a yb b
ya a yb b
u u
F
l l
M
l l l l
M m
l l F
l l l l M
θ θ
⎡ − ⎤
⎢ − ⎥
⎢ ⎥
= ⎢ − ⎥
⎢− − − ⎥
⎣ ⎦
(12.66)