第 2 章 わが国地方自治体における業務改善運動の現状と課題
2 PDS のサイクル化
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図表2-20によると、三条市では「②コスト削減」が重視されている。三条市の業務改 善では、経営改革本部が主導して改善目標および進捗管理を行っており、改善目標を達成 することが求められている。そのため、三条市の業務改善は、効率性重視型と位置づける ことができる。
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業務改善運動は、行政サービスの有効性向上を重視する一方、行政サービスの効率性向上 を重視する傾向にないという現状が明らかになる。
類型化した結果、先進自治体は、行政サービスの有効性向上に資する取り組みとして、
業務改善運動に取り組んでいることが明らかになった。また、地方自治体の業務改善運動 には、①政策目標の実現を企図したマネジメント・サイクルを展開していない、②行政サ ービスの効率性向上を重視する傾向にないという課題を明らかにした。
本章で考察した先進自治体の取り組みを踏まえると、業務改善運動が行財政改革プラン を推進する一つのツールとして位置づけられている。全庁的な業務改善運動を展開するこ とによって、多くの職員を改善活動に関与させ、改善文化を醸成させるという点で、行財 政改革プランの推進に有効である。しかしながら、業務改善運動がさらなる行政改革の推 進に寄与するためには、活動結果をフィードバックさせ、効率性と有効性の視点からマネ ジメント・サイクルを展開させる必要がある。つまり、第1章で整理したように、行政評 価から導出された評価をもとに、改善活動を実践していくことで、マネジメント・サイク ルの展開を企図すべきである。
(注)
1 石原俊彦編著『地方自治体業務改善』関西学院大学出版会、2012年、13-14頁。
2 石原俊彦「自治体がディスクロージャーをする意義」、公会計改革研究会(編)『公会計改革-デ ィスクロージャーが「見える行政」をつくる-』日本経済新聞出版社、2008年、179頁。
3 石原は、自治体の目指すべき方向性を「経営改革のベクトル」として、NPMの基本原則をマトリ クスで整理し、「成果志向」と「職員の意識改革」の交差点として業務改善運動を整理している。
石原俊彦「職員の意識改革と市民の協働-現場の業務改善をどう進めるか-」『地方行政』第9583 号、2003年、2頁。
4 元吉由紀子『期待される市役所へ-行政経営のムリ・ムダ・ムラを突破する!-』ぎょうせい、
2012年、8頁。
5 岡崎真弓「自治体の経営改革-業務改善運動の役割と課題-」『経営戦略研究』第2号、14頁。
6 福岡市経営管理委員会「市長への提言:『行政経営』の確立を目指して-DNA2002計画:市役所 の“DNA転換”に向けて」、2000年。
7 「同上稿」、7頁。
8 「同上稿」。
9 石原俊彦編著『前掲書』、16頁。
10 福岡市経営管理委員会「前掲稿」、13頁。
11 宮入小夜子「行政組織の組織風土改革に関する実態調査報告」『日本橋学院大学紀要』第9号、
2010年、81-98頁。
12 全国都市改善改革事例発表会は、2008年に山形市で、2008年に尼崎市で、2009年に福井市で、
2010年に中野区で、2011年に北上市で、2012年にさいたま市で、2013年に大分市で、2014年 に福岡市で、2015年に三条市で開催されている。
13 全国都市改善改革事例発表会の開催自治体は、2008年に開催された第1回大会から第9回大会
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まで審査委員長を務める石原俊彦によって協議が行われ選定されている。
14 2014年4月1日現在。
15 大泉信一「創造型行革に向けて-小さな改善から大きな改革へ 業務改善改革運動-」『地方自治 体職員研修』第40巻、第4号、2007年、61頁。
16 山形市「山形市新行財政改革プラン」2005年、5頁。
17 2005年の実行委員会は、市民活動支援センター、建設部管理課、都市計画課、浄化センター、健
康課、済生館管理課、清掃管理課、教育委員会管理課、スポーツ保険課、生活福祉課、文化振興課 および国民健康保険課の職員で構成された。
18 2014年4月1日現在。
19 石原俊彦編著『前掲書』、95頁。
20 尼崎市「第1回 YAAるぞカップの概要」2004年。
21 職員提案制度は、改善・改革に向けた提案を職員から募集する制度である。その提案は、審査委 員会等で検討が加えられ、実現の可否が決定されるため、提案に留まる場合もある。その一方、業 務改善の実践活動は、職員の自発的な行動が尊重され、改善・改革に向けて既に実践した職員の活 動である。詳細については次の文献に詳しい。石原俊彦編著『前掲書』、4-6頁。
22 尼崎市「平成15年度施政方針 夢、アシスト、あまがさき。-希望と活力のみなぎるまち-」
2003年。
23 2014年4月1日現在。
24 坂川まさる「ふくい『誇りと夢』プラン-市民とスクラムを組んでふくいの未来を創造します」
2006年、16頁。
25 職員提案制度では、①施策の提案部門、②ゼロ予算部門、③業務改善部門に分けて提案募集が行 われている。職場実践型では、前例や慣習に捉われないことを前提にして1職場1改善を目指した 改善活動が行われている。
26 2015年における福井市の行政組織図には、101の職場が示されている。そのため、福井市の業務
改善は概ね1職場1改善が達成されていたと判断した。
27 福井市「改善王2010『職員の知恵袋』実施要領」2010年、1頁。
28 2014年4月1日現在。
29 中野区「中野区経営改革指針」2003年、2頁。
30 2003年に策定された中野区経営改革指針では、「接客向上運動」と示されており、後に「おもて
なし運動」に名称が変更されている。中野区区長室「新たなる地方自治の確立へ-区民満足度の高 い区役所を目指して『おもてなし運動』を進めています。」『地方公務員月報』第506号、2005年、
1-3頁。
31 2014年9月20日、中野区の業務改善担当職員(酒井直人氏)に電話にてインタビューを行った。
32 2014年9月20日、中野区の業務改善担当職員(酒井直人氏)に電話にてインタビューを行った。
33 2014年4月1日現在。
34 筆者は、2014年9月30日に北上市の当時の業務改善担当職員(高橋謙輔氏)に電話にてインタ ビューを行った。
35 2014年4月1日現在。
36 さいたま市行財政推進本部「さいたま市行財政改革推進プラン2010」2010年、19頁。
37 筆者は、2012年3月2日に大分市役所にてさいたま市行政改革推進部担当職員(柳田香氏)に インタビューを行った。
38 2014年4月1日現在。
39 石原俊彦編著『前掲書』、133頁。
40 大分市では、大分市カイゼン活動の実施に関する要領が2009年4月に施行され、この要領に基 づき、改善活動が実施されている。
41 筆者は、2012年3月2日に大分市役所にて大分市行政改革推進室担当職員(新井徹氏)にイン タビューを行った。
42 2014年4月1日現在。
43 福岡市総務企画局行政経営改革推進室「福岡市行政経営改革プラン」2004年、3-4頁。
44 「同上稿」、3頁。
45 福岡市総務企画局「職場の改善・改革の推進について(平成19年6月19日庁議資料)」2007年。
46 福岡市総務企画局行政経営改革推進室「福岡市行財政改革プラン」2013年、2頁。
47 筆者は、2013年12月20日に福岡市役所にて、総務企画局人材育成課担当職員(立石匡志氏)
にインタビューを行った。
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48 2014年4月1日現在。
49 FSとは、Feasibility Studyの略であり、プロジェクトの実現可能性を事前に調査・検討するこ
とである。市場化テスト導入にかかる調査は、地方自治体が市場化テストを導入・実施するにあた っての実務的課題について検討し、市場化テスト導入の推進に資することを目的として実施された 調査である。
50 三条市「経営戦略プログラム 平成19年度経営報告書」2008年、4頁。
51 三条市「新経営戦略プログラム」2011年。
52 三条市「三条市職員定員適正化計画」2005年。
53 三条市「三条市職員定員適正化計画」2010年。
54 総務省自治行政局公務員部給与能率推進室「平成26年度地方公共団体職員定員管理調査結果 第 2表-1 部門別職員数(北海道~三重県)」2014年。
55 山形市は、既に改善事例に関する資料が廃棄されていなかったため、情報を入手することができ なかった。さいたま市は、職場を単位とした改善活動ではなく、一職員一改善制度として、職員個 人の業務改善を対象としているため、本類型化から除外した。
56 業務改善運動を行う際、多くの自治体はそれぞれの部署にエントリーシートの作成を求めている。
それぞれの部署では、改善活動を計画する段階で、テーマ、目的、取組内容を計画し、エントリー シートにまとめる。改善活動が終了する段階で、エントリーシートに改善効果を書き加える。
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