第 2 章 わが国地方自治体における業務改善運動の現状と課題
5 北上市の Ping!Pong!Pang! 祭
北上市は、人口93,594人、職員数631人の一般市である33。北上市は、2006年から業 務改善運動「きたかみPing!Pong!Pang!運動」および実践事例報告会「きたかみ Ping!Po-ng!Pang!祭」に取り組んでいる。北上市の各職場において、業務の効率化や職場の活性化、
市民サービスの向上を目指して、改善事例の共有、称賛を全職員で行うことで、職員の意 識改革と改善文化の醸成が図られている。
北上市が業務改善運動に取り組むきっかけには、北上市行政評価システム研究部会によ って明らかにされた北上市における行政経営上の課題がある。この研究部会は、2004年に 行政評価システム導入に向けて設置された部会であり、北上市職員 30 人で構成された。
この研究部会で示された課題として、職員のコスト意識の欠如、組織と手続きが機能的で ない、切磋琢磨する意識・チャレンジ精神の欠如といった197の北上市が抱える課題が示 された。その結果、2003年 7月8日に開催された第2回北上市行政評価経営者会議(三 役と各部長で構成される会議)で問題提起がなされ、業務改善を全庁的に取り組むべき重 要な課題として認識されることになった。
件
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北上市の業務改善運動は、2003年10月7日に開催された第4回北上市行政評価経営者 会議の資料に示されている(図表 2-10)。図表 2-10 によると、全庁的業務改善が行政 評価システムにおける役割と機能に位置づけられている。つまり、行政評価経営者会議に よって、業務改善が各職場で日々実践すべき取り組みであることが確認されることとなっ たのである。
図表2-10 北上市における行政評価システムの役割と機能
(出所)北上市行政評価経営者会議で提出された資料(2003年10月7日)。
北上市政策企画課提供。
北上市は、2005年に福岡市や尼崎市といった先進自治体に行政視察を行い、北上市行政 評価経営者会議で議論を重ねた結果、2006年に「北上市行財政構造計画」によって明確に 業務改善が位置づけられることになった(図表2-11)。同年、北上市は「北上市業務改善 改革実践運動実施要項」を策定し、業務改善運動の具体的な方向性を示した。この実施要 項は、業務改善運動の基本方針を「改善に向けた取り組みを全職員が共有し、認め、評価 することを通じて、職員の意識改革への動機づけとなることで、失敗を恐れることなく、
変革への挑戦を続ける組織文化へ改革していくことを理念とし、各職場の状況や必要性に 応じて自主的に取り組むことを基本方針とする」と示しており、北上市における行政改革 のなかで、職員の意識改革と組織風土の改革の必要性を全庁的に認識させることを企図し
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図表2-11 北上市における業務改善の位置づけ
業務改善を示す計画(策定年) 内 容 行財政構造改革計画(2006年) (現状と課題)
これまでも、事務事業の見直しや職場ごとの創意工夫によ り業務改善を行ってきていますが、職員個々又は各職場の 取り組みに委ねられ、全庁的に情報共有してきていないた め、意識や行動面で取り組みの差が生じています。今後、
コスト等の意識を徹底し全庁的に改善改革を進めていく ためには、各職場の取り組み事例を共有し、職場と職員に 動機付けを持ちながら、具体的に業務の改善に取り組む組 織文化へ変革することが必要です。
(改革の内容)
各職場が日常の業務で主体性を持って、自らの課題を自ら の手で解決する改善改革運動を実施します。これまでに実 施してきた事例や、現在進めている取り組み事例を全庁的 に共有し、職場文化の変革を推進します。また、全庁的な 仕組みで実施しなければならない業務改善についても、具 体的に取り組みます。
(効果)
事務事業の効率化や市民サービスの向上、職員の改善意識 の共有化、政策立案能力の向上が図られます。
北上市総合計画(2011年) (施策の方向性:③行政サービスの向上)
市民の視点に立ったきめ細かで利用しやすい窓口サービ スの向上に努めます。
また、新たな行政課題や市民のニーズに的確に対応するた め、職員の能力開発と意識改革を図るとともに、職場の安 全確保と職員の健康管理を徹底し、良好な職場環境の形成 に努めます。
・職員研修、業務改善運動
(出所)北上市行財政構造改革計画、北上市総合計画より一部抜粋。
当時の政策企画課の担当者へのインタビューによると、行政評価の導入に併せて業務改 善を実践することで、評価に対する改善を実践するといったマネジメント・サイクルを各 職場に浸透させることを企図しており、行政評価を導入する意義として、市民サービス向 上に向けた改善活動に取り組むことを全庁的に明らかにしたとのコメントが示された34。 北上市の業務改善運動は、業務改善そのものを単体として取り組んだものではなく、予 算編成や総合計画と連動する行政評価導入をきっかけとして、行政経営改革の一端として 取り組まれたものである。つまり、北上市の業務改善は、行政評価をより効果的に機能さ せるために、導出された評価に対して、改善活動を実践していくことで、行政経営の基盤 となっているといえる。北上市では、図表2-12に示されるように、業務改善運動の定着 とともに件数には減少傾向が見られるものの、継続的な業務改善運動に取り組んでいるこ とが伺える。
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図表2-12 北上市における業務改善運動の取組状況
(出所)北上市政策企画課提供。