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NHK のアイソメトリック種目

ドキュメント内 NHKの間違いだらけの健康体力づくり番組 (ページ 193-200)

6 NHK教 育 テ レ ビ

分のところの運動をすべきです。

そこで一般的におこる中高年者の骨折などのけがの部分の多いところ を調べてみますと、図6‑12のようにl位が手首、 2位が大腿骨、 3位 が腰椎でした。ですから、まず腕の運動をやらなければならないわけで すが、腕の種目はありませんでした。つまり、最初から運動目的と実施 種目とが一致していないのです。

(2)筋力と基礎代謝アップなら大筋群から行う

その2の運動目的は、アイソメトリックで「筋力と基礎代謝をアップ」

でした。基礎代謝をアップとは「筋肉の量を増やす=筋肉をつける=筋 肥大」をさせて、体脂肪の燃焼効率をよくする、ということでした。

図6‑12 三大骨折部分(藤田)

1位、手首の骨折 3位、腰椎の骨折

6 NHK教育テレビ

つまり、身体に筋肉がいっぱいつけば、筋肉が体脂肪を燃焼してくれ るからダイエットしやすくなる、ということでした。そうだとしたなら ば、元々、筋肉が大きいところの部分の運動をした方が、筋肉の肥大効 率がよいわけですから、首などをやらずに「腕、肩、胸、上背、下背、

啓部、大腿部」などの大筋群をやった方が運動効率がよいといえます。

(3)首の後屈運動の方法

首の運動方法は頭の後回(頚椎の後屈)ですから、この動作が首の強 化に役立ち、筋肉量を増やすというならば、特別、手を組んで頭を後屈 させるより、一般的なベットで寝ている仰向け姿勢から、頭に力を入れ

図6‑13 N H Kの首のアイソメ トリ ック 図6‑14A ショルダー・ ブリッジ

図6‑14‑8 ネック ・ブリッジ 図6‑14C ヘッド ・ブリッジ

て、図6‑14のように、ショルダー ・ブリッジやネック ・ブリッジをす れば簡単に行えます。堅い床なら枕や座布団を敷けば問題はありません。

その首の後屈運動の強さを知るには、 NHKのように手で頭を押さえ ただけでは、どのくらい力を出しているか分からないが、ブリ ッジ運動 ならば、 ①腕の補助も必要とする、 ②肩をつけなければできない、③肩 を浮かしてできる、 ④ダンベルや赤ちゃんなら腹の上に乗せてできる、

などなど、その筋力の強弱を知ることができます。

2)肩の運動

NHKが「肩の運動」と称する方法は、図6‑15のように、仏壇で仏 さんを拝むように、胸の前で両手の平を合わせて大胸筋に力を入れるも ので、す。アイソメトリックを紹介するときによく使われる代表的な種目 です。NHKはこれを「肩の運動」と称していますが、これは 「肩の運 動」ではなく、図6‑16と17のような 「胸の運動」 なのです。以下、そ の問題点について解説します。

(1)筋肉運動としての筋肉名のあり方

筋肉の老化は、けがの原因として筋力トレーニングを提唱しているわ けですから、身体部分名プラス筋肉名を付けたさなければ明確な筋力ト

レーニング解説にはなりません。

肩の運動といっても、肩には大きな筋肉の僧帽筋=肩甲骨を動かす、

三角筋=上腕骨を動かす、あるいは複合して動く、というような代表的 な三つの動きがあります。

抽象的な言い回しとして「肩の運動」 といっても分からない場合が多 いので、もう一言「肩の僧帽筋の運動です

J r

肩の三角筋の運動です」

と追加しなければなりません。それは「肩凝り=僧帽筋」の動きに係わ り、「三角筋=四十肩」の動きに係わるからです。

NHKは、 肩の運動にはならない方法を「肩の運動」と称して、しか も追加説明の一言を怠り、意味不明の解説をしていました。

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図615 NHKが肩を鍛えるという 図6‑16 大胸筋のアイソメトリック アイソメトリッ夕方法

図617 胸の筋肉を鍛える方法

著者がパワーリフティングのすべて 0986年出版)で胸のアイソメトリ クを紹介したイラスト

水平内転運動(水平屈曲、ダンベル フライ)仕事総計27mkp

水平内転に関与する筋肉とその比率 a大胸筋 (65.5%)

b三角筋前部 05.2%) c肩甲下筋 (7.8%) d上腕三頭筋 (3.3%) e烏口腕筋 (2.2%)

(2)肩の運動ではない胸の運動

NHKの解説から、 NH Kが次のいくつかの理由で「筋肉と運動」の 関係が理解されていないことが分かります。これは解説者の筋肉に対す る理解力不足の問題です。

①  単純な間違いではない

平成 13年 11月17日、愛知県スポーツ指導者連絡協議会で「楽々体 力づくり」というテーマで、 NHK解説者の湯浅教授の講演がありまし た。このときも、今回のNHKテレビと同じ話をされました。そのとき 講演会が終了すると、私は、すぐ「胸の前で手を合わせて力を入れたら 肩の運動になるのですか?Jと、確認の質問をしました。すると、その 返事は「それは筋電図で確認できます」の一言で次の質問者の方に移ら れました。

②  この運動は大胸筋が発達する

この運動は、いくつかの理由により「胸の運動」として紹介されるべ き種目であって「肩の運動」ではないのです。

その確認方法は、まず現実問題として、まともにこの運動を行ってい たとしたら、肩(三角筋)が発達したのか? 胸(大胸筋)が発達した の か ? にあります。

肩の運動ではないので三角筋(ただし三角筋前部は 15%の刺激あり) の発達はみられません。

大胸筋は当然発達します。しかし大胸筋は盛り上がらなかった、とい うことは、大胸筋発達の確認できなかったから「胸の運動である」とい ことに気づかなかった? このことは前述しましたように、徒手でのア イソメトリック効果を出すのはきわめて難しいことを示しています。

はからずも、解説者自身が胸の運動をやったのにもかかわらず、胸の 筋肉が発達しなかったから「肩の運動であるJと思い続けていたことに なります。

(3)肩の運動と胸の運動の基本的違い

肩と胸の運動方法の基本的な違いは、腹筋運動のところで述べたよう

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に、その筋肉の起こりと付くところで決まっています。

①  肩の三角筋の運動

肩の三角筋は、肩甲骨から起こり、上腕骨に付いていますから上下方 向運動に適しています。そのため重力に対して垂直姿勢(直立)の場合 は、下に垂れ下がった腕を上に持ち上げます。つまり水平方向で・はなく 上下方向の運動をするということです。

図6‑18 レイズ(肩)

A 持ち上げ 肩の屈曲筋肉

(ロント・レイズ)

図619 プ レ ス (肩)

B押し上げ

僧帽筋上郡 一三角筋前部

三角筋中央御 前鋸筋

*肩の屈曲に関する筋肉と その比率

a三角筋 (62.3%)

b上腕二頭筋短頭 00.7%) c練上筋 (8.8%)

d大胸筋鎖骨部 (5.0%) e練下筋 (5.0%) f烏口腕筋 (4.4%) g肩甲下筋 (3.0%) 肩の筋肉は上下方向に走る から腕の上下運動となり、 胸の筋肉は水平方向に走る から肩の水平位で腕の開閉 運動となる。(図6‑17参照) 図620 ローイ ン グ (肩)

C引き上げ

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