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3 大腰筋の MRI
第5章 NHK朝の生活ほっとモーニング
をしにくくしてしまいます。
大腰筋の前を横切っているのは恥骨ではなく、図5‑11と12にみられ るように、それは「鼠径靭帯」なのです。靭帯ですからある程度の可動 域はありますし、靭帯の先端は、図5‑11にみられますように上前腸骨 聴(骨盤の上の前の出っ張り)に付いていますから、股関節を直角以上 に持ち上げることができるのです。
過去、何十冊におよぶ解剖学の専門書を見てきましたが、今回のN H Kのように、恥骨の前を通る大腰筋など見たことはありませんでした。
この基本的な大腰筋の性質を知らずして大腰筋を解説しているのですか ら、その放送内容は察してしかるべきです。
J.Weineck :著有働正夫訳の『スポーツ解剖学Jで次のように述べられ ています。
「腸腰筋は典型的な走筋であり、大腿を前方に導く :この筋の力または 活動時間および歩幅、 たとえば400メートル走における歩幅の恒常性に 明瞭に対応する。」と述べられています。すなわち、膝が高く持ち上げ
られ歩幅が広がる運動です。
このことは、堀井昭氏が『スポーッ障害の克服』で、大殿筋について 述べていましたように、「歩く、大股歩き、ジョギングではこの筋肉は 鍛えられない」とする記述に一致するところがあります。
すなわち、筋肉が適正に発達するためには、運動の大きさと強さ、運 動の持続時間、という条件をクリアーしなければならないということで す。中でも腸腰筋の性質を第1章で述べたように、大腰筋は速筋系のパ
ワー筋肉なのです。
図5・13A 高野選手の腹部断面MRI 図5・138 鈴木 (65歳)の腹部断面CT
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。
NHKが大腰筋がよく発達する事 例として取り上げられた400メート ルのスプリンター高野選手の大腰筋。高野選手が示すまでもなく、20年前 に腸腰筋(大腰筋、腸骨筋)は典 型的なスプリンターの筋肉で、 400
メートル走においては明瞭に対応す る。と、解剖学専門書に述べられて いる。
4・鈴木は現在65歳、特別ランニンクーなど は行つてはいません。しかし、どの筋 肉を見てもNHKが示した20歳の人よ り脂肪が薄く筋肉が発達している。 65 歳という前提条件でも、腹筋・背筋の 発達は明確であり、その大腰筋も高野 選手と比較して劣るとはいえなし、。と いうことは、大腰筋のトレーニングの ためには、 一般人が行うことはない 400メートル・スプリント、あるいは NHKが提唱するスクワット、あるい は特殊なお尻歩きやチューブ運動など の大腰筋運動より、一般的な筋力トレー ニングで十分であるといえる。
第 5~言 NHK朝の生活ほっとモーニング
したがって、全力で400メートルを走り抜くパワーには、大腰筋が必 要であって、一般的に行われているウォーキングやジョギングなどの運 動負荷では、発達しにくいことを意味しています。
また、 NHKが大腰筋強化方法として紹介した r5つの運動方法」は、
400メートル全力疾走の負荷量とはかけ離れたものであることが、後で 述べるところで確認できます。 NHKが紹介した5つの大腰筋トレーニ
ング種目と高野選手の大腰筋との間の関連が一致していません。
多分、 NHKはサンプルとして紹介したといわれるでしょうが、現実 ばなれした雲の上のサンプルであったので、 NHKがいう「日ごろ運動
していない人の動機づけ」となる実践活動と結びつきませんでした。
3)理解できない大腰筋M R
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の比較方法400メートル全力疾走が、大腰筋の発達に効果的である、としても、
一般的な高齢者では400メートルの全力疾走などできません。それでも、
NHKの5つの運動方法が、それに見合った運動負荷を与えることがで きるならば問題はありませんが、圧倒的に負荷のかかりにくい方法が紹 介されているのです。
NHKの上体起こしやスクワットが正しいとするならば、その方法で 行った結果、このような大腰筋がつきました、とMRIで紹介しない限 り信用はできません。その証明がなL、から、 400メートルの超一流スプ リンターのMRIを持ち出したのです。
また、 70歳でトレーニングをしている人としてない人のMRIでも 比較されていましたが、そのトレーニング内容は、 NHKの5つの運動 種目として行われたものである、とは紹介されていませんでした。
その比較は、ただトレーニングをされた 70歳の人のものでした。 何 をしたら大腰筋が大きくなったかが重要ですから、トレーニング効果の 内容を示すべきです。
以上が大腰筋の発達サンプルとして出されたMR 1 は400メートル全 力疾走では発達するということが証明されても、 NHKの5つ運動種目 の効果は証明はされないとする根拠です。
4)大腰筋に関する年齢とトレーニングの有効性(図5・14)
大腰筋が萎縮している様子を、①70歳代と 20歳代のMRI、 ②70 歳で トレーニングをしている人、してない人のMRIで比較していまし たが、特別、大腰筋だけが萎縮しているとはL、えません。
2
)で「つまずき、転倒、骨折」に関する原因として、直接歩行に関 係する腰部や下肢筋群の弱体化は、大殿筋、大腿四頭筋、下腿三頭筋などにもあり、その原因はいくつかあることを解説しました。
このことは、 NHKが示した腰部のMRIからもいえます。NHKは
r
20歳代と 70歳代の大腰筋を比較すると、 50%も萎縮している」とい い、加齢にともなって萎縮筋肉は、大腰筋だけのように印象を与えてい ます。テレビの映像程度でも確認できるほど、明らかに背筋、腹直筋なども 50%程度に衰え、その反対に脂肪は 50%以上増えています。このこと から、特別、大腰筋だけが筋萎縮することではないということが確認で きます。大腰筋だけを論じるなら大腰筋だけのMRIを拡大し見せれば よいと思いました。
図5・14 70歳と 20歳の筋量の比較
/へその位置 /へその位置
70才代 20才 代
4
・
70才代と20才代の胴体の横断面筋量を比較すれば、加齢とともに筋量が減っ てくるのは当然である。それは大腰筋のみにこだわることなく、大腰筋より もっと生命維持に大切な腹筋、背筋など全てにおいて弱体化が確認できる。※は大腰筋のみに注目させすぎていることを示した大腰筋の大きさである。 はたして、今の20才代の人がここまで大きいのか疑問である。 NH Kは大腰 筋を強調したがっている。
第5章 NHK朝の生活ほっとモーニング
5)か ら だ を 支 え る 筋 肉 は 大 腰 筋 だ け か
NHKは大腰筋のことを、上半身と下半身をつなぐ重要な筋肉である、
と全ての健康体力の源は大腰筋にあると解説していました。何に対して 重要なのでしょうか? 前かがみ姿勢なるのも大腰筋の弱体化のせいだ そうです。
一寸まってください、といわざるをえません。少なくても、からだを 支える筋肉は、その筋肉の量、筋出力などからみて、大腰筋よりも背筋、
腹筋の方が大きいのです。
また、下肢を支える筋肉は大殿筋、大腿四頭筋、下腿三頭筋などの方 が大きいのです。まして、大腰筋の主なる仕事は股関節屈曲運動なので す。ももを持ち上げる股関節屈曲動作に働く筋肉は、大腿直筋や大筋膜 張筋などのももの筋肉も大きな影響力をもつのです。特別、大腰筋だけ がからだを支え、股関節屈曲運動をしているわけではありません。
そのため、これら筋肉を含めて、テーマであります『つまずき、転倒、
骨折』予防のための運動を解説しなければならないわけです。
多分、 N H Kは、分かっていることではあるが、限られた時間で解説 するには無理があるので害JI愛させて頂きました。というでしょうが、
「つまずき、転倒、骨折というテーマの予防のためには、基本的には主
図5・15 70歳のトレーニングしている人としていない人の筋量の比較
へその位置
へその位置
トレーニングしてない人 トレーニングしてる人
.高齢者の トレーニングしている人と、していない人を比較すると、明らかに 大腰筋や背筋の筋断面積に違いがあることが確認できる。しかし、横腹の筋 肉(外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋)はトレーニングしていない人の方が良い ようにもみられるが?
力となる大筋群ですが……」と、いうことくらいは十分できます。それ すらできなかったのです。それは大腰筋が理解されていなかったという か、基本的な身体の運動原理が理解されていなかった、といわざるをえ ません。