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ISO コンテナデータセンタの構築

第2部 IT による企業活動の見える化技術~EEMS 適用の際のポイント~

3. 高効率化技術に関する取り組み事例

3.4. ISO コンテナデータセンタ((株)アイピーコア研究所)

3.4.3. ISO コンテナデータセンタの構築

証を取得していない物がある。認証を取得すればコンテナ船で安く運べ、取得していな いとバラ積み船での高い運搬コストが発生する。NFH は ISO 海上コンテナを国内唯一規格 認証取得可能な設備を持つ企業である。

(2) 間接外気冷却空調装置

海外のコンテナ DC は前述の結露対策を含め水冷式が多く用いられている。その水冷式 は効率が良く大量の熱を冷却可能である。しかし、日本では水設備を準備することは簡 単でなく、かつ使用する水資源の量と金額が膨大になる。最近、水の使用量が従来の水 冷式より 1/20 以下の噴霧式冷却を用いたコンテナ DC が発表されたが、使用される水の 量が毎分 7.6 リットル必要となる。この使用量を水道料金に換算すると、月額 9 万円程 度(東京都水道局の場合)になり、決して安いものではない。よって、国内では空冷式 の電気式空調装置を使わざるを得ないが、PUE が悪くかつ巨大な為 20ft コンテナ内に 8 本のラックと空調装置を同時に納めることはとても困難である。そこで今回は新方式の 空調装置を開発した。図 3.4-4に新方式空調装置の概要を示す

室内機

室外機 サーバ廃熱により、液体冷媒が

加熱され沸騰しガス化(吸熱)

冷たい外気により、ガス 化 冷媒が冷却され液化(放熱) ガス冷媒

液体冷媒

②新空調装置の基本構造

①熱交換機

図 3.4-4 新空調装置の概要*25

新方式の空調装置に採用した熱交換機(図中①、以下熱交と称する)は、外形寸法が約 80 ㎝×50 ㎝で 2,300 ㎡もの熱交換面積を持つが、面積が大きい程熱交換能力に優れる。今 回は熱交を 32 枚使用し、これは 2 万坪強の熱交換面積に相当する。室内側の熱交は IT 機

*25 (株)アイピーコア研究所作成

器の熱を熱交内部の冷媒に吸収し、外側の熱交は外気により冷媒の熱を放出し、冷やされ た冷媒を室内側に戻す(図中②)。電気式空調装置は圧縮機を使い動作するがこの圧縮機が 大電力の元凶である。熱交は圧縮機を用いずに自然の熱循環で熱交換を行うので熱交自身 の冷媒移動に伴う電気使用はゼロである。熱交が効率的に熱を吸収及び放出する為の風が 必要であり、電気式ファンを使用し、必要な電気はファンの電力のみである。新方式の空 調装置は密閉型外気冷却空調になっており、コンテナ内部はいつも同じ空気を循環する(図 中③)。開放型外気冷却は外気が常に IT 機器内部を通過する為機器の寿命が短くなること があるが、本装置ではその心配はない。

空調装置は IT 機器の廃熱温度と外気の温度差で性能が決まる。20℃以下では全体で 100kW 相当の能力を有するが、夏場の 40℃に達する時は性能が落ち半分程度になる(図中④)。し かしながら夏場でもラック当たり 4kW の空調能力は国内の通常の DC 運用なら電気式空調装 置が不要であることを意味する。但し外気冷却方式は外気温度以下に冷やす事は出来ない。

夏場外気は 30℃を超えるため、IT 機器が 30℃以上の環境で動作出来なければ、補助の電気 式空調装置を使用し内部温度を 30℃以下の適温に保つ必要がある。冬場は外気が氷点下に なる。開放型外気冷却では常に氷点下の空気が内部に入るので、ヒーター等で空気を温め る必要があるが、本空調装置はコンテナ内部の空気が外気に触れることがないので、熱交 換能力を下げることで調整が可能である。本空調装置を使用した場合、夏場以外で PUE は 1.1 以下(0.1 分は熱交へ送風するファン用の電力である)になり、夏場の PUE は約 1.3 で あり、年間を平均すれば 1.2 以下を達成する。

(3) 低消費電力&高温動作対応 IT 機器

現在の IT 機器は多少グリーン IT を意識しているが、省エネより処理性能を優先した製 品も多くあり、省エネを優先に開発されているとは言えない。また、空調で消費される電 力を減らすためには、機器の動作温度環境を上げると良いが、動作温度が高い(40℃以上)

IT 機器は開発されていない。そこで省エネと高温動作に対応できる IT 機器を開発する。

省エネはインテル CPU を使用する前提では限界があるが、その中で最少にする事は可能 である。TDP(Thermal Design Power)の低い IC を選び無駄な電気を最少にする。次に動作 温度への対応は工業用コンピュータの基準にすることで可能とした。工業用コンピュータ は、劣悪な環境での動作を前提にしているため、40℃~50℃でも動作可能である。また、

工業用コンピュータは信頼性や MTBF 値(Mean Time Between Failure)が通常品より高く、

常温動作時では長寿命ある。さらに同一製品を長期供給(約 5 年)可能になる。

ISO コンテナ DC に合せてサーバ機器“NX130”を新規開発した。NX130 は 1U サイズで動 作電力は平均値で 50W 以下、最大でも 70W 以下で動作する。CPU は新型 Core i7 で 4 コア 8 スレッド動作し、8GB メモリ、4TB の HDD が実装できる。さらに工業用コンピュータ仕様の ため 40℃~50℃でも動作可能である。NX130 と ISO コンテナ DC の組合せでは 1 年を通じて

本であり、既存 IT 機器は最後には人の操作に頼る場面がある(電源 on/off と Reset 操作)

が、NX130 はそれらも遠隔操作可能とした。

(4) トライブリッド電源

トライブリット電源とは、三種類の異なる電源を有効に活用することである。その三種 類の電源とは、自然エネルギー、商用電源及びバッテリーである。

第一電源 直流/交流(太陽電池等自然エネルギー)

第二電源 交流(商用電源)

第三電源 直流(ラック搭載共通バッテリー:UPS 相当)

直流(機器内蔵2次電池、ノート PC のバッテリー相当)

トライブリッド電源を実現するための重要なパラダイムシフトは、全てを直流電源ベース に切換えることである。元来 IT 機器内部は全て直流電源であり、さらに多種類の電圧が必 要なので内部で作り出す。その基準値は“直流 12V”である。電圧は何ボルトから変換して もかまわないが、現在は殆どの電圧が直流 12V から簡単に作れるように部品が揃っている。

図 3.4-5 トライブリット電源の概念図*26

従来のパソコンやサーバ類は交流 100V から一旦直流 12V を作り、IT 機器の部品に対し 必要な複数電圧を供給する。トライブリッド電源の基本方針は直流 12V に統一すること である。但し単に 12V 動作が出来ても不十分である。特に 12V バッテリー駆動時は電圧 の変動が大きく通常の±10%の余裕値では動作しない。±20%(9V~15V)の余裕値が必要 になる。またリチウムバッテリーを使用するときは、より高い 24V 基準にする必要があり、

提供するトライブリッド電源では 9V~30V の広範囲な電圧に対応させた。トライブリッ ド電源は、UPS 代わりに直接バッテリーが使用できる。また、サーバ内部にバッテリーを 直接接続すれば、サーバがノート PC の如く振る舞える。このことは IT 機器毎に SLA(Service Level Agreement)を設定できることに繋がり、より高品質なサービスや運

*26 (株)アイピーコア研究所作成

用が可能となる。本 ISO コンテナ DC では IT 機器以外に熱交や監視システム等全てに渡り 直流で動作するように開発した。

(5) 電力監視

本 ISO コンテナ DC は全ての機器の電力をリアルタイムに測定し記憶する。具体的にはラ ック内部の IT 機器に対し交流 200V 系、交流 100V 系、直流 12/24V を各コンセントバーか ら電力供給する。そのコンセントバー全てに電流・電圧値を測定するセンサーを付けて、

監視システムがネットワーク越しにデータをリアルタイムに拾い、遠隔監視システムへ表 示・記録する。熱交や電気式空調装置や照明等も同様に電力測定するセンサーを付けて監 視記録する。電力以外にも外気温度やラック温度や排気温度等及び湿度、気圧も同時に表 示・記録する。

図 3.4-6 電力測定センサーと測定グラフの例*27

(6) コンテナ電源装置

本 ISO コンテナ DC は外部より最少のケーブル接続で動作する。電源は外部より交流三相 400V 又は交流三相 200V を1本と光ケーブル類である。ラック供給可能な電源量は空調能力 に左右され、本コンテナ DC では1ラック 6~8kVA を目安とした。8kVA×8 ラック=64kVA と補助空調用電源約 12kVA で合計 76kVA となり、稼働効率を加味して約 100kVA の電源設備 が必要となる。それらの分電盤や PDU(Power Distribution Unit)も内蔵する。コンテナ DC は単体で運用される事も複数台で連動運用する事もある。どちらでも運用可能な様に電 源装置は 1 台のコンテナ DC で完全に解決するようにした。DC ゆえ二系統受電も意識する必 要があり対応可能とした。更にトライブリッド電源対応のため、自然エネルギー受電設備 も考慮した。コンテナ DC は形状が限られているので二系統受電と自然エネルギー受電を同 時に実現は出来ないが、トライブリッド電源のみに対応すれば大規模停電時に 10 日程度の バッテリーのみの運用も可能である。