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欧米と日本の DC 比較

第2部 IT による企業活動の見える化技術~EEMS 適用の際のポイント~

3. 高効率化技術に関する取り組み事例

3.4. ISO コンテナデータセンタ((株)アイピーコア研究所)

3.4.2. 欧米と日本の DC 比較

(1) データセンタの運用形態

日本の DC コストが高い主な理由は次の 4 点である。①地震対策費用、②大都市への集 中、③高層階の DC、④DC 規模が小さい。他方、欧米では広大な土地と安い電気代を自由 に選べ、かつ地震対策の必要がない。図 3.4-2に、米国の著名な DC の写真を示す。

図 3.4-2 米国のDC事例*22

米国では土地建物には費用をかけずに、簡素化された DC を建設するケースが多い。し かし、電気代は1kW 当たり 5 円と安価ではあるが、IT 機器の台数が膨大なため、その消 費電力と冷却電力が鍵となる。どの DC も無駄な電力を最小限にする工夫がなされている。

マイクロソフトは、短期間で構築かつ運用を単純にするため、コンテナ DC を中心に導 入している。IT 機器に障害が発生した際には内部の機器を1台毎にメンテナンスせずに、

コンテナを1台の IT 機器と見てコンテナ単位で入れ換えを行う。発注から稼動までを 3 ヶ月で行う。

ヤフーの事例は通称“鳥小屋“と呼ばれる最新の DC である。夏場でも 25℃を超えない という地域特性を最大限に活かし、電気式空調設備を置かずに自然空冷を採用している そうである。

グーグルの場合は DC というより化学工場に見える。これは冷却用に水を大量に使用し ており、その水の配管が化学工場に見えるからである。

このように米国の各 DC は低コスト化のために様々な工夫をしており、機能は同じだが 運用形態に特徴を持っている。一方、日本の DC は各社どこの DC を見てもほぼ同一であ り、建物型であり電気式空調機で冷却する。

なお DC の評価指標に“PUE(Power Usage Effectiveness)”がある(PUE は IT 機器が 使用する総電力を分母とし、その DC 全体の総電力を分子とした指標である)。理想は PUE

=1となるが、日本の DC は PUE=2 前後の DC が多い。前述の米国先進 DC では、1.2 以下 が一般的で、電気代が半分かつ電力効率も半分程度なので、実質日本と 4 倍の差がある といえる。

(2) 空調方式

一般的な DC の空調方式には、図 3.4-3に示す三つの種類がある。

①は従来型であり、日本の DC の殆どがこの方式を採用している。同一空間で発熱した エネルギーを強制的に空調により冷却するので効率は悪く、PUE=1.2 程度にするのは困難 である。

②はグーグルの主力方式で熱源を水で冷却する。大量の水を必要とするのが欠点であ

るが、効率は良く PUE=1.2 以下の報告がある。水は解決すべき課題が多く、水道水でも 内部の不純物によりパイプが詰まり漏水の原因になるなど、高品質な水質を維持しなけ ればいけない。また、大量の水資源は公共の水道水では困難なため、DC 自身で湖水や河 川から水を摂取し、水を綺麗に濾過する化学プラントが必要になる。

③は最近の流行であり、空気をそのまま IT 機器内部を通過し冷却するのではなく、外 気を使って熱そのものを外部に排出する方式である。実態は簡単ではなく、大量の空気 を高速に移動する強力な送風機が必要となりその分の電力が増加する。外部の空気は綺 麗ではなく、塵やガスが混じっているのが常であり、ナノレベルの油ミストやカーボン 等を吸い込むとIT機器に重大な被害を及ぼす。日本の夏場は 40℃程度の高温になり、

雨天時は 100%近い湿度にもなる一方、厳冬期は氷点下 20℃もある。高温や湿度や超低 温の空気は全て IT 機器に重大な被害を及ぼす。それらを排除するフィルターや空調装置 が別途必要になるため運用効率を下げる要因になる。

図 3.4-3 空調方式の種類*23

(3) コンテナ DC

コンテナ DC は、2005 年に米国で初登場したので歴史はまだ浅いが、日本での導入はま だ始まったばかりである。

欧米のコンテナ製品は決められたルールがある。それは ISO 規格の海上コンテナを使 用することである。ISO 規格コンテナ[3]ゆえに形状が決められている。巾は道路運搬を 考慮し 8ft(2,438 ㎜)で固定され、長さは 20ft(約 6m)と 40ft(約 12m)の 2 種類 が標準であり、高さは 8ft6in(約 2.6m)と 9ft6in(約 2.9m)の 2 種類がある。

この狭い空間にコンピュータラックや空調装置、分電盤や電源を効率良く納める。コ ンテナ 1 台で既設の DC と同じ機能を持ちながら移動も可能である。駐車場の自動車の如 く複数台並べることで、中規模から大規模 DC の構築も可能になる。本来コンテナ DC は 工場でラック内部に IT 機器を搭載・結線し、ソフトウェアをインストールして完動状態 で出荷する。現地では直ちに運用に入れるようになる。日本では未経験だが、欧米では 本番稼働までの時間とコストを削減し品質を維持している。

*23 (株)アイピーコア研究所作成