第2部 IT による企業活動の見える化技術~EEMS 適用の際のポイント~
4. 効率評価技術に関する取り組み事例
4.4. ルータ・スイッチの省エネ基準の検討
通信機器の省エネルギー化を推進するため、CIAJルータ・スイッチ技術委員会では「ト ップランナー方式」によるルータ・LAN スイッチの省エネ基準を検討している。CIAJ ル ータ・スイッチ技術委員会は国内外のルータ・スイッチベンダにより構成されている。
具体的な活動としては、評価指標を仮定し、既存の製品の電力消費効率の測定データを 収集し、CIAJにおいてデータを分析し、指標及び基準値を定めている。
4.4.2. 実施内容
先の2.1.4節で述べたように、インターネット人口の増加、及びそれに伴うネットワーク
トラフィックの爆発的増加、また従来は回線交換から、IP パケット交換へ転換している中 で、ルータ、スイッチと呼ばれる通信機器の低消費電力化が課題となっている。
現在、省エネ法では、下図に示す省エネ法対象範囲に示すとおり、それぞれネットワー ク層他による定義を行い、その基準を定めている。
図 4.4-1 ルーティング機器、スイッチング機器の省エネ法対象範囲*45
また今後の検討課題として大型ルータ等の省エネ基準があるが、現在、効率指標、
区分、測定方法等の考え方を整理しており、現時点での考え方を図4.4-2に示す。
*45 CIAJルータ・スイッチ技術委員会提供資料
図 4.4-2 大型ルータ等の基準の考え方(検討中)*46
4.4.3. 通信機器の省エネ基準検討の課題
現在、ルータ・スイッチ等の通信機器の省エネ基準がCIAJ等の参加企業の有識者により 検討されてきた。有識者が捉える課題を纏めると以下の通りである。
①通信機器の省エネ基準に関する国際的調和の必要性
通信機器はグローバルに接続され利用されている機器にもかかわらず、実際は各国独自基 準が適用されているのが実態で、作業の非効率性が生じている
②基準のあり方
下記に示すような基準の形態があるが、それぞれ特徴があり、理解して適用しなければ ならない。
・ 法制度:指導力、公平性、厳密性では優れているが迅速性やグローバル性で劣っている。
・ 調達基準:迅速性では優れているが、公正性・厳密性や客観性で劣っている。
・ 自主規制:迅速性では優れているが、指導力やグローバル性では劣っている
・ 技術仕様:公正性や厳密性では優れているが、実環境への配慮や迅速性では劣っている。
③省エネ性能・基準(評価指標や判断基準、測定方法等)の難しさ
通信機器の特徴として、普遍的なエコ性能、評価指標、判断基準、測定方法が未確立の 点が挙げられる。
・ 通信機器は製品が多様(家庭用、SOHO用、企業用、通信事業者用)
・ 各々広い性能範囲(容量:100Mbps~数Tbps、リンク速度:64k~40G)
・ 機能バリエーション(アクセス/エッジ/コア、無線/有線、L3/L2/L1)
・ 使われ方が千差万別(通信事業者:24時間7日利用~家庭:間歇的)
4.4.4. まとめ
①法規制としてルータ・スイッチの省エネ基準を定める省エネ法は世界的にみても例の無 い先進的な取り組みであり、他国に先駆けて法体系として整備済みである。
②通信機器の省エネ機運の盛り上がりと、各国での対応が緒についた段階。基準には、法 的規制と自主規制、調達基準などの個別の取組みがある。
③エネルギー使用量の多い通信事業者の機器調達基準(値)は、事業者毎に定めるのが望 ましいが、普遍的かつ国内外の活動と調和した基準(測定法や対象製品の区分など)が必 要と認識している。特に省エネ法との連携は重要である。
④省エネ推進に適した基準のあり方の検討に際して、機器の使い方を熟知した通信事業者 と機器ベンダの連携による推進が望まれる。
⑤各国の実情を踏まえた上で、グローバル基準を議論する国際連携プログラム(フォーラ ム等)の推進を期待している。
図 4.4-3 通信機器の省エネ基準動向(参考)*47
*47 CIAJルータ・スイッチ技術委員会提供資料
参考文献
[1] 資源エネルギー庁 総合資源エネルギー調査会省エネルギー基準部会(これまでのルー タ等判断基準小委員会等の審議資料)
http://www.meti.go.jp/committee/gizi_8/7.html [2] 資源エネルギー庁、“トップランナー基準”
http://www.enecho.meti.go.jp/policy/saveenergy/toprunner2010.03.pdf
[3] 省エネルギーセンター 省エネ法関係情報(省エネ法解説、トップランナー制度解説、
省エネ法リンク等)
http://www.eccj.or.jp/law06/index.html [4] エコロジーガイドライン協議会
http://www.eco.tca.or.jp/
[5] “Verizon NEBSTM Compliance: Energy Efficiency Requirements for Telecommunications EquipmentVerizon”(米国Verizon社の調達基準)
http://www.verizonnebs.com/TPRs/VZ-TPR-9205.pdf [6] ATISにおける省エネ推進活動(ATIS/Green Initiative)
http://www.atis.org/Green/index.asp [7] ITU-T関係
・ SG5: http://www.itu.int/ITU-T/studygroups/com05/index.asp
・ ICT気候変動FG関係: http://www.ntt.co.jp/journal/0907/files/jn200907044.pdf