第2部 IT による企業活動の見える化技術~EEMS 適用の際のポイント~
3. 高効率化技術に関する取り組み事例
3.5. 国内外ナノテクノロジー拠点におけるキーデバイス技術開発
3.5.2. IMEC
IMEC(Interuniversity Microelectronics Center)は、欧州のナノエレクトロニクス研 究の中核となる開発拠点である。1984 年に設立され本部はベルギーのルーベン市であり 次々世代以降の半導体技術およびシステム設計技術に必要な技術の研究開発を行っている。
ナノエレクトロニクスに関する世界最大級の研究所である。
研究者数は約1,800名(参加企業からの駐在研究員約550名を含む),共同研究企業約600 社である。売上のうち約8割が企業との契約や技術対価であり2009年の収入は275百万ユ ーロである[1]。
産業界のニーズの3年から10年先んじて研究開発を行い,大学の基礎研究と産業界の技 術開発の間にあるギャップを埋めることを目指している。200名を超える博士課程の学生が 研究に参加し高いコストパフォーマンスの一因となっている。
IMECの研究プログラムでは、基礎的な研究領域として「CORE CMOS」「CMORE」が、
応 用 分 野 で あ る Applications Domains と し て 「GREEN RADIO」「HUMAN++」
「NVISION」「ENERGY」がある[2]。
このうち、ナノエレクトロニクスに関連するプログラムは「CORE CMOS」と「CMORE」
の「Photonics」プログラムである。また、パワーエレクトロニクスに関連するプログラム は「CMORE」の「Power-High Voltage」「GaN」と「ENERGY」の「GaN」プログラム
である(図 3.5-6参照)。
ナノエレクトロニクスでは、LSI微細化の要素技術(リソグラフィ、トランジスタ、メモ リ構造、配線)とナノフォトニクスの研究が行われていおり、パワーエレクトロニクスで は、GaNをベースにした研究が行われている。また、近年、太陽電池や環境発電などグリ ーンデバイスに関連する研究も積極的に進められている。
以下、ナノエレクトロニクスとパワーエレクトロニクス関連のプログラムについて報告 する。
CORE CMOS
CMORE
APPLICATIONS DOMAINS
GREEN RADIO HUMAN++
NVISION ENERGY
Photovoltanics(Solar+) GaN
基板エピタキシャル成長 RF デバイス
LED
パワーエレクトロニクス関連の研究プログラム ナノエレクトロニクス関連の研究プログラム MEMS
Power-Hight Voltage Sensors
GaN Photonics
図 3.5-6 ナノエレクトロニクスおよびパワーエレクトロニクス関連のIMEC研究プログ
(2) “CORE CMOS”研究プログラム
More Mooreの領域を担当するプログラムである。プログラムの構成を図 3.5-7に示す。
リソグラフィでは「193nmリソグラフィの延命」と「EUV露光技術」を、前工程では「ト ランジスタ」「メモリ」を、配線では「ナノ構造配線」と「3D積層」を研究対象としてい る。
図 3.5-7 CORE CMOSの構成 [2]
図 3.5-8にIMECに導入されているEUV露光装置を示した。EUV露光は次世代リソグ ラフィの本命技術と見られ、20nm以降に微細化するためのキー技術とされている。図に示 した装置はAlpha Demo Toolとよばれ、試作機のまえの研究段階の装置である。EUV露光 装置のAlpha Demo Toolは世界で3台しかなく、そのうちの一台がIMECの装置である。
また、3D積層プログラム成果であるロジックとメモリの積層したチップも図 3.5-8に示し た。
図 3.5-8 EUV露光装置(左)とロジックとメモリの積層(右)[2]
Nano-Photonics では「光通信」「高速配線」「光センサー」の開発を行っている。図 3.5-9 にSOI上に作成された光配線の図を示す。こ配線ピッチは2μm以下で、Tbit/sの速度で
信号の送信が可能である。光センサーではひずみセンサー、温度センサー、ガスセンサー への応用が研究されている。
図 3.5-9 オンチップ光配線 [3]
(3) “CMORE”研究プログラム
More than Mooreを担当するプログラムである。プログラムの構成を図 3.5-10に示す。
この中でナノエレクトロニクスに関連するのはNano-Photonicsである。この研究プログラ ムにはパワーエレクトロニクスに関連する「Power –hight V HBT」「GaN」の研究プログ ラムも含まれる。
図 3.5-10 CMOREプログラムの構成 [2]
(4) GaN 基板エピタキシャル成長
GaNは一般的にサファイアやSiCなどの異種基板上にエピタキシャル成長により形成さ
性能のデバイスを作成するためには欠陥の少ない良好な結晶のエピタキシャル成長を行え るプロセスの開発を行うことが重要である。IMECはSi基板上にGaNを成長させている。
図 3.5-11 8インチMOVPE装置 [2]
(5) RF デバイス
Si より 5 倍高速にスイッチングできる GaN を用いた HEMT デバイスは高耐圧で 10GHz 以上 の高周波で動作させることが可能である。本研究では、高周波通信機器のキーデバイスで あるパワー・アンプとスイッチングデバイスの研究を行っている。
図 3.5-12 GaNによるスイッチングデバイス [2]
(6) LED
LEDのためのSi基板上のGaNと大口径化で低コスト化を目指している。この分野では LED用の大口径MOCVD装置の開発として太陽日酸と共同で装置開発を行っている。
図 3.5-13 Si基板上に作成したGaN LED [2]
参考文献
[1] ANNUAL REPORT 2009
http://www2.imec.be/content/user/File/Annual_report2009.pdf [2] IMEC Executive Seminar 2010発表資料
[3] IMECホームページ
http://www.imec.be/ScientificReport/SR2007/html/1384332.html LED 構造
発光の様子
3.5.3. Albany Nanotech