第2部 IT による企業活動の見える化技術~EEMS 適用の際のポイント~
3. 高効率化技術に関する取り組み事例
3.2. 省電力・高密度サーバの開発(日本電気(株) )
データセンタ向けサーバは、限られたスペースに、制限ある電力容量と冷却能力も考 慮しながら多くの台数を収納するために省電力かつ高密度・軽量化にする必要がある。
日本電気製データセンタ向けサーバのExpress5800/E110b-Mおよび共有型集合電源 EcoPowerGatewayTMはこれらの要件を満足するように開発された。
図 3.2-1 Express5800/E110b-M*12
3.2.2. 目標
Express5800/E110b-Mは、従来の1way/1Uサーバ(Express5800/iR110a-1H)と比較し て、68%の省スペース化と 70%の省電力化(サーバ 1 台あたり 5 年間で消費する電力を
4600kWh削減)を目標として開発された。
3.2.3. 省電力化における取り組み
以下の施策により、従来の1way/1U機比で約70%の消費電力削減を実現した。
(1) 共有型集合電源(EcoPowerGatewayTM *13)の開発
・ 各サーバモジュールから電源モジュールを排除し、1Uサイズ(高さ44.45mm)の共有型 集合電源に電源モジュールを集約することで、サーバの負荷が小さい場合の電力変換効 率を高め、電力変換損失を低減。
・ 共有型集合電源から各サーバモジュールへの給電をDC12Vで行うことにより、サーバ モジュール内でのAC/DC変換機構を排除し、AC/DC電力変換ロス発生機会を減少させ 効率化。
・ 共有型集合電源と各筐体とを接続するDCケーブルの線長を各々の接続対象筐体との間 隔に合わせて最適化し、伝送路における電力損失を極小化。
(2) 高効率電源の開発
・ 共有型集合電源は100V環境で50%以上の負荷をかけた場合のAC/DC変換効率が92%
以上となる80 PLUS® *14Gold規格の電源モジュールを新規に開発し、電力変換損失を 低減。
(3) 低消費電力コンポーネントの採用とシステム機能の最適化
・ サーバコンポーネントの中で最も消費電力大きいプロセッサの電力消費を低減させる ため、モバイル用途の低消費電力プロセッサ(インテル® AtomTM *15プロセッサ N450) を採用。
・ 内蔵ストレージは通常のHDD(磁気ディスク)に加え、より消費電力の少ないSSD(半導 体ディスク)も選択可能とすることで、サーバのローカルストレージを利用する場合に おいても消費電力量の増加を抑制。
・ I/Oスロット等の拡張機能を省略し、用途に見合った必要最小限の機能実装に最適化す ることで、不必要な電力消費を防止。
3.2.4. 高密度化・軽量化における取り組み
19インチラックの3Uスペースに20台のサーバモジュールを実装し、ラックあたり最大 240台のサーバを搭載可能するために、以下の施策を行った。
(1) 専用形状マザーボード設計
設計の初期段階から最適なレイアウト構造を検討し、プロセッサやチップセットが搭載 された基板(マザーボード)を専用形状とした結果、幅119.4mm × 奥行き453.5mmと、一 般的なATXマザーボード比27%の小型化。
(2) 共有型集合電源(EcoPowerGatewayTM)の採用
各サーバモジュールから電源モジュールを切り出し、1U サイズの共有型集合電源に電源 モジュールを集約することにより、従来は電源モジュールが占めていた空間を筐体内から 排除。
3.2.5. 高温環境対応における取り組み
データセンタ内の空調温度設定を 5℃緩和の 40℃にする以下の冷却技術開発により、空 調機器の消費する電力の削減を実現した。
*14 80 PLUSは、米国Ecos Consulting Inc.の米国およびその他の国における登録商標です。
*15 インテル、Atomは、米国およびその他の国におけるインテル コーポレーションまたはその子会社の 商標または登録商標です。
(1) 熱解析(サーマルシミュレーション)による最適化設計
サーバモジュールおよび、サーバモジュールを筐体内へ実装したシステム全体のサーマ ルシミュレーションを実施し、部品レイアウトの最適配置化、ヒートシンク形状、実装構 造や冷却ファン配置を最適化。
(2) 実機温度評価による更なる最適化
各試作段階にて実機温度評価を実施し、全デバイスが規定値範囲内で動作することを確 認し、実機温度評価結果をダクト等の構造部材設計へフィードバックし改善を繰り返すこ とによる更なる最適化設計を実現。
3.2.6. まとめ(今後の活動と課題等)
本技術はさらなる高効率な電源開発、ならびに稼動可能環境温度を引き上げる技術開発 を進め、順次、デュアルプロセッササーバを搭載する上位サーバへと適用を進めていく予 定である。