• 検索結果がありません。

CIO コア・コンピタンス・モデル構築に向けたプロセス

ドキュメント内 CIO CIO CIO CIO CIO CIO (ページ 156-160)

第8章 結論

8.3. 提言

8.3.1. CIO コア・コンピタンス・モデル構築に向けたプロセス

  これまでの研究結果を踏まえ,日本におけるCIO人材育成試案として「コア・コンピ タンス優先モデルの構築(岩崎モデル)」を提案したい.現行のコア・コンピタンスとの 差別化を図るために次の諸点に留意している.まず,本モデルを策定するにいたるプロ セスを紹介する.

(1) CIOの機能と役割の拡大領域

第2 章で論及したとおり,CIOの機能と役割は拡大しつつある.CEO の下で,ハー ドウェアやソフトウェアなどテクノロジーを元に事業戦略を立案し,新たな業務組織や 業務プロセスを創造し,通信と放送の融合も目指す CTO や,企業が所有するノウハウ や知識,データベースを再構築して組織やプロセスを再編成し,情報システムに適用す

る CKO,リスク・マネジメントや IPR,コンプライアンス,デジタル・コンテンツに

よる知的所有権を担当するCRO,財務を担うCFO,セキュリティ対策を講じる CSO,

このほか,新世代ネットワークなど巨額 IT 投資の理解や予算決定の役割をも包含する ように多面的コンピタンスが求められる.まず,「CIO学」の観点からCIOの定義を明 確にした.グローバル化が進展する中で,日本企業は国際競争力を強化する必要性に迫 られている昨今,IT と経営の両輪でビジネス戦略を担う CIO コア・コンピタンスを明 確にし,責任の所在を明らかにすることは必要不可欠である.もちろん,企業もみなら ず行政CIOの人材育成は,電子政府の国家戦略やIT新改革戦略が謳われる利用率の向 上に欠くことが出来ない.

そして CIO を支える他の役職者,IT スタッフ,あるいは組織の枠組みを越えた協力 関係を確立することである.CIOは,CTOやCSO,CFOなど他の役職者と重複する役 割も多く,いかに協力関係を開拓し,維持することができるかが重要な役割となる.よ りよい組織の構築は,業務の効率化や行政の透明化などあらゆる側面において効果的で ある.CIOが潤滑油となり,プロジェクト・マネジメントや部分最適だけでなく全体最 適を目指すことが求められる.さらに,IT部門と経営部門が協業するための「PDCAサ イクル(Plan-Do-Check-Action)」を組み込み,経営部門が考えた戦略をIT部門がシス テム化するのではなく,連携を保ちながら戦略を構築する組織を生み出すことが可能と なるコア・コンピタンスを念頭に置いた.

(2)  アンケートの検証結果に基づくCIOコア・コンピタンスの日米比較

  第 5章,第 6章で論及したとおり,現場の CIOなどが重要と考えるコア・コンピ タンスは限定される.たとえば,現場のCIOなど優先的コア・コンピタンスとして,「情 報資源戦略・計画」,「情報セキュリティ/情報保護」,「リーダーシップと管理能力」な

モデル策定の際に優先的に考慮した.

一方,優先順位が決して高くはないコア・コンピタンスに対しては熟慮した.「EA」

に関しては優先順位こそ高くないが,電子政府の発展と促進を目指すためには基本的概 念として不可欠である.現場はその重要性を理解していない場合もあることから,「EA」

は「EAならびに評価手法」として新モデルに反映させた.特筆すべきは,日米CIOな どが問題とする評価手法を確立するための一対策である.

(3)  インタビュー調査に基づくCIOの普遍的役割

第6章で論及したとおり,企業ならびに行政,その他CIOにインタビュー調査をした 結果,それぞれCIOに求められる役割は異なる.しかしながら,戦略的思考力や,経営 能力,コスト削減や業務効率化など変革を遂行する際のリーダーシップ力などは官民共 通して重視される.情報・通信技術の発展にともない,膨大な量の情報を共有し,有効 活用するしくみの構築は競争力強化の面で必要となる.情報を取捨選択し,知識や知恵 としながら,組織ベースでビジネス戦略や IT 投資の戦略的活用,電子政府を推進する ためには,ビジネス・プロセス・デザインを描かなければならない.情報システム戦略 の部分で競争力の差異を生み出す価値を創造するためのコア・コンピタンスを定義した.

(4)  ケーススタディによる先進的CIOモデルの検証

第7章で論及したとおり,日本でもCIOをリーダーとして情報戦略を推進している先 駆的な取り組みを行っているトヨタ自動車と東京証券取引所をケーススタディとして検 証した結果,両者にはCIOとして共通の資質を有していることが明確である.たとえば,

ユーザーを重視し,変革・イノベーションを行うリーダーシップ力,技術に対する深い 理解,ユーザーの半歩先を行く技術,開発,品質へのこだわり,情報戦略と政策策定な どである.さらに,目覚しい情報社会の進歩に遅れをとらないためにも,常に最先端知 識とスキルを有することである.

また,CIOの役割は歴史的な変遷から分析した結果,大きく質的変化を遂げてきたこ とが明確である.そのため,CIOコア・コンピタンスやスキルの風化を防ぐためにも定 期的なスキルの確認や評価の導入は効果的である.また,CIOのみならず,部下の能力 成熟度管理や IT スタッフの再教育は必須である.常に変化と革新を迫られる情報化社 会において組織を維持する上で大切なのは,人材戦略や人的マネジメントである.トッ プの育成に限らず,その土台となる IT スタッフには,常に時代に適応したものが要求 される.日本の場合,CIOの大半は情報システム部門出身者が多い.昨今,情報統括責 任者としてだけでなく企業やビジネス戦略のスキルが要求されるなかで,ITスタッフの 適材適所や業績向上に牽引する組織作りは組織の命運を握る決定打となる.また大型プ ロジェクトや大規模なシステム開発などのプロジェクト・マネジメントを実行する際に,

散在するスタッフや部門を越えた人材をいかに統率し,スキルの標準化をさせるかにつ いても重要な課題となる.したがって,人材の適正,パーソナリティ,パフォーマンス,

モチベーション管理などの人事管理全般についての知識が要求される.

(5) CIOエンジニアリングの重要性

CIOの役割は経営領域に重心を置くようになりつつも,新世代ネットワークなどの技 術工学(エンジニアリング)領域もCIOにとって必要不可欠である.特に技術工学にお いては技術経営,すなわちMOTが重視されることからCIOには,技術に立脚した経営 スキルを習得する必要がある.本論文の冒頭で述べたように,日本の国際競争力低下は,

IT の積極的利活用と組織改革のイノベーションの実現による生産性向上は必ずしも全 産業において十分に発揮されておらず,人材と技術の有効活用の機能性に問題がある点 を指摘した.高い技術力,開発力を有しながらも,経営,あるいは企業戦略,政策策定 との融合は徒労に帰している.これらの技術力を生かし,産業全体の底上げを図るため には,経営と技術工学のスキルを担うCIOの育成が急務といえよう.日本の国際競争力 回復への期待に繋がるMOTの知見を有するCIO人材の育成は,国策として迅速に進め なければならない.これらの最重要コア・コンピタンスを基礎として,本研究が示唆す るCIO学の学術的見地に基づく理論と実践の両輪が必要不可欠である.

そこで,現行のコア・コンピタンスに含まれる「技術とユーザー」は新モデルにおい て「ユーザー重視の技術変革」と改めた.これは,CIOの潮流がマネジメントにシフト する傾向と,技術回帰の傾向の二極化が進行しており,特に米国では技術よりむしろ MOTに対する理解の浸透率が高く,ケーススタディからも「ユーザー重視」はCIOが 定着しつつある大企業は特にその概念を大切にしていることを考慮した.また,日本は 技術力や品質の面で世界最先端の地位を確立しており,今後,大企業のみならず中小企 業まで「ユーザー」や「顧客;カスタマー」を主体とした取り組みが着実に実行される ことを予見し,最重要コア・コンピタンスの一つとした.

以上の諸点を踏まえ,CIOコア・コンピタンス策定の際の最重要事項と捉え,旧コア・

コンピタンス(本研究調査で使用した現行の米国版コア・コンピタンスに日本版コア・

コンピタンスを一項目追加したもの)を元に,検証結果から最重要コア・コンピタンス を抽出した.

まず旧コア・コンピタンスのうち,「3.プロセス・変革管理」,「5.業績評価のモデ ル・手法」,「8.調達」,「9.電子政府と電子商取引」,「13.予測」は,本検証結果から 重要度が低かったため,最重要コア・コンピタンスから除外した.次に既存のコア・コ ンピタンスの中で相関が高いコア・コンピタンスは統合した.例えば,コ「1.政策と 組織」ならびに「リーダーシップと管理能力」は,「リーダーシップと組織管理」とした.

「4.情報資源戦略・計画」は「情報戦略と政策策定」と改めた.「6.プロジェクト・

マネジメント」ならびに「7.資本計画と投資評価」は,「プロジェクトならびに投資マ ネジメント」としてマネジメント能力として集約した.「10.情報セキュリティ(情報 保護)」は,アンケート並びにインタビュー調査の結果,優先順位も非常に高かったこと

ドキュメント内 CIO CIO CIO CIO CIO CIO (ページ 156-160)