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第 3 章のまとめ

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第3章 CIO のコア・コンピタンス

3.6. 第 3 章のまとめ

―社会における高度IT人材の育成

―インターネットなどを用いた遠隔教育の促進,が挙げられる.

また,政府機関における情報セキュリティ人材分野の戦略的な人材育成の必要性を唱 えている.同時に 2006 年度に情報セキュリティ関連の高等教育機関での多面的,総合 的能力を有する人材育成などの推進を重点計画として述べている.

2006年8月 31日には,「電子政府推進計画」が各府省 CIO連絡会議で決定された.

内容は各府省のPMOなどを整備し,多くの業務システムにおける最適化を推進するた め,これらを担う内部人材を計画的に育成する事が必要であり,CIO連絡会議の下に総 務省が中心となって2006年度末までのできる限り早期に各府省の実態などを把握の上,

内部研修の充実・強化,民間研修の積極的な活用や PMOなどの部門における人事交流 の推進などを目的とするものである.各府省は同指針に基づき,「情報システムに精通し,

業務改革を推進する内部人材の具体的な育成を図る」と言及している.

既にCIO補佐官制度が開始されて4年が経ち,同時に業務・システム最適化計画も同 様な段階であり,今後PMOの設置からシステム開発という次の段階に入る.IT人材育 成は各府省でいろいろな形式で実施されている.たとえば経済産業省の場合は次の通り である.2,3 年前から各プログラムにつき10 名から 20名位の規模で,次のような研 修を実施している.

・  情報政策,技術,産業基礎研修(7日間)

・ ITスキルアップ基礎研修(8日間)

・  システムアドミニストレーター基礎研修(4ヶ月及び15日間)

・  情報関連法令研修(7日間)

・  情報セキュリティーアドミニストレーター研修(4ヶ月及び15日間)

・ IT調達技術法研修(8日間)

・ CIO/CTO研修(3日間)

対象職員は,新人事制度で,情報分野で将来登用されることを希望する人たちという 事で,講師はほとんどが経済産業省の情報政策課などの職員だが,「CIO/CTO 研修」

のみ,外部ITコンサルタントの講師をむかえて研修を実施している.

経済産業省の研修はもとより省庁によっても人材育成策は異なる.言うまでもなく高 度IT人材育成の標準化モデルは皆無である.日本版CIOコア・コンピタンスの普及と 人材育成の早急な定着が望まれる.人材不足の原因は,こうしたCIOに求められるニー ズを満たす研修プログラムや大学院教育が十分に整備されていない点にある.

国企業において,その存在意義を確立したといえよう.

CIOコア・コンピタンスの内容に関しても1999年版,2004年版は,項目数や内容に 偏りが見られたが,3 回の改正を経て整理され,定着した感がある.特に,細分化され た学習目標数からは,項目数の増減によって連邦政府の力の入れ様が理解できる.たと えば,「2.リーダーシップと管理能力」に関しては,2004年に最も重視されていたが,

2006 年には比較的落ち着いたことから,CIO のリーダーシップスキルが他の役職に分 散されたと考えられる.また「6.プロジェクト・マネジメント」,「8.調達」(2004年 以降),「12.技術経営と評価」(2004年以降)の項目数は増加傾向にあることから,前 回のコア・コンピタンスでは不十分な内容であったか,あるいはCIOに必要なスキルで あるとの認識の上であろう.「10.情報セキュリティ」に関しては情報セキュリティ対 策を講じる際に発生する初期コストだけでなく,日々の連続した対策が必要になるため,

企業の中でも重要な役割を担う分野になっており,連邦政府の注力が伺える.「11.エ ンタープライズ・アーキテクチャー(EA)」に関しては,1999年の時点では情報システ ムが独立して存在しており,レガシー・システムのように適応性が弱かったことからEA は考えられておらず,CIO の役割もその点まで追求されなかった.前述の連邦 CIO 協 議会戦略では,2007 年以降の重要案件とみなされている.「9.電子政府」の項目数の 増加について本格的な電子政府の施策がとられていると考えられるが,十分な浸透を図 るための対策がとられているとは言えず,そのために多くの人が注目している.近年,

CIO の調達に関する役割が増えつつあり,米国では製品生産中心を IT サービス中心に 変更していることから,調達管理のサイクルが非常に短くなり,CIOへの要望が厳しく なっている.特に,大幅に増加された技術に関しては, コンピュータシステム , web 技術 , データマネジメント技術 , ソフトウェア開発技術 , 特殊技術 などへの回 帰も高まっている.IT技術の進展によって,インターネットやWEBサービスが人々の 日常生活に浸透した結果といえよう.このほか,CIOの位置づけが向上し,CIOの活躍 の場が広まったことを背景に,レポートラインがCEOに変わりつつある.また, コミ ュニケーション スキルに関しては大項目,中項目では記載がなくても学習目標として,

様々なコア・コンピタンス/学習目標に跨って要求されている.たとえば,「1.政策と 組織」,「2.リーダーシップと管理能力」,「4.情報資源戦略・計画」,「6.プロジェク ト・マネジメント」,「10.情報セキュリティ」などのコア・コンピタンスで多数記載さ れている.「組織において成功を得るために,確固たる技術的なスキルと,鋭い洞察力,

期待に応じたコミュニケーション・スキルが要求11(グレゴリー・スミス 2006)」され ている.コミュニケーション・スキルが求められるのは,例えば必要且つ十分な IT 予 算枠を獲得するためには,CIOとCEOの良好なコミュニケーションがあってこそ実現 するためである.その結果,CIOには常に双方でビジネス戦略との歩調を合わせておく ことが肝要である.

コア・コンピタンスが策定された当初は,CIOの役割は企業の中でも情報システムな どミクロの部分に注視していたが,2004年からマクロ的な管理能力が要求され,さらに 近年は経営能力にシフトし始めている.CIOの役割が CEOに接近し,CIOがCEO へ

CIO

置いている点が特徴である.

しかしながら実際にコア・コンピタンスを利用し,学習しているCIO予備軍に,コア・

コンピタンスの質・量・範囲に関して調査したところ,少なからず疑問を抱いているこ とが露呈した.必ずしも現行のコア・コンピタンス/学習目標は機能性の面において十 分ではないことが問題点として指摘できる.

一方,日本版CIOコア・コンピタンスと学習目標について調べた結果,米国版を参考 にし,ほぼ踏襲する形で策定されていることが明らかになった.また,米国版を量的な 面で広範にわたる点を指摘していたが,日本版は項目数でみればそれ以上であった.さ らに,日本の場合,高度 IT 人材を育成するための教育機関が不足しており,且つ行政 においても人材育成の標準化が定められていないため,CIOの役割は統一されていない.

このように,米国が先進する形でCIO活動が産官学で推進されていることが理解できる.

参考文献・資料

• 日米 CIO コア・コンピタンスの質的変化に関する考察−コア・コンピタンスの付加 価値向上の分析− :岩崎尚子,小尾敏夫「国際CIO学会ジャーナル」2007年 第1号

(p.13-23)国際CIO学会

• Development of e-Government and CIO toward Ubiquitous Society in Japan in Comparison with USA :Naoko IWASAKI,Toshio OBI Journal of Comparative Studies in e-Government Policy,2006 Annual Conference of Taiwan Academy for Information Society(p.1−19)

• Measuring Effective Core Competence for Business CIOs in the United States : Naoko IWASAKI,Toshio OBI Journal;「I-WAYS」Ohmsha / IOS press, ISSN 1084-4678, Volume 30,2007 First quarter

• CIO に必要な 83 の能力−米国でコア・コンピタンス改定,災害や法規制対応重視

− :小尾敏夫,岩崎尚子「日経情報ストラテジー」2007年5月号(No. 181)(p.88-91)

• 第1回「CIO学の構築」:小尾敏夫,岩崎尚子「行政&ADP(行政CIOの現状と未 来)」,ISSN1346-1540,(p.52-55)(社)行政情報システム研究所

• IT 新改革戦略の始動と IT 人材育成 :小尾敏夫,岩崎尚子「行政&ADP(特集 IT 人材の育成・確保)」,ISSN 1346-1540,(p.4-7) (社)行政情報システム研究所

1ソシオーネ・オピニオンvol.1

2Federal CIO Council のWEBサイトhttp://www.cio.gov/からダウンロードできる.

3米国版コア・コンピタンスは小項目をLearning Objectives(学習目標)としているが,

本研究では,中項目を学習目標と訳している.小項目は特に別称を設けず,そのまま記 載している.

4http://www.cio.gov/archive/clinger_cohen_core_compet_sept_2000.html

5http://www.cio.gov/document/CIO_Council_letter.june03.doc

6ジョージ・メースン大学大学院CIOコースJ.P.オーフレット教授へのインタビュー

2007年4月23日に実施した.

7<NTTデータ・デジタル・ガバメント> 特別対談  社会のコラボレーションが付加価 値の高い電子政府を創る http://e-public.nttdata.co.jp/f/repo/179_t0310/t0310.asp 12月5日

8前掲

9米国CIO大学の詳細については以下のURLに掲載されている.

http://www.cio.gov/index.cfm?function=cio_university

10『CIO育成のためのコア・コンピタンスと学習項目の調査研究』2004年3月 http://www.meti.go.jp/policy/it_policy/ea/data/report/r5/ 

11Gregory S. Smith(2006) “Straight to the Top Becoming a world class CIO”, John Wiley and Sons,Inc.

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