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仮説の検証方法

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第4章 仮説と検証方法

4.4. 仮説の検証方法

本研究では,仮説を立証するために次の研究モデルによって検証を試みた.

まず,米国 CIOの役割の質的変化について,米連邦 CIO協議会が策定している時系 列データ(1999,2004,2006年)を利用し,変動要因分析を行った.次に,CIOコア・

コンピタンス/学習目標の優先順位を明らかにするために,「IT の付加価値を向上させ るコア・コンピタンスの優先度に関するアンケート」を実施した.調査項目は,2004 年版のコア・コンピタンス12項目,学習目標75項目に,日本政府(経済産業省)が発 表した日本版コア・コンピタンス1項目,学習目標20項目を追加し,さらに筆者がCIO に必須と考える学習目標 10 項目を追加,コア・コンピタンス計 13 項目と学習目標計 105項目をベンチマークとして優劣比較から要因分析を行った.被験者は,米国CIO大 学ジョージ・メースン大学の受講生(全員社会人)である.被験者の詳細は巻末資料を 参考にされたい.

次に,コア・コンピタンス13項目/学習目標75項目の平均値,並びに標本標準偏差 を測定した.このデータを元に,優先順位の高いコア・コンピタンスと,優先順位の低 いコア・コンピタンスを抽出し,それぞれの要因分析を試みた.この作業によって,既 存の米国版コア・コンピタンスに対する被験者のニーズや期待との差異,日本版コア・

コンピタンス/学習目標(経済産業省策定)の米国での利用の可能性が明確になる.

また,優先的コア・コンピタンス/学習目標は,業種や売上高,IT投資決定権限の有 無,あるいは企業規模や雇用者数といった組織的なバックグラウンドによって特異性を 有するものか否か,についてフェースシートとのクロス集計を行った.とくにフェース シートとの相関関係が高い学習目標を抽出し,多変量解析を用いて要因分析を行った.

この作業によって,CIOのバックグラウンドとコア・コンピタンス/学習目標との相関,

あるいは優先的且つ普遍的コア・コンピタンス/学習目標を解明することが出来る.そ して,これらの結果の確からしさを明確にするために,CIO 並びに CIO 関係者に対し てインタビュー調査を実施し,検証結果に基づく要因分析の正当性を客観的に評価した.

日本でも米国同様にCIOコア・コンピタンスの優先度に関するアンケートを実施した.

分析手法は米国と同様である.この作業によって,被験者のニーズや期待との相違点,

日本版コア・コンピタンス/学習目標の機能性が明らかになる.さらに,CIOの特徴や 進化を検証するためにCIOなど主として役職者へのインタビュー調査を実施,内容をレ ビューし,優先的且つ重要なCIOコア・コンピタンス/学習目標について平均値比較を 用いて行った.

日米でのこれらの作業を通して,既存の日米コア・コンピタンス/学習目標に対する 被験者との現実的な差異を理解することが出来る.そして,これらの結果を踏まえ,筆

モデルを構築し,理想と現実との乖離の縮小に努めた.筆者が構築するモデル「コア・

コンピタンス優先モデルの構築(岩崎モデル)」は第 8 章にまとめている.アンケート 調査の概要を紹介する調査用紙などは巻末に添付している.日米で調査した概要は次の 通りである.

第1回調査「ITの付加価値を向上させるコア・コンピタンスの優先度に関するアンケ ート」をジョージ・メースン大学大学院CIO コースの協力の下で,2006年3 月18日 に実施した.有効回答数は80である.ベンチマークは,2004年版のコア・コンピタン ス12 項目,学習目標 75 項目に,日本政府(経済産業省3)が発表したコア・コンピタ ンス1項目,学習目標20項目,さらに筆者がCIOに必須と考えられる学習目標10項 目を追加し,計13のコア・コンピタンスと105の学習目標の優先順位を調査した.経 済産業省のコア・コンピタンス,及び学習目標で追加した項目は,行政分野,並びに将 来の社会変化,環境,技術トレンドなどの予測,などである.筆者が追加した項目は,

①組織内外における幅広い情報ネットワークの構築,②説明責任並びに組織への周知徹 底,③組織内部,部門間での情報化成果についてのベンチマーク評価,④同業他社(組 織)との情報化成果についてのベンチマーク評価,⑤IT 投資におけるPDCA サイクル の実施,⑥ユーザー部門に IT 投資対効果の定期的な報告並びに評価の義務付け,⑦撤 退ルールの策定,⑧情報公開,⑨SOX法に基づく組織内コンプライアンスの調整,⑩IT 投資評価と分析,である.これらの学習目標は,先行研究や既存のアンケート調査の対 象項目を参考に,CIOへのニーズと照合した結果,選択したものであり,既存の日米版 CIOコア・コンピタンス・学習目標には含まれていないことで独自性がある.被験者の 特性は全員社会人(専門家),平均14年のキャリアを持つ.

第2回調査「CIO概論に関するアンケート」は,第1回目と同様に,ジョージ・メー スン大学大学院CIOコースの受講生に対して,2006年5月25日,並びに29日に実施 した.第1回調査の妥当性,並びにCIOの歴史,誕生の目的,現状,問題点を明らかに している.検証結果は,第5章に,調査内容及び項目は巻末資料に添付している.

第3回調査「CIOコア・コンピタンスの普遍性と質的変化の諸要因に関するアンケー ト」は,第1回から第2回目までの調査を受け,2006年9月25日に米国ジョージ・メ ースン大学で実施した.対象者は,ジョージ・メースン大学大学院CIOコース受講生並 びに,上記大学にて開催された「国際CIO会議」に参加したCIO,並びにCIOに準ず る他の役員,部長クラスである.本調査の目的は,CIOに影響を与える社会環境の要因,

並びにITの付加価値やガバナンスの向上とCIOとの関係,SOX法によってもたらされ るCIOへの影響などを把握することである.本研究分析の検証結果を踏まえ,日米CIO のコア・コンピタンスの差異,潮流,米国CIOコア・コンピタンスの普遍性について検 証している.また,この調査結果をもとに,さらにSOX法とCIOの関係を明確にする ために,次の検証を行った.CIO の役割が変化した要因のひとつは SOX法の施行によ るものであるが,現行のコア・コンピタンスは SOX 法に対応せず,機能性は低いこと

を立証するものである.CIOの核となる13のコア・コンピタンスからSOX法に必要と 考えられる項目を分析した.13項目とは次の通り;①政策と組織,②リーダーシップと 管理能力,③プロセスと変革の管理,④情報資源戦略・計画,⑤業務評価モデル・手法,

⑥プロジェクト管理,⑦資本計画と投資評価,⑧調達,⑨電子政府と電子商取引,⑩情 報セキュリティと情報保護,⑪全体最適,⑫技術とユーザー,⑬予測.米国IDG CIO Online に掲載された企業CIOの発言内容をもとに, SOX法 対策に必要となるCIO の役割を列挙し,優先付けを行った.調査期間は,米国SOX法が適用された2004年末 から現在までとした.検証結果は,第5章でまとめている.

第4回調査「日本におけるCIOコア・コンピタンス優先度に関するアンケート」は,

日本において,日本版CIOの役割を把握するために検証した.経済産業省が策定してい るコア・コンピタンス/学修目標を評価し,2006年 6月 2日に日本におけるコア・コ ンピタンスの優先順位を把握するために実施した.調査内容及び項目は巻末資料に添付 している.有効回答数は合計180であり,被験者は早稲田大学CIOコース受講生,CIO 予備軍,CIOに関わる社会人,学生(内訳は社会人:61人/学生:119人)である.

しかしながら,本結果に偏りが見られたため,対象者をCIOならびに CIO関係者に 限定し,再調査として,第5回「日本におけるCIOコア・コンピタンス優先度に関する アンケート」を2007年5月23−25日に実施した.被験者は9であり,CIO並びにCIO 関係者(全員社会人)である.調査項目は第 1 回調査と同様である.この結果を元に,

日本におけるCIOコア・コンピタンス/学習目標の優先順位を標本標準偏差で測定した.

本論文の日本のデータは本結果を活用している.

次に,第6回調査「日本におけるCIOの新潮流に関するアンケート(インタビュー調 査)」を実施した.これは,日本における CIOの特徴と傾向を把握するための調査であ る.インタビュー対象者は,2003年度から開催してきた国際会議,ワークショップ,セ ミナーに登壇した,あるいは直接インタビューを行った CIO,並びに CIO に準ずる者 に,CIO の役割,特徴,新潮流,社会環境の変化が CIO に及ぼす影響などについて質 問した.主な国際会議,セミナーは次の通りである;CIO 国際会議(2003年10 月26

−28日),グローバルe-ガバナンス国際会議(2006年6月26−29日),第1回CIO経 営セミナー(2004年2月16日),第2回CIO経営セミナー(2004年7月13日),第3 回CIO経営セミナー(2005年6月14日),CIOフォーラム(2006年1月19日),国 際CIO学会(2007年3月23日).

総数は,延べ79名(内訳行政12名,企業59名,その他8名)であり,いずれもCIO あるいはCIO関係者である.さらにインタビュー結果から要点をまとめ,キーワードを 抽出し,標本標準偏差に基づくCIOの役割の優先順位を明確にし,結果は第6章にまと めた.

また,第7回調査としてCIOの設置形態と企業規模の相関関係を明確にするために,

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