表3‑5 Pi..官GA関税削減・撤廃における品目別スケジュール分類
分 誼 対象晶目 対 象 国 措 置
ASEAN先行加盟6カ国 |撤廃
スケジュールA ラオス・ミャンマー・ベトナム 2009年1月1固までに全品目の関税率を0〜5 % カンボジア 2009年1月1固までに80%以上の品目の関税率を0〜5 % スケジュールB 情報通信技術(ICT)品目 ASEAN後発加盟4カ国 3グループ!こ分け、2008年、09年、10年までに関税撤廃 スケジュールG 優先統合分野(注1) ASEAN後発加盟4カ国 2012年までに関税撤廃
ASEAN先行加盟6カ国 2010年まで lこO〜5 %への関税削減
ベトナム 2013年まで、!こO〜5 %への関税削減。ただし砂糖製品は スケジュールD 未加工農産品 2010年まで。
ラオス・ミャンマー 2015年までに0〜5 %への関税削減 カンボジア 2017年までに0〜5 %への関税削減 スケジュールE 未加工農産品 ASEAN全 体 各国独自スケジュールでMFN税率削減
タイ 関税割当外関税率を自こ国撤の廃品。目分類による関税削減に
スケジュールF 従い削減、2010年までl
関税割当外関税率を自国の品目分類にこ撤よ廃る関税削減に ベトナム 従い削減、、2013、2014、2015年までl
スケジュールG 石油製品 ベトナム、カンボジア 全加盟国が合意したスケジュールに基づき削減 スケジュールH 一般的除外品目 ASEAN全体 堕関並税並撤塵廃・削減対象外
[その他 総品目数の7 %以下 ASEAN後発加盟4カ国 を2018年まで猶予。
出所) ASEAN物品貿易協定(ATIGA)から著者作成。
注)優先統合分野(PIS)は①農産物加工、②自動車、③エレクトロニクス、④漁業、⑤ゴム製品、⑥繊維・衣 類、⑦木製品、③e・ASEAN、⑨ヘルスケア。
給を図るタイプ、次に、②企業グループ。内で、生産拠点の統廃合を通じて、規模の利益獲 得・拠点全体の経営効率化を図り、限られた経営資源の有効活用を目指すタイプ、であ
る。
2. AFTAに対する自動車産業の対応
多角的貿易体制はGATTから 1995年に世界貿易機関(WTO)に移行、これに伴い途 上国各国も非関税障壁の撤廃が求められた口当時、 ASEAN各国は自動車製造に際し、国 産化義務規定を課していたが、 WTOルールの下、途上国は2000年に同義務の撤廃が求め
られた。そのため、タイやインドネシアは国産化義務規定を撤廃したが、その一方で、
CKD関税などを引き上げることで、国内産業保護を図った口これら環境変化を踏まえ、デ ンソーや自動車メーカーは、 AFTA特恵関税 O〜5%の前倒し付与を実現するAICOや AFTAを背景に、域内での集中生産・相互補完体制の構築を図った(図3‑6t
図3‑6 ASEANにおけるデンソーの集中生産・相互供給体制(2005年)
0
スクータ−O
オルタネータO
マグネト. .
Q . M . § エ バ
O インクジェクタ
O
フュエルポンプO
コモンレール0
リレーO
エアクリーナ−O
オイルフィルタ マレーシア0
エンジンECU OA/Cアンプ O M Fコンデンサ OCDIアンプ0
アーム&ブレートインドネシア
0
コンブレッサo s .
プラグ0
バスA/C OISCV002
センサ Oスティックコイル O P Wモータ0
ブロワモータ O電動ファンモータ0
ホーン€3~~
出所) 「デンソーのアセアン戦略」 (2005年10月17 日; PT.デンソーインドネシア)より。
広い裾野産業を持ち、自動車1台の部品点数が2〜3万点にものぼる自動車産業は、企業 グループ内で、生産品目を調整、各拠点の操業継続を前提に各拠点間で、相互供給を図った典
型的な事例である。同産業では、完成車メーカーを頂点に、一次サプライヤー、二次サプラ イヤー、三次サプライヤーなどが強固なピラミッド構造を構築している。概してこれら自動 車産業は、車両の開発時点からクローズド・インテグラル(擦り合わせ)型をベースとした 取引形態が特徴であり、その場合、拠点再編はそれら取引形態自体にも大きな影響を及ぼす
ことから、その実現は容易ではない口
ASEANに複数拠点を有する自動車関連分野の日系企業は、 AFTAの特恵関税削減によ り、量産効果をあげるべく拠点間で生産品目を調整し、自動車部品の集中生産・相互供給 に動き出したロどの国でどの品目を集中的に生産するかは、 ASEAN各国の圏内市場規模 や技術水準、これまで、の生産の特性を踏まえて検討されたロ
自動車部品大手のデンソーは、 AFTAの本格稼働に際し、部品の特徴や大きさを踏まえ てASEANの各拠点で製造する品目を調整するとともに、集中生産・域内相互融通品目を 拡大していったロ例えば、大物や嵩物、低労働装備率の部品は顧客の近郊で生産し、中物 はASEAN地域大での特定国で集中生産、小物や高精度を要する部品、高速量産部品はグ ローバルに集中生産する方針を掲げている。 1997年で 14品目であったデンソーの ASEANでの集中生産品は、 2000年に18品目、 2001年に22品目、そして 2004年には 28品目にまで拡大した 430
量産効果の実現に必要な生産台数は、駆動伝達系の機械加工及び組立で6万台、アクス ルの機械加工と組立で50万台、塗装工程や最終組立工程で25万台、パネル部品のプレス で 100〜200万台が必要とされる 4\量産効果をあげるのが難しい部品は、自ずと日本か
らの輸入を選択することになる口
例えば、 トヨタは、タイではディーゼルエンジン、ステアリングコラム、ボディパネル を、マレーシアではステアリングリンク、ラジエター、ワイパーアーム、フィリピンでは
トランスミッション、等速ジョイント、メーター、インドネシアではガソリンエンジン、
ドアロック・フレーム、クラッチなどをそれぞれ集中生産、相互に融通するようになっ た。一方、ホンダは、タイではプレス部品、メータ一部品、ライト類を、マレーシアでは パンパー、ダッシュボード、等速ジョイントを、フィリピンではトランスミッション
(MT)、吸気・排気関連部品、インドネシアではシリンダブロック、 トランスミッション
43タイのDensoInternational Asiaでのヒアリング(2010年 12月7日)に基づく。
44タイ・オートモーティブ・インスティチュート(TAI)の2003年 10月のプレゼン資料による。
(AT)などを集中生産・相互供給を行った45 (図3‑7)。
図3‑7 ASEANにおける自動車メーカーの相互供給体制
0ディーゼルエンジン O ステアリングコラム O ボディパネル
0ステアリングリンク 0 エンジンコンビュータ O ワイパーアーム
0 バンパ−
O ダッシュボード O 等速ジョイント
出所)井田 (2003)口
0 ガソリンエンジン
O ドアロック,ドアフレーム
€3のチ
O トランスミッション O 等速ジョイント
0コンビネーションスイッチ
0トランスミッション(
MT)O
吸気・排気関連部品自動車本体でも売れ筋の一部モデ、ルで、はCKDやセミ・ノックダウン(SKD)形式での最 終組立を継続するなど生産拠点の統廃合にまでは踏み込んでいないロ広い裾野産業を抱え る最終組立企業の撤退を伴う拠点の統廃合は、進出先国の社会・経済全体に大きな影響を及 ぼす懸念があることも拠点維持の大きな理由である。
3. AFTAに対する電気・電子機器産業の対応
AFTAの関税削減により、電気・電子機器産業は、概して企業グループ内で生産拠点の統 廃合を通じて、規模の利益獲得及び拠点全体の経営効率化を図った。例えば、家電製品や情 報通信機器の部品点数は約 1000
〜
2000点と自動車に比べ圧倒的に少なく、またオープン・45井田(2003。)
モジュラー型とも言われるが、部品や機器同士を繋げる機能や規格などソフト・ハードのイ ンターフェースが標準化され、機能ごとに構成された部品・モジュールを組み合せて製品が 作られる。そのため、熟練工などの高い技術蓄積や熟練技能はそれほど必要とせず、製造工 場や設備を比較的移転しやすいという特徴がある 460
比較的生産移管し易いと言われる家電や AV等の電気機器分野は、生産拠点の統廃合を 通じて、規模の利益獲得・拠点全体の経営効率化を指向した口実際に、電気・電子分野を 中心とするモジュール化の流れは、製造工程における技術的な障壁の低下と生産拠点自体 の流動性向上をもたらした。部品規格の標準化は、調達の難易度を引き下げ、且つどこで も品質面で遜色のない製品が製造できるようになった。その結果、企業はインフラ整備を 前提条件に、人件費など生産コストが抑えられ、且つモジュール化された部品など調達環 境がある程度整備されている国・地域での生産を目指すようになった。
ASEANにおいて日系が圧倒的な強さを発揮する自動車分野と異なり、電気機器分野は 日系企業聞や欧州系電気メーカーとの激しいシェア争いに加え、更に 2000年以降には ASEANに進出してきた韓国企業等との競争も加わり、拠点再編による競争力強化は待っ
たなしで、あった。 AFTAの開始とその関税削減により、「ASEAN各国の国内向けの多品種 少量生産工場は、大規模輸出拠点工場に比べコスト競争力が弱い。関税撤廃になれば、隣 国の輸出拠点工場からの輸入の方が効率的であり、事業構造改革は待ったなしの状況」 47
で、あった。そのため松下電器(現パナソニック)は、第一に組織体制の事業部制化に合わ せ、海外の拠点も各々が所属する事業部の指揮命令が直接反映されるよう、第二にAFTA への対応を目的に、 1996〜2001年にかけて各国にある国内向け生産拠点の事業構造改革 に乗り出した。具体的には、ナショナルタイ社では 1996年 8月に品目別の 8工場48を分 社独立させ、各々を輸出拠点化したロまた、タイのAPナショナルで、はエアコン製造を中 止し、輸入に切り替えた490
また、拠点の統廃合を進めるに際し、概して企業が集まる国と企業の撤退が進む国とに分 かれるなど、FTAの負の側面も顕在化した。製品や企業によってそのパターンは異なるが、
2002〜03年前後、タイ、マレーシアへの生産拠点の集約化が進み、逆にフィリピンや一部
46鐘、大津(2004。)
47パナソニック(タイ)へのヒアリング(2017年8月22日)に基づく。
48ナショナルタイは、電子部品工場、カーオーディオ工場、電池工場、扇風機・換気扇工場、キャパシ タ工場、映像部品工場、テレビ工場、成型・金型工場の計 8工場があった。
49パナソニック(タイ)へのヒアリング(2017年8月22日)に基づく。