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物晶貿易における事業改善要望

ドキュメント内 助川, 成也 (ページ 119-128)

第 5章 AFrA の制度改善と産業界の関与

第 2節 物晶貿易における事業改善要望

1.  経済相会議に要望を届けた在ASEAN日系産業界

2010年の第3回対話でFJCCIAは前年の反省を踏まえ、 AECブルーフ。リントに沿った 形で、 ASEAN全体または複数の国に共通する要望を抽出、提出することで、方向修正を図っ た。AECブループリントに記載されている統合措置62項目について、全てを5年後の2015 年までに実施することは現実的に難しいと考えていたロそのため、日系産業界は、広範囲に 亘る統合措置62項目について、産業界の目線で、優先して取り組むべき措置を順位付けし

11 200910月のSEOM会合結果を踏まえ、 ASEAN事務局からFJCCIA事務局へ通知があったもの FJCCIA事務局より筆者が直接聞き取ったもの。

12向上。

たうえで、更に同措置で改善すべき課題があればあわせて ASEAN事務総長に提示する形 式にしたロ

特に、「ASEAN全体として取り組むべき課題JとしてASEAN事務局のイニシアチブに より解決されることが期待される 6項目を採りあげたロ 6項目とは、①税関手続き、②AFTA フォーム D取得に関する問題、③基準、認証、表示制度の合理化及び調和、④知的財産権 保護の徹底、⑤ASEANlFTA、⑥産業人材の育成によるグローパル供給ネットワークへ の参加、である口このうち、①〜③は、「単一市場及び生産基地J実現にとって最も重要で、

あり、域内における生産ネットワークを発達させることで、 ASEANが世界の製造センター またはグローパルサプライチェーンの強力な核として機能出来ることを意図した口④は、域 内で、の産業活動の付加価値を高め且つ競争力向上に重要な政策で、ある。⑤は、 ASEANがグ ローバルサプライチェーンの強力な核となり、且つ投資先としても「ASEANの中心性Jを 維持していくため、 ASEANlFTAの魅力を増大させ、利用促進に資する改善が不可欠で ある。⑥は、グローバルな競争が激化する中で、 ASEAN企業が競争力を強化し、域内での 活動の付加価値を高めていくことは不可欠との観点から、各国産業の優位性に基づき、産業 の高付加価値化、取引円滑化を担う人材の育成に注力することを要望したロ

「ii)AFTAフォームD取得に関する問題」では、 CTCルールに基づ、いた原産性審査で、も コスト分析表の提出が求められている実態の改善や、発給申請におけるインボイス提出の 不要化、 C/0上のFOB価格記載はASEAN域内貿易の拡大機会を逸しているとして記載義 務撤廃を求めた口また、 ASEAN+lFTAについて、 ASEAN+lFTAの中で唯一ASEAN中 国FTA(ACFTA)だけが仲介貿易(リ・インボイス)での利用を認めていないとして改善 を求めた。

2010年 8月にベトナム中部ダナンで、開催された日 ASEAN経済相会議(AEM‑

で、、当時の直嶋経済産業相は前月にシンガポールで、開催された ASEANスリン事務総長と FJCCIAとの対話でFJCCIA側が提言した 6項目について、「ASEAN全体が投資先として 更に魅力を増す形でASEAN経済共同体(AEC)を実現するには、こうしたビジネス界か らの声に耳を傾け、日本と ASEANとが協力して事業環境を改善していくことが重要」と 指摘し、「これら要望について検討して欲しい」と述べた 130

それを踏まえ経済相らは、第 3回対話での成果を歓迎するとともに、 ASEANの事務方

13筆 者 は2010826日に開催されたAEM‑METIに事務方として参加していた。

に日本側の提案を検討するよう促した 14cまた、同会議に出席したスリンASEAN事務総 長は、 AEC実現にはこれら国内外の産業界の関与が必要とした上で、マレーシア・クアラ ルンプールで、開催される次回の第4回対話に日本と ASEANの経済相が共に出席し、直接 FJCCIAと対話することを提案、日本とASEANの経済相双方から歓迎された口

2.  在ASEAN日系産業界と日 ASEAN経済相との対話

前年のAEM‑METIを踏まえ、 2011年の第4回対話は、 ASEAN事務総長との対話に加 えて、初めて日 ASEAN経済相と FJCCIAとの対話も行われた。これまで米国産業界は 1984年から米国大手企業で構成される米ASEANビジネス評議会を通じてAEMに加えて ASEANの財務相及び税関局長と定期的に対話を行い、ビジネス環境改善のための政策提 言・制度改善要請活動を行い、米国企業の要望を直接伝えてきた。日系産業界がASEAN閣 僚と対話する初めての機会となった口

在ASEAN日系企業の場合、これまで、の投資環境改善にかかる意見具申やロビーイング 相手はあくまで各国政府であり、集合体としてのASEANではなかった口しかし、 ASEAN 各国政府が実施する規制緩和や自由化措置は、 AEC実現に向けた統合措置の一環である場 合も少なくない。日系産業界は、集合体としての ASEANとの対話を通じた意見具申の重 要性を理解したのである。

2011年の第4回対話では、 FJCCIAは初日にASEAN事務総長との対話を、 2日目に日 本の経済産業大臣と ASEANの経済大臣との対話を行った。日 ASEAN経済相について、

日本からは海江田経済産業相が、またASEANからはタイ、ベトナム、ミャンマーから副大 臣が出席した他は、 7カ国で経済大臣自身が出席し、在ASEAN日系産業界の要望を直接聞 いた。

FJCCIAは、第 3回対話で提示した要望のうち、優先的な取り組みを求める項目を抽出 するとともに、幾つかの分野で、新規要望項目を追加した。更に、 ASEAN経済統合の実現に は公平な経済発展、つまり経済格差の是正が重要との観点から、メコン圏開発がAECブル ープリントで「ASEAN統合イニシアチブ(IAI)」の主要な柱であることに鑑み、 2010年 の「日メコン産業政府対話」 15で産業界から提起された主な課題等を加えた口更に、 FJCCIA

14経済産業省(2010a

15 2009年に日メコン首脳会合、外相会合、経済大臣会合が設置されたのに伴い、メコン地域で活動する

はこれら優先取組事項について、 ASEAN事務局及び加盟国に対し、 2015年のAEC実現に 向けたマイルストーンとして2年後の2013年頃迄の実施を目標に、改善に向けた集中的な 取り組みに加え、進捗状況についてフォローアップするよう要請した口また、 FJCCIAは、 ASEAN側が腰を据えて課題に取り組めるよう、 2013年迄の聞は原則として新たに要望は 行わないなど配慮した。

ここでも、 AFTAフォーム D取得に関する問題として、前述の 3項目を提示しているロ そのうち、 C/0上の FOB価格記載義務の免除については、免除されるまでの期間、リ・イ ンボイス利用の際は、リ・インボイス後の FOB価格の記載を認めることを要望している。

当時、プッシュパナターン・サンドラム事務次長(経済担当)は、これらの進捗状況につい て、インボイスおよびコスト分析表は各国発給機関が C/0発給に際し、園内規則に基づき 各々提出を求めているものであり、実現は簡単ではないとした。一方 FOB価格の不記載

については、ASEAN原産地規則タスクフォースの中で提起され且つ議論されているとした 上で、原則的にC/0が付加価値累積の用途に使われる場合を除き、 C/0上でFOB価格記載 を求めない方針で議論が進んで、いることを披露した。ただし、それに対し、ミャンマーとカ ンボジアがFOB価格不記載の方針に反対していることを付け加えた。

また、域外国とのFTAである ASEAN+lFTAについて、前回はACFTAだけが唯一リ・

インボイスを認めていないとして改善を要望していたが、日系産業界の声を踏まえ、

ASEAN側は中国との間での ACFTA修正協議に同項目を中国側に要望、その結果、 2010 年 10月にリ・インボイス条項が含まれた第2修正議定書に署名、 2011年 1月から実際に 利用出来るようになった 一見すると日本が全くの第三者に見える ACFTAであるが、

ASEAN市民として在ASEAN日系企業が声をあげたことで実現した。

そのため、 2011年は、①ACFTA修正議定書を含め全てのASEAN+lFTAの早期発効、

②ASEAN+lやその他関連する FTAの原産地規則における最も自由度が高い規則の採用、

③協定書にMFNまたはFTAのいずれか低い税率を適用する旨の特別規定を置くとともに、

MFN税率よりも高いFTA税率を課さないよう税関職員に周知徹底を図ることを要望した。

まず①について、インドネシアでASEAN+lFTAの発効手続きが遅れていることがえ且上 にのぼったD 特に、日系産業界も関心が高い日 ASEAN包括的経済連携協定(AJCEP)で 批准・発効が遅れており、在インドネシア日系企業はAJCEPで付加価値の累積が出来ない

産業界のニーズを把握するべく 2010年に設置された。以降、日メコン双方の産業界・政府代表者が集 い日メコン産業協力のあり方について議論している。

問題を抱えたa FJCCIAはASEAN事務局に対し、早期発効に向け支援するよう要請した

16 

次いで、②について、当時、 ACFTAの下で採用されていた一般規則は、付加価値基準40%

のみであり、 ASEAN域内や日 ASEAN等で採用されている付加価値基準と関税番号変更 基準の選択制は導入されていなかったD そのため、同事務次長は、「ACFTA貿易交渉委員 会が、原産地規則も含めFTAの見直し作業に着手する」ことをFJCCIAに報告した。

③については、更に域内で最も自由度が高いはずのAFTAにおいて 一部品目でAFTA 特恵関税率が他のASEAN+lFTAに比べて高い税率が課され不利になっている。この問題 の解消には、 ASEAN加盟国に対して最恵国待遇(MFN)条項をATIGAに組み込むことが 考えられるロ ATIGAでは第5条でMFNについて規定しているが、他の加盟国は当該加盟 国に対し、同等の待遇を付与するよう交渉を要求することが出来ると明記されているのみ である口 ASEAN+lFTAを含め、最も低い関税率をAFTAの下で加盟各国に自動的に提供 する MFNの自動適用にまでは踏み込んでいない。

AFTAは最終的に 2018年 1月、後発加盟国に対し 3年間の関税撤廃猶予が与えられて いた 7%の品目の関税撤廃で完成した。その場合でも、 ASEAN先発加盟 6カ国で 490品 目、後発加盟4カ国で749品目の計 1239品目について関税が残存したロ ASEAN事務局 ではこれら関税が残存する品目について、他の5つのASEAN+lFTAではどのように扱わ れているか研究を進めていたロその結果、関税残存品目のうちASEAN+lFTA毎で2割弱 から 3割強の品目で、 ASEAN+lFTAの方が低い関税率が適用されていることが判明した

17 

例えば、ベトナムがATIGAでスケジュールD、いわゆるセンシティブリストとしている HS0105.99.20 (その他の家禽)は既に 5%に削減されており、これ以上削減が求められる ことはない口しかし、 ASEANインド FTA(AIFTA)では同品目はノーマルトラック 1に 分類され、 2018年1月時点で 1%、同年末には関税が撤廃されるa ACFTAでもノーマルト

ラックに分類されており、 2015年時点で既に関税が撤廃されている口 AJCEPでは基準関 税は5%であるが、カテゴリーはBIO*となっており、 AJCEPが発効して 11年目の最初の 日に一気に関税が撤廃される。 AJCEPが2008年 12月に発効していることから、同品目の

16インドネシアでAJCEPの運用が開始されたのは署名から 10年目を迎えた201831日のことで ある。

17 ASEAN事務局関係者による。

ドキュメント内 助川, 成也 (ページ 119-128)