600HR 600ECD(x)
600(x)
168
b. 日々の試料測定の際には、必ず KC-mix を一連の試料と同一日に測定する。
標準溶液、試料ともに、代表ピークの検出量(ピーク高さ)を求める。
標準溶液の濃度を C
STD
とする。標準溶液の代表ピークx本の検出量(ピーク高さ)をそれぞれ、以下とする。
H
STD(1)
、HSTD(2)
、HSTD(3)
、… HSTD(x)
試料の代表ピークx本の検出量(ピーク高さ)をそれぞれ、以下とする。
H
Sam(1)
、HSam(2)
、HSam(3)
、… HSam(x)
式⑤により、試料のピーク毎の実測値 M
(x)
を求める。《式-5》
c. ここで、試料中の KC-300、KC-400、KC-500 および KC-600 の濃度をそれぞれ、C
A300
、 CA400
、CA500
、および CA600
、として仮定する。この仮定の濃度より、式-6 を用いて、試 料中のピーク毎の推定値 P(x)
を求める。
d. 式-7 で求める ピーク毎の 実測値 M(x)と推定値 P(x)の差(error)が最小となるよう に C
A300
、CA400
、CA500
、および CA600
を変化させ、CA300
、CA400
、CA500
、および CA600
の合計値 として、測定液中の総 PCB 濃度 CASUM
を算出する。e. 式-7 を最小にする値として求めた測定液中の総 PCB 濃度 C
ASUM
から、式-8 によって、試料質量あたりの PCB 濃度 C を算出する。
《式-8》
ここで、v:測定液最終液量(μL) V:試料供試量(μL)
g:試料比重(g/mL) とする。
C が求める試料濃度となる。
g V
v C C ASUM
STD(x) Sam(x) (x)
STD
(x) H
H 99.881%
C CB%
M
A600 600(x) A500 500(x) A400 400(x) A300 300(x)
(x) R C R C R C R C
P
《式-6》2 (x) (x) 1
P
-M
}
{
x
i
error
《式-7》169 4)報告
3)で得られた測定値が 0.3mg/kg 未満であった検体を PCB 不検出、0.3mg/kg 以上で あった検体を PCB 検出と判定し、報告する。
5) 異常値及び欠測値の取り扱い
異常値及び欠測値については、その原因等を検討し、その結果を記録する。また、
異常値及び欠測値について、問題がある場合については、必要な措置を講じる。
(6)分析精度管理
精度管理については、「1.5 精度管理について」に従うこと。尚、本測定法に関わる 個別事項については、以下に示す。
1) 検量線(作成と直線性の確認)
a. 検量線の作成
検量線は 5 水準(0.01、0.05、0.1、0.2、0.5mg/L 程度)の濃度
※6)
の標準溶液を各 3 回測定し、作成する。このとき、各濃度のばらつき(CV%)は、5%以内であることを目 標とし、10%を超える濃度水準がある場合には、検量線の作成をやり直す。得られた測定結果を横軸に濃度、縦軸にピーク高さ(PCB 由来ピークの総和)でプロ ットし、原点を通る直線を最小二乗法を用いて作成する。
b. 検量線の例
y = 32339x R
2= 0.9953
0 2000 4000 6000 8000 10000 12000 14000 16000 18000
0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6
調製濃度(mg/L)
ピーク高さ
図 3.1.2.5.PCB(KC-mix)検量線の例
170 2) 検出下限値および定量下限値
a. 装置の検出下限値(IDL:Instrument Detection Limit) IDL の算出および目標検出下限値 0.3mg/kg との比較
検量線作成用標準溶液の最低濃度:0.01mg/L 程度を 5 回測定し、得られた測定値
(ng)から標本標準偏差(
s
)を求め、次式より算出する。IDL=3×
s
《式-9》測定試料溶液中の試料量及び測定試料溶液量から IDL の試料換算濃度を求め、目標 検出下限値 0.3mg/kg 以下であることを確認する。
目標検出下限値 0.3mg/kg を超過した場合、GC/ECD のメンテナンスを行い再測定す る。
b. 装置の定量下限値(IQL:Instrument Quantification Limit)
IQL の算出は、a.の IDL 算出に用いた標準偏差
s
の 10 倍値とする。測定試料溶液中の試料量及び測定試料溶液量から、IQL の試料換算濃度を求める。
IQL=10×
s
《式-10》c. 測定方法の検出下限値(MDL:Method Detection Limit)
MDL の算出は、目標検出下限値付近の濃度となるようにカネクロール標準品を添加 した絶縁油を 5 回以上測定し、得られた測定値の標本の標準偏差(
s
)を求め、その 3 倍を測定方法の検出下限値(MDL)とする。MDL=3×
s
《式-11》算出した MDL が目標検出下限値 0.3mg/kg 以下であることを確認する。
目標検出下限値 0.3mg/kg を超過した場合、測定操作の見直しを実施し、再度測定 をする。改善が見られない場合、最終液量や試料量、注入量などを変更し高感度化を 図る。
d. 分析試験法の定量下限値(MQL:Method Quantification Limit) MQL の算出は c.の MDL 算出に用いた標本の標準偏差
s
の 10 倍値とするMQL=10×
s
《式-12》171 3) 濃度既知試料の測定
PCB で汚染されていない絶縁油に標準溶液を添加して調製した試料、または、本マニ ュアルに示す簡易定量法もしくは、平成 4 年 厚生省告示第 192 号別表 2 に定める方法 で濃度の確認を行った絶縁油試料を用意し(PCB 濃度は 0.5mg/kg 前後の絶縁油試料を 用意する)、これを濃度既知試料とする。濃度既知試料の測定は、ガスクロマトグラフ による一連のシーケンス測定中に 1 回以上の頻度となるように行う。1 つの前処理済み 測定液に対するガスクロマトグラフ注入回数は 1 回とする。本法での測定値を既知濃 度で除した値が、0.7 から 1.5 であることを確認する。この範囲を外れる場合、原因を 調査し、同一シーケンスの試料を再測定する。原因がガスクロマトグラフ工程よりも 前にあると考えられる場合には、前処理から再測定する。
4) 二重測定
本測定法により PCB 濃度の測定値が 0.5mg/kg であった絶縁油試料について、再度、
前処理からの測定を行い、測定値の誤差が±30%以内となることを確認する。逸脱す る場合は、原因を調査し、再試験する。
5) 内部標準物質の添加による回収率確認
前処理時に内部標準物質を添加し、添加量に対する検出量の比から回収率を確認す る。内部標準物質としては、GC/ECD 測定時に、代表ピークの測定を妨害せず、かつク ロマトグラム上で同時に測定できる物質を選定する。例えば、カネクロールにはほと んど含まれず、前処理時の挙動が目的成分と類似している PCB 成分の中から選出する ことが望ましい。
回収率の算出は、クリーンアップスパイクおよびシリンジスパイクの同量(10ng)
を GC/ECD に注入し、各内標準物質のピーク高さを読み取り、次に掲げる式によって相 対感度係数(RRF)を求めておき、算出されたRRFを用いて試料のクリーンアッ プスパイク回収率を算出する。
標準液におけるクリーンアップスパイクのピーク高さ RRF=
標準液におけるシリンジスパイクのピーク高さ
クリーンアップスパイクのピーク高さ 100 クリーンアップスパイクの回収率(%)= ×
シリンジスパイクのピーク高さ RRF 内部標準物質の回収率は、70%から 120%であることを確認する。逸脱する場合は、
原因を調査し、再試験する。
本法における前処理時の平均的な回収率に対する補正は、(5).3).において、それぞ
172
れ濃度 C
300HR
、C400HR
、C500HR
、および C600HR
の KC-300、KC-400、KC-500 および KC-600 を 含む油を測定する工程において担保されるものであるため、個々の回収率確認結果か らの測定値への補正は行わない。内部標準物質の添加による回収率確認は、(6).4).添加回収試験をもって代える事が 出来る。
6) 分析の妥当性の確認
分析の妥当性を確認するため、分析に先立ち、次の確認試験を実施する。また、分 析者、機材等の変更があった時点でも行う。PCBで汚染されていない絶縁油に、PCB濃 度0.5mg/kgとなるようにKC-mixを添加した試料を調製する。この試料を7回繰り返し測 定し、全ての試料の回収率が60%以上で、変動係数が30%以下であることを確認する。
7) 偽陰性防止
本法で、不含と判断した試料のうち、50試料に1試料以上の頻度で、本マニュアルに 示す簡易定量法もしくは、平成4年 厚生省告示第192 号に定める方法で濃度の確認を 行い、0.5mg/kgを超える試料を誤って不含と判断していない事を確認する。
(7) 留意事項
※1 例えば、3mL ずつの分画試験を行い、多層シリカゲルカラムから代表ピークに該 当する PCB が溶出し終える画分が、第 4 画分(12mL)までであり、アルミナカラムか らの溶出が始まるのが第 8 画分(24mL)からという場合、“多層シリカゲルカラムから の溶出が十分であり、かつ、活性アルミナカラムから溶出されないヘキサン量”とし ては、15 から 21mL が適当である。ただし、※2も参照。より詳細に液量を設定した い場合は、1mL ずつ等、細かく分画試験を行っても良い。
※2 ※1で多層カラムに展開するヘキサンの適量を求めているが、下段のアルミナ カラムの洗浄用に約 3mL のヘキサンが必要である。これは、上段の多層カラムから流 下した液が、下段のアルミナカラムの壁面に付着している可能性があるため、約 3mL のヘキサンで洗浄する事で目的成分のロスを防ぎ、絶縁油からの精製を高めるもので ある。このため※1で求めた適量の範囲より、3mL 減じた量を多層カラムでの展開量 とし、3mL をアルミナカラムの内壁洗浄用とする必要がある。もし、ヘキサンの適量 範囲が十分に確保できない場合には、アルミナの活性状態あるいはロットに問題があ ると考えられる。このため、(3).1).i に従って再活性化を行うか、別のロットを用 いて再設定する。
※3 定容線の引き方や液面の読み方に個人差が出ないように注意が必要である。
※4 代表ピークはクロマトグラムにおいて比較的ピーク強度の強いピークである。
この代表ピークの同定が困難なほど、図 1.2.2 と状態が異なる場合には、ガスクロマ
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トグラフの設定やカラムの劣化などが無いかを確認し、再測定する。それでも同定が できない場合には、KC-mix を用い、各ピークの CB0%を再設定した上で、代表ピーク を再設定する。この際、代表ピークは表 1.2.4 の IUPAC 番号を参考に、(5).2)で指定 している代表ピークとなるべく一致するように選定する。
※5 測定装置によっては直線性が保てない場合があるので、その場合は検量線の調 製濃度を変更する。