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IUPAC:189 IUPAC:207

3 絶縁油中の PCB 迅速判定法

159

3.1 ガスクロマトグラフ/電子捕獲型検出器(GC/ECD)を適用した迅速判定法

本マニュアルでは、GC/ECD 法を適用した迅速判定法として以下の技術を定める。

3.1.1 SO

3

添加濃硫酸多層シリカゲル処理/キャピラリーカラムガスクロマトグラフ/電子 捕獲型検出器(GC/ECD)法

(1) 概要(適用範囲)

ここに定める方法は、SO

3

添加濃硫酸多層シリカゲル処理/ガスクロマトグラフ/電子 捕獲型検出器を用いた、変圧器やコンデンサ等の重電機器に使用される電気絶縁油中 の PCB について適用する。

(2) 測定の概要 1) 測定の概要

本方法は、SO

3

添加濃硫酸多層シリカゲルとアルミナカラムを連結したミニカラムで 精製処理、濃縮後、PCB画分をGC/ECDにより測定を行い、指定した14本のピークの組成 と濃度にマッチングするように4種類のカネクロール(KC)製品(KC-300、KC-400、KC-500、

KC-600)の混合割合を演繹して、全PCB濃度を算出する。

2) 測定操作フロー

測定操作のフローを図3.1.1.1に示す。

図3.1.1.1 測定操作のフロー

①SO

3

添加濃硫酸多層シリカゲル

②連結アルミナカラム

濃縮・定容 試料

計算・判定 GC/ECD測定

160 (3) 試薬及び使用器具

1) 試薬

測定に使用する試薬は次による。これらの試薬は、空試験などによって測定に支障 のないことを確認しておく。又、記述以外の試薬を使用する場合も同等の試験を行い、

測定に支障のないことを確認しておく。

a. ヘキサン JIS K8825に規定するもの、又は同等の品質のもの。

b. アセトン JIS K8040に規定するもの、又は同等の品質のもの。

c. ジクロロメタン JIS K8117に規定するもの、又は同等の品質のもの。

d. ノナン 測定に支障のない品質のもの。

e. SO

3

添加濃硫酸含浸シリカゲル 遊離SO

3

が3%以上7%未満(質量分率)のもので測定 に支障のない品質のもの。遊離SO

3

の濃度によって分析の品質に影響するため、(6)分 析精度管理の規定を満足しない場合は、SO

3

添加濃硫酸含浸シリカゲルの状態(使用 前のSO

3

添加濃硫酸含浸シリカゲルがガラス製アンプルに密封されていること。変色 の無いこと。固まらず粉体状であること。使用後は試料との反応による着色が見られ ること等)をまず確認する。使用前に、あらかじめ遊離SO

3

濃度を確認するか、また は濃度が保証されているものを使用する。SO

3

添加濃硫酸シリカゲルは、ガラス製ア ンプルに密封して保管する。

f. アミノプロピルシリカゲル シリカゲル基材にアミノプロピル基を結合させたも ので、細孔径 6nm、粒子径 100μm のもの。

g. 硝酸銀[10%(質量分率)]シリカゲル 平成4 年厚生省告示第192 号別表第2 に示さ れる方法で調製をする。また、これに準ずる既製品などでも代用できる。

h. 無水硫酸ナトリウム JIS K8987に規定するもの。又は同等の品質のもの。

i. 活性アルミナ カラムクロマトグラフ用、塩基性 活性度スーパーI 又は同等な品質 のもので予め活性化したものが入手できる場合はそのまま使用してもよい。活性化す る必要のある場合には、ビーカーに層の厚さを10mm以下にして入れて130℃で約18時 間加熱、またはペトリ皿に層の厚さを約5mm程度にして入れて500℃で約8時間加熱処 理した後、デシケーター中で約30分間放冷した後、密閉できる試薬瓶中に保存する。

j. ヘリウム 純度99.9999%以上のもの。又はブランク測定時にクロマトへの妨害ピー クの検出やPCBの検出が無いもの。

k. 窒素 純度99.9995%以上のもの。又はブランク測定時にクロマトへの妨害ピークの 検出やPCBの検出が無いもの。

l . カネクロール混合液 (KC-mix):KC-300:KC-400:KC-500:KC-600=1:1:1:1 ト ータルPCB濃度として400μg/mLとなるようにヘキサンで希釈したもの。(KC-300、

KC-400、KC-500およびKC-600の各濃度が、100±10μg/mLである)、または同等な品 質のもの。

m.クリーンアップスパイク溶液 2,3,3’,4,4’,5,5’-H7CB(IUPAC No.189)等、測定に影

161

響が尐ない異性体を用いる。0.1μg/mLのノナン溶液

n.シリンジスパイク溶液 2,2’,3,3’,4,4’,5,6,6’-N9CB(IUPAC No.207)等、測定に影 響が尐ない異性体を用いる。1.0μg/mLのノナン溶液

2) 器具

測定に使用する器具は次による。これらの器具は、空試験などによって測定に支障 のないことを確認しておく。

a. ガラス器具 (ナス型フラスコ又はナシ型フラスコ、全量フラスコ):JIS R3503 及び JIS R3505 に規定するもの、又は同等な品質のもの。

ガラス器具で、試料と接触し、再使用するものは使用前・使用後に洗浄を行う。

・使用前は、アセトンおよびヘキサンで洗浄し、溶媒が揮発してから使用する。

・使用後は再使用に備え、あらかじめブランク測定でクロマトへの妨害ピークの検出 やPCBの検出が無い事を確認した方法で洗浄を行う。例えば、アセトンで内壁を洗い 流し、洗液は専用廃液入れに回収する。ブラッシングを行い、アセトンでよく洗い流 したあと、水道水で水洗し、アルカリ性洗浄剤に1時間以上浸す。その後水道水で充 分に水洗し、さらに純水で水洗したのち乾燥する。

b. 注尃筒 プラスチック製またはガラス製。内径16mmおよび13mmのもの 2種類。測定 に妨害をきたさないもの。PCBの吸着が無いことを確認しておく。

c. ガラス繊維ろ紙 直径16mmφおよび13mmφのもの2種類。測定に妨害をきたさない もの。

d. GC用バイアル瓶(2mL)およびインサートバイアル 測定に妨害をきたさないもの。GC で自動注入装置を用いる場合は、装置に適合したもの。

e. マイクロピペット JIS K0970 に規定するもの、又はこれと同等の品質のもの。電 動式のものを含む。

f. ピペットチップ 測定に妨害をきたさないもの。マイクロピペットに適合した100,

1000μL仕様のもの。

g. パスツールピペット 測定に妨害をきたさないもの。

h. 濃縮器 目的成分の損失や測定妨害が起こらないことを確認した濃縮器で濃縮を 行う。接続部にグリースを使用してはならない。例えば、ロータリーエバポレーター を使用する場合、温度や圧力、回転速度の設定、揮散損失を防止するための高沸点溶 媒の添加(種類、量)について確認しておく。

i. 窒素濃縮装置 窒素気流を流下し、GC用バイアル瓶(インサートバイアルを使用する 場合は、インサートバイアルを含む)中の溶媒を濃縮することのできる装置。

j. 電子天秤 0.01gの秤量が可能な性能のもの。

162 3) 使用装置

測定に使用する装置は次による。尚、GC/ECDの満たすべき条件は分離として、PCB等量 混合標準液を測定して得られるピークの分離の程度がPCB定性分析(ピーク同定)で参照 するクロマトグラムと同等の分離であること。感度として、検量線の中間濃度を測定し た際、検量線作成時の感度と比較して大きな変動がないこと。

a. ガスクロマトグラフ:

ⅰ 試料導入部:スプリットレス方式、オンカラム注入方式で 250℃から 280℃におい て使用可能なもの。

ⅱ カラム:内径 0.1 から 0.25mm、長さ 30 から 60m の溶融シリカ製のキャピラリーカ ラムで KC-mix のクロマトグラムピークのアサインがされているもの。

ⅲ キャリアーガス:ヘリウム 純度 99.9999%以上のもの

ⅳ カラム温度:温度制御範囲が 50 から 350℃であり、測定対象物質の最適分離条件の 温度に調節できるような昇温プログラムが可能なもの。

ⅴ 検出器:電子捕獲検出器(ECD)

(4) 前処理

前処理に関する操作フローを図 3.1.1.2 に示す。

図 3.1.1.2 前処理操作フロー

1) 精製カラムの作成

a. ガラス繊維ろ紙を詰めたシリンジ(内径16mm:プラスチック製またはガラス製)に、

図3.1.1.3 に示すように、下から、硝酸銀[10%(質量分率)]シリカゲル、無水硫酸ナ トリウム、アミノプロピルシリカゲル、無水硫酸ナトリウム、SO

3

添加濃硫酸含浸シ

1) サンプルのロード (75μ L)

3) ヘキサン溶出

5)受け器の交換 6)目的成分の分画 7)目的成分の濃縮 8)最終濃縮

4)カラムの切り離し、洗浄

クリーンアップスパイクの添加

シリンジスパイクの添加 2) 静置(反応時間)

163

リカゲル、無水硫酸ナトリウムを充填する。各充填剤は、変色などの異常がないこと を確認して使用する。

b. ヘキサン15mLを流下し、積層カラムを洗浄する。この工程は、ブランク試験でクロ マトグラム上に妨害ピークが出現しないことが確認できた場合は省略または、ヘキサ ンの流下量を加減できる。カラム内に気泡が見られる場合には、注尃筒などを用いて ヘキサンを加圧注入する等してシリカゲルの気泡を除く(気泡の除かれたシリカゲル は半透明になる)。

c. 上記とは別のガラス繊維ろ紙を詰めたシリンジ(例:内径13mm:プラスチック製ま たはガラス製)に、図3.1.1.4に示すように、下から、活性アルミナ、無水硫酸ナトリ ウムを充填する。このとき、活性アルミナの充填量は、活性アルミナのロット毎に、

20mLのヘキサンに対して目的成分を溶出しない充填量となるように決定する。

これらのカラムを上下に直列に配置する。カラムの下部には、溶離液(ヘキサン)

を受ける容器を設置する。この画分は、測定対象ではない。PCB溶出画分は、この容 器とは別の容器で捕集するが、詳細は、2)前処理に記述する。

活性アルミナカラムの充填終了後、速やかに 2)の前処理を行う事。但し、ヘキサ ンの液面が上部の無水硫酸ナトリウムの上端とほぼ同じかそれ以下まで下がってか らサンプルをロードする。時間がたって乾固したカラムは分析に使用しない。

図3.1.1.3 多層シリカゲルカラムの例

図3.1.1.4 活性アルミナカラムの例

無水硫酸ナトリウム

活性アルミナ

充填量例

無水硫酸ナトリウム :0.5g 活性アルミナ     :3g

ガラス繊維ろ紙

無水硫酸ナトリウム SO

3

添加濃硫酸含浸シリカゲル

アミノプロピルシリカゲル 硝酸銀含浸シリカゲル ガラス繊維ろ紙

充填剤充填量の例

無水硫酸ナトリウム :0.5g

SO 3 添加濃硫酸含浸シリカゲル:2.0g

無水硫酸ナトリウム :0.5g

アミノプロピルシリカゲル:1.5g

無水硫酸ナトリウム :0.5g

硝酸銀含浸シリカゲル :0.2g